前橋への移住や引っ越しを考えるとき、家賃はいくらか、収入はどうか、子育ての環境はどうかが気になる。
このページでは、当サイトが82本の記事で扱ってきた公的統計から、暮らしに関わる数字をまとめる。印象ではなく、出典のある数字だけで組み立てた。
持ち家率68.6%、住宅地の地価は43年前より30%安い。
東京との年収差は183.5万円あるが、世帯の手取りは月3,633円しか違わない。
ただし2050年に人口は18%減り、下水道は料金で賄えていない。
このページについて
新しいデータは扱わない。すべて当サイトの既存記事で示した数値で、各項目から元の記事にリンクしている。出典や算出の方法はそちらで確認できる。
年次は統計によって異なる。2020年の国勢調査、2023年の住宅・土地統計調査、2024年度の決算など、調査の実施年が揃っていない。
また、「住みやすい」かどうかは人によって違う。このページは判断の材料を並べるもので、結論を示すものではない。
住まいの費用
前橋市の住宅地は1㎡あたり51,537円。地価の記事で示したとおり、ピークだった1995年の131,533円から60.8%下がり、1983年の水準も下回っている。2015年以降は51,000円台で横ばいが続く。
高崎との差は用途で違う。住宅地は1.13倍だが、商業地は1.96倍。住むための土地の値段は、それほど変わらない。
持ち家の記事によれば、持ち家率は68.6%で全国60.9%を7.7ポイント上回る。全国が微減するなか、前橋だけが15年で5.9ポイント上がった。
住宅ローンの返済額は月37,805円で全国の1.16倍。ただし可処分所得に占める割合は6.9%で、全国6.8%とほぼ同じである。
広さは所有形態で大きく違う。住まいの記事では、持ち家が1住宅当たり124.97㎡、借家が49.22㎡で2.54倍の開きだった。
収入と支出
東京との比較の記事が、この構造を最もよく示している。個人の年収は東京が183.5万円高い。1.37倍である(2025年)。
ところが世帯の可処分所得は前橋548,942円、東京552,575円。月3,633円しか違わない。共働きの違いによるものである。
消費支出を引くと、前橋のほうが月12,119円、年14.5万円多く残る。
所得の記事によれば、課税対象所得は1人当たり375万9,500円で県内2位、全国1,742市区町村中234位。上位14%に入る。
ただし支出は少なくない。家計収支の記事では、消費支出が月325,546円で全国301,797円を23,749円上回っていた。集計世帯数が140世帯なので、費目別の内訳は振れが大きい。
通勤と交通
| 項目 | 前橋市 | 比較 |
|---|---|---|
| 市内で働く人 | 66.6% | 県外へは2.9% |
| 東京へ通う人 | 0.9%(1,234人) | 埼玉へは1,701人 |
| 通勤30分未満 | 61.5% | 全国50.4% |
| 自家用車での通勤・通学 | 76.4% | 1990年は61.0% |
| 東京との交通費の差 | 月14,553円 | 98.7%が車の維持費 |
通勤先の記事で示したとおり、通勤圏は群馬県内でほぼ閉じている。県外へ通う人は2.9%で、東京へ通う人は0.9%にとどまる。
通勤時間は短い。働き方の記事では、30分未満が61.5%で全国50.4%を11.1ポイント上回った。ただし県内5市では4位で、太田69.5%を下回る。
移動手段は車が中心である。公共交通の記事によれば、自家用車での通勤・通学は76.4%。鉄道は30年間5.6〜5.7%でほとんど変わらず、減ったのは乗合バスだった(3.3%→1.3%)。
その分、車の費用はかかる。車と交通費の記事では、東京との交通・通信費の差14,553円のうち98.7%が自動車関係だった。内訳は購入費ではなく維持費である。
子育てと教育
子育ての記事によれば、合計特殊出生率は1.41で全国1.33・群馬1.38をどちらも上回る。県内12市では4位である。
保育所等の利用定員9,221人に対し、実際の利用は7,809人。1,412人分が空いており、待機児童は0人。
学校の規模は全国並みである。小学校の記事では、児童数が42年で50.1%減ったが小学校は53校から50校へ3校しか減っていない。結果として1校当たり315.9人で、全国315.7人とほぼ同じになった。
費用は進路で大きく変わる。教育費の記事では、幼稚園から高校までの15年ですべて公立617万円、すべて私立1,971万円。大学4年を足すと、最も安い経路で860万円、最も高い経路で2,681万円になる。
市の支援もある。支援制度の記事でまとめたとおり、子どもの医療費は高校生世代まで無料、市立小中学校の給食費は無償化されている。移住支援金は世帯100万円である。
医療と介護
医療の記事で示した数字は、県内でも際立っている。人口10万人当たりの医師数は497.7人で、全国279.7人の1.78倍(2024年)。高崎市250.8人の1.98倍にあたる。
群馬県の医師の33.4%が前橋市にいる。人口シェアは17.2%なので、約2倍の集中である。
ただし突出しているのは医師だけだった。病床は全国の1.11倍、診療所は1.22倍で、全国並みである。
介護は介護の記事で扱った。要介護認定率は18.49%で全国19.74%を下回る。ただし要介護4・5の重い人が23.8%を占め、全国20.4%を上回っていた。
気になる点
良い数字だけを並べても、判断の材料にはならない。当サイトが扱ったなかで、注意が要ると思われる数字を挙げる。
人口の減り方が県内で最も速い
将来人口の記事によれば、2020年の332,149人から2050年に271,548人へ。60,601人減り、2020年比81.8%になる。
高崎88.7%、伊勢崎90.2%、太田89.7%。主要4市のなかで前橋が最も低い。県庁所在地が最も速く減ることになる。
支える側が減る
高齢化率の記事では、2050年に39.7%まで上がる推計を示した。ただし65歳以上は7.3%しか増えない。同じ期間に15〜64歳が28.4%減ることによるものである。
インフラの更新が追いついていない
上下水道の記事によれば、水道は料金回収率103.9%で賄えている。ところが下水道の経費回収率は76.4%で県内5市の最下位。5年前の83.3%から下がり続けている。
水道管の更新率は0.63%。全部を入れ替えるのに159年かかる計算になる。法定耐用年数は40年である。
賃貸は空室が多い
空き家の記事では、空き家率15.2%のうち賃貸用が58.1%を占めていた。中身はアパートの空室である。
借りる側には選択肢が多いということでもある。ただし賃貸・売却用などを除く空き家に限ると前橋5.3%、高崎7.1%で逆転する。
まとめ
| 項目 | 数字 | 読み方 |
|---|---|---|
| 住宅地の地価 | 51,537円/㎡ | 43年前より30%安い |
| 持ち家率 | 68.6% | 全国より7.7pt高い |
| 世帯の手取り | 東京と月3,633円差 | 年収差183.5万円が縮む |
| 通勤30分未満 | 61.5% | ただし車が76.4% |
| 出生率 | 1.41 | 待機児童0人 |
| 医師数 | 全国の1.78倍 | 病床は全国並み |
| 2050年の人口 | −18% | 県内主要4市で最速 |
| 下水道の回収率 | 76.4% | 県内5市で最下位 |
いまの生活は成立している。土地が安く、車があり、家を建てる。世帯の手取りは東京とほとんど変わらない。
ただし備えは薄い。人口が減り、設備は古くなり、支える側も減る。この2つは矛盾していない。
全記事を横断した整理は5つの構造の記事にまとめている。
このページの限界
- このページに新しいデータはない。すべて既存の記事で示した数値で、出典と算出の方法は各記事で確認できる。
- 年次が揃っていない。2020年の国勢調査、2023年の住宅・土地統計調査、2024年度の決算など、調査によって時点が異なる。
- 家計の数値は集計世帯数が140世帯で、費目別の内訳は振れが大きい。
- 賃金は都道府県単位までしか公表されておらず、前橋市単独の数値ではない。
- 「住みやすい」かどうかは人によって違う。このページは材料を並べるもので、結論を示すものではない。
- 地域内の分布は分からない。市域は広く、旧町村部と旧市域では条件が違う。
- 統計に表れない要素(人間関係、気候、街の雰囲気など)は扱っていない。
Q&A
前橋の家賃はいくらですか
1か月当たり46,121円です(2023年、家賃0円を含む)。全国59,643円の0.77倍、県内では高崎49,738円に次いで2番目に高くなっています。詳しくは住まいの記事をご覧ください。
車がないと生活できませんか
通勤・通学の76.4%が自家用車です。鉄道は30年間5.6〜5.7%で変わらず、乗合バスは1.3%まで減りました。東京との交通費の差14,553円のうち98.7%が自動車関係です。詳しくは公共交通の記事と車の記事で扱っています。
東京から移住すると収入は下がりますか
個人の年収では183.5万円下がります(2025年)。ただし世帯の可処分所得で見ると月3,633円しか違わず、消費支出を引くと前橋のほうが年14.5万円多く残ります。詳しくは東京との比較の記事をご覧ください。
移住の支援制度はありますか
移住支援金は世帯100万円、単身60万円です。18歳未満を帯同すると1人につき50万円が加算されます。子どもの医療費は高校生世代まで無料、市立小中学校の給食費は無償化されています。詳しくは支援制度の記事にまとめています。
前橋と高崎はどちらがいいですか
このページでは判断しません。住宅地の地価は前橋が高崎の88%、医師数は前橋が1.98倍、将来人口の減り方は前橋のほうが速い、というのが数字です。項目ごとに向きが違います。
このページは更新されますか
元になる記事が更新されれば、あわせて見直します。統計の公表時期は調査によって異なります。
出典
このページで参照した数値の出典は、リンク先の各記事に記載しています。主な調査は次のとおりです。
- 総務省「国勢調査」「住宅・土地統計調査」「全国家計構造調査」「市町村税課税状況等の調」「経営比較分析表」「社会・人口統計体系」
- 国土交通省「地価公示」/厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計」「介護保険事業状況報告」
- 国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」/文部科学省「学校基本調査」「子供の学習費調査」
- 前橋市(支援制度・保育所等の利用状況)
更新履歴
- 2026年9月15日 公開
