前橋市の高齢化率は、2050年に39.7%まで上がる推計です。
ただし、高齢者が増えるからではありません。
結論
前橋市の高齢化率は2020年の30.2%から2050年に39.7%へ、9.5ポイント上がる。県内主要4市で最も高い。
ただし65歳以上の人口は100,430人から107,766人で、7.3%しか増えない。同じ期間に15〜64歳は28.4%減る。
高齢化率が上がるのは、高齢者が増えるからではなく、支える側が減るからだった。
対象範囲
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」を使用しました。
公表は2023年12月22日、2020年の国勢調査を基準とした推計です。
年齢3区分別の割合は結果表3から取りました。
本記事の実数は、総人口にその割合を乗じて算出したものです。四捨五入の影響で、公表値と末尾が異なる場合があります。
推計値であり、実績ではありません。
高齢化率の推移
| 地域 | 2020年 | 2035年 | 2050年 | 上昇幅 |
|---|---|---|---|---|
| 前橋市 | 30.2% | 34.9% | 39.7% | 9.5pt |
| 高崎市 | 28.4% | 32.1% | 37.5% | 9.1pt |
| 伊勢崎市 | 25.4% | 29.6% | 35.8% | 10.4pt |
| 太田市 | 26.3% | 29.1% | 34.7% | 8.4pt |
| 群馬県計 | 30.2% | 34.7% | 40.0% | 9.8pt |
前橋市は2020年、2050年とも主要4市で最も高い水準でした。
2050年の39.7%は、10人に4人が65歳以上になる計算です。
ただし上昇幅で見ると、最も大きいのは伊勢崎市の10.4ポイントでした。
前橋市は9.5ポイントで、伊勢崎市と群馬県全体を下回ります。
5年ごとの推移を、4市と群馬県で並べる。
| 地域 | 2020年 | 2025年 | 2030年 | 2035年 | 2040年 | 2045年 | 2050年 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 前橋市 | 30.2% | 31.7% | 33.1% | 34.9% | 37.6% | 38.9% | 39.7% |
| 高崎市 | 28.4% | 29.2% | 30.4% | 32.1% | 34.9% | 36.6% | 37.5% |
| 伊勢崎市 | 25.4% | 26.3% | 27.5% | 29.6% | 32.6% | 34.7% | 35.8% |
| 太田市 | 26.3% | 26.8% | 27.5% | 29.1% | 31.8% | 33.5% | 34.7% |
| 群馬県計 | 30.2% | 31.5% | 32.9% | 34.7% | 37.5% | 39.1% | 40.0% |
総人口に占める65歳以上の割合。国立社会保障・人口問題研究所の推計(令和5年推計)による。
生産年齢人口の割合
| 地域 | 2020年 | 2035年 | 2050年 |
|---|---|---|---|
| 前橋市 | 58.2% | 55.4% | 51.0% |
| 高崎市 | 59.2% | 57.6% | 52.5% |
| 伊勢崎市 | 61.5% | 60.0% | 54.2% |
| 太田市 | 60.4% | 59.9% | 54.5% |
| 群馬県計 | 58.2% | 55.9% | 50.8% |
前橋市の15〜64歳の割合は、2050年に51.0%になります。
主要4市では最も低く、人口の半分をわずかに超える水準です。
実数で見ると何が起きているか

| 区分 | 2020年 | 2050年 | 増減 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 0〜14歳 | 38,334人 | 25,246人 | −13,088人 | −34.1% |
| 15〜64歳 | 193,385人 | 138,536人 | −54,849人 | −28.4% |
| 65歳以上 | 100,430人 | 107,766人 | +7,336人 | +7.3% |
| 総人口 | 332,149人 | 271,548人 | −60,601人 | −18.2% |
65歳以上は7,336人の増加にとどまります。7.3%増です。
一方、15〜64歳は54,849人減ります。28.4%減です。
0〜14歳の減少幅が最も大きく、34.1%減でした。
高齢者数そのものは2040年の110,844人が頂点で、その後は減少に転じます。
それでも高齢化率が上がり続けるのは、総人口の減り方がより速いためです。高齢者の暮らしや介護の相談は、前橋市の前橋市地域包括支援センター及びブランチ(窓口)で受け付けています。市の高齢者向けのサービスは、まえばし高齢者福祉のしおり(令和8年度版)にまとまっています。
この数字をどう読むか
ここからは解釈です。
高齢化という言葉は、高齢者が増える現象として受け取られがちです。
しかし前橋市で起きるのは、その逆に近いことでした。高齢者は7%増えるだけで、2040年以降は減り始めます。
変化の中身は、支える側の減少です。15〜64歳が30年で28%減る。
分母が縮むから、割合としての高齢化率が上がります。
この違いは対策の方向を変えます。
高齢者が増えるなら、必要なのは受け皿を増やすことです。支える側が減るなら、必要なのは一人あたりの負担を減らす仕組みか、支える側を増やすことになります。
当サイトの人口の記事で確認したとおり、前橋市が転出超過となっているのは20〜24歳のみでした。
その年代は、これから30年にわたって15〜64歳を構成する層です。
いま抜けている穴が、そのまま将来の生産年齢人口の減少につながります。
また求人の記事では、前橋の新規求人の22.5%が医療・福祉でした。
高齢者数がほぼ横ばいであれば、医療・福祉の需要が急増するとは限りません。
ただし支える側が28%減るため、同じ需要を満たすための人手は不足しやすくなります。
支える側が減ることは、暮らしを支える仕組みにも及びます。
上下水道の記事では、下水道の経費回収率が76.4%で県内5市の最下位、水道管を全部入れ替えるには159年かかる計算であることを示しました。
防災の記事では、群馬県の消防団員が49年で27.1%減っています。
住まいの側も追いついていません。
住まいの記事によれば、段差のない屋内は持ち家で26.6%、借家で13.6%。耐震診断を受けた持ち家は8.75%にとどまります。
介護の記事では、要介護4・5の重い人の割合が23.8%で全国20.4%を上回っていました。
サ高住の記事では、前橋のサービス付き高齢者向け住宅が1,052戸で、65歳以上1,000人当たり10.9戸であることを示しました。
これらを横断して整理したのが5つの構造の記事です。
このデータの限界
- 推計値であり、実績ではありません。2020年国勢調査を基準としており、その後の変化は反映されていません。
- 本記事の実数は、公表されている総人口と割合から算出したものです。社人研が実数として公表している値とは、四捨五入の影響で末尾が異なる場合があります。
- 年齢3区分は、就業や介護の実態と一致しません。65歳以上でも働く人は多く、15〜64歳でも就業していない人がいます。
- 年齢3区分別の割合は結果表3、総人口は結果表1から取りました。2つの表をまたいで組み合わせています。
- 公表は2023年12月22日です。基準となる国勢調査の年から公表まで間があります。
- 扱うのは人口の割合と実数の変化です。介護や医療の需要そのものは扱っていません。
よくある誤解
「高齢化=高齢者が増える」
とは限りません。前橋市では、高齢者数は2040年を境に減り始めます。
「高齢化率が高い=高齢者が多い」
割合と実数を区別しなければ成立しません。前橋市の高齢化率が主要4市で最も高いのは、生産年齢人口の減り方が速いためです。
「高齢化率が上がるのは高齢者が急増するからだ」
違います。高齢者数は2040年を境に減り始めます。割合が上がるのは、生産年齢人口の減り方が速いためです。
Q&A
75歳以上の推計もありますか
同じ推計に再掲として公表されています。
本記事では扱っていません。
なぜ高齢者は2040年から減るのですか
人口の多い世代が高齢期を過ぎるためです。
2040年時点で65歳を迎えるのは1975年前後の生まれで、それ以降の世代は人数が少なくなります。
総人口の推計はどこで見られますか
当サイトの将来人口の記事で扱っています。
出典
- 国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」結果表1および結果表3(2023年12月22日公表)
データダウンロード
本記事で使用したデータは、CSVでご自由にダウンロードいただけます。ライセンスはCC BY 4.0です。
| No | データ名 | 出典 | ダウンロード |
|---|---|---|---|
| ⑮ | 前橋市・県内主要市の年齢3区分別人口割合 (2020〜2050年) | 国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」結果表1・結果表3 | CSVを保存 |
更新履歴
2026年9月22日 一覧表と公式ページへのリンクを追加
2026年9月21日 限界と誤解を整理
2026年8月26日 公開
