前橋の有効求人倍率は2025年の最高が2月の1.34、最低が6月の1.08で、12か月すべてで群馬県の平均を下回った。求職者数は高崎とほぼ同数だが、求人数は高崎が前橋の1.43倍ある。高崎・伊勢崎・太田・県計との月別の倍率を表で比べた。
前橋市の有効求人倍率は、県庁所在地でありながら群馬県の平均を下回り続けています。
なぜ高崎と差がつくのか。群馬労働局の月次データを分解しました。
結論
前橋の有効求人倍率は2025年の12か月すべてで県平均を下回り、12所中7〜10位だった。
高崎との差は業種構成ではない。求職者数はほぼ同数で、求人数だけが高崎は前橋の約1.43倍ある。
一方、新規求人に対する充足の割合は前橋のほうが高い。前橋10.3〜22.1%に対し高崎7.3〜12.5%だった。
対象範囲
群馬労働局「労働市場月報」の2025年1月分から12月分までを使用しました。
2025年の12か月すべてを対象としています。
数値は公共職業安定所の管轄単位(安定所管内)です。
前橋市の行政区域とは完全には一致しません。
有効求人倍率は学卒を除きパートタイムを含む値で、季節調整前の原数値です。
安定所別の数値には季節調整値が公表されていないため、月ごとの水準差には季節要因が含まれます。
有効求人倍率の推移

| 月 | 高崎 | 伊勢崎 | 県計 | 前橋 | 太田 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1月 | 1.83 | 1.54 | 1.42 | 1.32 | 1.19 |
| 2月 | 1.75 | 1.55 | 1.41 | 1.34 | 1.17 |
| 3月 | 1.68 | 1.53 | 1.36 | 1.28 | 1.15 |
| 4月 | 1.45 | 1.37 | 1.22 | 1.15 | 0.99 |
| 5月 | 1.43 | 1.37 | 1.17 | 1.09 | 0.98 |
| 6月 | 1.47 | 1.25 | 1.18 | 1.08 | 0.98 |
| 7月 | 1.54 | 1.26 | 1.20 | 1.13 | 0.95 |
| 8月 | 1.60 | 1.20 | 1.21 | 1.13 | 0.92 |
| 9月 | 1.58 | 1.27 | 1.21 | 1.15 | 0.98 |
| 10月 | 1.71 | 1.37 | 1.26 | 1.15 | 1.02 |
| 11月 | 1.77 | 1.38 | 1.31 | 1.21 | 1.08 |
| 12月 | 1.86 | 1.47 | 1.38 | 1.17 | 1.22 |
前橋は12か月すべてで県平均を下回りました。
差は0.06〜0.21ポイントで、最も開いたのは12月です。
12の安定所の中での順位は、10か月が8位、4月と9月が7位、12月のみ10位でした。
年間を通じてほぼ同じ位置にありますが、12月だけは沼田・富岡・中之条を下回っています。
年内の最高は2月の1.34、最低は6月の1.08でした。
四半期だけを見ていたときの最低値は7月の1.13でしたが、実際の谷は5月から6月にあります。
高崎との差は0.30〜0.69ポイントで、一貫して開いています。
差が最も小さいのは4月、最も大きいのは12月で、年後半にかけて開く傾向がありました。
差はどこから生じているか
有効求人倍率は、有効求人数を求職者数で割った値です。
倍率に差があるとき、原因は求人側か求職者側のどちらかにあります。

| 月 | 求職者数 高崎÷前橋 | 有効求人数 高崎÷前橋 | 新規求人数 高崎÷前橋 |
|---|---|---|---|
| 1月 | 1.04 | 1.45 | 1.40 |
| 2月 | 1.04 | 1.36 | 1.20 |
| 3月 | 1.03 | 1.35 | 1.40 |
| 4月 | 1.04 | 1.31 | 1.21 |
| 5月 | 1.03 | 1.36 | 1.50 |
| 6月 | 1.03 | 1.40 | 1.49 |
| 7月 | 1.01 | 1.38 | 1.30 |
| 8月 | 1.01 | 1.42 | 1.53 |
| 9月 | 1.05 | 1.44 | 1.44 |
| 10月 | 1.04 | 1.56 | 1.82 |
| 11月 | 1.06 | 1.55 | 1.35 |
| 12月 | 1.02 | 1.62 | 1.66 |
| 年計 | 1.03 | 1.43 | 1.43 |
求職者数はほぼ同じでした。
12か月とも高崎が前橋の1.01〜1.06倍にとどまり、年計では1.03倍です。
一方、求人数は高崎が前橋の年計で1.43倍。
有効求人数、新規求人数のいずれも同じ倍率でした。
求職者が同数で求人が1.4倍あるため、倍率が1.4倍になる。
差はこの一点から生じています。
12か月に広げると、差が一定でないことも見えます。
有効求人数の比は4月の1.31倍が最小で、12月の1.62倍が最大でした。年の後半にかけて開いています。
求人はどの程度埋まっているか
新規求人数に対する充足数の割合を見ます。
出された求人のうち、どの程度が実際に人で埋まったかの目安です。
| 月 | 前橋 | 県計 | 高崎 |
|---|---|---|---|
| 1月 | 10.3% | 9.4% | 7.7% |
| 2月 | 12.9% | 11.7% | 8.9% |
| 3月 | 22.1% | 15.3% | 11.4% |
| 4月 | 18.2% | 14.4% | 12.5% |
| 5月 | 16.5% | 13.6% | 9.6% |
| 6月 | 16.7% | 12.5% | 9.9% |
| 7月 | 16.1% | 12.3% | 9.7% |
| 8月 | 12.0% | 11.2% | 7.8% |
| 9月 | 15.0% | 11.5% | 9.6% |
| 10月 | 13.9% | 11.3% | 7.3% |
| 11月 | 12.1% | 11.7% | 8.4% |
| 12月 | 17.1% | 11.4% | 9.5% |
| 年計 | 15.2% | 12.2% | 9.2% |
前橋は12か月すべてで県平均を上回り、高崎を上回っています。
年計では前橋15.2%、県計12.2%、高崎9.2%でした。
求人1件あたりで見ると、前橋のほうが人が決まっていることになります。
最も高かったのは3月の22.1%で、年度末にあたる時期でした。
前橋の求人はどの業種か

12か月の新規求人22,795件のうち、医療・福祉が22.5%、卸売・小売が18.2%。
この2業種で4割を超えます。
製造業は7.8%、情報通信業は1.1%。
合わせても1割に届きません。
逆に、県内シェアで見ると別の顔が出る。前橋は県全体の新規求人の16.3%を占めるのだが、業種別ではこうなっている。金融業・保険業は県全体の53.8%、教育・学習支援業は38.0%、公務その他は30.3%、学術研究・専門技術サービス業と情報通信業はそれぞれ26.7%が前橋管内で出されている。製造業は8.4%、宿泊業・飲食サービス業は7.1%にとどまる。
前橋は、県内の金融・教育・行政・専門サービスの求人を集める場所であり、同時に製造業の求人が薄い場所だった。
18業種を県内シェアの高い順に並べる。
最も高いのは電気・ガス・熱供給・水道業の56.4%だが、県計は55件しかない。規模を伴う集中は、県計919件の金融業・保険業53.8%のほうである。逆に鉱業・採石業・砂利採取業は県計26件で、前橋は0件だった。
| 産業 | 県計 | 前橋 | 県内シェア |
|---|---|---|---|
| 電気・ガス・熱供給・水道業 | 55 | 31 | 56.4% |
| 金融業,保険業 | 919 | 494 | 53.8% |
| 教育,学習支援業 | 2,276 | 864 | 38.0% |
| 公務,その他 | 2,191 | 663 | 30.3% |
| 情報通信業 | 928 | 248 | 26.7% |
| 学術研究,専門・技術サービス業 | 2,960 | 791 | 26.7% |
| サービス業(他に分類されないもの) | 14,975 | 3,774 | 25.2% |
| 卸売業,小売業 | 20,452 | 4,149 | 20.3% |
| 建設業 | 12,675 | 2,315 | 18.3% |
| 農業,林業,漁業 | 1,181 | 215 | 18.2% |
| 不動産業,物品賃貸業 | 2,680 | 481 | 17.9% |
| 運輸業,郵便業 | 7,826 | 1,127 | 14.4% |
| 複合サービス事業 | 860 | 120 | 14.0% |
| 医療,福祉 | 37,086 | 5,130 | 13.8% |
| 製造業 | 21,179 | 1,770 | 8.4% |
| 宿泊業,飲食サービス業 | 5,917 | 418 | 7.1% |
| 生活関連サービス業,娯楽業 | 5,423 | 205 | 3.8% |
| 鉱業,採石業,砂利採取業 | 26 | 0 | 0.0% |
| 計 | 139,609 | 22,795 | 16.3% |
月ごとの構成比には振れがあります。
医療・福祉は17.9〜25.0%、卸売・小売は14.6〜22.4%、製造業は4.6〜10.6%の範囲で推移しました。
四半期の抜き取りで見えていた範囲より、実際の振れ幅は大きいことになります。
この数字をどう読むか
ここからは解釈です。
作業を始めた当初、私は「前橋は製造業の求人が薄いから倍率が低い」という見立てを持っていました。
これは成り立ちませんでした。
高崎の製造業構成比を1月・4月・7月・10月の4時点で計算すると6.4〜10.0%で、前橋の同時点の6.1〜9.0%とほぼ同水準です。
それでいて高崎の倍率は県内最高でした。
業種構成では説明がつきません。
実際に効いていたのは求人の総量でした。
人口規模の近い2市で、求職者は同数、求人だけが1.4倍。
倍率の差はここに尽きます。
12か月に広げてわかったのは、年内の谷が春から初夏にあることです。
5月と6月の前橋は1.09と1.08で、四半期の抜き取りでは拾えていなかった水準でした。
新年度に求職者が増えるのに対して求人がそこまで増えないためと見られますが、月報の数値だけでは要因までは特定できません。
もうひとつは年末の戻り方の差です。
高崎と県計は11月から12月にかけて上向きましたが、前橋は1.21から1.17へ下がりました。
年間で見て前橋が低いという結論は変わりませんが、差が広がるのは年の後半だという点は、四半期の抜き取りでは見えていませんでした。
ただし、倍率が低いことをそのまま「仕事がない」と読むのは早いと考えます。
充足の割合は前橋のほうが高く、出された求人は相対的に埋まっています。
高崎は求人が多いぶん、埋まらない求人も多く抱えている。
倍率の高低は、求職者にとっての選びやすさを直接には示しません。
もうひとつ、業種構成は倍率の説明にはならないものの、別の論点として残ります。
情報通信業1.1%という水準は、この分野で働きたい人にとって選択肢がほぼないことを意味します。
当サイトの人口の記事で確認したとおり、前橋が失っているのは20〜24歳のみでした。
職種の幅が、この年代の選択に影響している可能性はあります。
もうひとつ、賃金の水準だけで判断するのも早いと考えます。
当サイトの生活コストの記事で確認したとおり、前橋市の物価は52都市で最も低く、食料は51位でした(2025年)。
賃金が低くても、支出も低い。手元に残る額で見ると、賃金の差がそのまま生活の差になるとは限りません。
ただしこれは、本記事のデータだけでは確かめられません。
理由は次の節に書きます。
このデータの限界
- 本記事が扱ったのは、公共職業安定所を経由した求人だけです。
- 新卒の就職情報サイトやダイレクトリクルーティング、中途の求人検索サイトや転職エージェントの求人は、この統計に含まれません。
- 求人の量も業種の構成も、どの市場を見るかで変わります。本記事の数値から「前橋には情報通信の仕事がない」と結論することはできません。言えるのは、ハローワーク経由の求人においてその割合が低い、ということだけです。
- 数値は公共職業安定所の管轄単位で、前橋市の行政区域とは完全には一致しません。
- 有効求人倍率は学卒を除きパートタイムを含む値で、季節調整前の原数値です。安定所別には季節調整値が公表されていないため、月ごとの水準差には季節要因が含まれます。
- 対象は2025年1月分から12月分の1年分です。単年の数値であり、長期の傾向は扱っていません。
- 民間の求人市場については、ヒト(雇用・福利厚生)のページで別途観測していく予定です。
よくある誤解
「有効求人倍率が高いほど働きやすい」
倍率は求人数を求職者数で割った値であり、賃金や労働条件を反映しません。人手不足が深刻な業種ほど倍率は高くなります。
「県庁所在地なのだから求人が多いはず」
群馬では成り立ちません。高崎は新幹線と高速道路の結節点で、物流と商業の集積があります。県庁所在地であることと、求人の集積は別の要因です。
「安定所の数値はそのまま前橋市の数値だ」
一致しません。数値は公共職業安定所の管轄単位で、前橋市の行政区域とは完全には一致しません。
Q&A
12か月分のデータはどこで見られますか
本文の表が2025年の12か月すべてです。
公開当初は1月・4月・7月・10月の4か月分でしたが、群馬労働局「労働市場月報」令和7年1月分から12月分までを読み直し、全月に差し替えました。
季節による上下はどのくらいありますか
前橋の場合、2025年の最高は2月の1.34、最低は6月の1.08で、その差は0.26ポイントでした。
本記事の数値はいずれも原数値で、季節調整はかかっていません。
月ごとの比較ではなく、年間を通した水準で見るほうが実態に近くなります。
前年と比べるとどうですか
本記事では前年比較を行っていません。
2024年12月頃に産業分類の改定があり、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、医療・福祉、サービス業の4分野で前年同月比の連続性が損なわれているためです。
2025年内の構成比を見る分には影響しません。
前橋市の数字と考えてよいですか
厳密には異なります。
公共職業安定所の管轄は市の行政区域と一致せず、周辺町村を含む場合があります。
前橋市の実態に近い値ではありますが、市単位の統計ではありません。
求人の検索や職業相談の窓口は、群馬労働局のハローワーク前橋のページで確認できます。
群馬県の有効求人倍率はいくつですか
安定所別と同じ原数値で見ると、2025年の県計は1月が1.42、最も低い5月が1.17、12月が1.38でした。前橋は12か月すべてでこれを下回っています。
前橋のハローワークで多い求人の業種は何ですか
2025年の12か月の新規求人22,795件のうち、医療・福祉が22.5%、卸売・小売が18.2%で、この2業種で4割を超えます。製造業は7.8%、情報通信業は1.1%です。
出典
- 群馬労働局「労働市場月報」令和7年1月分〜12月分(産業別・規模別一般新規求人状況)/群馬労働局
- 総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」年報(2025年)
データダウンロード
本記事で使用したデータは、CSVでご自由にダウンロードいただけます。ライセンスはCC BY 4.0です。
| No | データ名 | ダウンロード |
|---|---|---|
| ① | 群馬県内12安定所+県計の求人・求職状況(2025年1〜12月) | CSVを保存 |
| ② | 前橋の産業別新規求人数(2025年1〜12月) | CSVを保存 |
| ③ | 産業別・安定所別の新規求人数(2025年1〜12月) | CSVを保存 |
その他のデータはデータベースにまとめています。
関連ページ
更新履歴
2026年9月24日 冒頭の段落を追加
2026年9月24日 Q&Aと内部リンクを追加
2026年9月22日 公式窓口へのリンクを追加
2026年9月21日 限界と誤解を整理
2026年8月25日 公開
2026年8月26日 2025年の12か月分に拡張(従来は1月・4月・7月・10月の4か月分)。グラフを月別版に差し替え、CSVを更新
2026年9月18日 県内シェアの記述を追加(2026年8月26日の改稿で欠落していたもの)
2026年9月18日 産業別・安定所別の一覧表とCSVを追加
