群馬の労働時間の差、4割はパート比率で説明できる【2025年平均】

群馬の一般労働者の月間総実労働時間は160.9時間で、全国160.5時間との差は0.4時間しかない(2025年平均)。就業形態計で2.5時間長く見える差のうち1.00時間、約4割はパート比率の違い(群馬30.2%、全国31.3%)による。群馬の就業形態別の労働時間とパート比率を表で示した。

労働時間の記事で、群馬の月間総実労働時間が137.6時間で全国の135.1時間より2.5時間長いことを示した(2025年平均)。

あの記事の「このデータの限界」に、こう書いた。パートタイム労働者比率が県によって異なるため、比率が高い県ほど平均労働時間は短く出る、と。今回はその限界を数字で埋める。

結論から言えば、2.5時間の差のうち約4割は、群馬で長く働いているからではなく、パート比率の違いによるものだった。2024年は6割だったが、2025年は群馬のパート比率が上がり、その分が小さくなった。

一般労働者だけを比べると、群馬160.9時間、全国160.5時間。差は0.4時間しかない。

差が大きいのはパートタイム労働者で、群馬83.3時間、全国79.1時間の4.2時間差。

就業形態計の2.5時間の差のうち、約4割はパート比率の違いによる。群馬30.2%、全国31.3%。

対象範囲

厚生労働省「毎月勤労統計調査」による。群馬県の数値は地方調査の令和7年の年平均結果(群馬県公表、第7表)、全国の数値は全国調査の令和7年分結果確報から取った。いずれも2025年の年平均、事業所規模5人以上、調査産業計である。令和6年以前の群馬県の数値は令和6年確報による。

就業形態は一般労働者とパートタイム労働者の2区分。パートタイム労働者は、1日の所定労働時間または1週間の所定労働日数が一般の労働者より少ない者を指す。

給与額は群馬県の就業形態別では公表されていない。県の年報には所定内給与額と超過労働給与額の表があるが、いずれも産業別で、就業形態の区分がない。この記事で給与に触れる箇所は全国の数値である。

この調査に市区町村別の集計はない。以下はすべて群馬県の数値であり、前橋市単独の数値ではない。

一般労働者だけなら、差は0.4時間

就業形態で分けると、様相が変わる。

一般労働者の月間総実労働時間は、群馬160.9時間、全国160.5時間。差は0.4時間である。パートタイム労働者は群馬83.3時間、全国79.1時間で、差は4.2時間になる(2025年平均)。

就業形態別の月間総実労働時間。一般労働者は全国160.5時間・群馬160.9時間で差0.4時間、パートタイム労働者は全国79.1時間・群馬83.3時間で差4.2時間(2025年平均)
就業形態別の月間総実労働時間(2025年平均)
一般労働者だけの差 0.4時間 群馬160.9/全国160.5時間
パートタイムの差 4.2時間 群馬83.3/全国79.1時間
パート比率 30.2% 全国31.3%。差の約4割はこれによる

所定外労働時間も見ておく(2024年。群馬県の2025年の就業形態別は未公表)。一般労働者は群馬13.5時間、全国13.5時間でまったく同じ。パートタイム労働者は群馬2.0時間、全国2.3時間で、むしろ群馬のほうが短い。

出勤日数(2024年)は、一般労働者が群馬19.4日、全国19.4日で同じ。パートタイム労働者が群馬14.4日、全国13.7日で、群馬が0.7日多い。パートの差は、日数から来ている。

2.5時間の差を分解する

一般労働者の差が0.4時間、パートの差が4.2時間なのに、なぜ就業形態計では2.5時間になるのか。パート比率が違うからである。

群馬のパートタイム労働者比率は30.2%、全国は31.3%。群馬のほうが1.1ポイント低い。労働時間の短いパートの割合が小さいぶん、平均が押し上げられる。

群馬の一般・パートそれぞれの労働時間を、全国のパート比率で加重し直すと136.60時間になる。実際の群馬は137.6時間なので、その差1.00時間がパート比率の違いによる分である。残りの1.50時間が、各形態の中で群馬のほうが長いことによる分になる。

2.5時間の差の要因分解(2025年平均)。全国135.1時間に各形態内の労働時間の差1.50時間とパート比率の違い1.00時間を加えると群馬の137.6時間になる
就業形態計の差2.5時間の要因分解(2025年平均)

2.5時間のうち1.00時間、割合にして約4割がパート比率の違いによるものだった。「群馬は長く働いている」という読み方は、この4割ぶんについては正しくない。残る6割は、各形態の中で群馬のほうが長いことによる。2024年は4.5時間のうち2.69時間、6割がパート比率の違いだった。

群馬のパート比率は5年で0.5ポイント下がった

群馬のパートタイム労働者比率は、令和2年の30.7%から令和6年の27.4%まで下がったあと、令和7年は30.2%に上がった。5年間では0.5ポイントの低下である。同じ期間の全国は31.13%、31.28%、31.60%、32.24%、30.86%、31.31%で、31%前後を推移した。

ただし令和6年の全国値には断層がある。前年差が+0.51ポイントと公表されている一方、前年の32.24%との単純な差は-1.38ポイントになる。2024年1月のベンチマーク更新による影響とみられる。5年間の推移として読むのは避けたほうがよい。

比較できるのは、同じ年の断面である。令和7年は群馬30.2%、全国31.3%で、差は1.1ポイント。令和6年の3.4ポイントから縮み、労働時間の見かけの差を生む分も小さくなった。

群馬の就業形態別の労働時間とパート比率を、取れる6年分すべて並べる。

年群馬 一般(時間/月)群馬 パート(時間/月)群馬 パート比率全国 パート比率
令和2年162.987.730.7%31.13%
令和3年164.986.128.8%31.28%
令和4年165.186.629.0%31.60%
令和5年165.488.227.1%32.24%
令和6年162.884.627.4%30.86%
令和7年160.983.330.2%31.31%

月間総実労働時間の年平均。令和6年の全国のパート比率は、2024年1月のベンチマーク更新をはさむため前年とは比べられない。令和7年の群馬は県の年平均結果(第7表)による。

この数字をどう読むか

ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。

前回の記事の読み方を、ここで補正する

労働時間の記事で示した137.6時間と135.1時間は、どちらも公表値であり誤りではない。ただし、そこから「群馬は全国より長く働いている」と読むと、約4割は労働者の構成の違いを見ていることになる。

あの記事では、2.5時間の差のうち2.33時間が出勤日数の差から来ていると書いた。これも就業形態計の中での分解であり、今回の構成と水準の分解とは切り口が違う。両方とも成立する。2024年は構成の違いのほうが大きかったが、2025年は各形態の中の差のほうが大きい。

都道府県の平均労働時間を比べるときは、パート比率をあわせて見る必要がある。労働時間が長い県は、働き方が厳しい県ではなく、パートが少ない県かもしれない。

同じ「範囲の違い」は労働災害の記事にもある。群馬の度数率1.68は全国2.14を下回るのに、労災給付は11.8%多い。調べている範囲が違うためである。

同じ県内で、時間あたり賃金は2倍違う

全国の数値で、就業形態別の時間あたり賃金を出しておく。現金給与総額を総実労働時間で割ると、一般労働者は2,903円、パートタイム労働者は1,448円。2.00倍の差がある(2025年)。

労働時間の記事で、群馬の時間あたり賃金が2,361円で47都道府県中22位だと示した。あの数字も就業形態計である。県ごとの時間あたり賃金の差より、同じ県内の就業形態の差のほうがはるかに大きい。都道府県の順位を見るときに、この点は押さえておきたい。

ただし群馬県の就業形態別の給与額は公表されていないため、群馬でこの2倍の差がどうなっているかは確かめられない。

パート比率の低さは、採用のしやすさとは別の話である

群馬のパート比率が全国より低いことは、良いことにも悪いことにも読める。フルタイムの職が多いとも読めるし、短時間で働く選択肢が少ないとも読める。この調査からはどちらか判定できない。

有効求人倍率の記事で、前橋の有効求人倍率が2025年の12か月すべてで県平均を下回り、その差は業種構成ではなく求人の総量から来ていることを示した。子育ての記事では、保育の定員が1,412人分空いていて待機児童が0人であることも見た。

短時間で働きたい人にとって、受け皿があるかどうか。保育の枠は空いていて、パートの比率は全国より低い。この2つをつなげて論じるには、求人側を就業形態別で見る必要がある。今回の数字だけでは、そこまで言えない。

求人と賃金と働き方をまとめて見るなら、前橋で働くのページがある。20〜24歳の非正規比率は全国より11.1ポイント低く、年収差も年28.6万円にとどまる。

このデータの限界

  • この調査に市区町村別の集計はない。前橋市単独の数値は分からない。
  • 群馬県の就業形態別の給与額は公表されていない。この記事の時間あたり賃金は全国の数値である。
  • 要因分解に使った136.60時間は、群馬の労働時間を全国のパート比率で加重した仮想値であり、当サイトが算出したものである。公表値ではない。
  • 分解の順序を入れ替えると、構成効果と水準効果の内訳はわずかに変わる。4割という数値は目安である。
  • 群馬県の令和7年確報(就業形態別の第20〜24表)はまだ公表されていない。そのため就業形態別の所定外労働時間と出勤日数は2024年の値のまま据え置き、2025年の一般・パートの総実労働時間とパート比率は県の年平均結果(第7表)から取った。
  • 令和6年の全国のパート比率には、2024年1月のベンチマーク更新による断層がある。前年との比較はできない。
  • パートタイム労働者の定義は所定労働時間・所定労働日数によるもので、雇用契約上の呼称とは一致しない。
  • 産業構成の違いは考慮していない。パート比率の差の一部は、産業構成の差から生じている可能性がある。

よくある誤解

「群馬は全国より長時間労働だ」

就業形態計では月2.5時間長いのが事実です(2025年平均)。ただし一般労働者だけを比べると0.4時間差にとどまります。差の約4割はパート比率が低いことによるもので、残る6割は各形態の中で群馬のほうが長いことによります。

「パート比率が低いのは良いことだ」

評価は分かれます。フルタイムの職が多いとも、短時間で働く選択肢が少ないとも読めます。この調査からはどちらか判定できません。

「都道府県の労働時間ランキングで働き方が分かる」

順位の相当部分がパート比率の違いで説明されます。ランキングを見るときは、就業形態別の数値もあわせて確認する必要があります。

Q&A

パートタイム労働者の定義は何ですか

毎月勤労統計調査では、1日の所定労働時間が一般の労働者より短い者、または1日の所定労働時間が同じでも1週間の所定労働日数が少ない者を指します。雇用契約上の呼称や社会保険の加入状況とは一致しません。労働条件や待遇についての相談は、群馬労働局の総合労働相談コーナーで受け付けています。

なぜ群馬の給与が就業形態別に出ていないのですか

群馬県が公表している年報に、就業形態別の給与額の表がないためです。労働時間・所定外労働時間・出勤日数・労働者数は就業形態別に公表されていますが、給与額の表は産業別と性別の区分のみです。

ベンチマーク更新とは何ですか

母集団労働者数の情報を最新の経済センサスなどに基づいて更新することです。更新の前後で数値に不連続が生じるため、前年との比較ができなくなります。毎月勤労統計調査では2024年1月に実施されました。

前橋市のパート比率は分かりますか

この調査では分かりません。市区町村単位でパート比率を見るには、国勢調査や就業構造基本調査など別の統計を使う必要があります。稿を改めて扱えるか検討します。

次の更新はいつですか

毎月勤労統計調査は毎月公表されており、年平均の結果は翌年の春ごろに確報として出ます。この記事は年平均で追う予定です。

群馬のパートタイム労働者の労働時間はどれくらいですか

2025年平均の月間総実労働時間は83.3時間で、全国の79.1時間より4.2時間長くなっています。出勤日数は2024年で群馬14.4日、全国13.7日で、差は日数から来ています。

群馬のパート比率は全国より低いのですか

低くなっています。2025年のパートタイム労働者比率は群馬30.2%、全国31.3%で、差は1.1ポイントです。2024年は27.4%と30.9%で3.4ポイント差でした。群馬は令和2年の30.7%から5年で0.5ポイント下がっています。

出典

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㉘就業形態別の労働時間と労働者数
群馬県2020〜2025年・全国2024〜2025年
厚生労働省「毎月勤労統計調査」地方調査 群馬県 令和6年確報・令和7年年平均結果/全国調査 令和6年・令和7年分結果確報CSVを保存

更新履歴

  • 2026年9月24日 最新の統計に更新(結論を見直し)
  • 2026年9月24日 冒頭の段落を追加
  • 2026年9月24日 Q&Aと内部リンク、表を追加
  • 2026年9月3日 公開