群馬の労働時間は月137.6時間|長いのは出勤日数【2025年平均】

地方は暮らしがゆっくりしている、という言い方がある。通勤が短く、残業も少なく、時間に追われない。都会と比べたときの地方の利点として、よく挙げられる。

群馬の労働時間の数字は、その通りにはなっていない。群馬は全国平均より長く働いている。しかも長いのは残業ではない。

この記事では、毎月勤労統計調査の47都道府県のデータを使って、群馬がどれだけ働き、時間あたりでいくら受け取っているかを見る。

群馬県の月間総実労働時間は137.6時間(2025年平均)。全国135.1時間より2.5時間長く、47都道府県では長いほうから20位で、東京と同じ時間である。

長いのは残業ではない。所定外労働時間は9.8時間で全国9.8時間と同じ。差の大半は出勤日数(月17.7日、全国17.4日)から来ている。

現金給与総額を総実労働時間で割ると、群馬は2,361円。全国2,635円より10.4%低いが、47都道府県では22位で中央値より上にある。

対象範囲

厚生労働省「毎月勤労統計調査」による。都道府県別の数値は地方調査の令和7年平均分結果概要(表1)、全国の数値は全国調査の令和7年分結果確報から取った。いずれも2025年の年平均である。2024年の値は同じ手順で作り直し、以前の版のCSVと一致することを確かめた。

対象は事業所規模5人以上、調査産業計、就業形態計。就業形態計にはパートタイム労働者が含まれる。地方調査は各都道府県が集計・公表したものを厚生労働省が取りまとめたもので、群馬県分は群馬県統計情報提供システムの公表値と一致することを確認している。

時間あたり賃金は、現金給与総額を月間総実労働時間で割って当サイトが算出した。同一調査・同一対象の数値どうしの割り算である。

この調査に市区町村別の集計はない。以下はすべて群馬県の数値であり、前橋市単独の数値ではない。

長いのは残業ではなく、休みが少ない

群馬県の月間総実労働時間は137.6時間。全国の135.1時間より2.5時間長い(厚生労働省「毎月勤労統計調査」2025年平均)。47都道府県では、長いほうから20位である。2024年は141.4時間で13位だった。

最も長いのは青森の146.3時間、次いで山形145.2時間、香川142.4時間。最も短いのは奈良の125.0時間だった。

この2.5時間の差がどこから来ているかを分けると、内訳がはっきりする。所定外労働時間は群馬9.8時間、全国9.8時間で、差はない。残業が長いから労働時間が長いのではない。

差は全部が所定内労働時間である。群馬127.8時間に対して全国125.3時間で、2.5時間の差がある。そしてその所定内の差は、1日の長さではなく日数から来ている。群馬の月間出勤日数は17.7日、全国は17.4日。1日あたりの労働時間で見ると群馬7.77時間、全国7.76時間で、差は0.6分にすぎない。

月2.5時間の差のうち、出勤日数の差による分が2.33時間、1日の長さの差による分が0.17時間。9割が日数の差である。

時間あたりに直すと、賃金差は月額より大きくなる

群馬県の現金給与総額は月324,912円。全国の355,941円より31,029円、率にして8.7%低い(同調査)。

ここに労働時間を織り込む。現金給与総額を総実労働時間で割ると、群馬は2,361.3円、全国は2,634.6円になる。差は273.3円、率にして10.4%である。月額で見たときの8.7%より、差が1.7ポイント広がった。

ただし、これを「群馬は他県より時間あたりが低い」と読むと間違える。47都道府県で並べると、群馬の2,361.3円は高いほうから22位で、中央値(24位の山口2,348.1円)よりわずかに上にある。

都道府県別の月間総実労働時間と時間あたり賃金の散布図。群馬は137.6時間・2,361円、東京は137.6時間・3,336円、埼玉は131.9時間・2,425円(2025年平均)
都道府県別の月間総実労働時間と時間あたり賃金(2025年平均)
月間総実労働時間 137.6時間 全国135.1時間。長いほうから20位
所定外労働時間 9.8時間 全国9.8時間と同じ
時間あたり賃金 2,361円 全国2,635円。順位では22位

時間あたり賃金が最も高いのは東京の3,336.3円で、2位の神奈川2,836.6円を大きく引き離している。最も低いのは青森の1,941.6円だった。

全国と関東の1都6県を並べる(2025年平均)。47都道府県の全件はCSVに収録している。

地域総実労働時間(時間/月)出勤日数(日/月)時間あたり賃金(円)順位(時間/賃金)
全国135.117.42,634.6–
茨城138.717.72,495.217位 / 11位
栃木138.817.72,452.116位 / 12位
群馬137.617.72,361.320位 / 22位
埼玉131.917.02,424.642位 / 14位
千葉126.816.82,514.846位 / 8位
東京137.617.23,336.320位 / 1位
神奈川127.016.42,836.645位 / 2位

時間あたり賃金は現金給与総額を総実労働時間で割った当サイトの算出値。順位は47都道府県で、時間は長い順、賃金は高い順である。

この数字をどう読むか

ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。

「全国平均との差」は、実質的に東京との差である

群馬は全国平均より10.4%低いのに、47都道府県では22位で中央値より上にある。この二つは矛盾していない。全国平均が、東京という外れ値によって引き上げられているからである。

東京の3,336.3円は、2位の神奈川より500円高い。神奈川から最下位の青森まで895円の幅しかない中で、1位と2位の間だけに500円がある。全国平均2,635円は、この東京を含んだ数字である。

前橋・群馬の賃金の記事で、群馬と東京の年収差が年齢とともに開くことを示した。今回の数字は、その差が労働時間を織り込むとさらに広がることを示している。月額の差は、時間あたりで見ると必ず拡大する。群馬のほうが長く働いているからである。

埼玉との差は、年9日分ある

年間総実労働時間の比較(2025年平均)。群馬1,651.2時間、東京1,651.2時間、全国1,621.2時間、埼玉1,582.8時間
年間総実労働時間の比較(2025年平均、月間値を12倍して算出)

月間値を12倍すると、群馬は年1,651.2時間、埼玉は1,582.8時間。68.4時間の差がある。群馬の1日あたり労働時間7.77時間で割ると、約9日分になる。2024年は123.6時間、約16日分だった。

そして埼玉の時間あたり賃金は2,424.6円で、群馬の2,361.3円より高い。埼玉は群馬より短く働いて、時間あたりでは多く受け取っている。

労働災害の記事で、群馬の度数率1.68が47都道府県中37位=災害が少ない側にある一方、労災給付は労働者1,000人当たり72.7件で全国65.0件より11.8%多いことを示した。

前橋の生活コストの記事で、群馬の物価が全国最低であることを示した。物価の安さは可処分所得の面では利点になる。ただし、その計算に時間は入っていない。年9日分の差は、金額には表れない。

働き方の記事では、前橋の通勤30分未満が61.5%で全国50.4%を11.1ポイント上回る一方、テレワークの実施率は11.4%で全国18.9%の0.60倍であることを示した。

東京は、短く働いて多く稼いでいるわけではない

散布図で東京の位置を見ると、意外なことが分かる。東京の総実労働時間は137.6時間で、47都道府県中20位。群馬と同じ137.6時間である。

労働時間が短いのは、むしろ首都圏の周辺県である。埼玉131.9時間、千葉126.8時間、神奈川127.0時間。東京はこれらより6〜11時間長い。東京に通勤する人が多い県ほど、その県の事業所での労働時間は短いという構図である。

前橋の通勤流動の記事で、前橋の昼夜間人口比率が104.0で、流入は高崎と同じだが流出が違うことを示した。この調査は事業所の所在地で集計されるため、どこに住んでいるかではなく、どこで働いているかの数字である。

つまり「東京は忙しい」という印象は、通勤時間まで含めた生活の話であって、事業所で働いている時間の話ではない。働いている時間だけを比べれば、群馬と東京はほとんど変わらない。

このデータの限界

  • この調査に市区町村別の集計はない。前橋市単独の労働時間は分からない。
  • 就業形態計にはパートタイム労働者が含まれる。パートタイム労働者比率が県によって異なるため、比率が高い県ほど平均労働時間は短く、時間あたり賃金も低く出る。この点は就業形態別の記事で分解した。2025年は2.5時間の差の4割がパート比率の違いによるものだった。
  • 時間あたり賃金は当サイトが現金給与総額を総実労働時間で割って算出した値である。公表されている数値ではない。
  • 現金給与総額には賞与などの特別に支払われた給与が含まれる。支給月が偏るため、月額を年平均で見ている点に注意が要る。
  • 事業所の所在地による集計である。県境をまたいで通勤している人は、勤務先の県に計上される。
  • 標本調査であり、抽出替えの際に数値が改訂されることがある。
  • 賃金の記事で使った賃金構造基本統計調査とは、別の調査である。対象も定義も異なるため、両者の数値を直接つなげることはできない。

よくある誤解

「地方は残業が少ない」

群馬の所定外労働時間は9.8時間で、全国の9.8時間と同じである。群馬の労働時間が長いのは残業のためではなく、出勤日数が多いためだった。残業の多寡と、働く時間の総量は別の話である。

「群馬は時間あたり賃金が低い」

全国平均と比べれば10.4%低い。ただし47都道府県で並べると22位で、中央値よりわずかに上にある。全国平均は東京を含んだ数値であり、典型的な都道府県の姿ではない。

「都会は効率よく短時間で稼いでいる」

東京の総実労働時間は137.6時間で、47都道府県中20位(群馬と同じ)。短いほうではない。短いのは埼玉・千葉・神奈川といった周辺県である。東京は長く働いて、時間あたりでも高い。

Q&A

なぜ前橋市の数値がないのですか

毎月勤労統計調査の集計単位が都道府県までだからです。地方調査は各都道府県が実施していますが、市区町村別の内訳は公表されていません。市区町村単位で労働時間を見られる公的統計は、現時点ではありません。

パートタイム労働者を除いた数値はありますか

あります。群馬県の年報には就業形態別(一般労働者・パートタイム労働者)の表があります。この記事では全国との比較をそろえるため、就業形態計の数値を使いました。就業形態別の比較は、別の記事で扱う予定です。

出勤日数が多いのはなぜですか

この調査からは理由が分かりません。分かるのは、群馬の月間出勤日数が17.7日で全国の17.4日より多いという事実だけです。産業構成の違い、週休二日制の普及度、パートタイム労働者比率など、複数の要因が考えられますが、どれがどれだけ効いているかを、この調査から切り分けることはできません。

時間あたり賃金は自分で計算していい数値ですか

同一調査・同一対象の数値どうしなので、割り算そのものは成立します。ただし公表値ではないため、他の資料の「時給」と比べるときは定義を確認してください。とくに現金給与総額には賞与が含まれるため、時給として支払われている金額とは意味が異なります。群馬県の最低賃金は、群馬労働局の最低賃金・家内労働関係のページで確認できます。

次の更新はいつですか

毎月勤労統計調査は毎月公表されており、年平均の結果は翌年の春ごろに確報として出ます。この記事は年平均で追う予定です。

労働時間が最も長い都道府県はどこですか

2025年平均の月間総実労働時間は、青森の146.3時間が最も長く、山形145.2時間、香川142.4時間と続きます。最も短いのは奈良の125.0時間です。群馬は137.6時間で、長いほうから20位です。

群馬の残業時間は全国より長いですか

同じです。所定外労働時間は群馬9.8時間、全国9.8時間です(2025年平均)。総実労働時間の差2.5時間のうち、出勤日数の差による分が2.33時間を占めます。

出典

  • 厚生労働省「毎月勤労統計調査」地方調査 令和7年平均分結果概要 表1(事業所規模5人以上・調査産業計)/結果の概要
  • 厚生労働省「毎月勤労統計調査」全国調査 令和7年分結果確報 第1表・第2表/公表ページ
  • 群馬県「毎月勤労統計調査 地方調査結果 令和7年」(県公表値との照合に使用)/群馬県統計情報提供システム

データダウンロード

本記事で使用したデータは、CSVでご自由にダウンロードいただけます。ライセンスはCC BY 4.0です。

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㉔47都道府県の労働時間・出勤日数・時間あたり賃金
(2025年平均)
厚生労働省「毎月勤労統計調査」地方調査 令和7年平均分結果概要 表1/全国調査 令和7年分結果確報CSVを保存

更新履歴

  • 2026年9月24日 最新の統計に更新(結論を見直し)
  • 2026年9月24日 Q&Aと内部リンク、表を追加
  • 2026年9月22日 公式窓口へのリンクを追加
  • 2026年9月2日 公開