前橋と高崎の事業所数の差は、わずか1.1倍でした。
それなのに求人は1.4倍の開きがあります。この差はどこから来るのか。
結論
前橋市の民営事業所数は14,913、高崎市は16,497で、その差は1.11倍だった。従業者数も1.10倍にとどまる。
一方、2025年の求人数は高崎が前橋の1.43倍。事業所と雇用の規模の差では説明がつかない。
ただし1km²当たりの事業所数は前橋47.9、高崎35.9で、集積の密度は前橋が上回る。
対象範囲
事業所数と従業者数は、総務省「令和3年経済センサス-活動調査」の確報値を使用しました。
調査期日は2021年6月1日、公表は2023年6月27日です。
本記事で扱うのは民営事業所で、事業内容等不詳を除いた数値です。
国および地方公共団体の事業所は含みません。
求人数は、求人の記事で使用した群馬労働局「労働市場月報」令和7年1月分から12月分の年計です。
この2つは範囲が一致しません。事業所は市の行政区域、求人は公共職業安定所の管轄区域です。
また調査年も2021年と2025年で4年の差があります。
厳密な比較ではないことを前提に読んでください。
事業所数と従業者数
| 項目 | 前橋市 | 高崎市 | 高崎÷前橋 |
|---|---|---|---|
| 民営事業所数 | 14,913 | 16,497 | 1.11倍 |
| 民営従業者数 | 162,431人 | 177,890人 | 1.10倍 |
| 1km²当たり事業所数 | 47.9 | 35.9 | 0.75倍 |
| 1km²当たり従業者数 | 521.3人 | 387.4人 | 0.74倍 |
事業所数は高崎が1,584多く、比率にすると1.11倍です。
従業者数の差は15,459人で、1.10倍でした。
一方、1km²当たりで見ると逆転します。
事業所数は前橋47.9に対し高崎35.9、従業者数は前橋521.3人に対し高崎387.4人です。前橋で起業を考える人向けの支援は、前橋市の創業・起業したい方へのページにまとまっています。資金と経営の両面の支援は、【資金面・経営面の伴走型支援】前橋市創業サポート総合制度で確認できます。
求人の差と比べる

| 項目 | 高崎÷前橋 | 調査年 |
|---|---|---|
| 民営事業所数 | 1.11倍 | 2021年 |
| 民営従業者数 | 1.10倍 | 2021年 |
| 年間新規求人数 | 1.43倍 | 2025年 |
| 月間有効求人数 | 1.43倍 | 2025年 |
事業所と従業者は1.1倍、求人は1.4倍。
この0.33ポイントの開きが本記事の論点です。
従業者1人あたりの年間新規求人数を計算すると、前橋は14.0%、高崎は18.4%でした。
高崎は前橋の1.31倍の頻度で求人を出していることになります。
この数字をどう読むか
ここからは解釈です。
求人記事で「差は業種構成ではなく求人の総量」と書きました。
本記事はその総量が、事業所の数から来ているのではないことを示しています。
企業の数も働く人の数もほぼ同じで、出される求人だけが多い。
考えられる説明はいくつかあります。
高崎の事業所のほうが離職や入れ替わりが多く、補充のための求人が繰り返し出ている可能性。
あるいは支店や営業所の比率が高く、本社機能を持つ事業所が少ないぶん採用の判断が現場で完結している可能性。
いずれも本記事のデータでは確かめられません。
密度の逆転についても触れておきます。
1km²当たりでは前橋のほうが事業所も従業者も多い。
高崎の市域が広く、事業所が分散していることを意味します。
集積の度合いだけを見れば前橋が上回っており、「高崎に企業が集まっている」という理解は、総数と密度のどちらを見るかで変わります。
ただし、求人を出す側の事情は事業所の数や密度からは読み取れません。
本記事が示せたのは、差の原因が事業所数ではないという消去法までです。
その後、事業所の中身を扱った記事をいくつか書きました。
事業所の規模と新陳代謝の記事では、前橋の14,913事業所のうち従業者100人以上が188所・1.26%で、そこで働く人が28.7%を占めることを示しています。規模の構成比は前橋・高崎・全国でほとんど変わりませんでした。
同じ記事で、5年間の新設率が20.9%で全国23.3%を2.4ポイント下回る一方、廃業率26.4%は全国27.4%より低いことも分かりました。事業所が減っているのは、なくなるからではなく、新しく始まらないからです。
密度については建築物の記事と地価の記事も参考になります。非居住用の着工は1人当たり0.299㎡で太田1.071㎡の28%、商業地の地価は高崎の51%でした。
これらを横断した整理は5つの構造の記事にあります。
このデータの限界
- 事業所データは2021年、求人データは2025年で、4年の差があります。この間に事業所数が変動していれば、比率も変わります。
- 事業所は市の行政区域、求人は安定所の管轄区域で、範囲が一致しません。前橋安定所の管内は前橋市より広く、求人数には市外の事業所の求人も含まれます。
- 経済センサスは5年ごとの調査です。令和6年調査の結果が公表されれば、より新しい数値で検証できます。
- 本記事で扱うのは民営事業所で、事業内容等不詳を除いた数値です。国および地方公共団体の事業所は含みません。
- 調査期日は2021年6月1日、公表は2023年6月27日です。調査から公表まで2年の間があります。
- 1事業所当たりの求人数や面積当たりの密度は当サイトが算出した値で、公表値ではありません。
よくある誤解
「求人が多い=企業が多い」
とは限りません。本記事の数字は、企業の数がほぼ同じでも求人数に4割の差がつくことを示しています。
「事業所数が多い=集積している」
面積を考慮しなければ成立しません。同じ面積当たりで見ると、前橋のほうが密度が高くなります。
「高崎のほうが企業が多いから求人も多い」
企業の数の差は1.1倍にとどまります。それでも求人数には1.4倍の差がつきます。
Q&A
なぜ2021年のデータなのですか
経済センサス-活動調査は5年ごとの調査で、本記事の執筆時点で確報値が公表されている最新のものが令和3年(2021年)調査だからです。
産業別の内訳はありますか
本記事では扱っていません。
前橋の産業別の求人構成は求人の記事で扱っています。
国や自治体の事業所は含まれますか
含みません。本記事の数値は民営事業所のみです。
国および地方公共団体を含む総数は、前橋市15,235事業所、高崎市16,870事業所です。
出典
- 総務省「令和3年経済センサス-活動調査」事業所に関する集計 産業横断的集計 表1-1(2021年6月1日現在)
- 群馬労働局「労働市場月報」令和7年1月分〜12月分
データダウンロード
本記事で使用したデータは、CSVでご自由にダウンロードいただけます。ライセンスはCC BY 4.0です。
| No | データ名 | 出典 | ダウンロード |
|---|---|---|---|
| ⑬ | 前橋市・高崎市の事業所数と従業者数 (2021年) | 総務省「令和3年経済センサス-活動調査」表1-1 | CSVを保存 |
更新履歴
2026年9月22日 公式ページへのリンクを追加
2026年9月21日 限界と誤解を整理
2026年8月26日 公開
