前橋市の着工床面積は2025年に263,456㎡。2011年の361,906㎡から15年で27.2%減った。年別の着工床面積と建築物の数を、取れる15年分すべて表で示した。
設備投資の記事で、前橋の設備投資が売上比2.06%で5市中最下位であることを示した。地価の記事では、商業地だけが高崎と2倍近い差があることも見た。
では、建物は建っているのか。
前橋市の着工床面積は、15年で27.2%減った。5年平均でも41.1万㎡から28.7万㎡へ。
1人当たりで見ると、居住用は高崎の0.82倍。ところが非居住用は太田の0.28倍である。
新設住宅では持家が47.2%で全国29.1%の1.62倍。貸家は0.64倍にとどまる。
対象範囲
国土交通省「建築着工統計調査」による。統計表IDは0004019181(2020〜2024年)、0003114492(2011〜2019年)、0003114541(新設住宅)を使った。2025年は年計の表(第7表-2 市区町村別・用途別、第15表 利用関係別)から取り、2024年の値がデータベースと一致することを確かめた。2つの表の用途19区分はコード・名称とも一致しており、接続できる。
着工は年による振れが大きい。大型の建物が1棟建つだけで、その年の数字は跳ね上がる。この記事では5年平均も併せて見る。
1人当たりの値は当サイトが算出した。市区町村別の2025年人口が公表されていないため、2020年国勢調査の人口で割っている。
ストックは総務省「固定資産の価格等の概要調書」令和6年度による。課税客体のみが対象で、国や自治体の庁舎、学校などの非課税の家屋は含まれない。
着工は「その年に建て始めた量」であり、建物の総量ではない。取り壊しは含まれない。
15年で27.2%減った
まず全体の量を見る。

2011年の361,906㎡から2025年の263,456㎡へ。27.2%減である。2024年の246,485㎡からは6.9%増えた。
年ごとの振れは大きい。2013年は504,899㎡、2015年は478,288㎡と跳ねている。ただし5年平均で見ても、2011〜2015年の41.1万㎡から2021〜2025年の28.7万㎡へ30.2%減っている。
2020年以降で32万㎡を超えたのは、2020年の323,894㎡と2021年の325,724㎡だけである。2022年以降はいずれも32万㎡を下回っている。水準そのものが下がっている。
前橋市の着工を、取れる15年分すべて並べる。
| 年 | 床面積(㎡) | 建築物の数(棟) |
|---|---|---|
| 2011年 | 361,906 | 1,977 |
| 2012年 | 349,830 | 1,992 |
| 2013年 | 504,899 | 2,505 |
| 2014年 | 359,580 | 2,263 |
| 2015年 | 478,288 | 2,347 |
| 2016年 | 447,439 | 2,300 |
| 2017年 | 418,365 | 2,177 |
| 2018年 | 405,116 | 2,317 |
| 2019年 | 377,939 | 2,177 |
| 2020年 | 323,894 | 1,826 |
| 2021年 | 325,724 | 1,933 |
| 2022年 | 310,371 | 1,776 |
| 2023年 | 288,648 | 1,688 |
| 2024年 | 246,485 | 1,664 |
| 2025年 | 263,456 | 1,590 |
居住用と非居住用を合わせた数である。
居住用は近い。開くのは非居住用
用途で分けて、人口で割る。

居住用は前橋0.565㎡、高崎0.688㎡、太田0.616㎡、伊勢崎0.619㎡(2021〜2025年の年平均)。4市に大きな差はない。
ところが非居住用は太田1.071㎡に対し前橋0.299㎡。3.58倍の開きがある。高崎0.369㎡、伊勢崎0.552㎡も前橋を上回る。
全体では前橋0.864㎡で5市中4位。順位を押し下げているのは非居住用である。
推移で見ると、前橋の居住用の比率は5年平均で60.5%(2011〜2015年)から65.4%(2021〜2025年)へ上がった。非居住用が39.5%から34.6%へ下がったということである。太田は逆に非居住用の比率が51.7%から63.5%へ上がっている。
持家が全国の1.62倍
住宅の中身を見る。

前橋市の新設住宅9,304戸(2021〜2025年)の内訳は、持家47.2%、貸家26.5%、分譲25.7%。
全国は持家29.1%、貸家41.2%、分譲29.0%。前橋の持家は全国の1.62倍、貸家は0.64倍である。
県内では桐生60.8%が最も高く、高崎40.6%が最も低い。前橋47.2%は真ん中である。
ただし前橋でも変化はある。2011〜2015年は持家52.0%・貸家33.2%・分譲14.6%だった。分譲が14.6%から25.7%へ増えている。
着工の6割は居住専用住宅
2025年の着工を用途別に見ると、最も多いのは居住専用住宅で156,059㎡、全体の59.2%である(当サイトが算出)。2024年の72.1%から下がった。
2番目は製造業用建築物の30,901㎡(11.7%)で、2024年の13,572㎡から2.3倍になった。次いで運輸業用建築物の22,019㎡である。
棟数では居住専用住宅が1,369棟で最も多い。
2025年の前橋市の着工を、床面積の多い順に用途別で並べる。
| 用途 | 床面積 | 棟数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 居住専用住宅 | 156,059 | 1,369 | 59.2% |
| 製造業用建築物 | 30,901 | 17 | 11.7% |
| 運輸業用建築物 | 22,019 | 8 | 8.4% |
| 卸売業,小売業用建築物 | 11,648 | 33 | 4.4% |
| 医療,福祉用建築物 | 9,534 | 23 | 3.6% |
| その他のサービス業用建築物 | 7,526 | 28 | 2.9% |
| 教育,学習支援業用建築物 | 5,120 | 11 | 1.9% |
| 居住専用準住宅 | 4,563 | 12 | 1.7% |
| 情報通信業用建築物 | 3,685 | 3 | 1.4% |
| 鉱業,採石業,砂利採取業,建設業用建築物 | 2,232 | 13 | 0.8% |
| 金融業,保険業用建築物 | 2,164 | 4 | 0.8% |
| 農林水産業用建築物 | 1,903 | 15 | 0.7% |
| 不動産業用建築物 | 1,569 | 15 | 0.6% |
| 公務用建築物 | 1,539 | 11 | 0.6% |
| 居住産業併用建築物 | 1,139 | 9 | 0.4% |
| 宿泊業,飲食サービス業用建築物 | 957 | 6 | 0.4% |
| 他に分類されない建築物 | 575 | 11 | 0.2% |
| 電気・ガス・熱供給・水道業用建築物 | 323 | 2 | 0.1% |
単位は㎡と棟。割合は当サイトが算出した。出典は国土交通省「建築着工統計調査」令和7年計。2025年の表は、1つの工事に複数の用途があるとき床面積の割合で振り分けて計上している。
この数字をどう読むか
ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。
3つの数字が同じ方向を指している
非居住用の着工が1人当たり0.299㎡で太田の28%。これは単独の数字ではない。
設備投資の記事で、売上に占める設備投資が2.06%で5市中最下位であることを示した。事業所の記事では、新設率20.9%が全国23.3%を2.4ポイント下回っていた。
設備、事業所、建物。3つとも事業用の投資が少ないことを示している。
ただし3つは別々の統計で、同じ現象を3回数えているわけではない。因果の向きも、この記事では確かめられない。
太田との違い
太田の非居住用1.071㎡は、居住用0.616㎡の1.74倍。事業用のほうが多く建っている。
外国人の記事で、太田の外国人比率7.04%が前橋3.15%の2.2倍であることを示した。産業構造の記事では、外国人就業者の56.8%が製造業だった。
製造業が厚い市では、工場が建つ。着工の用途別では、前橋の製造業用は2025年に17棟・30,901㎡だった(2024年は13棟・13,572㎡)。
ただし着工統計から、建てた企業がどこの会社かは分からない。市外の企業が進出したのか、既存企業が増設したのかも区別できない。
持家が多いことの一貫性
新設住宅の持家47.2%は全国の1.62倍。これは他の記事とも整合する。
持ち家の記事で、前橋の持ち家率68.6%が全国60.9%を上回り、2008年から5.9ポイント上がったことを示した。全国は0.3ポイント下がっている。
地価の記事では、住宅地が高崎の88%で、家賃も1.08倍の差だった。住まいの記事では持ち家が借家の2.54倍の広さだった。
土地が安く、持家が建ち、持ち家率が上がる。この流れは一貫している。
ストックはまだ大きい
着工は減っているが、既存の建物は残る。前橋市の課税対象の家屋は169,274棟・25,638,194㎡である。
木造が126,082棟・13,867,768㎡で、床面積では54.1%。木造の79.6%が戸建形式住宅である。
非木造では工場・倉庫・市場が28.9%、事務所・店舗・百貨店が21.9%を占める。事業用の建物は、非木造として残っている。
ただしこの統計は課税客体のみである。庁舎や学校などの非課税の建物は含まれない。図書館の記事で18館という数を示したが、その床面積はここには入っていない。
このデータの限界
- 構成比、1人当たりの値、増減率は当サイトが算出したものである。公表値ではない。
- 着工は年による振れが大きい。大型の建物が1棟建つだけで数字が跳ねる。5年平均も併せて見る必要がある。
- 着工は「その年に建て始めた量」であり、建物の総量ではない。取り壊しは含まれない。
- 1人当たりの値は、市区町村別の2025年人口が公表されていないため、2020年国勢調査の人口で割っている。
- 2025年の用途別の値は、1つの工事に複数の用途があるとき床面積の割合で振り分けて計上されている。
- 固定資産の概要調書は課税客体のみが対象で、国や自治体の庁舎、学校などの非課税の家屋は含まれない。
- 着工統計から、建てた企業がどこの会社かは分からない。市外の企業の進出と既存企業の増設は区別できない。
- 建築物の築年数別のストックは、市区町村別では公表されていない。
- 非住宅建築物の耐震化率も市区町村別では取れない。
- 公共施設の延床面積は総務省の公共施設状況調にあるが、この記事では扱っていない。
- 建設工事施工統計の完成工事高は施工都道府県別までで、市区町村別は存在しない。
よくある誤解
「建物が減っている」
減っているのは着工の量です。新しく建て始める建物が15年で27.2%減りました。既存の建物は169,274棟・25,638,194㎡あり、これは別の数字です。
「人口が減っているから着工も減る」
1人当たりで見ても前橋は0.864㎡で5市中4位です(2021〜2025年の年平均)。とくに非居住用は0.299㎡で太田1.071㎡の28%にとどまります。人口で割っても差は残ります。
「地方は貸家が少ない」
前橋の貸家26.5%は全国41.2%より低いですが、高崎30.1%より低く桐生17.5%より高い、県内では真ん中です(2021〜2025年)。市によって差があります。
Q&A
非居住用とは何ですか
居住専用住宅と居住産業併用建築物を除いたものです。事務所、工場、店舗、倉庫、病院、学校などが含まれます。建築着工統計では用途19区分で公表されています。
着工とストックはどう違いますか
着工はその年に建て始めた量(フロー)、ストックは現時点で存在する建物の量です。着工が減っても、ストックはすぐには減りません。取り壊しの統計は別に必要です。
公共施設の床面積は分かりますか
総務省の公共施設状況調に市町村別のデータがありますが、この記事では扱っていません。固定資産の概要調書は課税客体のみで、庁舎や学校は含まれません。
どんな用途の建物が建っていますか
2025年の前橋市では、居住専用住宅1,369棟・156,059㎡が最も多く、次いで製造業用17棟・30,901㎡、運輸業用8棟・22,019㎡、卸売業・小売業用33棟・11,648㎡です。用途別の数値はCSVに収録しています。
次の更新はいつですか
建築着工統計調査は毎月公表され、年次の確定値は翌年に出ます。固定資産の価格等の概要調書は毎年度公表されます。
前橋市では1年にどれくらい建物が建っていますか
2025年の着工床面積は263,456㎡でした。2011年の361,906㎡から27.2%減っています。年による振れは大きく、2013年は504,899㎡、2015年は478,288㎡でした。
出典
- 国土交通省「建築着工統計調査」(統計表ID 0004019181、0003114492、0003114541、0004019180、0003114548、2025年は令和7年計の第6表・第7表・第15表)/e-Stat
- 総務省「固定資産の価格等の概要調書」令和6年度/総務省
- 総務省「令和2年国勢調査」
データダウンロード
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| No | データ名 | 出典 | ダウンロード |
|---|---|---|---|
| 66 | 県内5市の着工建築物と家屋のストック 2011〜2025年 | 国土交通省「建築着工統計調査」/総務省「固定資産の価格等の概要調書」 | CSVを保存 |
更新履歴
- 2026年9月24日 最新の統計に更新(結論を見直し)
- 2026年9月23日 「着工の7割は居住専用住宅」の節を追加
- 2026年9月23日 冒頭の段落を追加
- 2026年9月23日 Q&Aと内部リンク、表を追加
- 2026年9月13日 公開
