前橋市の持ち家率は68.6%で、全国60.9%を7.7ポイント上回り、15年で5.9ポイント上がった。住宅ローンの返済額は月37,805円で全国の1.16倍だが、可処分所得に占める割合は6.9%で全国6.8%とほぼ同じである。持ち家率の推移を表で示した。
貯蓄の記事で、群馬の負債保有率46.2%が全国1位であること、そして負債の85.7%が住宅・土地のためのものであることを示した。
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前橋市の持ち家率は68.6%。全国60.9%を7.7ポイント上回る。全国が微減するなかで、前橋だけが15年で5.9ポイント上がった。
住宅ローンの返済額は月37,805円で全国の1.16倍。ただし可処分所得に占める割合は6.9%で、全国6.8%とほぼ同じ。
負債に占める住宅・土地の割合は世帯の区分を変えると順序が入れ替わる。
対象範囲
持ち家率は総務省「住宅・土地統計調査」令和5年(2023年)による。持ち家率は、居住世帯のある住宅数に占める持ち家の割合として当サイトが算出した。公表値ではない。
この調査に住宅ローンの有無や返済額の設問はない。2013年・2018年・2023年の全統計表を検索したが該当しなかった。
返済額と負債は総務省「令和6年全国家計構造調査」による。市別は統計表ID 0004039797と0004056013、全国・都道府県は0004039817と0004056014を使った。調査期間は2024年10月・11月の2か月間で、年間を通した平均ではない。
世帯の区分に注意が要る。この調査には二人以上の世帯と総世帯、全世帯と勤労者世帯の区分がある。組み合わせによって数値が変わるため、この記事ではその都度どの区分かを明記する。
全国が下がるなかで、前橋だけ上がっている
前橋市の持ち家率は68.6%。全国60.9%を7.7ポイント上回る。
屋根が多いことは、別の数字にもつながる。太陽光発電の記事で、前橋の設置率6.55%が県内5市で4番目であることを示した。持ち家が多くても、設置率は高くない。

15年の動きが3者で違う。前橋は62.7%から68.6%へ5.9ポイント上昇。群馬県は70.5%から71.1%でほぼ横ばい。全国は61.2%から60.9%へ微減している。
全国との差は2008年の1.5ポイントから2023年の7.7ポイントへ広がった。
県内5市では桐生75.0%が最も高く、前橋68.6%は3位。太田68.1%、伊勢崎67.0%、高崎66.4%と続く。前橋は群馬県平均71.1%を下回る。
前橋市と群馬県・全国の持ち家率を、取れる4時点すべて並べる。
| 地域 | 2008年 | 2013年 | 2018年 | 2023年 | 15年の差(ポイント) |
|---|---|---|---|---|---|
| 前橋 | 62.7% | 66.4% | 67.8% | 68.6% | +5.9 |
| 群馬県 | 70.5% | 70.6% | 71.4% | 71.1% | +0.6 |
| 全国 | 61.2% | 61.9% | 61.2% | 60.9% | −0.3 |
持ち家率は居住世帯のある住宅数に占める持ち家の割合で、当サイトが算出した。
額は多い。ただし所得に対する重さは変わらない
住宅ローンの返済額を見る。二人以上の世帯・勤労者世帯の値である。

前橋市は月37,805円。群馬県34,839円、全国32,722円で、前橋は全国の1.16倍にあたる。
ところが可処分所得に占める割合で見ると、前橋6.9%、群馬7.1%、全国6.8%。3者にほとんど差がない。
無職世帯では返済額が大きく下がる。前橋2,430円、群馬971円、全国3,216円。可処分所得比では前橋1.0%である。
世帯の区分を変えると、順序が入れ替わる
負債に占める住宅・土地の割合を見る。貯蓄の記事で群馬県の85.7%を示したが、前橋市は違った。

全世帯で見ると、前橋79.8%に対し群馬85.7%。前橋のほうが5.9ポイント低い。全国は88.5%である。
ところが勤労者世帯に絞ると逆転する。前橋93.8%に対し群馬91.0%。前橋のほうが2.8ポイント高い。全国は92.8%で、前橋がこれも上回る。
原因は住宅・土地以外の負債にある。二人以上の世帯・全世帯で、前橋1,316千円に対し群馬541千円。前橋は2.43倍である。
この数字をどう読むか
ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。
「平均」を出す前に、区分を確かめる
負債に占める住宅・土地の割合は、全世帯では前橋79.8%<群馬85.7%、勤労者世帯では前橋93.8%>群馬91.0%。世帯の区分を変えると、順序が入れ替わる。
どちらも正しい数字である。全世帯には無職世帯が含まれ、勤労者世帯には含まれない。住宅ローンを返し終えた高齢世帯が多く入る区分では、住宅・土地の負債が相対的に小さく出る。
貯蓄の分布の記事で、平均1,542万円の裏で7割の世帯が平均に届かないことを示した。家計収支の記事では標本の少なさで平均が動く問題を扱った。
今回は3つ目である。同じ指標でも、どの世帯を数えるかで結論が変わる。
額の多さと、負担の重さは別のこと
返済額は全国の1.16倍。ただし可処分所得に占める割合は6.9%対6.8%でほぼ同じである。
生活コストの記事で群馬の物価が全国最低であることを、課税対象所得の記事で前橋が全国上位13.4%にあることを示した。所得が高ければ、同じ比率でも額は大きくなる。
返済額が多いことは、必ずしも家計が苦しいことを意味しない。ただし可処分所得比の6.9%は2か月間の調査にもとづく値で、年間の平均ではない。
持ち家率が上がった時期に何があったか
前橋の持ち家率は2008年から2013年にかけて3.7ポイント上がり、その後は緩やかになった。上昇の大部分はこの5年に集中している。
この時期は住宅ローン減税の拡充や低金利が続いた期間と重なる。ただし全国は同じ期間に0.7ポイントしか上がっていない。全国共通の要因だけでは説明がつかない。
空き家の記事で前橋の空き家率15.2%を示した。通勤先の記事では周辺自治体すべてから受け入れ超過であることも見た。ただし持ち家率が上がった理由は、この統計からは特定できない。
住宅以外の負債が厚い
住宅・土地以外の負債は前橋1,316千円、群馬541千円で2.43倍である。
交通事故の記事で、群馬の自動車保有台数が人口1人当たり0.97台であることを示した。家計収支の記事では自動車等維持費が全国の1.6倍だった。
自動車ローンが含まれている可能性はある。ただしこの統計に負債の用途別の内訳はない。何の負債かは分からない。
このデータの限界
- 持ち家率、可処分所得比、負債に占める割合は当サイトが算出したものである。公表値ではない。
- 住宅・土地統計調査に住宅ローンの有無や返済額の設問はない。ローンを組んでいる世帯の数や割合は分からない。
- 全国家計構造調査の調査期間は2024年10月・11月の2か月間である。年間を通した平均ではない。
- 世帯の区分によって数値が変わる。この記事では区分を明記したが、他の資料と比べる際は同じ区分かを確認する必要がある。
- 前橋市の二人以上の世帯・全世帯では、住宅・土地のための負債7,086千円と住宅・土地以外の負債1,316千円の合計が、金融負債残高8,882千円と一致しない。この統計の表章がそうなっている。
- 負債の用途別の内訳は、住宅・土地とそれ以外の2区分のみである。何の負債かは分からない。
- 前橋市の負債保有率は統計表に表章がなく取得できない。群馬県と全国のみである。
- 持ち家率が上がった理由は、この統計からは特定できない。
- フラット35利用者調査には都道府県別の集計があるが、市区町村別はない。この記事では扱っていない。
よくある誤解
「前橋は持ち家が多い」
全国60.9%と比べれば高いですが、群馬県71.1%は下回ります。県内5市では桐生75.0%、太田68.1%に次ぐ3位です。比較の相手によって評価が変わります。
「住宅ローンの負担が重い」
返済額は月37,805円で全国の1.16倍ですが、可処分所得に占める割合は6.9%で全国6.8%とほぼ同じです。額の多さと、所得に対する重さは別の話です。
「群馬の負債の85.7%は住宅ローン」
群馬県の二人以上の世帯・全世帯ではそのとおりです。ただし前橋市は79.8%で、勤労者世帯に絞ると前橋93.8%・群馬91.0%と逆転します。世帯の区分で数値が変わります。
Q&A
住宅ローンを組んでいる世帯の割合は分かりますか
市区町村別では分かりません。住宅・土地統計調査にローンの設問がないためです。群馬県の負債保有率(うち住宅・土地)は二人以上の世帯で31.0%、勤労者世帯で47.5%です。
「土地家屋借金返済」には何が含まれますか
住宅や土地の購入・建築のための借入金の返済額です。家賃は別の費目(住居費)に計上されます。返済のない世帯も分母に含まれるため、ローンを組んでいる世帯の実際の返済額はこれより大きくなります。
持ち家のうち一戸建てはどれくらいですか
住宅・土地統計調査の所有関係別・建て方別の表から取得できます。この記事では扱っていませんが、データはCSVに収録しています。
世帯の区分はどう使い分ければよいですか
勤労者世帯は世帯主が雇用されている世帯で、無職世帯や自営業世帯を含みません。現役世代の実態を見るなら勤労者世帯、地域全体を見るなら全世帯が適しています。比較する際は同じ区分かを確認してください。
次の更新はいつですか
住宅・土地統計調査は5年ごとで、次回は2028年です。全国家計構造調査も5年ごとで、次回は令和11年(2029年)となります。
前橋市の持ち家率は何%ですか
2023年は68.6%です。全国60.9%を7.7ポイント上回りますが、群馬県71.1%は下回ります。2008年の62.7%から15年で5.9ポイント上がりました。空き家のリフォーム補助など住まいに関する市の支援は、前橋市の移住・定住の支援メニューのページにまとまっています。
前橋の住宅ローンの返済額は月いくらですか
二人以上の世帯・勤労者世帯で月37,805円です。群馬県34,839円、全国32,722円を上回りますが、可処分所得に占める割合は6.9%で、全国6.8%とほぼ同じです。
出典
- 総務省「住宅・土地統計調査」令和5年(統計表ID 0004021628、0004021424、0004021431)、各年の同調査/e-Stat
- 総務省「令和6年全国家計構造調査」家計収支(統計表ID 0004039797、0004039817)、資産・負債(統計表ID 0004056013、0004056014)/e-Stat
データダウンロード
本記事で使用したデータは、CSVでご自由にダウンロードいただけます。ライセンスはCC BY 4.0です。
| No | データ名 | 出典 | ダウンロード |
|---|---|---|---|
| ㊾ | 県内5市の持ち家率と住宅ローンの返済額 2008〜2024年 | 総務省「住宅・土地統計調査」「全国家計構造調査」 | CSVを保存 |
更新履歴
- 2026年9月24日 冒頭の段落を追加
- 2026年9月24日 Q&Aと内部リンク、表を追加
- 2026年9月11日 公開
