群馬の貯蓄の中央値は767万円|平均1,542万円の半分【2024年】

群馬県の貯蓄は平均1,542万円に対し、中央値の推計は767万円で、平均のちょうど半分である。平均を下回る世帯は69.1%で、最も多いのは貯蓄25万円未満の世帯の10.7%。貯蓄現在高の階級別の構成比を、群馬県と全国で表に並べた。

貯蓄・負債の記事で、群馬県の1世帯当たり貯蓄現在高が1,542万円だと書いた。

この数字に納得した人は少ないと思う。あの記事のよくある誤解にも「平均1,542万円も貯蓄があるわけがない」という項目を置き、平均値なので少数の高額世帯に引き上げられます、と答えた。その先を数字で示していなかった。

同じ調査に、貯蓄現在高を19の階級に分けた世帯分布の表がある。これを見ると、平均という数字が何を隠しているかが分かる。

群馬県で最も多いのは貯蓄25万円未満の世帯で、全体の10.7%。19階級のなかで最多である。

平均1,542万円を下回る世帯は69.1%。約7割が平均に届いていない。

分布から推計した中央値は767万円。平均のちょうど半分にあたる。

対象範囲

総務省統計局「令和6年全国家計構造調査」家計資産・負債に関する結果による。都道府県別の階級別分布は表31-0、全国は表4-22-1から取った。2024年10月・11月に実施された調査で、結果は2026年8月28日に公表された。

対象は二人以上の世帯・全世帯・資産負債の種類は総数。単身世帯は含まない。貯蓄現在高は金融資産残高を指し、住宅・宅地などの実物資産は含まない。

中央値は公表されていない。この記事の767万円は、19階級の分布から線形補間で当サイトが推計した値である。階級のなかで世帯が一様に分布していると仮定しているため、実際の中央値とは差が出る。とくに「25万円未満」の階級が10.7%と大きいため、下位側の誤差が残る。平均を下回る世帯の割合も同じ方法による推計である。

平均1,542万円は公表値である。この調査に市区町村別の集計はない。

最も多いのは貯蓄25万円未満の世帯

群馬県の二人以上の世帯を、貯蓄現在高で19階級に分ける。最も多いのは25万円未満の階級で、全体の10.7%を占める(総務省統計局「令和6年全国家計構造調査」表31-0)。

群馬県の貯蓄現在高階級別の世帯構成比。25万円未満が10.7%で最多、2000〜3000万円が10.1%で次点。中央値の推計767万円、平均1,542万円
貯蓄現在高階級別の世帯構成比(群馬県・二人以上の世帯、2024年)
最も多い階級 25万円未満 全体の10.7%で19階級中の最多
平均を下回る世帯 69.1% 平均は1,542万円
中央値(推計) 767万円 平均のちょうど半分

次に多いのが2,000〜3,000万円の10.1%、その次が300〜450万円の8.7%である。分布は一つの山にならず、低い側と高い側の両方に固まりがある。

貯蓄300万円未満の世帯は30.6%。3世帯に1世帯近くがここに入る。一方で3,000万円以上の世帯も15.9%あり、1億円以上も1.4%いる。

貯蓄現在高の階級別の世帯構成比を、群馬県と全国で並べる(二人以上の世帯、2024年)。

貯蓄現在高群馬県全国
25万円未満10.7%10.6%
25~50万円1.7%2.0%
50~100万円3.5%3.5%
100~150万円5.1%4.2%
150~200万円3.1%2.5%
200~300万円6.5%5.7%
300~450万円8.7%8.2%
450~600万円5.5%6.5%
600~750万円4.6%5.6%
750~900万円5.2%4.4%
900~1200万円8.1%8.2%
1200~1500万円6.0%5.7%
1500~2000万円5.4%7.0%
2000~3000万円10.1%9.8%
3000~4000万円6.6%5.5%
4000~5000万円3.2%3.0%
5000~7500万円3.6%4.2%
7500~10000万円1.0%1.7%
10000万円以上1.4%1.9%

構成比は世帯数分布から求め、小数第2位を四捨五入した。平均は群馬県1,542万円、全国1,723万円である。

平均を下回る世帯が69.1%

この分布のなかで、平均1,542万円がどこに位置するかを見る。

1,542万円は1,500〜2,000万円の階級に入る。それより下に69.1%の世帯がいる。平均は上位3割の側にある数字だった。

分布から中央値を推計すると767万円になる。平均1,542万円のちょうど半分である。

平均と中央値の比較。群馬県は平均1,542万円に対し中央値の推計767万円、全国は平均1,723万円に対し中央値の推計793万円
貯蓄現在高の平均と中央値の推計(二人以上の世帯、2024年)

全国も同じ構図である。平均1,723万円に対し、中央値の推計は793万円。平均を下回る世帯は67.6%だった。平均が実感と合わないのは、群馬に限った話ではない。

群馬と全国を比べると、中央値の差は26万円しかない。平均では181万円の差があったので、差の大半は上位層で生まれている。

この数字をどう読むか

ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。

「平均」という言葉が、議論を狂わせる

貯蓄1,542万円という数字を見て、自分は平均以下だと感じた人が7割いる。統計としては正しい数字でも、多数派の実感からは離れている。

これは貯蓄に限らない。課税対象所得の記事で示した375万円も、賃金の記事で示した年収494.5万円も平均値である。資産のように分布が大きく歪む指標では、平均と中央値の差が特に大きくなる。

今回の推計では、平均は中央値の2.0倍だった。同じ調査の全国値でも2.2倍である。資産の統計を平均だけで語ると、実態の倍の水準を語ることになる。

県の差は、上位層で生まれている

群馬の平均1,542万円は全国1,723万円を181万円下回る。ところが中央値の推計では767万円と793万円で、差は26万円しかない。

真ん中あたりの世帯で見れば、群馬と全国はほとんど変わらない。差がついているのは上位層である。貯蓄・負債の記事で、群馬の有価証券が全国の68.3%にとどまる一方、預貯金の差は6.1%だと示した。上位層の資産は有価証券の比重が高いため、この2つは同じことを別の角度から見ている。

この構図は労働時間の記事で見た時間あたり賃金と似ている。全国平均は東京という外れ値に引き上げられ、都道府県で並べると群馬は22位だった。全国平均との比較と、他県との比較は別の話になる。

二こぶの分布が意味すること

群馬の分布は、25万円未満に10.7%、2,000〜3,000万円に10.1%と、離れた2か所に固まりがある。

この形の要因は、この表からは特定できない。世帯主の年齢が考えられる。若い世帯は貯蓄が少なく、退職前後の世帯は多い。高齢化率の記事で、前橋の高齢化率が2050年に39.7%まで上がることを示した。年齢構成が動けば、この分布の形も変わる。

ただし年齢別の分布は今回の表に含まれていない。二こぶの理由を確かめるには、別の統計表が要る。

このデータの限界

  • 中央値、平均を下回る世帯の割合、階級別の割合の一部は、19階級の分布から線形補間で当サイトが推計した値である。公表値ではない。
  • 推計は階級のなかで世帯が一様に分布していることを仮定している。実際には偏りがあるため、誤差が残る。
  • とくに「25万円未満」の階級は下限が0で幅が広く、この階級に10.7%が入るため、下位側の推計誤差は大きい。
  • 世帯数分布は抽出率調整後のウェイトであり、実数の世帯数ではない。この記事では構成比のみを用いている。
  • 二人以上の世帯を対象としている。単身世帯を含めると分布は変わる。
  • この調査に市区町村別の集計はない。前橋市単独の分布は分からない。
  • 世帯主の年齢別の分布は今回の表に含まれていない。二こぶの要因は特定できない。
  • 貯蓄は金融資産のみで、住宅・宅地は含まない。持ち家の有無による差は反映されていない。

よくある誤解

「平均1,542万円だから、半分の世帯はそれ以上ある」

平均を上回るのは推計で30.9%です。半分ではありません。半分の位置にあるのは中央値で、推計767万円です。平均と中央値は別の概念です。

「群馬は全国より貯蓄が少ない」

平均では181万円下回りますが、中央値の推計では26万円差にとどまります。真ん中あたりの世帯で見れば、ほとんど変わりません。差は上位層で生まれています。

「貯蓄25万円未満が1割もいるのはおかしい」

この調査の貯蓄は金融資産残高です。住宅・宅地は含みません。住宅ローンを組んで家を購入した直後の世帯は、金融資産が少なく実物資産が多い状態になります。貯蓄・負債の記事で見たとおり、群馬の負債保有率は全国1位です。

Q&A

なぜ中央値が公表されていないのですか

全国の中央値(中位数)は公表されています。ただし都道府県別の表には含まれていません。統計表の設計上、都道府県別は階級別の分布までとなっています。そのため、この記事では分布から推計しました。

線形補間とは何ですか

階級のなかで世帯が均等に並んでいると仮定して、目的の位置を計算する方法です。たとえば750〜900万円の階級に該当する世帯が均等に分布していると考え、累積が50%に達する点を求めます。実際の分布は均等ではないため、誤差が生じます。

前橋市の分布は分かりますか

分布は分かりません。貯蓄現在高階級別の分布は都道府県までしか公表されておらず、市レベルでは中央値も分布も算出できません。ただし平均額は取得できました。前橋市の貯蓄現在高は1,781万円です。詳しくは前橋市の貯蓄の記事で扱いました。

年齢別の分布は分かりますか

今回使った表には含まれていません。同じ調査に世帯主の年齢階級を軸に持つ表があるため、確認できる可能性があります。二こぶの分布の要因を調べるには、そちらが必要になります。

次の更新はいつですか

全国家計構造調査は5年ごとです。次回は令和11年(2029年)調査となり、結果の公表は2031年ごろが見込まれます。調査の概要と結果は、総務省統計局の令和6年全国家計構造調査のページで確認できます。

群馬県の貯蓄の中央値はいくらですか

分布から推計すると767万円です。平均1,542万円のちょうど半分にあたります。全国の中央値の推計は793万円で、差は26万円です。この中央値は公表値ではなく、当サイトの推計です。

貯蓄が平均より少ない世帯はどれくらいですか

群馬県では69.1%の世帯が平均1,542万円を下回ります(推計)。全国は67.6%です。貯蓄300万円未満の世帯は30.6%です。

出典

  • 総務省統計局「令和6年全国家計構造調査」家計資産・負債に関する結果 表31-0(都道府県別・貯蓄現在高階級別)、表4-22-1(全国・貯蓄現在高階級別)、表24-0(都道府県別の平均)/統計局

データダウンロード

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㉚貯蓄現在高階級別の世帯分布
全国・群馬・埼玉・東京・栃木(2024年)
総務省統計局「令和6年全国家計構造調査」家計資産・負債に関する結果 表31-0・表4-22-1CSVを保存

更新履歴

  • 2026年9月24日 階級数の表記を修正
  • 2026年9月24日 冒頭の段落を追加
  • 2026年9月24日 Q&Aと内部リンク、表を追加
  • 2026年9月3日 公開