前橋市の要介護認定率18.49%|重度の割合は高い【2024年度】

高齢化率の記事で、前橋の高齢化率が2050年に39.7%まで上がることを示した。歳出の記事では、民生費が2000年度から3.28倍に増えたことも見た。

ではいま、実際にどれだけの人が介護を必要としているのか。

結果は予想と違った。認定を受けている人の割合は、全国より低い。ただし、その中身が違う。

前橋市の要介護認定率は18.49%。全国19.74%を下回り、県内35市町村では12位。

ただし要介護4・5の重い人が23.8%を占める。全国は20.4%。軽度は少なく、重度が多い。

認定者1人当たりの給付費は165万円で、全国150万円を10%上回る。

対象範囲

厚生労働省「介護保険事業状況報告」令和6年度(2024年度)年報による。第2表(第1号被保険者数)、第4-1-1表(要介護認定者数)、第8-1-4表(保険給付費)、第5-1表・第7-1表(受給者数)を使った。

介護保険は市町村が保険者である。群馬県内は35市町村すべてが単独の保険者で、広域連合による合算はない。そのため全市町村の数値が個別に取れる。

この記事の認定率は、第1号被保険者(65歳以上)に占める認定者の割合である。認定者には40〜64歳の第2号被保険者も含まれるが、分子から除いている。第2号を含めた前橋の認定者は18,591人で、認定率は18.80%になる。

保険給付費は令和6年度の年度累計(令和6年3月サービス分から令和7年2月サービス分)である。受給者数も年度累計のため、月平均に換算して用いた。

認定率、1人当たり給付費、構成比、利用率は当サイトが算出した。公表値ではない。

認定率は全国を下回る。県内では12位

前橋市の第1号被保険者は98,878人。うち要介護(要支援)認定を受けているのは18,278人で、認定率は18.49%である(厚生労働省「介護保険事業状況報告」令和6年度年報)。

全国は19.74%、群馬県は18.24%。前橋は全国を1.26ポイント下回る。

群馬県内35市町村の要介護認定率。上位は南牧村26.97%、神流町23.12%、上野村21.76%。前橋市は18.49%で12位。全国は19.74%
県内35市町村の要介護認定率(上位5・下位5と前橋、2024年度)
要介護認定率 18.49% 全国19.74%。県内35市町村で12位
要介護4・5の割合 23.8% 全国20.4%を3.4pt上回る
認定者1人当たり給付費 165万円 全国150万円を10%上回る

県内35市町村では12位。上位は南牧村26.97%、神流町23.12%、上野村21.76%と続く。いずれも人口規模の小さい山間部の町村で、高齢化が極端に進んだ地域である。市部では桐生21.59%が最も高い。

県内5市では、桐生21.59%、伊勢崎19.15%、前橋18.49%、高崎18.31%、太田17.97%。前橋は中間にいる。

県内35市町村をすべて並べると、次のようになります。

順位市町村要介護認定率(%)
1南牧村26.97
2神流町23.12
3上野村21.76
4桐生市21.59
5高山村21.56
6みなかみ町21.31
7沼田市20.48
8片品村19.29
9伊勢崎市19.15
10昭和村18.69
11みどり市18.62
12前橋市18.49
13高崎市18.31
14川場村18.09
15渋川市18.07
15藤岡市18.07
17館林市18.00
18太田市17.97
19安中市17.50
20下仁田町17.48
21中之条町17.46
22大泉町17.42
23東吾妻町17.40
24草津町16.85
25長野原町16.65
26吉岡町16.31
27榛東村16.26
28千代田町16.07
29嬬恋村15.37
30富岡市15.20
31玉村町14.42
32邑楽町14.08
33板倉町13.43
34明和町13.30
35甘楽町13.18

軽度が少なく、重度が多い

認定率が低いだけなら、健康な高齢者が多いという話になる。ただし要介護度別に分けると、別の構図が出る。

前橋市と全国の要介護度別構成比。前橋は要支援1・2が26.2%で全国29.1%より少なく、要介護4・5が23.8%で全国20.4%より多い
要介護度別の構成比(前橋市と全国、2024年度)

軽度にあたる要支援1・2は、前橋26.2%に対し全国29.1%。2.9ポイント少ない。

重度にあたる要介護4・5は、前橋23.8%に対し全国20.4%。3.4ポイント多い。要介護4だけで見ると前橋14.7%、全国12.5%である。

年齢構成の違いではない。第1号被保険者に占める85歳以上の割合は、前橋18.5%、全国18.6%でほぼ同じである。高齢者の年齢構成は全国並みなのに、認定の中身が違う。

認定率は低いのに、1人当たり給付費は高い

重度が多ければ、給付費も高くなるはずである。確かめる。

前橋市の保険給付費は令和6年度で301.9億円。認定者1人当たりに直すと1,652千円になる。全国は1,501千円、群馬県は1,614千円。全国を10.1%上回る。

認定率と認定者1人当たり給付費の散布図。前橋市は認定率18.49%で全国19.74%を下回るが、1人当たり給付費1,652千円は全国1,501千円を上回る
認定率と認定者1人当たり給付費(2024年度)

散布図の左上に前橋と高崎がいる。認定率は全国平均より低いのに、1人当たり給付費は高い。桐生は逆で、認定率21.59%と高いが1人当たりは1,508千円で全国並みである。

もう一つ、サービスの利用率も高い。認定者に対する受給者の割合は前橋79.8%で、5市で最も高い。全国は74.6%である。認定を受けた人の8割が、実際にサービスを使っている。

この数字をどう読むか

ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。

「認定率が低い」だけでは、良し悪しを判断できない

認定率18.49%が全国19.74%を下回ると聞けば、健康な高齢者が多いと読みたくなる。ただし重度の割合は全国より高く、1人当たり給付費も高い。この2つは同じ方向を向いていない。

考えられる説明はいくつかある。軽度の段階で申請する人が少ないのか、認定審査の運用が異なるのか、介護予防の総合事業への移行が進んでいるのか。この統計からは、どれが効いているか特定できない。

言えるのは、認定率という1つの数字で自治体を比べることに限界があるということである。中身を見ないと意味が変わる。

民生費が3.28倍に増えた中身

歳出の記事で、前橋の民生費が2000年度から2024年度にかけて3.28倍になったことを示した。2001年度に土木費を上回り、いまは4.2倍の差がある。

介護保険は特別会計で処理されるため、この記事の給付費301.9億円がそのまま民生費に入るわけではない。ただし市の負担分や事務費は一般会計に計上される。介護給付が増えれば、市の財政にも効いてくる。

財政の記事で、財政力指数の分母である基準財政需要額が高齢化で押し上げられることに触れた。認定者が増えるほど需要額は増え、指数は下がる方向に働く。

2050年に39.7%という前提で考えると

高齢化率の記事で、前橋の高齢化率が2050年に39.7%になる推計を示した。いまの第1号被保険者98,878人は住民基本台帳人口の29.8%にあたる。

あの記事では「上がる理由は高齢者の増加ではない」と書いた。高齢者の数そのものはそれほど増えず、分母である総人口が減るためである。将来人口の記事では2050年に18%減という推計も示した。

だとすると、認定者の絶対数が急増するとは限らない。ただし85歳以上の割合は上がる。年齢が上がれば認定率も上がるため、いまの認定率18.49%が維持される保証はない。支える側の人口が減るなかで、給付をどう賄うかという問題は残る。

サ高住の記事で、前橋のサービス付き高齢者向け住宅が32棟・1,052戸で県内2位であることを示した。介護施設では4番目だった。順序が違う。

制度が使える人と、使えない人

支援制度の記事で、前橋市の高齢者向け生活支援サービスの多くが市民税非課税世帯を条件としていることを示した。布団の丸洗いも乾燥も、対象が限られる。

介護保険は所得にかかわらず使える制度である。課税対象所得の記事で前橋が全国上位14%にあることを示したが、介護保険の利用率79.8%が5市で最も高いことは、所得と関係なく使われていることを示している。

ただし自己負担の割合は所得に応じて変わる。この統計に所得段階別の利用状況は含まれていないため、負担の重さまでは分からない。

このデータの限界

  • 認定率、1人当たり給付費、構成比、利用率は当サイトが算出した値である。公表値ではない。
  • 認定率の分母は第1号被保険者(65歳以上)である。第2号被保険者を含めると数値が変わる。
  • 利用率の分子には地域密着型サービスの受給者を含めていない。実際の利用率はこれより高い。
  • 受給者数は年度累計のため、月平均に換算して用いた。同一月に複数のサービスを使う人は重複して計上される場合がある。
  • 認定率が低い理由は、この統計からは特定できない。申請行動、審査の運用、総合事業への移行など複数の要因が考えられる。
  • 保険給付費は介護保険特別会計のもので、市の一般会計の民生費とは範囲が異なる。
  • 所得段階別の利用状況や自己負担の実態は、この統計には含まれていない。
  • 県内上位の町村は人口規模が小さく、少数の変動が率に大きく影響する。市部との単純比較はできない。

よくある誤解

「認定率が低いから前橋の高齢者は元気」

認定率は全国より1.26ポイント低い一方、要介護4・5の重い人の割合は3.4ポイント高く、1人当たり給付費も全国を10%上回ります。認定率だけでは判断できません。

「高齢化が進んでいるから認定率が高いはず」

第1号被保険者に占める85歳以上の割合は前橋18.5%、全国18.6%でほぼ同じです。高齢者の年齢構成が特に高いわけではありません。

「南牧村の26.97%は異常な数字」

人口規模の小さい山間部の町村では、高齢化が極端に進んでいるため認定率が高く出ます。統計上の異常値ではなく、地域の実態を反映した数値です。ただし少数の変動が率に大きく影響するため、市部との単純比較には向きません。

Q&A

第1号被保険者と第2号被保険者の違いは

第1号は65歳以上、第2号は40〜64歳で医療保険に加入している人です。第2号が介護保険を使えるのは、加齢に伴う特定の疾病が原因で介護が必要になった場合に限られます。前橋の認定者18,591人のうち、第1号は18,278人、第2号は313人です。

要支援と要介護の違いは

要支援1・2は日常生活の一部に支援が必要な状態で、介護予防を目的としたサービスが中心になります。要介護1〜5は介護が必要な状態で、数字が大きいほど重くなります。要介護5は日常生活のほぼ全般に介助が必要な状態です。

申請の方法は、前橋市の要介護認定・要支援認定の申請のページで確認できます。相談窓口の一覧は、前橋市地域包括支援センター及びブランチ(窓口)のページにあります。

なぜ認定率が全国より低いのですか

この統計からは特定できません。軽度の段階で申請する人が少ない、認定審査の運用が異なる、総合事業への移行が進んでいるなど、複数の可能性があります。要支援1・2の割合が全国より2.9ポイント低いことから、軽度の認定が少ないことは確かです。

月次のデータは分かりますか

介護保険事業状況報告は月報も公表されています。ただしe-Statに登録されているのは年度次のみで、月報は厚生労働省のサイトで公開されています。この記事では年度の確定値を使いました。

次の更新はいつですか

年度次の統計です。令和6年度年報は2026年8月27日に公表されました。次回は令和7年度分となり、2027年夏ごろの公表が見込まれます。

出典

  • 厚生労働省「介護保険事業状況報告」令和6年度年報 第2表・第4-1-1表・第5-1表・第7-1表・第8-1-4表/e-Stat

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認定者数・給付費・受給者数(2024年度)
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更新履歴

  • 2026年9月22日 公式窓口へのリンクを追加
  • 2026年9月21日 県内35市町村の一覧表を追加
  • 2026年9月6日 公開