個人の年収は東京が群馬より183.5万円高く、1.37倍である(2025年)。ところが世帯の可処分所得は前橋548,942円、東京552,575円で、月3,633円しか違わない。年齢階級別の年収を表で比べた。
賃金の記事で、東京との年収差が年齢とともに開くことを示した。生活コストの記事では群馬の物価が全国最低であることも見た。
差し引くと、どちらが手元に残るのか。
個人の年収は東京が183.5万円高い。1.37倍である(2025年。2023年は108.9万円・1.23倍)。
ところが世帯の可処分所得は前橋548,942円、東京552,575円。月3,633円しか違わない。
消費支出を引くと、前橋のほうが月12,119円、年14.5万円多く残る。
対象範囲
賃金は厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者 都道府県別第1表(2025年)による。年収は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」として当サイトが算出した。一般労働者・男女計・企業規模10人以上の値である。
この調査に市区町村別はない。賃金の比較は群馬県と東京都になる。
家計は総務省「令和6年全国家計構造調査」による。市別は統計表ID 0004039797、都道府県は0004039817を使った。二人以上の世帯・勤労者世帯の値で、調査期間は2024年10月・11月の2か月間である。
前橋市の集計世帯数は80世帯である。東京都の750世帯と比べて標本が小さい。費目を細かく割るほど誤差が大きくなるため、この記事では総額と大きな費目を中心に扱う。
物価は総務省「小売物価統計調査(構造編)」2025年、家賃は「令和5年住宅・土地統計調査」による。
個人の年収差は年齢とともに9.5倍に開く
まず賃金を見る。

20〜24歳では群馬359.6万円、東京388.2万円。差は28.6万円である。
50〜54歳になると群馬549.9万円、東京820.6万円。270.7万円の差になる。30年で9.5倍に開く。2023年は7.3倍(22.1万円→161.2万円)だった。
年齢計では群馬494.5万円、東京678.0万円で、差は183.5万円。東京は1.37倍である。2023年の1.23倍から、2年で差が広がった。
群馬県と東京都の年収を、年齢階級ごとに並べる(2025年)。
| 年齢 | 群馬県(万円) | 東京都(万円) | 差(万円) |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 359.6 | 388.2 | 28.6 |
| 25〜29歳 | 432.8 | 500.2 | 67.4 |
| 30〜34歳 | 462.9 | 605.3 | 142.4 |
| 35〜39歳 | 485.3 | 684.2 | 198.9 |
| 40〜44歳 | 528.7 | 759.5 | 230.8 |
| 45〜49歳 | 559.6 | 794.2 | 234.6 |
| 50〜54歳 | 549.9 | 820.6 | 270.7 |
| 55〜59歳 | 584.2 | 830.6 | 246.4 |
| 60〜64歳 | 439.2 | 658.4 | 219.2 |
| 年齢計 | 494.5 | 678.0 | 183.5 |
年収は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」として当サイトが算出した。一般労働者・男女計・企業規模10人以上の値である。
世帯で見ると、ほぼ同じ
ところが世帯の手取りを見ると、話が変わる。

二人以上の世帯・勤労者世帯の可処分所得は、前橋548,942円、東京552,575円。差は月3,633円、1.007倍にとどまる。
理由は世帯あたりの働き手の数にある。有業人員は前橋1.97人、東京1.87人。前橋のほうが0.10人多い。
1人当たりに直すと前橋278,651円、東京295,495円で東京が1.06倍。個人では東京が高いが、世帯で数えると差が縮まる。
世帯人員はどちらも2.99人で同じである。
差し引くと、前橋のほうが残る
支出側を見る。

消費支出は前橋344,845円、東京360,597円。東京が月15,752円多い。
可処分所得から消費支出を引くと、前橋204,097円、東京191,978円。前橋のほうが月12,119円、年に直すと14.5万円多く残る。
費目別の差を見ると、東京が多いのは教育10,526円、食料6,965円、住居3,894円。逆に交通・通信は東京が14,553円少ない。
この数字をどう読むか
ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。
「個人」と「世帯」で答えが違う
個人の年収では東京が1.37倍。世帯の可処分所得では1.007倍。どちらも正しい数字である。個人の差は2023年の1.23倍から広がったが、世帯の手取りの差は月3,633円のままで、2つの見え方の開きはむしろ大きくなった。
差は有業人員にある。前橋1.97人に対し東京1.87人。女性の就業の記事で、前橋の女性の労働力率が全国並みであることを示した。高齢者の就業の記事では65歳以上も働いていた。
世帯の中で働く人が多ければ、1人当たりの賃金が低くても世帯の収入は追いつく。
ただしこれは世帯の誰かが余分に働いていることを意味する。1人当たりでは東京が1.06倍のままである。
住居費の差が小さく出る理由
家計調査の住居費は、東京が前橋より3,894円多いだけである。ところが家賃で比べると、前橋46,668円に対し東京88,295円で1.892倍。差が合わない。
理由は持ち家率にある。持ち家の記事で前橋の持ち家率68.6%を示した。家計調査の住居費には、持ち家世帯の家賃相当額が含まれない。
持ち家が多い地域では、住居費が低く出る。ただし住宅ローンの返済は別に計上されており、消費支出には入らない。
前橋の住宅ローン返済額は月37,805円。これを加えると住居関連の負担は逆転する可能性がある。ただし東京の返済額はこの記事では取得していない。
物価の差は、住居に集中している
消費者物価地域差指数は群馬96.2、東京104.2。差は8.0ポイントである(2025年)。
ただし家賃を除くと群馬96.7、東京102.2で5.5ポイントに縮まる。費目別では住居が群馬89.5・東京129.8で40.3ポイントと突出している。
教育も87.7対102.3で14.6ポイント違う。食料は95.5対102.9で7.4ポイントにとどまる。
光熱・水道は群馬103.0・東京93.7で、群馬のほうが高い唯一の費目である。
通勤時間という、お金にならない差
通勤時間の中位数は前橋24.5分、東京43.7分。19.2分の差がある。
往復で38.4分。年240日働くとすると154時間の差になる。
通勤先の記事で、前橋から東京へ通う人が1,234人・通勤者の0.9%しかいないことを示した。交通事故の記事では群馬の自動車保有が1人0.97台だった。
交通・通信費は東京のほうが14,553円少ない。車を持つ費用と、通勤にかかる時間。この2つは同じ方向を向いていない。
このデータの限界
- 年収、差額、比率は当サイトが算出したものである。公表値ではない。
- 賃金構造基本統計調査に市区町村別はない。賃金の比較は群馬県と東京都である。
- 前橋市の集計世帯数は80世帯で、東京都の750世帯と比べて標本が小さい。費目を細かく割るほど誤差が大きくなる。
- 全国家計構造調査の調査期間は2024年10月・11月の2か月間である。年間を通した平均ではない。
- 賃金は2025年、家計は2024年、物価は2025年、家賃は2023年で、年次が揃っていない。
- 家計調査の住居費には持ち家世帯の家賃相当額が含まれない。持ち家率の違いが差を小さく見せている。
- 住宅ローンの返済額は消費支出に含まれない。前橋は月37,805円だが、東京の値はこの記事では取得していない。
- 物価地域差指数の10大費目別は都道府県までで、前橋市と東京都区部は総合・食料・家賃を除く総合のみが公表されている。
- 令和2年国勢調査に通勤時間の集計はない。通勤時間は住宅・土地統計調査(2023年)の中位数である。
- 「どちらで暮らすべきか」はこの記事では扱わない。生活の質、仕事の選択肢、家族の事情など、統計に表れない要素が多くある。
よくある誤解
「東京は給料が高いから手取りも多い」
個人の年収は東京が1.37倍ですが、世帯の可処分所得は1.007倍でほぼ同じです。前橋のほうが世帯あたりの働き手が0.10人多いためです。
「地方は家賃が安いから生活が楽」
家賃は東京が1.892倍ですが、家計調査の住居費の差は月3,894円です。前橋は持ち家率68.6%で、持ち家世帯の住居費が低く出るためです。住宅ローンの返済は消費支出に含まれません。
「車がある分、地方は交通費が高い」
そのとおりです。交通・通信費は前橋のほうが月14,553円多く、費目別で最も差が開きます。ただし通勤時間は前橋24.5分・東京43.7分で、前橋のほうが19.2分短くなっています。
Q&A
前橋市の賃金は分かりますか
分かりません。賃金構造基本統計調査は都道府県までです。市区町村別の所得指標としては課税対象所得があり、前橋市は375万9,500円で全国1,742市区町村中234位です。
可処分所得とは何ですか
実収入から税金と社会保険料を差し引いた額です。手取り収入にあたります。この記事の数値は世帯単位で、1か月あたりの金額です。
単身世帯ではどうなりますか
この記事は二人以上の世帯・勤労者世帯を扱っています。単身世帯は有業人員が1人になるため、世帯の収入差は個人の賃金差に近づくと考えられます。ただし確かめていません。
80世帯という標本は信頼できますか
総額や大きな費目の傾向は示せますが、費目を細かく割るほど誤差が大きくなります。この記事では可処分所得・消費支出・主要な費目にとどめ、細かい内訳は扱っていません。
次の更新はいつですか
賃金構造基本統計調査は毎年、全国家計構造調査は5年ごとで次回は令和11年(2029年)、住宅・土地統計調査は5年ごとで次回は2028年です。
群馬と東京の年収の差はどれくらいですか
2025年の年齢計で群馬県494.5万円、東京都678.0万円で、差は183.5万円です。20〜24歳では28.6万円ですが、50〜54歳では270.7万円に開きます。
前橋と東京ではどちらがお金が残りますか
二人以上の世帯・勤労者世帯では、可処分所得から消費支出を引いた額が前橋204,097円、東京191,978円です。前橋のほうが月12,119円、年に直すと14.5万円多く残ります。東京圏から前橋市に移住する人向けの支援金は、前橋市の令和8年度移住支援金のご案内で確認できます。
出典
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者 都道府県別第1表、令和5年は統計表ID 0003426933/e-Stat
- 総務省「令和6年全国家計構造調査」家計収支(統計表ID 0004039797、0004039817)/e-Stat
- 総務省「小売物価統計調査(構造編)」2025年・2024年(統計表ID 0003441258)
- 総務省「令和5年住宅・土地統計調査」(統計表ID 0004021480、0004021722)
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| No | データ名 | 出典 | ダウンロード |
|---|---|---|---|
| 52 | 前橋と東京の年収・家計収支・物価・家賃の比較 2023〜2025年 | 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」/総務省「全国家計構造調査」「小売物価統計調査」「住宅・土地統計調査」 | CSVを保存 |
更新履歴
- 2026年9月24日 2025年の小売物価統計調査に更新
- 2026年9月24日 2025年の賃金構造基本統計調査に更新(結論を見直し)
- 2026年9月24日 冒頭の段落を追加
- 2026年9月24日 Q&Aと内部リンク、表を追加
- 2026年9月11日 公開
