前橋と東京の交通費は月14,553円差|98.7%が車の維持費

前橋の交通・通信費は東京より月14,553円多く、そのうち自動車等関係費の差が14,367円で98.7%を占める。維持費は19,596円多い一方、購入費は東京のほうが4,473円多い。交通・通信費の内訳を表で比べた。

東京との比較の記事で、交通・通信費が前橋のほうが月14,553円多いことを示した。費目別で最も差が開く項目だった。

その中身を分解する。

交通・通信費の差14,553円のうち、自動車等関係費が14,367円。98.7%が自動車で説明できる。

さらに分けると、維持費が19,596円多い。ところが購入費は東京のほうが4,473円多かった。

買う費用ではなく、持ち続ける費用の差である。

対象範囲

家計は総務省「令和6年全国家計構造調査」による。市別は統計表ID 0004039797、都道府県は0004039817を使った。二人以上の世帯・勤労者世帯の値で、調査期間は2024年10月・11月の2か月間である。

前橋市の集計世帯数は80世帯である。自動車の購入のような高額で不定期な支出は、この規模では誤差が大きい。実際、前橋の自動車等購入3,333円は群馬県20,561円の16%しかない。この記事では購入費の解釈を慎重に扱う。

前橋市で取れるのは中分類までである。ガソリン代や保険料といった細分類は都道府県までしか公表されていない。

自家用乗用車の保有台数は自動車検査登録情報協会「自家用乗用車の普及状況」令和7年3月末による。都道府県別のみで、市区町村別は無料では公表されていない。

通勤・通学の交通手段は総務省「令和2年国勢調査」(統計表ID 0003454514)による。複数回答のため、合計は100%を超える。

差の98.7%が自動車

交通・通信費を分解する。

交通・通信費の内訳。自動車等維持は前橋30,166円・東京10,570円、通信は19,515円・13,597円、交通は5,862円・11,595円、自動車等購入は3,333円・7,806円
交通・通信費の内訳(2024年)
自動車等維持 +19,596円 前橋30,166 / 東京10,570
自動車等購入 −4,473円 東京のほうが多い
交通(運賃等) −5,733円 東京のほうが多い

自動車等関係費は前橋33,499円、東京19,132円。差は14,367円で、交通・通信費の差14,553円の98.7%にあたる。

さらに分けると、維持費が前橋30,166円に対し東京10,570円。19,596円の差である。

逆に購入費は前橋3,333円、東京7,806円で東京のほうが4,473円多い。運賃等も前橋5,862円に対し東京11,595円で、東京が5,733円多い。

通信費も前橋のほうが5,918円多いが、自動車関係の差に比べれば小さい。

交通・通信費の内訳を、前橋市と東京都で並べる(二人以上の世帯・勤労者世帯、2024年、1か月当たり)。

費目前橋市(円)東京都(円)差(前橋−東京)
交通・通信58,87744,324+14,553
交通5,86211,595−5,733
自動車等関係費33,49919,132+14,367
自動車等購入3,3337,806−4,473
自動車等維持30,16610,570+19,596
通信19,51513,597+5,918

自動車等関係費は自動車等購入と自動車等維持の合計で、ほかに自転車購入などを含む。前橋市の集計世帯数は80世帯である。

何が効いているのか

差を項目ごとに並べる。

前橋と東京の差の内訳。自動車等維持+19,596円、通信+5,918円、自動車等購入-4,473円、交通-5,733円
交通・通信費の差の内訳(前橋 − 東京、2024年)

プラスとマイナスが混ざっている。前橋が多いのは維持費と通信費、東京が多いのは購入費と運賃である。

消費支出に占める自動車等関係費の割合は、前橋9.71%、東京5.31%、全国8.43%。群馬県は14.46%とさらに高い。

群馬県が前橋を上回るのは、購入費が20,561円と大きいためである。ただし前橋の3,333円は80世帯という標本の小ささを反映している可能性がある。

台数も、使い方も違う

なぜ維持費が高いのか。台数と使い方を見る。

1世帯当たりの自家用乗用車は群馬1.558台・全国1.009台・東京0.405台。通勤通学の自家用車利用は前橋76.4%・東京10.2%
自家用乗用車の保有と通勤・通学の交通手段

1世帯当たりの自家用乗用車は群馬県1.558台で全国4位。東京都は0.405台で47位である。3.85倍の差がある。

通勤・通学の交通手段では、自家用車を使う人が前橋76.4%、東京10.2%。7.5倍である。

逆に鉄道は前橋5.6%、東京60.1%。乗合バスも1.3%対10.4%で、東京は公共交通が中心になっている。

ガソリンの価格は前橋181円、東京都区部178円(2025年、1リットル)。2024年は両市とも175円だった。価格の差はほとんどない。

高齢ドライバーと免許の返納

車に頼る暮らしは、高齢になっても続く。警察庁「運転免許統計」によると、群馬県の75歳以上の免許保有者は2025年末に192,239人で、同年齢の人口の56.3%にあたる。2023年の52.2%から上がっている。

免許を自主的に返納した人(申請による取消)は、群馬県で2025年に6,316件。うち75歳以上が5,017件で79.4%を占める。

年返納件数うち75歳以上75歳以上の保有率
2023年5,8864,83052.2%
2024年6,2144,81854.6%
2025年6,3165,01756.3%

前橋市だけの返納件数は公表されていない。前橋市は返納した人向けの支援を用意しており、内容は前橋市「運転免許証自主返納について」で確認できる。

保有率は当サイトが算出した(免許保有者数÷翌年1月1日の住民基本台帳人口)。

この数字をどう読むか

ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。

価格ではなく、台数と使用量の差

ガソリン価格は前橋181円、東京178円でほとんど変わらない。それでも維持費は19,596円の差がある。

世帯当たりの台数が3.85倍、通勤での利用が7.5倍。単価ではなく、持っている数と走らせる量が効いている。

維持費には車検、保険、税金、ガソリン、駐車場代が含まれる。台数が増えれば、走らせなくてもかかる費用がある。

群馬県の細分類を見ると、任意自動車保険料は群馬5,180円・東京1,163円で4.45倍。逆に年極・月極駐車場借料は群馬835円・東京2,099円で東京が2.5倍である。

「買う」ではなく「持ち続ける」

購入費は東京のほうが4,473円多い。車を買う費用では、前橋が上回っていない。

ただしこの数字は慎重に見る必要がある。前橋3,333円は群馬20,561円の16%で、80世帯の標本では車を買った世帯がたまたま少なかった可能性がある。

群馬県の値を使えば購入費も20,561円対7,806円で群馬が2.6倍になる。どちらの数字を使うかで結論が変わる。

確実に言えるのは維持費のほうである。前橋30,166円は群馬26,801円をも上回り、東京の2.85倍にあたる。

時間と交換している

東京との比較の記事で、通勤時間の中位数が前橋24.5分・東京43.7分であることを示した。前橋のほうが19.2分短い。

年240日の往復で154時間の差になる。車の維持費に年23.5万円を払い、通勤時間で154時間を得ている、という見方もできる。

ただし時間を金額に換算することはしない。この統計にその根拠はない。

事故のデータとつながる

交通事故の記事で、群馬の人口10万人当たり発生件数481.2件が全国1位であることを示した。全国231.8件の2.08倍である。

同じ記事で、自動車保有が人口1人当たり0.97台であることも書いた。今回の世帯当たり1.558台と合わせると、群馬の車依存の度合いが見える。

ただし事故件数と保有台数の因果は確かめられない。交通事故の記事では、死者数が25位にとどまることも示した。件数の多さと危険度は別である。

このデータの限界

  • 差額、比率、割合は当サイトが算出したものである。公表値ではない。
  • 前橋市の集計世帯数は80世帯で、自動車の購入のような高額で不定期な支出は誤差が大きい。前橋3,333円は群馬20,561円の16%にとどまる。
  • 全国家計構造調査の調査期間は2024年10月・11月の2か月間である。年間を通した平均ではない。
  • 前橋市で取れるのは中分類までである。ガソリン代、保険料、駐車場代といった細分類は都道府県までしか公表されていない。
  • 自家用乗用車の保有台数は都道府県別のみで、市区町村別は無料では公表されていない。この記事の台数は群馬県の値である。
  • 社会・人口統計体系に乗用車の保有台数の項目はない。市区町村別で取れるのは軽自動車等の台数のみである(前橋市137,667台、2024年度)。
  • 住宅・土地統計調査に駐車場の有無や台数の集計はない。
  • 通勤・通学の交通手段は複数回答のため、合計は100%を超える。
  • 維持費の内訳(車検、保険、税金、ガソリン、駐車場)は市区町村別では分けられない。
  • 通勤時間と維持費の交換を金額として評価することはしない。統計に根拠がない。

よくある誤解

「地方はガソリン代が高い」

価格はほぼ同じです。2025年は前橋181円、東京都区部178円。2024年は両市とも175円でした。差は台数と使用量にあります。

「車を買う費用が家計を圧迫している」

前橋のデータでは購入費は東京より4,473円少なくなっています。差を生んでいるのは維持費で、19,596円多い計算です。ただし前橋の購入費は80世帯という標本の小ささを反映している可能性があります。

「交通費は東京のほうが高い」

運賃等に限れば東京が5,733円多くなっています。ただし自動車関係を含めた交通・通信費の総額では、前橋が14,553円多くなります。

Q&A

前橋市の自動車保有台数は分かりますか

乗用車は分かりません。自動車検査登録情報協会の無料公表は都道府県別までです。軽自動車等の台数は社会・人口統計体系で取れ、前橋市は137,667台(2024年度)です。

維持費には何が含まれますか

ガソリン、自動車保険料、自動車整備費、自動車以外の輸送機器関係費、駐車場借料、自動車税などです。前橋市では中分類までしか公表されていないため、内訳は分かりません。

通信費が高いのはなぜですか

この記事では理由を扱っていません。前橋19,515円、東京13,597円で5,918円の差があります。世帯人員はどちらも2.99人ですが、契約の内容までは統計に表れません。

群馬県と前橋市で数字が違うのはなぜですか

集計の対象が違うためです。前橋市は80世帯、群馬県はより多くの世帯を集計しています。とくに購入費のような不定期な支出は、標本が小さいほど振れが大きくなります。

次の更新はいつですか

全国家計構造調査は5年ごとで、次回は令和11年(2029年)です。自家用乗用車の普及状況は毎年公表されます。

車の維持費は月いくらかかっていますか

前橋市の二人以上の世帯・勤労者世帯で、自動車等維持は月30,166円です。東京10,570円の2.85倍で、群馬県26,801円も上回ります。

群馬県の1世帯当たりの車の台数は何台ですか

自家用乗用車は1世帯当たり1.558台で全国4位です。東京都は0.405台で47位で、3.85倍の差があります。

出典

  • 警察庁「運転免許統計」令和5〜7年版(都道府県別申請取消件数、年齢別免許保有者数)/警察庁
  • 総務省「令和6年全国家計構造調査」家計収支(統計表ID 0004039797、0004039817)/e-Stat
  • 自動車検査登録情報協会「自家用乗用車の普及状況」令和7年3月末/自動車検査登録情報協会
  • 総務省「令和2年国勢調査」利用交通手段(統計表ID 0003454514)、「小売物価統計調査」調査品目の年平均価格(統計表ID 0003420453)/e-Stat

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53交通・通信費の内訳と自動車の保有・利用
2020〜2025年
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更新履歴

  • 2026年9月24日 冒頭の段落を追加
  • 2026年9月24日 Q&Aと内部リンク、表を追加
  • 2026年9月23日 高齢ドライバーと免許の返納の節を追加
  • 2026年9月11日 公開