前橋で年を重ねるとき、介護はどうか、医療は足りるか、お金は続くのか。
このページでは、当サイトが公的統計から確かめてきた数字をまとめる。個別の施設や制度の窓口ではなく、市全体の傾向を示すものである。
2050年の高齢化率は39.7%。県内主要4市で最も高い。
ただし65歳以上は7.3%しか増えない。同じ期間に15〜64歳が28.4%減る。
増えるのは高齢者ではなく、減るのは支える側だった。
このページについて
新しいデータは扱わない。すべて当サイトの既存記事で示した数値で、各項目から元の記事にリンクしている。出典や算出の方法はそちらで確認できる。
個別の施設や事業者の情報は扱わない。この記事の数字は市全体や県全体の平均である。
また、制度の申請方法や窓口の案内も行わない。実際の手続きは前橋市の公式サイトでご確認いただきたい。
何人いて、これからどうなるか
高齢化率の記事で示したとおり、前橋市の高齢化率は2020年の30.2%から2050年に39.7%へ上がる。県内主要4市で最も高い。
ただし中身が違う。65歳以上は100,430人から107,766人で7.3%しか増えない。しかも2040年の110,844人が頂点で、その後は減りはじめる。
同じ期間に15〜64歳は193,385人から138,536人へ。28.4%減る。0〜14歳は34.1%減である。
高齢化率が上がるのは、高齢者が増えるからではなく、支える側が減るからだった。
生産年齢人口の割合は58.2%から51.0%へ。将来人口の記事によれば、総人口も18.2%減る。主要4市で最も速い。
なお人口の記事では、前橋が失っているのは20〜24歳だけで、65歳以上は329人の転入超過だった。
介護
| 項目 | 前橋市 | 全国 |
|---|---|---|
| 要介護認定率 | 18.49% | 19.74% |
| 要支援1・2(軽度) | 26.2% | 29.1% |
| 要介護4・5(重度) | 23.8% | 20.4% |
| 認定者1人当たり給付費 | 165万円 | 150万円 |
| 受給者/認定者 | 79.8% | 74.6% |
介護の記事によれば、要介護認定率は18.49%で全国19.74%を下回る。県内35市町村では12位。5市では桐生21.59%、伊勢崎19.15%に次ぐ3位である。
ところが中身が違う。要介護4・5の重い人が23.8%を占め、全国20.4%を3.4ポイント上回る。逆に要支援1・2は26.2%で全国29.1%を下回る。
軽度は少なく、重度が多い。
給付費も高い。認定者1人当たり165万円で全国150万円を10.1%上回る。群馬県161万円よりも高い。
認定を受けた人のうち実際にサービスを使っているのは79.8%。5市で最も高く、全国74.6%を上回る。
施設の数は、当サイトではまだ扱っていない。この記事の数値は介護保険事業状況報告によるもので、被保険者数・認定者数・給付費・受給者数の4つである。
医療
医療の記事によれば、人口10万人当たりの医師数は497.7人で全国279.7人の1.78倍(2024年)。高崎市250.8人の1.98倍である。
群馬県の医師の33.4%が前橋市にいる。人口シェアは17.2%なので、約2倍の集中である。
ただし突出しているのは医師だけだった。病床は全国の1.11倍、診療所は1.22倍で全国並みである。
診療科別では小児科・産婦人科の記事で扱った。病院の小児科は10年間6か所のまま変わらず、分娩を担当する医師は県の41.5%が前橋にいる。
高齢者に関わる診療科は、当サイトではまだ扱っていない。
住まい
持ち家の記事によれば、持ち家率は68.6%で全国60.9%を7.7ポイント上回る。全国が微減するなか、前橋だけが15年で5.9ポイント上がった。
広さもある。住まいの記事では、持ち家が1住宅当たり124.97㎡で借家49.22㎡の2.54倍だった。
ところが設備が追いついていない。
| 高齢者向けの設備 | 持ち家 | 借家 |
|---|---|---|
| 何らかの設備あり | 65.4% | 35.4% |
| 手すり | 57.5% | 23.1% |
| 段差のない屋内 | 26.6% | 13.6% |
| 車いすで通れる廊下 | 17.8% | 8.5% |
| 玄関まで車いすで通行可 | 10.9% | 7.1% |
段差のない屋内は持ち家でも26.6%。4軒に3軒は段差がある。車いすで通れる幅の廊下は17.8%にとどまる。
借家はさらに少ない。手すりは23.1%で、持ち家の0.40倍である。
土地の値段は下がっている。地価の記事では、住宅地が1995年のピークから60.8%下がり、43年前より30%安い水準だった。
お金
年金の記事によれば、無職世帯の実収入は月278,275円。そのうち公的年金が222,059円で79.8%を占める。全国は69.5%なので10.3ポイント高い。
ただし年金の額そのものは変わらない。全国215,980円に対し前橋222,059円で1.03倍。
違うのは年金以外だった。勤め先収入は前橋24,304円に対し全国66,620円で0.36倍。逆に事業・内職収入は2.67倍である。
収支は黒字である。消費支出238,625円を引くと月39,650円が残る。可処分所得ベースでも5,084円の黒字だが、群馬県全体では14,089円の赤字である。
国民年金の納付率は81.6%で全国79.6%を上回る。10年で14.3ポイント上がった。
貯蓄
年代別の貯蓄の記事では、群馬県の貯蓄が30歳未満264万円から60代2,433万円まで9.2倍に増える。70代以降は減る。
平均1,542万円を上回るのは60代以降だけ。50代でも90.9%で届かない。
前橋の貯蓄の記事によれば、1世帯当たり貯蓄1,781万円は県内4市で最多。ただし負債888万円も最多で、純貯蓄893万円は高崎1,048万円・太田1,003万円に及ばない。
貯蓄と負債の記事では、群馬県の負債保有率46.2%が47都道府県で1位だった。
移動
公共交通の記事によれば、前橋の鉄道利用は1990年5.7%、2020年5.6%で30年ほとんど変わっていない。
減ったのは乗合バスだった。3.3%から1.3%へ6割減。同じ期間に自家用車は61.0%から76.4%へ15.4ポイント増えた。
車と交通費の記事では、東京との交通・通信費の差14,553円のうち98.7%が自動車関係だった。維持費が19,596円多い。
交通事故の記事によれば、群馬の人口10万人当たり発生件数481.2件は全国1位。前橋は570.0件で県内3位である。ただし死者数は全国25位で、全国平均と大きくは変わらない。
運転をやめたあとの移動手段が、統計に表れにくい課題として残る。
働く
高齢者の就業の記事によれば、65〜69歳の労働力率は男性62.73%、女性41.71%。70〜74歳でも男性44.00%が働いているか、仕事を探している。
20年で大きく上がった。65〜69歳の男性は2010年の50.73%から62.73%へ12.00ポイント、女性は2000年の24.78%から41.71%へ16.93ポイント。
ただし雇用の形が変わる。65歳以上の非正規比率は男性69.7%、女性81.5%、総数75.5%。4人に3人が非正規である。
男性は全年齢の20.1%から49.6ポイント跳ね上がる。全年齢では29.7ポイントあった男女差が、65歳以上では11.8ポイントまで縮まる。
女性が下がったのではなく、男性が女性の水準に近づいた結果である。
気になる点
支える側が減る
15〜64歳が28.4%減る。これがこの記事の芯である。
介護の担い手も、医療の担い手も、この層から出る。生産年齢人口の割合は58.2%から51.0%へ下がり、主要4市で最低になる。
人口の記事で、前橋が失っているのは20〜24歳だけであることを示した。いま抜けている年代が、そのまま将来の支える側になる。
インフラの更新が追いついていない
上下水道の記事によれば、下水道の経費回収率は76.4%で県内5市の最下位。5年前の83.3%から下がり続けている。
水道管の更新率は0.63%。全部を入れ替えるのに159年かかる計算になる。法定耐用年数は40年である。
財政の記事では、将来負担比率55.5%が県内5市で最も高かった。高崎41.0%の1.35倍である。
備える側も減る
防災の記事によれば、群馬県の消防団員は49年で27.1%減った。14,572人から10,630人である。
同じ期間に消防職員は72.3%増えた。団員と職員の比は9.5倍から4.0倍に縮まっている。
団員は地域に住み、平時は別の仕事をしている人である。災害のとき、最初に動く人数が減っている。
住まいの改修が進んでいない
段差のない持ち家は26.6%。4軒に3軒は段差がある。
持ち家率は68.6%で全国より高く、広さも2.54倍ある。ただし広い家は、階段も移動距離も長い。
住まいの記事では、耐震診断を受けた持ち家が8.75%で全国12.01%を下回ることも示した。
まとめ
| 項目 | 数字 | 読み方 |
|---|---|---|
| 65歳以上(2050年) | +7.3% | 2040年が頂点で以降は減る |
| 15〜64歳(2050年) | −28.4% | 高齢化率が上がる理由 |
| 要介護認定率 | 18.49% | 全国より低い |
| 要介護4・5の割合 | 23.8% | 全国20.4%より高い |
| 医師数 | 全国の1.78倍 | 病床は全国並み |
| 段差のない持ち家 | 26.6% | 4軒に3軒は段差がある |
| 無職世帯の月の収支 | +39,650円 | 収入の79.8%が年金 |
| 水道管の更新 | 159年 | 法定耐用年数は40年 |
いまの条件は悪くない。医師は全国の1.78倍いて、認定率は全国より低く、無職世帯の収支は黒字である。持ち家率も高い。
ただし支える側が28.4%減る。インフラの更新は追いつかず、備える人数も減っている。家の段差も残ったままである。
全記事を横断した整理は5つの構造、暮らし全般は住みやすさのページにまとめている。
このページの限界
- このページに新しいデータはない。すべて既存の記事で示した数値で、出典と算出の方法は各記事で確認できる。
- 個別の施設や事業者の情報は扱っていない。介護施設の数も、当サイトではまだ扱っていない。
- 高齢者に関わる診療科(内科・整形外科・リハビリテーション科など)の数は扱っていない。診療科別のデータは二次医療圏が最小単位で取得は可能だが、当サイトではまだ扱っていない。
- 消防団員の年齢構成は扱っていない。人数の推移のみで、しかも市区町村別は非公表のため群馬県の値である。
- 貯蓄と負債の数値は群馬県または前橋市の全世帯・二人以上の世帯によるもので、高齢者世帯に限定した値ではない。
- 年金の額は世帯単位である。個人の平均年金額は市区町村別では公表されていない。
- 家計の数値は集計世帯数が限られ、費目別の内訳は振れが大きい。
- 年次が揃っていない。2020年の国勢調査、2023年の住宅・土地統計調査、2024年度の決算など、調査によって時点が異なる。
- 将来推計は2020年の国勢調査を基準としたもので、その後の政策や社会状況の変化は織り込まれていない。
Q&A
前橋は高齢者が多いのですか
高齢化率は2020年で30.2%、2050年に39.7%へ上がる推計で県内主要4市で最も高くなります。ただし65歳以上の人数は7.3%しか増えません。上がる理由は15〜64歳が28.4%減ることです。
介護は受けやすいですか
要介護認定率は18.49%で全国19.74%を下回ります。認定を受けた人のうち実際にサービスを使っているのは79.8%で、県内5市で最も高い割合です。ただし施設の数は当サイトでは扱っていません。
年金だけで暮らせますか
統計上は、無職世帯の実収入278,275円に対し消費支出238,625円で月39,650円の黒字です。ただしこれは平均で、世帯によって状況は大きく違います。個別の判断はできません。
車がないと生活できませんか
通勤・通学の76.4%が自家用車です。鉄道は30年間5.6〜5.7%で変わらず、乗合バスは1.3%まで減りました。運転をやめたあとの移動手段については、統計に表れにくい課題として残ります。
介護や福祉の相談はどこへ
当サイトでは窓口の案内は行っていません。前橋市の公式サイトでご確認ください。
このページは更新されますか
元になる記事が更新されれば、あわせて見直します。介護保険事業状況報告は毎年、住宅・土地統計調査は5年ごとに公表されます。
出典
このページで参照した数値の出典は、リンク先の各記事に記載しています。主な調査は次のとおりです。
- 厚生労働省「介護保険事業状況報告」「医師・歯科医師・薬剤師統計」「医療施設調査」/日本年金機構(国民年金の納付率)
- 総務省「国勢調査」「住宅・土地統計調査」「全国家計構造調査」「消防防災・震災対策現況調査」「経営比較分析表」
- 国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」/国土交通省「地価公示」/警察庁「交通事故統計」
更新履歴
- 2026年9月16日 公開
