前橋で働くとき、仕事はあるのか、賃金はどうか、どんな働き方をしているのか。
このページでは、当サイトが公的統計から確かめてきた数字をまとめる。求人情報ではなく、市全体の傾向を示すものである。
20〜24歳の年収は東京と年28.6万円しか違わない。非正規比率も全国より11.1ポイント低い。
ところがその年代だけが486人の転出超過である。
差が開くのは年齢とともに。50〜54歳では月14.6万円になる。
このページについて
新しいデータは扱わない。すべて当サイトの既存記事で示した数値で、各項目から元の記事にリンクしている。出典や算出の方法はそちらで確認できる。
個別の求人や企業の情報は扱わない。この記事の数字は市全体や県全体の平均である。
賃金の統計は都道府県単位までしか公表されていない。「群馬県」と書いてある数値は、前橋市単独のものではない。
仕事はあるか
求人の記事で示したとおり、前橋の有効求人倍率は2025年の12か月すべてで県平均を下回った。12安定所中7〜10位である。
ただし業種の構成が理由ではない。求職者数は高崎の1.03倍でほぼ同じなのに、求人数だけが1.43倍の差がある。
逆に、出た求人が埋まる割合は前橋のほうが高い。前橋15.2%に対し高崎9.2%。
どんな仕事が多いか
| 産業 | 新規求人の構成比 |
|---|---|
| 医療・福祉 | 22.5% |
| 卸売業・小売業 | 18.2% |
| 製造業 | 7.8% |
| 情報通信業 | 1.1% |
医療・福祉と卸売・小売で4割を超える。一方、製造業と情報通信業を足しても1割に届かない。
産業構造の記事では、就業者の分布も同じ方向を示していた。全国と比べて厚いのは農業1.273、教育1.220、公務1.178、医療・福祉1.175。どれも地域に必要とされる仕事である。
最も薄いのは情報通信業の0.532で、全国の半分ほど。しかもその求人は3年で30.3%減った。同じ期間に高崎は6.0%減にとどまる。
賃金はどうか
賃金の記事によれば、入口ではほとんど差がない。20〜24歳の年収は群馬359.6万円、東京388.2万円で、差は28.6万円。月あたり2.4万円である(2025年)。
19歳以下は2023年まで群馬のほうが高かった(群馬220.1千円・東京209.2千円)。2025年は群馬232.1千円、東京242.4千円で東京が上回る。
ところが差は年齢とともに開く。25〜29歳で67.4万円、35〜39歳で198.9万円、年齢計では183.5万円。
賞与を除いた月額で見ると、差は50〜54歳の14.6万円が最大。20〜24歳の3.1万円から4.7倍に開く。入口の額ではなく、その後の傾きが違っている。
世帯で見ると差が縮む
東京との比較の記事では、別の形が出た。個人の年収は183.5万円の差があるのに、世帯の可処分所得は月3,633円しか違わない。
有業人員が前橋1.97人、東京1.87人だからである。消費支出を引くと、前橋のほうが年14.5万円多く残る。
所得の記事でも、課税対象所得は1人当たり375万9,500円で全国1,742市区町村中234位。上位14%に入る。
どう働いているか
| 項目 | 群馬・前橋 | 全国 |
|---|---|---|
| 月間総実労働時間 | 137.6時間 | 135.1時間 |
| 所定外労働時間 | 9.8時間 | 9.8時間 |
| 月の出勤日数 | 17.7日 | 17.4日 |
| テレワーク実施率 | 11.4% | 18.9% |
| 副業がある人 | 5.48% | 4.95% |
| 通勤30分未満 | 61.5% | 50.4% |
労働時間の記事によれば、群馬の月間総実労働時間は137.6時間。全国より2.5時間長い(2025年平均)。
ただし残業が長いわけではない。所定外労働時間は10.3時間で全国10.0時間とほぼ同じ。差の大半は出勤日数から来ている。
就業形態の記事では、さらに分解している。一般労働者だけを比べると群馬160.9時間、全国160.5時間で差は0.4時間しかない。
差が大きいのはパートタイム労働者で、群馬83.3時間、全国79.1時間。2.5時間の差のうち約4割は、パート比率の違いによるものだった。群馬30.2%、全国31.3%である(2025年平均)。
働く場所
働き方の記事では、通勤30分未満が61.5%で全国50.4%を11.1ポイント上回る。ただし県内5市では4位で、太田69.5%を下回る。
テレワークは少ない。実施率11.4%は全国18.9%の0.60倍。しかも実施者の71.2%が頻度20%未満である。
逆に副業は多い。5.48%で全国4.95%を上回り、県内でも最も高い。
通勤先の記事によれば、通勤圏は群馬県内でほぼ閉じている。県外へ通う人は2.9%で、東京へは1,234人・0.9%にとどまる。
誰が働いているか
女性
女性の就業の記事では、20〜24歳の男女差が1.56ポイントしかない。ところが30〜34歳では17.20ポイントまで開く。
M字カーブの谷は30〜34歳の78.55%。2000年の56.76%から20年で21.79ポイント上がった。全国の谷は35〜39歳なので、前橋は谷が5歳早い。
非正規比率は女性49.8%、男性20.1%。群馬55.5%・全国53.2%より低いが、男女差は29.7ポイント残る。
高齢者
高齢者の就業の記事によれば、65〜69歳の労働力率は男性62.73%、女性41.71%。70〜74歳でも男性44.00%が働いているか、仕事を探している。
ただし雇用の形が変わる。65歳以上の非正規比率は男性69.7%。全年齢の20.1%から49.6ポイント跳ね上がる。
女性は81.5%で、総数では4人に3人が非正規。全年齢では29.7ポイントあった男女差が、65歳以上では11.8ポイントまで縮まる。
外国人
外国人の記事では、群馬県の外国人就業者の56.8%が製造業で働いている。全体は23.2%なので33.6ポイントの開きがある。
ただし前橋の外国人比率は3.15%で、伊勢崎7.73%・太田7.04%の4割の水準。在留資格で最も多いのは留学の26.6%で、永住者は15.5%である(2025年12月末)。
働く場所の規模
事業所の記事によれば、市内の事業所14,913のうち従業者100人以上は188所で全体の1.26%。
ところがそこで働く人は46,611人で、従業者の28.7%を占める。1事業所あたり248人である。
規模の分布は全国とほとんど変わらない。違ったのは新陳代謝のほうだった。5年間の新設率20.9%は全国23.3%を2.4ポイント下回る。
ただし廃業率26.4%は全国27.4%より低い。事業所が減っているのは、なくなるからではなく新しく始まらないからである。
待遇の条件
退職金の記事では、退職給付制度がある企業が74.9%。5年前の80.5%から5.6ポイント下がった。
企業規模で差がある。1,000人以上が90.1%、30〜99人が70.1%。20.0ポイントの開きである。
給付額は勤続20〜24年で1,021万円、勤続35年以上で2,037万円。勤続年数でほぼ2倍に開く。
安全については労働災害の記事で扱った。群馬の度数率1.68は全国2.14を下回り47都道府県中37位。ただし労災保険の給付件数は1,000人当たり72.7件で、全国65.0件より11.8%多い。
理由は調べている範囲の違いにある。度数率は事業所規模100人以上が対象で、労災保険は全規模である。
気になる点
待遇では説明がつかない流出
若年層の記事で示したとおり、20〜24歳の非正規比率は前橋29.3%で全国40.4%を11.1ポイント下回る。25〜29歳も17.6%で全国20.5%より低い。
賃金の差も年28.6万円にとどまる。正規雇用の入口は、全国より広い。
それでも20〜24歳だけが486人の転出超過である。待遇では説明がつかない。
手がかりは大学の記事にある。群馬の高校を出て大学に進んだ8,867人のうち、県内進学は34.6%で全国43.8%を9.2ポイント下回る。県外に出た5,802人の73.7%が首都圏に向かっていた。
職種の幅
情報通信業の特化係数0.532は全国の半分ほど。求人も3年で30.3%減った。
同じ期間に高崎は6.0%減にとどまる。県計に占めるシェアは高崎が37.6%から47.0%へ上がり、前橋は28.8%から26.7%へ下がった。
新規求人でも情報通信業は1.1%。この分野で働きたい人にとって、選択肢は多くない。
新しく始まらない
事業所の新設率20.9%は全国より2.4ポイント低い。廃業率は全国より低いのに、事業所は5年で5.5%減った。
同じ方向を、設備投資の記事と建築物の記事も示している。設備投資は売上比2.06%で5市最下位、事業用の着工は1人当たりで太田の28%。
ただし別々の統計であり、同じ現象を数えたものではない。
まとめ
| 項目 | 数字 | 読み方 |
|---|---|---|
| 有効求人倍率 | 県内7〜10位 | 12か月すべて県平均以下 |
| 20〜24歳の年収差 | 東京と28.6万円 | 年齢計では183.5万円 |
| 50〜54歳の月額差 | 14.6万円 | 20代前半は3.1万円 |
| 非正規比率(20代前半) | 29.3% | 全国より11.1pt低い |
| 労働時間 | 月137.6時間 | 残業ではなく出勤日数 |
| テレワーク | 11.4% | 全国の0.60倍 |
| 副業 | 5.48% | 全国を上回り県内最高 |
| 退職金がある企業 | 74.9% | 規模で20pt差 |
| 20〜24歳の転出超過 | −486人 | 待遇では説明がつかない |
入口の条件は悪くない。非正規比率は全国より低く、賃金の差も20代前半では小さい。通勤は短く、副業もしやすい。
ただし、その後の傾きが違う。年齢が上がるほど差が開き、職種の幅も限られる。そして新しく始まる事業所が少ない。
全記事を横断した整理は5つの構造、暮らし全般は住みやすさのページにまとめている。
このページの限界
- このページに新しいデータはない。すべて既存の記事で示した数値で、出典と算出の方法は各記事で確認できる。
- 個別の求人や企業の情報は扱っていない。この記事の数字は市全体や県全体の平均である。
- 賃金構造基本統計調査は都道府県単位までの集計で、前橋市単独の賃金は公表されていない。「群馬県」の数値は前橋市の実態と完全に一致するものではない。
- 有効求人倍率は安定所別で、前橋安定所の管轄は前橋市と一致しない場合がある。
- 産業別の有効求人倍率は公表されていない。この記事の産業別は新規求人の構成比である。
- 年次が揃っていない。2020年の国勢調査、2022年の就業構造基本調査、2025年の求人データなど、調査によって時点が異なる。
- 賃金には年収換算(賞与を含む)と月額(賞与を除く)の2種類がある。20〜24歳の差は年収で28.6万円、月額で3.1万円と見え方が変わる。
- 職業別の求人は、群馬労働局の月報に区分がなく取得できない。
- 群馬の離職率は、雇用動向調査で隣接県と11ポイントの差が出るなど標本の振れが大きく、この記事では扱っていない。
Q&A
前橋の平均年収はいくらですか
市単位の平均年収は公表されていません。群馬県の年収換算は494.5万円(2025年、一般労働者・企業規模10人以上)です。市単位で取れるのは課税対象所得で、前橋市は納税義務者1人当たり375万9,500円。これは控除後の額で、年収とは別の指標です。
前橋は仕事が少ないのですか
有効求人倍率は県内12安定所中7〜10位で、12か月すべて県平均を下回りました。ただし求職者数は高崎とほぼ同じで、求人数だけが1.43倍の差です。出た求人が埋まる割合は前橋のほうが高くなっています。
IT系の仕事はありますか
新規求人に占める情報通信業は1.1%です。就業者の特化係数も0.532で全国の半分ほど。求人は3年で30.3%減り、同じ期間に高崎は6.0%減にとどまりました。
東京から移ると収入は下がりますか
年代によります。20〜24歳では年28.6万円で、19歳以下の差も小さいままです。ただし年齢計では183.5万円の差です(2025年)。世帯の可処分所得で見ると月3,633円しか違わず、消費支出を引くと前橋のほうが年14.5万円多く残ります。
具体的な求人を探すには
当サイトでは扱っていません。公的な求人情報はハローワークインターネットサービスで検索できます。
このページは更新されますか
元になる記事が更新されれば、あわせて見直します。就業構造基本調査は5年ごと、賃金構造基本統計調査は毎年公表されます。
出典
このページで参照した数値の出典は、リンク先の各記事に記載しています。主な調査は次のとおりです。
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」「毎月勤労統計調査」「就労条件総合調査」/群馬労働局「労働市場月報」
- 総務省「国勢調査」「就業構造基本調査」「経済センサス」「社会・人口統計体系」「全国家計構造調査」「市町村税課税状況等の調」
- 文部科学省「学校基本調査」
更新履歴
- 2026年9月15日 公開
