前橋の生活コスト|群馬の物価は全国最低、賃金差との差し引きで見る【2025年版】

前橋市の物価は、全国の主要52都市で最も低い水準です(2025年)。
では東京と比べて、生活はどれだけ楽になるのか。総務省の統計から確かめました。

結論

前橋市の消費者物価地域差指数は総合96.5で、52都市中52位(最も低い)だった。食料は95.5で51位、最も低いのは長野市の95.3。

東京都区部(105.3)との差は総合で9.1%。ただし住居に限ると、群馬県89.5に対し東京都129.8で1.45倍の開きがある。

生活コストが一律に安いわけではない。群馬県が全国平均を上回る費目は光熱・水道(103.0)のみだった。

対象範囲

総務省統計局「小売物価統計調査(構造編)」の2025年(令和7年)結果を使用しました。
公表は2026年9月18日で、本記事の更新時点における最新の結果です。2024年の値は比較のために残しています。

消費者物価地域差指数は、全国の物価水準を100とした場合の各地域の水準を示す相対値です。
ある地域の物価が前年から上がったか下がったかを示すものではありません。

総合および住居は、持家の帰属家賃を含みません。
また、前橋市単独で公表されているのは総合・家賃を除く総合・食料の3項目のみで、10大費目の内訳は都道府県単位までしか公表されていません。
本記事では、市の数値と県の数値を都度明記して区別します。

前橋市の物価水準

52都市の消費者物価地域差指数(総合、2025年)。前橋市96.5が最も低く、東京都区部105.3が最も高い
消費者物価地域差指数(2025年)
消費者物価地域差指数(総合) 96.5 52都市中52位(最も低い)
東京都区部との差 9.1% 東京都区部は105.3
住居だけで見ると 1.45倍 群馬89.5/東京129.8
都市総合家賃を除く総合食料
東京都区部105.3102.7103.6
横浜市103.8103.1103.2
川崎市103.7102.3102.1
青森市97.297.698.2
鹿児島市96.697.199.4
前橋市96.596.995.5

調査対象は都道府県庁所在市と政令指定都市を合わせた52都市です。
前橋市の総合は96.5で、52都市で最も低くなりました。次は鹿児島市の96.6です。2024年は96.7で、鹿児島市の96.5に次ぐ51位でした。

食料は95.5で、52都市の51位です。
最も低いのは長野市の95.3でした。2024年は前橋の96.5が最も低く、長野市96.6、水戸市96.9が続いていました。

東京都区部との差は、総合で9.1%、食料で8.5%です。

52都市の総合を、低い順にすべて並べる。

順位(低い順)都市総合家賃を除く総合食料
1前橋市96.596.995.5
2鹿児島市96.697.199.4
3青森市97.297.698.2
4長野市97.598.095.3
5大津市97.898.497.4
5和歌山市97.898.798.5
7岐阜市98.098.597.8
7津市98.098.298.0
7岡山市98.098.3101.3
7浜松市98.098.798.1
11佐賀市98.199.299.2
11大分市98.199.199.3
13宇都宮市98.398.599.3
13新潟市98.398.698.6
13奈良市98.398.397.7
16水戸市98.498.997.6
17鳥取市98.599.3101.4
18秋田市98.799.199.3
18北九州市98.799.5101.3
20富山市98.899.2102.0
20名古屋市98.898.798.0
22徳島市98.999.8102.3
22宮崎市98.999.6100.3
24福井市99.199.4102.1
24広島市99.199.5102.3
26甲府市99.299.5100.2
27神戸市99.399.299.5
27松山市99.3100.1100.6
27福岡市99.399.599.6
30金沢市99.6100.2102.3
31盛岡市99.7100.299.7
31山口市99.7100.6103.6
31高松市99.7100.1101.6
31堺市99.799.798.8
35静岡市99.8100.099.1
35高知市99.8100.9102.1
35熊本市99.8100.5102.9
38松江市100.0100.8103.7
39福島市100.2100.7101.1
39長崎市100.2100.6102.1
41山形市100.3100.8101.8
42仙台市100.4100.4100.0
43千葉市100.5100.799.8
44大阪市100.6100.0100.4
45京都市101.1100.8101.1
45那覇市101.1101.8107.0
47さいたま市101.2100.798.5
48札幌市102.1102.7103.3
49相模原市102.3102.1102.8
50川崎市103.7102.3102.1
51横浜市103.8103.1103.2
52東京都区部105.3102.7103.6

全国平均を100とした指数である。同じ値の都市は同じ順位とした。

費目別に見るとどこが安いか

群馬県と東京都の10大費目別消費者物価地域差指数(2025年)。住居は群馬89.5・東京129.8、光熱・水道は群馬103.0が東京93.7を上回る
費目群馬県全国順位東京都
総合96.247位104.2
食料95.546位102.9
住居89.530位129.8
光熱・水道103.020位93.7
家具・家事用品93.346位101.2
被服及び履物97.333位103.8
保健医療97.945位101.7
交通・通信98.241位103.5
教育87.739位102.3
教養娯楽97.121位105.6
諸雑費97.436位100.3

ここからは都道府県単位の数値です。
群馬県の総合は96.2で47都道府県の最下位(2年連続)、東京都は104.2で13年連続の首位でした。

群馬県で全国平均の100を上回る費目は、光熱・水道の103.0だけです。
最も低いのは教育の87.7で、全国39位でした(2024年は80.1で46位)。

東京都との差が最も大きいのは住居です。
群馬県89.5に対し東京都129.8で、1.45倍の開きがあります。
総合では1.08倍ですから、住居だけが突出していることになります。

差はどの費目から生じているか

群馬県の総合96.2という水準が、全国平均の100とどれだけ離れているか。
その差マイナス3.8を費目ごとに分解したものが寄与度です。

費目寄与度
食料−1.40
住居−0.72
教育−0.62
家具・家事用品−0.33
交通・通信−0.31
教養娯楽−0.31
諸雑費−0.18
保健医療−0.12
被服及び履物−0.10
光熱・水道+0.24

最も大きいのは食料の−1.40で、住居の−0.72、教育の−0.62が続きます(2024年は食料、教育、住居の順)。
指数そのものは住居のほうが低いのですが、家計に占める比重は食料のほうが大きいため、寄与度では食料が上回ります。

プラスに寄与しているのは光熱・水道の+0.24のみでした。

賃金との差し引き

当サイトの賃金の記事で確認したとおり、群馬と東京の20〜24歳の月収差は3万900円、年収換算で約28万6,000円でした(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2025年)。

一方、物価差は総合で9.1%です(前橋市と東京都区部、2025年)。

この2つは調査年も単位も異なるため、単純に差し引きすることはできません。
ここでは並べて示すにとどめます。前橋への移住を考える人向けの支援は、前橋市の支援メニューのページにまとまっています。

この数字をどう読むか

ここからは解釈です。

総合指数は、全世帯の平均的な支出構成をもとに算出されています。
単身の賃借世帯は住居費の比重が平均より大きいため、総合の9.1%という差は、若い単身者にとっての実際の差を過小評価している可能性があります。
住居だけを見れば、群馬と東京には1.45倍の開きがあります。

逆に、持家に住む世帯では住居費の差はほとんど効きません。
この指数は家賃のみを対象とし、持家の帰属家賃を含まないためです。
同じ地域差でも、賃借か持家かで受け取る意味が変わります。

また、群馬の光熱・水道は103.0で全国平均を上回ります。
安いのは食料と教育であって、生活コストが一律に低いわけではありません。

当サイトの人口の記事で確認したとおり、前橋が転出超過となっているのは20〜24歳のみでした。
賃金と物価の差し引きだけでは、この年代に限って流出が起きる理由を説明できません。
求人の記事で示した職種の幅、進学先の所在地、生活の選択肢など、金額に還元されない要因を併せて見る必要があります。

世帯単位で見ると、別の形が出ます。
東京との比較の記事では、個人の年収は東京が183.5万円高いのに、世帯の可処分所得は月3,633円しか違いませんでした。有業人員が前橋1.97人・東京1.87人だからです。消費支出を差し引くと、前橋のほうが年14.5万円多く残ります。

ただし支出の中身は違います。車と交通費の記事では、交通・通信費の差14,553円のうち98.7%が自動車関係でした。家計収支の記事では、前橋の消費支出325,546円が全国301,797円を上回っています。

光熱・水道については上下水道の記事で扱いました。前橋の水道料は東京都区部の1.30倍ですが、調査対象95市の平均とはほぼ同じです。

暮らし全体の数字は住みやすさのページにまとめています。持ち家率68.6%、東京との年収差183.5万円に対し、世帯の手取りは月3,633円しか違いません。

このデータの限界

  • 調査品目は57品目58銘柄で、家計支出のすべてを網羅しているわけではありません。また調査は奇数月に実施されています。
  • 自動車の保有率は指数に反映されません。地方では自動車の保有が前提となる場面が多いものの、その保有コストの差はこの統計からは読み取れません。
  • 高崎市との比較はできません。調査対象が都道府県庁所在市と政令指定都市に限られるためです。
  • 消費者物価地域差指数は、全国の物価水準を100とした相対値です。ある地域の物価が前年から上がったか下がったかを示すものではありません。
  • 総合および住居は、持家の帰属家賃を含みません。
  • 前橋市単独で公表されているのは総合・家賃を除く総合・食料の3項目のみで、10大費目の内訳は都道府県単位までしか公表されていません。
  • 2025年結果の公表は2026年9月18日で、本記事の更新時点における最新の結果です。

よくある誤解

「物価が安いから生活が楽」

賃金水準と併せて見なければ成立しません。物価が低い地域は、賃金も低い傾向があります。

「地方は車がないと生活できないから結局高くつく」

この統計だけでは検証できません。指数は各品目の価格を比較したものであり、保有率や利用頻度の差を含まないためです。

「指数が下がったから物価が下がった」

そうではありません。これは全国平均に対する相対的な位置を示す数値です。

Q&A

前橋市の数字と群馬県の数字が混在しているのはなぜですか

10大費目の内訳が都道府県単位でしか公表されていないためです。
市単位で公表されているのは総合・家賃を除く総合・食料の3項目のみです。

去年と比べて物価は上がりましたか

この指数では分かりません。
全国平均に対する相対的な位置を示すものであり、時系列の変動を見るには消費者物価指数(動向編)が必要です。

高崎市との比較はできますか

できません。
調査対象は都道府県庁所在市と政令指定都市に限られるため、高崎市の数値は公表されていません。

出典

  • 総務省統計局「小売物価統計調査(構造編)」2025年(令和7年)結果(別表1、別表2、別表3)、2024年(令和6年)結果
  • 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和7年 一般労働者 都道府県別第1表(2025年)

データダウンロード

本記事で使用したデータは、CSVでご自由にダウンロードいただけます。ライセンスはCC BY 4.0です。

Noデータ名出典ダウンロード
⑪52都市の消費者物価地域差指数
(総合・家賃を除く総合・食料、2025年)
総務省統計局「小売物価統計調査(構造編)」2025年結果CSVを保存
⑫群馬県・東京都の10大費目別指数と寄与度
(2025年)
総務省統計局「小売物価統計調査(構造編)」2025年結果CSVを保存

更新履歴

2026年9月24日 2025年の小売物価統計調査に更新
2026年9月22日 一覧表と公式ページへのリンクを追加
2026年9月21日 限界と誤解を整理
2026年8月26日 公開