このページについて
- 中国の古い兵法書『孫子』の全13篇から一節ずつを選び、前橋の数字と重ねて読む読み物(コラム)です。
- 「戦い」を、ほかの市と争う話としては読みません。「戦わずして勝つ」「強みを生かす」「連携する」ためのヒントとして読みます。
- 数字はすべて当サイトの記事の値です。各章の「地域創生に活かすなら」は当サイトの意見で、事実とは分けて書いています。
兵法書の一節を手がかりに、前橋の数字を読み直すコラムです。テーマごとの提言7本(一覧)とは別に置いています。
- 案内役のソンシ君
- 第一章 計篇|まず「いま」を、数字で確かめる
- 第二章 作戦篇|長引かせず、小さく早く試す
- 第三章 謀攻篇|戦わずして勝つ。彼を知り、己を知る
- 第四章 形篇|先に「勝てる形」を整える
- 第五章 勢篇|一人に頼らず、流れ(勢い)をつくる
- 第六章 虚実篇|自分の得意なところで、主導権を持つ
- 第七章 軍争篇|回り道を、近道に変える
- 第八章 九変篇|良い面と悪い面を、両方見る
- 第九章 行軍篇|数の多さより、生かし方
- 第十章 地形篇|天を知り、地を知る
- 第十一章 九地篇|首と尾が助け合う(連携)
- 第十二章 火攻篇|感情で動かず、数字で備える
- 第十三章 用間篇|「先に知る」ことが、成果を生む
- 提言7本へ
- 出典と、このページの決まり
- 更新履歴
案内役のソンシ君
ソンシ君は、このページの案内役です。『孫子』の言葉を、落ち着いた先生のように、ていねいに説明してくれます。
ソンシ君はじめまして、ソンシ君です。『孫子』の13の篇から、前橋に役立ちそうな一節を一つずつご案内します。
ラボよろしくお願いします。数字は当サイトの記事から、私が出しますね。
第一章 計篇|まず「いま」を、数字で確かめる
兵とは国の大事なり。死生の地、存亡の道、察せざるべからず。
原文:兵者,國之大事,死生之地,存亡之道,不可不察也。
意味(当サイトの言葉で):戦いは国にとっての大ごとで、人の暮らしと国の行く末にかかわる。だから、よく調べ、よく考えなければならない。
ソンシ君孫子は、いちばん最初の篇で「まず、よく調べなさい」と説いています。
セセラ前橋の人口は、2050年に271,548人になる推計だいね。
ラボ2020年の332,149人からの減り方は、主要4市のなかで最も速いとされています。
ソンシ君変化の大きさが分かれば、備え方を考えられます。
前橋の数字
前橋市の総人口は、2020年の332,149人から2050年に271,548人になる推計です(将来人口の記事)。主要4市のなかで、前橋の減り方が最も速いとされています。
地域創生に活かすなら(当サイトの意見)
計画や事業を考える前に、変化の大きさを市民と同じ数字で共有することが出発点になります。推計は実績ではないので、毎年の人口と見比べて確かめ続けることも大切です。
第二章 作戦篇|長引かせず、小さく早く試す
兵は拙速を聞くも、未だ巧の久しきを睹ざるなり。
原文:故兵聞拙速,未睹巧之久也。
意味(当サイトの言葉で):多少ぎこちなくても早く終えてうまくいった例は聞くが、上手に長引かせてうまくいった例は見たことがない。長い戦いは、それだけで費用がかさむ。
ソンシ君長い戦いは、お金と力をすり減らします。孫子はそれをとても気にしていました。
ベニ前橋の将来負担比率は55.5%で、県内5市で最も高いんさ。
ラボ財政力指数は0.77です。大きな事業を長く続ける前に、効果を確かめたいところです。
ソンシ君小さく始めて、早く確かめる。それが拙速の教えです。
前橋の数字
前橋市の財政力指数は0.77(2024年度)、将来負担比率は55.5%で県内5市で最も高い値です(財政の記事)。
地域創生に活かすなら(当サイトの意見)
大きな事業を長く続ける前に、小さく試して早く効果を確かめる進め方が向いています。効果が確かめられたものから広げれば、将来の負担を増やしにくくなります。
第三章 謀攻篇|戦わずして勝つ。彼を知り、己を知る
百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり。
原文:是故百戰百勝,非善之善者也;不戰而屈人之兵,善之善者也。
意味(当サイトの言葉で):百回戦って百回勝つのが最善なのではない。戦わずに目的を果たすのが、最もよいやり方である。孫子は同じ篇で「彼を知り己を知れば、百戦して殆うからず」とも説く。相手と自分の両方をよく知っていれば、危うくならない。
ソンシ君戦わずに済むなら、それがいちばんです。そのためには、相手と自分をよく知ることです。
コガネ求人の数は、高崎が前橋の約1.43倍あるのかい。
ラボ一方で、人口10万人当たりの医師数は、前橋が高崎の1.98倍です。
コガネ得意なことが違うなら、取り合わずに役割を分けられるね。
ソンシ君そのとおりです。勝ち負けより、生かし合いです。
前橋の数字
人口10万人当たりの医師数は前橋市497.7人で、高崎市250.8人の1.98倍です。一方、求人の数は高崎が前橋の約1.43倍あります(前橋と高崎を25の数字で比べた記事)。
地域創生に活かすなら(当サイトの意見)
強みが違う隣どうしは、同じものを取り合うより、役割を分けたほうが互いに得をします。医療は前橋、働く場の多さは高崎、というように、得意な分野を生かし合う関係が考えられます。
第四章 形篇|先に「勝てる形」を整える
勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝ちを求む。
原文:是故勝兵先勝而後求戰,敗兵先戰而後求勝。
意味(当サイトの言葉で):うまくいく側は、先に勝てる条件を整えてから動く。うまくいかない側は、先に動いてから勝ち方を探す。
ソンシ君勝てる形を先につくる。準備で勝負の半分は決まります。
ミネ住宅地は1㎡当たり51,537円で、高崎の58,327円より手ごろなんだんべ。
ラボ通勤30分未満の人も61.5%で、全国の50.4%を上回ります。
ソンシ君住まいと通勤という土台は、もう整っているのですね。
前橋の数字
前橋市の住宅地の平均価格は1㎡当たり51,537円で、高崎市は58,327円です(地価の記事)。通勤30分未満の人の割合は61.5%で、全国50.4%を上回ります(働き方の記事)。
地域創生に活かすなら(当サイトの意見)
「住まいが手ごろ」「通勤が短い」という土台を、移り住む人や働く人に伝わる形に整えてから呼びかけると、呼びかけの効果が上がると考えます。
第五章 勢篇|一人に頼らず、流れ(勢い)をつくる
善く戦う者は、之を勢に求めて、人に責めず。
原文:故善戰者,求之於勢,不責於人。
意味(当サイトの言葉で):上手な人は、一人ひとりの頑張りに頼るのではなく、全体の流れや仕組みによって成果を出そうとする。
ソンシ君人を責めるより、流れをつくる。これが勢いの使い方です。
ロゼ観光で来る人は1,056万人で、県内1位なん?
ラボはい。ただし宿泊した人は6.5%で、日帰りが中心です。
ロゼ泊まりたくなる流れをつくれたら、いいじゃん!
前橋の数字
2024年の前橋市の観光入込客数は1,056万人で県内1位です。ただし宿泊した人は6.5%で、日帰りが中心です(観光の記事)。
地域創生に活かすなら(当サイトの意見)
訪れる流れはすでにあります。行事と宿、食事や買い物をつなぎ、「もう一泊」「もう一度」につながる流れを仕組みでつくることが考えられます。
第六章 虚実篇|自分の得意なところで、主導権を持つ
善く戦う者は、人を致して人に致されず。
原文:故善戰者,致人而不致於人。
意味(当サイトの言葉で):上手な人は、自分のペースで相手を動かし、相手のペースに振り回されない。
ソンシ君自分の得意な場所で動けば、主導権を持てます。
セセラ昼夜間人口比率は104.0で、高崎の101.6を上回るんだいね。
ラボ市外との出入りを差し引いた純流入は、前橋12,496人、高崎4,810人です。
ソンシ君人が集まる力は、前橋の得意なところですね。
前橋の数字
前橋市の昼夜間人口比率は104.0で、高崎市の101.6を上回ります。市外との出入りを差し引いた純流入は前橋12,496人、高崎4,810人です(昼夜間人口の記事)。
地域創生に活かすなら(当サイトの意見)
人が集まる理由(働く場、医療、県庁など)を自分たちの強みとして自覚し、その分野で前橋が先に動くことで、周りの市町村とも良い関係をつくれると考えます。
第七章 軍争篇|回り道を、近道に変える
迂を以て直と為し、患を以て利と為す。
原文:以迂為直,以患為利。
意味(当サイトの言葉で):遠回りに見える道を近道に変え、不利に見えることを利点に変える。
ソンシ君遠回りに見えても、続けた先で近道になることがあります。
ミネまちなかの人通りは、ここ数年でどう変わったんだんべ?
ラボ中心市街地の休日の通行量は、令和3年度の8,517人から、令和7年度は15,110人に増えました。
ミネ1.8倍になったんだね!続けた分だけ、ちゃんと変わってきたんだ。
ソンシ君測り続けることが、続ける力になります。
前橋の数字
中心市街地12地点の休日の通行量は、令和7年度に15,110人で、令和3年度の8,517人から1.8倍に増えました(商店街の記事)。
地域創生に活かすなら(当サイトの意見)
まちなかの取り組みは時間がかかりますが、続けた結果は数字に表れています。すぐに成果が見えない取り組みも、測り続けて途中の変化を示すことが続ける力になります。
第八章 九変篇|良い面と悪い面を、両方見る
智者の慮は、必ず利害に雑う。
原文:是故智者之慮,必雜於利害。
意味(当サイトの言葉で):賢い人は考えるとき、必ず得になる面と損になる面の両方を合わせて考える。
ソンシ君一つの数字にも、利と害の両面があります。
ベニ空き家率は15.2%で、高崎の13.9%より高いんさ!
ラボただ、前橋の空き家の58.1%は賃貸用です。賃貸・売却用などを除くと、前橋5.3%、高崎7.1%で逆転します。
ベニ借りられる部屋が、なから多いって見方もできるね。
ソンシ君利と害を合わせて考える。まさに智者の考え方です。
前橋の数字
前橋市の空き家率は15.2%で、高崎市の13.9%より高い値です。ただし賃貸・売却用と二次的住宅を除くと前橋5.3%、高崎7.1%で逆転し、前橋の空き家の58.1%は賃貸用です(空き家の記事)。
地域創生に活かすなら(当サイトの意見)
空き家が多いことは、借りられる部屋が多いということでもあります。移り住む人や若い人の住まいの選択肢として生かす見方ができます。
第九章 行軍篇|数の多さより、生かし方
兵非益多也。
原文(書き下しは、言い回しが本によって違うため載せていない)
意味(当サイトの言葉で):兵は、数が多ければよいというものではない(この一節は書き下しの言い回しが本によって違うため、原文と意味だけを載せた)。
ソンシ君数が多いことと、うまく使えていることは別のことです。
コガネ前橋の図書館は18館もあるのに、1人当たりの貸出は高崎とほぼ同じなのかい?
ラボ前橋5.05点、高崎5.12点です。
コガネまずは近くの図書館を、もっと使ってみようかな。
ソンシ君生かし方を考えることが、いちばんの近道です。
前橋の数字
前橋市の図書館は18館で、高崎市の6館より多い一方、1人当たりの貸出は前橋5.05点、高崎5.12点でほぼ同じです(図書館の記事)。
地域創生に活かすなら(当サイトの意見)
施設の数を増やすより、今ある施設を知ってもらい、使いやすくすることに力を向けるのがよいと考えます。
第十章 地形篇|天を知り、地を知る
彼を知り己を知れば、勝乃ち殆うからず。天を知り地を知れば、勝乃ち全うすべし。
原文:知彼知己,勝乃不殆;知天知地,勝乃可全。
意味(当サイトの言葉で):相手と自分を知っていれば危うくならない。さらに天候と土地をよく知っていれば、成果は確かなものになる。
ソンシ君土地をよく知ることも、大事な準備です。
ミネ前橋は、総面積の76.6%が住める土地なんだんべ。
ラボ可住地面積は238.67km²です。この割合は、全国の33.0%の2.3倍にあたります。
ソンシ君地の利を知れば、まちの形も考えやすくなります。
前橋の数字
前橋市の可住地面積は238.67km²で、総面積311.59km²の76.6%を占め、全国の33.0%の2.3倍にあたります(土地の記事)。
地域創生に活かすなら(当サイトの意見)
平らで住める土地が多いことは、暮らしの場をまとまりよく配置しやすい条件です。土地の使い方を考えるときの土台として生かせます。
第十一章 九地篇|首と尾が助け合う(連携)
善く兵を用うる者は、譬えば率然の如し。率然とは常山の蛇なり。其の首を撃てば則ち尾至り、其の尾を撃てば則ち首至り、其の中を撃てば則ち首尾倶に至る。
原文:故善用兵者,譬如率然。率然者,常山之蛇也。擊其首則尾至,擊其尾則首至,擊其中則首尾俱至。
意味(当サイトの言葉で):上手な人の組織は、常山にすむという蛇「率然」のようだ。頭に何かあれば尾が、尾に何かあれば頭が、まん中に何かあれば頭と尾の両方が、すぐに助けに来る。
ソンシ君一部が困れば、ほかの部分がすぐ助ける。これが強い組織の形です。
セセラ市外から来る人は、前橋64,951人、高崎65,713人。ちっとんべしか違わないんだいね。
ラボ前橋と高崎、周りの町は、毎日の通勤で一つにつながっています。
ソンシ君首と尾のように、助け合える間がらですね。
前橋の数字
通勤・通学で市外から入ってくる人は、前橋64,951人、高崎65,713人でほぼ同じです(昼夜間人口の記事)。
地域創生に活かすなら(当サイトの意見)
前橋と高崎、周りの市町村は、一つの通勤圏でつながっています。交通・観光・医療などで、首と尾のように助け合う連携が考えられます。
第十二章 火攻篇|感情で動かず、数字で備える
主は怒りを以て師を興すべからず。将は慍りを以て戦いを致すべからず。
原文:主不可以怒而興師,將不可以慍而致戰。
意味(当サイトの言葉で):上に立つ人は、怒りにまかせて大きな行動を起こしてはならない。感情ではなく、冷静な判断で動くべきだ。
ソンシ君火の篇ですから、前橋の「暑さ」の数字も見ておきましょう。
ロゼ猛暑日は、2021〜25年に年平均31.6日なん?
ラボ1961〜70年は年平均2.6日でした。
ロゼ夏の行事は、暑さを前提に考えないとね。
ソンシ君感情ではなく、数字で備える。火攻篇の教えに通じます。
前橋の数字
前橋の猛暑日は、1961〜70年は年平均2.6日でしたが、2021〜25年は年平均31.6日になりました(気候の記事)。
地域創生に活かすなら(当サイトの意見)
暑さのような変化には、感情ではなく数字で備えることが大切です。猛暑日の増え方を前提に、暑さ対策や行事の時期を考えることができます。
第十三章 用間篇|「先に知る」ことが、成果を生む
明君賢将の動きて人に勝ち、成功衆に出づる所以の者は、先知なり。
原文:故明君賢將,所以動而勝人,成功出於眾者,先知也。
意味(当サイトの言葉で):すぐれた君主や将軍が人に先んじて成果を上げられるのは、先に知っているからである。
ソンシ君最後の篇の教えは「先に知る」ことです。情報が成果を生みます。
コガネ当サイトの配布データは148件あるんだね。
ラボ記事で使ったデータは、CSVで誰でもダウンロードできます。
コガネみんなで同じ数字を見れば、話し合いも早いね。
ソンシ君そのとおりです。先に知る人が増えれば、まちは強くなります。
前橋の数字
前橋データラボは、記事で使ったデータをCSVで公開しています。配布データは全148件です(データダウンロードのページ)。
地域創生に活かすなら(当サイトの意見)
数字を一部の人だけが持つのではなく、市民・事業者・行政が同じ数字を先に知ることで、話し合いや取り組みが早く進むと考えます。
提言7本へ
ここまでのヒントを、具体的な課題にあてはめたのが「前橋のこれから」の提言です。それぞれ、事実と公表資料を確かめたうえで、当サイトの意見を示しています。
- 若い人が残れる仕事と学び|20〜24歳の転出超過486人から考える【提言】
- 車に頼れない高齢者の移動|前橋の通勤・通学でバスは1.3%【提言】
- 中心市街地と住まいのまとまり|市街地の密度は全国の63%【提言】
- 泊まってもらう観光|前橋で宿泊した人は6.5%から考える【提言】
- 橋・水道・公共施設の持ち方|築50年超の橋は20年後に80.7%【提言】
- 子どもを産み育てやすい環境|出生数は16年で41.3%減【提言】
- 介護の担い手|支える世代が28.4%減る前橋で考える【提言】
出典と、このページの決まり
- 『孫子』(中国・春秋時代の兵法書)。原文は古典で、自由に使えます。書き下し文は一般に知られている形を載せ、言い回しが本によって違う一節は原文と意味だけにしました。
- 「意味」は当サイトの言葉で書いたもので、市販の本の現代語訳ではありません。篇の名前は一般的な十三篇の名前です。
- 前橋の数字は、各章のリンク先の記事の本文の値です。年と対象は元の記事のとおりです。
- 「地域創生に活かすなら」は当サイト(前橋データラボ)の意見です。ほかの市を相手に争うことをすすめるものではありません。
更新履歴
- 2026年10月12日 公開
