持ち家の記事で、前橋の持ち家率68.6%が全国60.9%を上回ることを示した。公共交通の記事では、通勤・通学の76.4%が自家用車だった。
これらは土地が使えることを前提にしている。その土地は、どう広がっているのか。
前橋の人口集中地区は47.56km²で県内5市で最も広い。
ところがそこに住む人は197,520人で高崎に次ぐ2位。密度は4,153人/km²で全国6,663人の62%である。
市街地は広く、人は薄く住んでいる。
対象範囲
人口集中地区(DID)は国勢調査による区分である。人口密度4,000人/km²以上の調査区が隣接し、人口が5,000人以上になる地域を指す。行政の区分ではなく、実際の人口分布から機械的に決まる。
市街化区域と市街化調整区域は都市計画法による区分である。市街化区域は市街化を進める区域、調整区域は市街化を抑える区域。もとの調査は国土交通省「都市計画現況調査」で、社会・人口統計体系を通じて市区町村別に取得した。
この2つは別の区分である。DIDは実態、市街化区域は計画であり、範囲も一致しない。
DIDは2020年国勢調査、面積は2023年の値である。年次が3年ずれる。人口密度は当サイトが算出した。
市街化区域のデータは2005年から19年分、市街化調整区域は1985年から39年分ある。比較対象の5市はいずれも線引き都市計画区域である。
市街地は広いが、住んでいる人は多くない

前橋市の人口集中地区は47.56km²。高崎46.46km²、伊勢崎29.22km²、太田25.06km²、桐生22.52km²で、5市で最も広い。
ところが、そこに住む人は197,520人。高崎201,755人に次ぐ2位である。
面積では1位、人口では2位。密度に差があることになる。
総人口に占める割合では59.5%。県内では桐生63.6%に次ぐ2位だが、全国70.0%は10.5ポイント下回る。
市街地の密度は全国の62%

前橋の人口集中地区の密度は4,153人/km²。全国6,663人の62%である。
県内では高崎4,343人に次ぐ2位。群馬県全体は3,773人なので、それは上回る。
桐生3,008人、太田3,542人、伊勢崎3,654人。5市はいずれも全国を大きく下回る。
市街化区域で見ても同じ傾向になる。人口を市街化区域の面積で割ると前橋6,699人/km²で、全国8,681人の77%である。
調整区域は市街化区域の1.96倍

前橋市の市街化区域は4,979ha、市街化調整区域は9,755ha。調整区域は市街化区域の1.96倍である。
5市では桐生3.53倍、太田2.33倍が上にいる。高崎1.62倍、伊勢崎1.91倍が下である。
前橋1.96倍は群馬県2.52倍、全国2.58倍を下回る。相対的に市街化区域の割合が高い。
境界は少しずつ動いている
市街化調整区域は1985年の10,457haから2023年の9,755haへ。38年で702ha減った。6.7%の減少である。
市街化区域は2005年の4,833haから2023年の4,979haへ。18年で146ha増えている。
調整区域が減り、市街化区域が増える。市街化を進める範囲が、少しずつ広がってきた。
この数字をどう読むか
ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。
広く薄いことの意味
市街地が広く、密度が低い。これは住む側には有利に働く。
住まいの記事で、前橋の持ち家が1住宅当たり124.97㎡で全国118.25㎡を上回ることを示した。地価の記事では、住宅地が43年前より30%安い水準だった。
土地が使えるから、広い家が建つ。
ただし同じことが、別の数字にも表れる。公共交通の記事で、通勤・通学の76.4%が自家用車であることを示した。乗合バスは3.3%から1.3%へ6割減っている。
密度が低ければ、バスの路線は成り立ちにくい。ただし因果関係はこの統計からは確かめられない。
高崎との違い
前橋のDID面積47.56km²に対し高崎46.46km²。ほぼ同じである。
ところが人口は前橋197,520人、高崎201,755人。高崎のほうが4,235人多い。総人口は高崎372,973人、前橋332,149人で40,824人の差があるので、市街地に限れば差は縮まる。
市街化区域では高崎5,203ha、前橋4,979ha。調整区域との比率は高崎1.62倍、前橋1.96倍。
地価の記事で、商業地の地価が高崎137,157円・前橋70,135円で1.96倍の差があることを示した。市街地の広さは同じでも、その中の使われ方が違う。
これから人口が減ると
将来人口の記事で、2050年に人口が18.2%減る推計を示した。332,149人から271,548人へ。
市街地の面積が変わらず、人口集中地区の人口も同じ割合で減るとすれば、密度は4,153人/km²から3,397人まで下がる計算になる。ただし人口減が市街地と郊外のどちらで起きるかで結果は変わる。
小学校の記事では、旧町村部の児童の減り方が旧市域の2.6倍だった。減り方に地域差がある。
上下水道の記事で、水道管の更新に159年かかることを示した。広く薄い市街地は、1人当たりのインフラの負担も大きくなる。
このデータの限界
- 人口密度と比率は当サイトが算出した。公表値ではない。
- 人口集中地区は2020年国勢調査、市街化区域と調整区域の面積は2023年で、年次が3年ずれる。
- 人口集中地区と市街化区域は別の区分である。DIDは実際の人口分布から機械的に決まり、市街化区域は都市計画で定める。範囲は一致しない。
- 市街化区域の人口密度は、総人口を市街化区域の面積で割ったものである。実際には市街化区域の外にも人が住んでいるため、この値は市街化区域内の実際の密度とは異なる。
- 市街化区域のデータは2005年から、市街化調整区域は1985年からで、期間が違う。
- 地域内の分布は分からない。市街地のどこが密でどこが疎かは、この統計では扱えない。
- 用途地域の内訳は取得できるが、この記事では扱っていない。
- 市町村合併の影響を調整していない。前橋市は2004年以降に旧勢多郡の町村と合併している。
よくある誤解
「前橋は市街地が狭い」
人口集中地区の面積47.56km²は県内5市で最も広く、高崎46.46km²を上回ります。狭いのではなく、密度が低いというのが数字の示すところです。
「調整区域が多いから開発が進まない」
前橋の調整区域は市街化区域の1.96倍ですが、群馬県2.52倍・全国2.58倍より低い水準です。5市では桐生3.53倍、太田2.33倍が上にいます。
「人口集中地区=市街化区域」
別の区分です。人口集中地区は国勢調査で人口密度から機械的に決まり、市街化区域は都市計画法で定めます。前橋ではDID 47.56km²に対し市街化区域は49.79km²で、数字は近いものの範囲は一致しません。
Q&A
人口集中地区とは何ですか
国勢調査の区分で、人口密度4,000人/km²以上の調査区が隣接し、その人口が5,000人以上になる地域を指します。DID(Densely Inhabited District)とも呼ばれます。行政が定めるのではなく、実際の人口分布から機械的に決まります。
市街化調整区域には家を建てられないのですか
原則として開発が制限されますが、例外もあります。制度の詳細は当サイトでは扱っていません。前橋市の公式サイトでご確認ください。
どこが市街化区域か知りたい
当サイトでは地図を扱っていません。前橋市が都市計画の情報を公開しています。
用途地域の内訳は分かりますか
同じ統計で取得できますが、この記事では扱っていません。第一種低層住居専用地域など12の区分ごとの面積が公表されています。
次の更新はいつですか
都市計画現況調査は毎年公表されます。人口集中地区は国勢調査によるもので、5年ごとです。次回は2025年調査の結果になります。
出典
- 総務省「令和2年国勢調査」(人口集中地区の人口・面積)
- 総務省「社会・人口統計体系」市区町村データ(統計表ID 0000020208)/もとの調査は国土交通省「都市計画現況調査」/e-Stat
- 総務省「社会・人口統計体系」都道府県データ(群馬県・全国の値)
データダウンロード
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| No | データ名 | 出典 | ダウンロード |
|---|---|---|---|
| 72 | 県内5市の市街化区域・調整区域と人口集中地区 1985〜2023年 | 総務省「社会・人口統計体系」「国勢調査」 | CSVを保存 |
更新履歴
- 2026年9月17日 公開
