前橋市の小学校48校のうち35校で児童が減った【2026年】

前回の記事で、前橋市の小学校児童数が42年で50.1%減ったことを示した。市全体の話である。

ただし前橋は広い。市全体の平均では、何が起きているかが見えない。

学校ごとの数字を取った。同じ市内で、真逆のことが起きていた。

市立小学校48校のうち、4年間で35校が減り、11校が増えた。

最も減ったのは白川小の25.3%減。最も増えたのはわかば小の13.4%増。同じ市内で38.7ポイントの開きがある。

旧町村部の減り方は旧市域の2.6倍。旧宮城村は23.6%減った。

対象範囲

前橋市教育委員会「5月1日現在の児童生徒数、園児数及び学級数」による。学校ごとに学年別の児童数と学級数が載っている。公開されているのは令和4年(2022年)から令和8年(2026年)までの5年分である。

最新は2026年5月1日現在で、前回の記事で使った国の統計(2024年度)より2年新しい。

対象は市立小学校48校のみである。滝窪小金丸分校と荒牧小みやま分校は本校と別に集計した。国立の群馬大学共同教育学部附属小学校と、私立の共愛学園小学校は含まれない。この2校については後述する。

地区は学校の住所から判定した。前橋市統計書 令和7年度作成版の町別人口表に「大胡地区」「宮城地区」「粕川地区」「富士見地区」として所属町名が明記されているため、それと照合している。前橋市は2004年12月に大胡町・宮城村・粕川村、2009年5月に富士見村を編入した。

増減率、地区別の集計、1学級当たりの人数は当サイトが算出した。公表値ではない。

35校で減り、11校で増えた

市全体の児童数は2022年15,327人から2026年14,267人へ、6.9%減った。学校ごとに見ると、幅がある。

前橋市立小学校48校の2022年から2026年の児童数増減率。わかば小13.4%増から金丸分校63.2%減まで幅がある
市立小学校48校の児童数増減率(2022年→2026年)
児童が減った学校 35校 市立小48校のうち
増えた学校 11校 最大はわかば小の13.4%増
旧町村部の減り方 2.6倍 旧市域と比べて

35校で減り、11校で増え、2校が同数だった。

増えたほうを見ると、わかば小13.4%増、元総社北小9.9%増、広瀬小6.8%増、勝山小5.9%増、若宮小5.0%増。元総社と勝山、桃瀬、下川淵といった市の西部・南部の学校が並ぶ。

減ったほうは、金丸分校63.2%減(19人→7人)、白川小25.3%減、宮城小23.6%減、敷島小21.4%減、芳賀小21.2%減。

分校を除くと、最大の白川小25.3%減と最小のわかば小13.4%増で、38.7ポイントの開きがある。

旧町村部の減り方は、旧市域の2.6倍

この差には地理的な傾向がある。合併前の区分で集計する。

地区別の児童数増減率。旧前橋市5.4%減、旧富士見村10.1%減、旧粕川村12.6%減、旧大胡町16.2%減、旧宮城村23.6%減
地区別の児童数増減率(2022年→2026年)

旧前橋市域の37校は5.4%減。旧町村部の11校は14.0%減である。減り方は2.6倍になる。

地区別では旧宮城村23.6%減、旧大胡町16.2%減、旧粕川村12.6%減、旧富士見村10.1%減。合併で編入した地域ほど、減り方が大きい。

ただし旧宮城村は宮城小1校のみで、旧粕川村も2校である。学校数が少ない地区は、1校の動きが率に大きく影響する。

入学する子どもの数は、もっと減っている

児童数全体は6.9%減だが、1年生だけを見ると11.0%減である。2,363人から2,102人になった。

1年生の児童数の変化。芳賀小は77人から33人、東小は124人から91人、永明小は104人から85人へ減少
1年生の児童数(減少幅の大きい8校、2022年・2026年)

芳賀小は77人から33人へ。4年で57%減った。大室小は17人から7人、東小は124人から91人である。

1年生が増えた学校も17校ある。中川小は15人から21人、若宮小は23人から32人。同じ4年間で、40%増えた学校と57%減った学校が同じ市内にある。

1年生はこれから6年間在籍する。いまの1年生の数は、6年後の児童数の下限を決める。

附属小は、市立より先に縮んでいた

市立の児童が減るなかで、附属小に子どもが流れているのではないか。そう考えるのが自然だが、数字は逆だった。

群馬大学が公表している大学概要に、附属学校の定員と現員が2008年から載っている。

群馬大学共同教育学部附属小学校の定員と現員の推移。定員は2008年960人から2017年以降630人へ、現員は898人から603人へ減少
附属小学校の定員と現員の推移(2008〜2025年)

総定員は2008年の960人から、2011年に880人、2012年825人、2013年770人、2014年715人、2015年636人と段階的に減り、2017年以降は630人で固定されている。34.4%の削減である。

現員も2009年の898人から2025年603人へ、32.9%減った。市立の減り方より大きい。

ただし定員に対する充足率は上がっている。2008年92.9%から2015年97.5%、以降は95〜96%台で推移している。定員を減らしたぶん、埋まるようになった。

そして2017年に定員削減が終わってからは、600人前後で安定している。2022年599人、2025年603人でほぼ横ばい。同じ期間に市立は4.5%減っている。

近隣の市立校との関係は、確かめられない

附属小は前橋市若宮町にある。通学圏が重なりそうな市立校の4年間の増減を並べる。

学校2022年2026年増減率
若宮小159人167人+5.0%
桃井小389人370人−4.9%
城東小294人255人−13.3%
岩神小328人264人−19.5%
敷島小206人162人−21.4%

増えた学校も、2割減った学校もある。附属小との距離では説明がつかない。

そもそも附属小は市全域から通学するため、どの学区から何人来ているかは公表されていない。附属小が市立校の児童数にどう影響しているかは、この統計からは検証できない。

言えるのは、市全体の児童15,795人のうち市立が93.9%、附属小が3.8%、私立が2.2%(推計)という構成である。附属小が定員を減らした2011年から2016年にかけて、市立の児童数がどう動いたかは、市立の学校別データが2022年からしか公開されていないため追えない。

48校はどこにあるか

数字だけでは、どの学校のことか分からない。位置と一覧をまとめる。

前橋市立小学校47校の位置と児童数の増減。児童が減った白川・滝窪金丸分校・宮城・芳賀は市の北部と東部、増えた元総社北・勝山・わかば・広瀬は中心部の周辺にある
前橋市立小学校の位置と児童数の増減(2022〜2026年)

赤い丸が児童の減った学校、緑が増えた学校である。丸の大きさは増減率の絶対値を表す。

減り方の大きい学校は、市の北部と東部に集まっている。白川−25.3%、滝窪金丸分校−63.2%、宮城−23.6%。いずれも旧町村部である。

増えた学校は中心部の周辺にある。元総社北+9.9%、勝山+5.9%、わかば+13.4%、広瀬+6.8%。

「旧町村部の減り方が旧市域の2.6倍」という数字は、地図ではこう見える。

ただし中心部でも減っている

外側だけが減っているわけではない。

敷島−21.4%、岩神−19.5%、城東−13.3%、桃井−4.9%。いずれも中心部の学校である。

減っている理由は、地域によって違う可能性がある。

地図にない1校

統計上の48校に対し、地図には47校しかない。

荒牧小学校みやま分校が、前橋市の「市内の小中学校等一覧」に掲載されていない。住所も公表されていないため、位置を示せない。

ただし児童生徒数調査には計上されている。2026年5月1日現在の在籍は1人である。

47校の一覧

校名をクリックすると、前橋市の公式ページが開く。増減率は本記事で扱った13校のみ記載している。

校名住所区分増減率
桃井大手町二丁目16-4旧前橋−4.9%
中川三河町二丁目1-3旧前橋
敷島昭和町一丁目22-8旧前橋−21.4%
城南六供町一丁目13-2旧前橋
城東城東町一丁目35-7旧前橋−13.3%
若宮若宮町四丁目12-24旧前橋+5.0%
天川文京町三丁目18-4旧前橋
岩神岩神町四丁目4-1旧前橋−19.5%
広瀬広瀬町三丁目19旧前橋+6.8%
山王山王町160-1旧前橋
わかば朝倉町165-1旧前橋+13.4%
上川淵朝倉町466旧前橋
下川淵鶴光路町38-1旧前橋
桂萱上泉町178旧前橋
桃木上沖町732-1旧前橋
桂萱東堤町471旧前橋
桃瀬西片貝町三丁目343旧前橋
芳賀勝沢町719旧前橋−21.2%
総社総社町総社1625旧前橋
勝山総社町植野123旧前橋+5.9%
元総社元総社町一丁目33-11旧前橋
元総社南元総社町80-2旧前橋
元総社北総社町総社3149旧前橋+9.9%
東箱田町1452-1旧前橋
大利根大利根町二丁目12-1旧前橋
新田上新田町1160旧前橋
細井下細井町67-1旧前橋
桃川荒牧町一丁目46-11旧前橋
荒牧荒牧町四丁目9-2旧前橋
清里青梨子町446旧前橋
永明上大島町655旧前橋
駒形駒形町1172旧前橋
荒子荒子町1240旧前橋
大室西大室町2817旧前橋
二之宮二之宮町1841旧前橋
笂井笂井町1160旧前橋
大胡堀越町1161旧大胡
大胡東河原浜町870-1旧大胡
滝窪滝窪町185-1旧大胡
滝窪 金丸分校東金丸町136-1旧大胡−63.2%
宮城鼻毛石町1507-1旧宮城−23.6%
粕川粕川町女渕521-2旧粕川
月田粕川町月田273-1旧粕川
原富士見町原之郷1933-1旧富士見
石井富士見町石井546-1旧富士見
時沢富士見町時沢3164-1旧富士見
白川富士見町小暮2425-63旧富士見−25.3%

旧前橋市域が36校、旧町村部が11校。旧大胡町4、旧富士見村4、旧粕川村2、旧宮城村1である。

区分は住所の町名から判定した。前橋市統計書の町別人口の地区区分に基づいている。

各校の詳しい情報は、前橋市「市内の小中学校等一覧」で確認できる。この一覧は2026年9月時点のものである。

この数字をどう読むか

ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。

「市全体で6.9%減」では、実態が見えない

市全体の6.9%減という数字は正しい。ただしその中身は、13.4%増から25.3%減まで幅がある。平均だけを見ると、両端で起きていることが消える。

貯蓄の分布の記事で、平均1,542万円の裏で7割の世帯が平均に届いていないことを示した。家計収支の記事では、標本の少なさで平均自体が動く問題も扱った。

今回は3つ目の問題である。平均は正確でも、地域内の分布を隠す。市の面積が広く、旧町村を抱える自治体ではとくにそうなる。

増えている学校には、共通点がありそうに見える

増えた11校のうち、元総社北小・元総社小・元総社南小の3校が元総社地区にある。勝山小・桃瀬小・下川淵小・笂井小も市の南西部である。

ただしこの統計から理由は分からない。宅地開発、通学区域の設定、集合住宅の建設など、複数の要因が考えられる。空き家の記事で前橋の空き家率15.2%を示したが、地域内の分布は扱っていない。

人口社会増減の記事では、前橋が藤岡・沼田など県内から人を集めていることを示した。市内のどこに住むかまでは、この統計からは追えない。

学級数は、児童ほどには減らない

市全体の学級数は2022年708学級、2026年706学級。児童が6.9%減ったのに、学級は0.3%しか減っていない。

1学級当たりの児童数は21.6人から20.2人になった。前回の記事で示した「児童が半減しても学校は3校しか減らない」と同じ構図が、学級の単位でも起きている。

学級数は児童数に単純比例しない。学年ごとに人数の上限が決まっているためで、1人減っても学級は減らないことが多い。教育環境としては良くなる。負担としては学校数と同じ問題が残る。

国立と私立に、956人が通っている

この記事の48校は市立のみである。前橋には他に国立の群馬大学共同教育学部附属小学校と、私立の共愛学園小学校がある。

2024年度で見ると、市立48校が14,839人、国立と私立の2校で956人。全児童15,795人の6.1%にあたる。1校当たりでは478人で、市立平均309人の1.5倍である。

私立小学校は近年できたものである。2015年の学校基本調査では、前橋市の小学校52校のうち51校が市立で、非公立は1校だけだった。当時は国立のみで、私立はなかったことになる。

市立の児童が減るなかで、選択肢が増えた。ただしこの956人が市立から移った分なのか、もともと市外から通っている分なのかは、この統計からは分からない。附属小については別途データが取れたため、前の節で扱った。

このデータの限界

  • 公開されているのは2022年から2026年の5年分のみである。それ以前の学校別データは市・県・国のいずれにも公開されていない。
  • 対象は市立小学校48校のみである。国立・私立は含まれない。
  • 増減率、地区別集計、1学級当たりの人数は当サイトが算出した値である。公表値ではない。
  • 旧宮城村は1校、旧粕川村は2校のみである。学校数の少ない地区は1校の動きが率に大きく影響する。
  • 増えた学校と減った学校の理由は、この統計からは分からない。宅地開発、通学区域の設定など複数の要因が考えられる。
  • 通学区域の変更があった場合、学校間で児童が移動する。この統計からは区別できない。
  • 国立・私立に通う956人が市立から移った分か、市外からの通学かは分からない。
  • 4年間の変化であり、長期の傾向とは限らない。
  • 附属小の数値は群馬大学の大学概要による。2010年版はテキスト抽出できない画像PDFのため欠測している。調査時点は原则5月1日現在だが、2018〜2020年版のみ4月1日現在である。
  • 共愛学園小学校の児童数は公表されていない。この記事の約354人は、市全体から市立と附属小を引いた推計値である。

よくある誤解

「前橋のどの学校も児童が減っている」

48校のうち11校で増えています。わかば小は13.4%増、元総社北小は9.9%増です。市全体では6.9%減ですが、学校によって真逆の動きをしています。

「合併した地域だから減っている」

旧町村部の減り方が旧市域の2.6倍であることは事実です。ただし合併そのものが原因とは限りません。旧町村部はもともと市街地から離れた地域であり、人口減少の傾向が先に表れやすい場所です。

「学級数が減らないのは非効率」

学級数は児童数に単純比例しません。1学級当たりの人数に上限があるため、児童が少し減っても学級は減らないことが多いからです。結果として1学級21.6人から20.2人になり、教育環境としては改善しています。

Q&A

なぜ5年分しかないのですか

前橋市教育委員会がサイトに掲載しているのが令和4年から令和8年までの5年分だからです。それ以前の学校別データは、市の統計書にも県の教育統計資料にも国の学校基本調査にも収録されていません。学校別で長期に追える公表データが存在しない状態です。

中学校のデータもありますか

あります。同じ資料に市立中学校21校(本校20校と分校1校)の学年別生徒数と学級数が載っています。この記事では小学校に絞りました。データはCSVに収録しています。

統廃合の予定は分かりますか

この資料からは分かりません。市の学校再編に関する計画や審議会の資料を確認する必要があります。

地区の判定はどうやったのですか

学校の住所を市の学校一覧から取得し、前橋市統計書の町別人口表に記載された地区所属町名と照合しました。統計書には「大胡地区」「宮城地区」「粕川地区」「富士見地区」として町名が明記されています。48校すべてで判定できました。

次の更新はいつですか

毎年5月1日現在の数値が公表されます。次回は令和9年(2027年)分となります。

出典

  • 前橋市教育委員会 学務管理課「5月1日現在の児童生徒数、園児数及び学級数」令和4年〜令和8年/前橋市
  • 前橋市「市立小・中学校及び特別支援学校一覧」(学校の住所)/前橋市
  • 前橋市「前橋市統計書」令和7年度作成版(地区所属町名の確認)
  • 総務省「社会・人口統計体系 市区町村データ」E教育(国立・私立を含む児童数)
  • 群馬大学「大学概要」資料編 共同教育学部附属学校園(2008年版〜2025年版)/群馬大学

データダウンロード

本記事で使用したデータは、CSVでご自由にダウンロードいただけます。ライセンスはCC BY 4.0です。

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㊶前橋市立小中学校の学校別・学年別児童生徒数と学級数
2022〜2026年の5月1日現在
前橋市教育委員会「5月1日現在の児童生徒数、園児数及び学級数」CSVを保存

更新履歴

  • 2026年9月8日 公開