前橋市の公共施設は434施設、延床面積1,388,460㎡。市民1人当たり4.33㎡で全国平均3.86㎡の1.12倍である。維持には年151.5億円が要り、年67.9億円足りない。区分別の施設数と延床面積を表で示した。
図書館の記事で18館、防災の記事で消防署12か所を扱った。市が持つ建物は、全部でどれだけあるのか。
そして、それを保つのにいくらかかるのか。
前橋市の公共施設は市民1人当たり4.33㎡。全国平均3.86㎡の1.12倍である。
施設を維持するには年151.5億円が要る。ところが実際の投資的経費は83.6億円。
年67.9億円、市民1人当たり20,639円が足りない。
対象範囲
前橋市「前橋市公共施設白書(改訂版)」令和6年12月による。市が自ら調査し公表した資料である。
対象は令和6年4月1日現在の434施設・延床面積1,388,460㎡。
市有建物は約2,600棟あるが、道路・橋梁・上下水道の基盤施設を除き、規模や性質を勘案して選定したものである。
2つの分母がある
白書の「1人当たり4.33㎡」は市有建物全体1,426,895㎡が分子である。
調査対象の434施設1,388,460㎡で計算すると4.22㎡になる。
この記事では全国平均と比較する場面では白書の4.33㎡を、施設の内訳を見る場面では434施設の数値を使う。
扱えないもの
白書は延床面積を大分類でしか公表していない。小学校だけ、中学校だけといった内訳は取れない。
100㎡以下の小規模な施設は更新費用の試算から除かれている。消防団の拠点64か所は白書の施設類型に含まれない。
県内他市との比較もこの記事では扱わない。各市の白書は公表されているが、対象範囲と時点が揃わないためである。
全国平均の1.12倍
前橋市の市有建物は1,426,895㎡。市民1人当たり4.33㎡である。
全国平均は3.86㎡。前橋は1.12倍で、12%多い。
全国平均は総務省「公共施設状況調経年比較表」による。令和3年度末の建物合計486,696,376㎡を、令和4年1月1日の住民基本台帳人口125,927,902人で割った値である。
土地の記事で、前橋の可住地が総面積の76.6%で全国33.0%の2.3倍であることを示した。土地が広く、建物も多い。
学校と市営住宅で63.5%

最も大きいのは学校教育系。79施設で506,276㎡、全体の36.5%である。
次が公営住宅。84施設で375,546㎡、27.0%。
この2つで面積の63.5%を占める。施設数では163で、434施設の37.6%にあたる。
スポーツ・レクリエーション系8.6%、市民文化系4.8%、行政系4.5%と続く。図書館は18施設で11,529㎡、全体の0.8%にとどまる。
複合施設は11.5%
単独施設が1,228,479㎡で88.5%。複合施設は159,981㎡で11.5%である。
複合施設には前橋プラザ元気21がある。中央公民館、市民活動支援センター、こども図書館、子育てひろばが同じ建物に入っている。
区分別の施設数と延床面積を、すべて並べる(令和6年4月1日現在)。
| 区分 | 施設数 | 延床面積(㎡) |
|---|---|---|
| 市民文化系施設 | 40 | 66,898 |
| 社会教育系施設 | 18 | 11,529 |
| スポーツ・レクリエーション系施設 | 22 | 119,444 |
| 産業系施設 | 13 | 36,807 |
| 学校教育系施設 | 79 | 506,276 |
| 子育て支援施設 | 64 | 28,692 |
| 保健・福祉施設 | 20 | 32,794 |
| 医療施設 | 1 | 2,165 |
| 公営住宅 | 84 | 375,546 |
| 公園 | 6 | 4,497 |
| その他施設 | 7 | 58,101 |
| 行政系施設 | 23 | 62,822 |
| 供給処理施設 | 33 | 39,838 |
| 上下水道施設 | 10 | 14,937 |
| 用途廃止施設 | 14 | 28,114 |
| 合計 | 434 | 1,388,460 |
区分ごとの小計と、434施設の合計である。
6割超が築30年を過ぎている

最も多いのは築40〜49年の115施設。全体の26.5%である。
次が築30〜39年の96施設で22.1%。築50〜59年も60施設ある。
築30年以上を合わせると277施設。434施設の63.8%にあたる。
白書は「これまでは築50年程度で施設更新を行っている」「このままだと一斉に更新時期を迎える」と記している。
築40年以上は181施設で41.7%。10年後には、この分が更新の時期に入る。
年67.9億円が足りない

いまの施設をそのまま維持すると、令和36年度までに5,150.6億円が要る。
年平均で151.5億円。ところが平成28〜令和2年度の投資的経費は年83.6億円だった。
必要額は実績の1.81倍。不足は年67.9億円である。
市民1人当たりに換算すると、必要46,049円・実績25,411円。足りないのは20,639円である。
この試算は建替更新を50年、大規模改修を25年とし、新規整備は加味していない。100㎡以下の小規模施設は対象外である。
最も多いのは公営住宅の84施設
434施設を施設種別で見ると、最も多いのは公営住宅の84施設である。
次いで学校が70施設、幼児・児童施設が46施設と続く。
上位3種別で200施設、全体の46.1%を占める(当サイトが算出)。
434施設を、施設種別ごとに多い順で並べる。
| 区分 | 施設種別 | 施設数 |
|---|---|---|
| 公営住宅 | 公営住宅 | 84 |
| 学校教育系施設 | 学校 | 70 |
| 子育て支援施設 | 幼児・児童施設 | 46 |
| 供給処理施設 | 供給処理施設 | 33 |
| 市民文化系施設 | 集会施設 | 27 |
| 社会教育系施設 | 図書館 | 18 |
| 子育て支援施設 | 幼保・こども園 | 18 |
| スポーツ・レクリエーション系施設 | スポーツ施設 | 14 |
| 用途廃止施設 | 用途廃止施設 | 14 |
| 市民文化系施設 | 文化施設 | 13 |
| 産業系施設 | 産業系施設 | 13 |
| 行政系施設 | 消防施設 | 11 |
| 上下水道施設 | 上下水道施設 | 10 |
| 学校教育系施設 | その他教育施設 | 9 |
| 保健・福祉施設 | 障害福祉施設 | 7 |
| その他施設 | その他施設 | 7 |
| 保健・福祉施設 | 高齢者福祉施設 | 6 |
| 公園 | 公園 | 6 |
| 行政系施設 | 庁舎等 | 6 |
| 行政系施設 | その他行政系施設 | 6 |
| スポーツ・レクリエーション系施設 | レクリエーション・観光施設 | 5 |
| 保健・福祉施設 | その他社会福祉施設 | 5 |
| スポーツ・レクリエーション系施設 | 保養施設 | 3 |
| 保健・福祉施設 | 保健施設 | 2 |
| 医療施設 | 医療施設 | 1 |
単位は施設。出典は前橋市「前橋市公共施設白書(改訂版)」令和6年12月。
この数字をどう読むか
ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。
歳入の9.5%にあたる
歳入の記事で、前橋市の歳入が1,590.9億円であることを示した(2024年度)。
必要な更新費用151.5億円は、その9.5%にあたる。実績の83.6億円は5.3%である。
歳出の記事では、前橋が高崎より公債費1.20倍であること、2022年度に1.33倍あった普通建設事業費の差は2024年度にほぼなくなった(0.99倍)ことを示した。造った分を返している構造である。
既に返しながら、さらに更新の時期が来る。ただしこの試算は一つの前提に立ったもので、実際の支出額を予測したものではない。
人が減れば面積は増える
1人当たり4.33㎡は、分母に人口を使っている。
将来人口の記事で、前橋が2050年までに18%減る推計であることを示した。施設を1つも減らさなければ、1人当たりは5.28㎡になる。
小学校の記事では、48校のうち35校で児童が減っていた。学校は面積の36.5%を占める。
使う人が減った施設をどうするかが、更新費用の話と直結する。ただし統廃合の計画はこの白書には書かれていない。
着工の記事で、前橋の着工床面積が2011年から2025年までの15年で27.2%減ったことを示した。
市が自ら公表している
この白書は市が自ら作り、公表したものである。
「年67.9億円足りない」という数字も、市自身が記している。
都合の悪い数字を出していることは、評価されてよい。ただしそれは、問題が解決したことを意味しない。
このデータの限界
- 1人当たりの金額、築30年以上の合計、施設数の割合、歳入に占める比率は当サイトが算出した。公表値ではない。
- 「1人当たり4.33㎡」は市有建物全体1,426,895㎡が分子で、調査対象434施設1,388,460㎡で計算すると4.22㎡になる。分子が違う。
- 対象は434施設で、市有建物約2,600棟のすべてではない。道路・橋梁・上下水道の基盤施設は含まれない。
- 延床面積は大分類でしか公表されていない。小学校だけ、公民館だけといった内訳は取れない。
- 更新費用の試算は「建替更新50年・大規模改修25年・新規整備なし・100㎡以下は対象外」という前提による。実際の支出額を予測したものではない。
- 投資的経費83.6億円は平成28〜令和2年度の平均で、更新費用の試算期間(令和36年度まで)とは時点が違う。
- 消防団の拠点64か所は白書の施設類型に含まれない。防災の記事の消防署12か所は、白書では11施設(消防局と中央消防署が同一庁舎のため)。
- 県内他市との比較はこの記事では扱っていない。各市の白書は公表されているが、対象範囲と時点が揃わない。
- 白書の表と円グラフで公営住宅の割合が27.0%と27.1%に分かれている。この記事では表の値を使った。
よくある誤解
「前橋は施設を作りすぎた」
市民1人当たり4.33㎡は全国平均3.86㎡の1.12倍で、12%多い水準です。突出して多いわけではありません。面積の63.5%は学校と市営住宅で、どの自治体も持つ施設です。
「年67.9億円が赤字になる」
違います。これは「いまの施設をすべて同じ規模で建て替えた場合に必要な額」と「過去5年の実績」の差です。施設を減らす、改修で延命する、更新を先送りするなどの選択があり、試算どおりに支出が発生するわけではありません。
「築30年なら建て替えが必要」
白書は「これまでは築50年程度で施設更新を行っている」と記しています。築30年以上が63.8%というのは、更新の時期が近づいている施設の割合を示すものです。
Q&A
個別の施設の情報は分かりますか
白書の参考資料に対象施設の一覧があります。前橋市の公共施設等総合管理計画のページから確認できます。
他の市と比べるとどうですか
この記事では扱っていません。各市も白書や総合管理計画を公表していますが、対象とする施設の範囲や時点が揃わないため、単純な比較ができません。
道路や橋は含まれますか
含まれません。この白書は建物を対象としており、道路・橋梁・上下水道の基盤施設は別に扱われています。
次の更新はいつですか
白書は令和6年12月の改訂版です。前回の版からの改訂時期を見ると、数年ごとに更新されています。
前橋市の公共施設はいくつありますか
令和6年4月1日現在で434施設、延床面積は1,388,460㎡です。市民1人当たりでは4.33㎡で、全国平均3.86㎡の1.12倍にあたります。
出典
- 前橋市「前橋市公共施設白書(改訂版)」令和6年12月/前橋市 公共施設等総合管理計画
- 総務省「公共施設状況調経年比較表」(全国平均の出典として白書に記載)/総務省
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| No | データ名 | 出典 | ダウンロード |
|---|---|---|---|
| 86 | 前橋市の公共施設の種別・施設数・延床面積 令和6年4月1日 | 前橋市「前橋市公共施設白書(改訂版)」 | CSVを保存 |
更新履歴
- 2026年9月23日 「最も多いのは公営住宅の84施設」の節を追加
- 2026年9月23日 冒頭の段落を追加
- 2026年9月23日 関連する記事への内部リンクを追加
- 2026年9月23日 Q&Aと内部リンク、表を追加
- 2026年9月21日 公開
