前橋市の無職世帯は収入の79.8%が年金【2024年】

前橋市の無職世帯の実収入は月278,275円で、そのうち公的年金が222,059円、79.8%を占める。全国69.5%より10.3ポイント高いが、年金の額は全国の1.03倍でほぼ同じである。国民年金の納付率は81.6%で、県内5市と群馬県・全国の推移を表で比べた。

高齢者の就業の記事で、65歳以上の雇用者の4人に3人が非正規であることを示した。年齢別の貯蓄の記事では、貯蓄が60代でピークを迎えることも見た。

働かなくなった世帯は、何で暮らしているのか。

前橋市の無職世帯の実収入は月278,275円。そのうち公的年金が222,059円で、79.8%を占める。

全国は69.5%。前橋は10.3ポイント高い。ただし年金の額はほぼ同じである。違うのは年金以外の収入だった。

国民年金の納付率は81.6%で全国79.6%を上回る。10年で14.3ポイント上がった。

対象範囲

収入の内訳は総務省「令和6年全国家計構造調査」による。市別は統計表ID 0004039797、全国・都道府県は0004039817を使った。調査期間は2024年10月・11月の2か月間で、年間を通した平均ではない。

無職世帯とは、世帯主が仕事をしていない世帯を指す。ただし他の世帯員が働いている場合はその収入が計上される。この記事の数値は、断りがなければ二人以上の世帯・無職世帯のものである。

納付率は厚生労働省「国民年金保険料の市区町村別納付状況」による。現年度分の納付率で、最新は令和7年度である。全国の値はファイルに行がないため、47都道府県の納付対象月数と納付月数を合算して当サイトが算出した。

年金の受給額は市区町村別が存在しない。厚生年金保険・国民年金事業年報の最小単位は都道府県である。この記事では受給額そのものは扱わない。

年金に頼っているのは、年金が多いからではない

無職世帯の実収入を、内訳とともに見る。

二人以上の世帯・無職世帯の実収入の内訳。前橋市は公的年金222,059円で実収入278,275円、全国は年金215,980円で実収入310,642円
無職世帯の実収入の内訳(2024年)
公的年金給付 1.03倍 前橋222,059円 / 全国215,980円
勤め先収入 0.36倍 前橋24,304円 / 全国66,620円
事業・内職収入 2.67倍 前橋22,417円 / 全国8,389円

公的年金は前橋222,059円、全国215,980円。1.03倍でほぼ同じである。

違うのは年金以外だった。勤め先収入は前橋24,304円に対し全国66,620円。全国の36%にとどまる。

結果として実収入は前橋278,275円、全国310,642円。分母が小さいぶん、年金の割合が高く出る。

ただし事業・内職収入は逆である。前橋22,417円に対し全国8,389円で2.67倍。この費目だけ前橋が上回る。

年金への依存度は79.8%

割合で並べる。

実収入に占める公的年金の割合は前橋79.8%、群馬72.3%、全国69.5%。一方で勤め先収入は前橋24,304円、群馬53,356円、全国66,620円
年金への依存度と勤め先収入(2024年)

実収入に占める公的年金の割合は、前橋79.8%、群馬72.3%、全国69.5%。前橋は全国を10.3ポイント上回る。

総世帯で見るとさらに高い。前橋82.9%、群馬73.4%、全国73.0%。単身世帯を含めると差が広がる。

収支も見ておく。実収入から消費支出を引くと前橋は月39,650円の黒字。可処分所得から引いても5,084円の黒字である。群馬は可処分所得ベースで14,089円の赤字だった。

納付率は10年で14.3ポイント上がった

受け取る側から、納める側を見る。

国民年金保険料の現年度分納付率の推移。前橋市は2015年度67.3%から2025年度81.6%へ、全国は63.4%から79.6%へ上昇
国民年金保険料の現年度分納付率(2015〜2025年度)

前橋市は2015年度67.3%から2025年度81.6%へ、14.3ポイント上がった。全国79.6%を2.0ポイント上回る。

県内5市はすべて上昇している。桐生83.4%、前橋81.6%、高崎81.2%、伊勢崎73.4%、太田72.6%。最高と最低で10.8ポイントの差がある。

群馬県は79.3%で全国79.6%をわずかに下回る。前橋・高崎・桐生が県平均を押し上げ、伊勢崎・太田が下げている。

県内5市と群馬県・全国の現年度分納付率を、5年おきに並べる。

地域2015年度2020年度2025年度10年の差(ポイント)
前橋67.3%74.8%81.6%+14.3
高崎67.2%74.7%81.2%+14.0
桐生68.5%76.6%83.4%+14.9
伊勢崎59.7%67.0%73.4%+13.7
太田61.5%66.4%72.6%+11.1
群馬県66.9%73.2%79.3%+12.4
全国63.4%71.5%79.6%+16.2

全国は47都道府県の納付対象月数と納付月数を合算して当サイトが算出した。

この数字をどう読むか

ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。

割合の高さは、分子ではなく分母で決まっていた

年金への依存度79.8%は全国より10.3ポイント高い。ただし年金の額は1.03倍でほぼ同じである。

差は勤め先収入にあった。前橋24,304円は全国66,620円の36%。分母が小さいから、割合が高く出る。

同じ形は高齢化率の記事でも扱った。2050年に39.7%になるのは、高齢者が増えるからではなく15〜64歳が減るからだった。割合を見るときは、分子と分母のどちらが動いているかを確かめる必要がある。

事業・内職収入が2.67倍であること

無職世帯の収入のうち、前橋が全国を上回るのは事業・内職収入だけである。22,417円に対し8,389円。

農業の記事で、前橋の自給的農家が1999年1,824戸から2019年2,962戸へ62.4%増えたことを示した。高齢者の就業の記事では、65歳以上の就業者の13.3%が農林業だった。

自営業や農業を続けている世帯が含まれている可能性はある。ただしこの統計に事業の内容は記録されていない。何の事業かは分からない。

女性の就業の記事で、前橋の労働力率の男女差が20〜24歳では1.56ポイントなのに、30〜34歳では17.20ポイントまで開くことを示した。

納付率が上がったことの読み方

納付率は前橋で10年に14.3ポイント、全国で16.2ポイント上がった。前橋だけの現象ではない。

現年度分の納付率は、保険料の免除や猶予を受けた人を分母から除いて計算される。免除が増えれば、納付率は上がる。この統計だけでは、納める力が上がったのか、免除される人が増えたのかを区別できない。

県内の差も大きい。桐生83.4%と太田72.6%で10.8ポイント。課税対象所得の記事では太田が県内1位だった。所得が高い市の納付率が高いとは限らない。

老後の収入は、働き方の延長にある

前橋市の15歳以上人口273,300人のうち、主な収入が年金・恩給である人は78,500人。28.7%にあたる。うち7,700人は働きながら年金を受けている。

高齢者の就業の記事で、65〜69歳の労働力率が男性62.73%であることを示した。退職金の記事では、退職給付制度がある企業が74.9%だった。

年金、退職金、そして65歳以降の就業。3つを合わせて老後の収入になる。ただし個々の世帯でどう組み合わさっているかは、これらの統計からは分からない。

このデータの限界

  • 年金への依存度、倍率、納付率の全国値は当サイトが算出したものである。公表値ではない。
  • 全国家計構造調査の調査期間は2024年10月・11月の2か月間である。年間を通した平均ではない。
  • 年金の受給額は市区町村別が存在しない。厚生年金保険・国民年金事業年報の最小単位は都道府県である。
  • 無職世帯には他の世帯員が働いている世帯も含まれる。世帯主が無職であることを指す区分である。
  • 実収入と消費支出の差は黒字だが、預貯金の出し入れは別に計上される。この記事では扱っていない。
  • 現年度分の納付率は、保険料の免除・猶予を受けた人を分母から除いて計算される。免除が増えれば率は上がる。この統計だけでは納付の実態と区別できない。
  • 事業・内職収入の内訳はない。何の事業かは分からない。
  • 前橋市の無職世帯について、世帯主収入・内職収入・仕送り金は統計表に掲載がなく取得できない。
  • 群馬県の1人当たり年金額は、受給権者年金総額を受給権者数で割って算出した。厚生年金側は報酬比例部分が中心で、老齢基礎年金は国民年金側に計上されるため、一般に報道される「厚生年金の平均月額」とは定義が異なる。

よくある誤解

「前橋の高齢者は年金が多い」

公的年金給付は月222,059円で、全国215,980円の1.03倍とほぼ同じです。依存度が高いのは、勤め先収入が全国の36%しかないためです。

「無職世帯は赤字で貯蓄を取り崩している」

前橋市では実収入278,275円に対し消費支出238,625円で、月39,650円の黒字です。可処分所得ベースでも5,084円の黒字でした。ただし群馬県は可処分所得ベースで14,089円の赤字です。

「国民年金の未納が増えている」

納付率は上がっています。前橋市は2015年度67.3%から2025年度81.6%へ14.3ポイント、全国も63.4%から79.6%へ16.2ポイント上昇しました。ただし免除・猶予を受けた人は分母から除かれます。

Q&A

前橋市の平均年金額は分かりますか

分かりません。厚生年金保険・国民年金事業年報の最小単位は都道府県です。この記事の222,059円は、無職世帯が受け取っている公的年金給付の世帯単位の月額で、個人の年金額ではありません。

現年度分の納付率とは何ですか

その年度に納めるべき保険料のうち、年度内に納付された割合です。保険料の免除や納付猶予を受けた人は分母から除かれます。過年度に遡って納付した分を含めた「最終納付率」とは別の指標です。免除や納付猶予の申請方法は、日本年金機構の国民年金保険料の免除・猶予・追納のページで確認できます。

「社会保障給付」と「公的年金給付」の違いは

社会保障給付のほうが広く、公的年金のほかに恩給や各種手当を含みます。前橋市の無職世帯では社会保障給付222,348円のうち公的年金が222,059円で、ほぼ全額が年金です。

単身の高齢者世帯はどうですか

この記事の中心は二人以上の世帯です。単身を含む総世帯・無職世帯では、前橋市の公的年金給付が194,828円、実収入234,946円で、年金の割合は82.9%とさらに高くなります。

次の更新はいつですか

全国家計構造調査は5年ごとで、次回は令和11年(2029年)となります。国民年金の市区町村別納付状況は毎年度公表されます。

前橋市の国民年金の納付率は何%ですか

2025年度の現年度分納付率は81.6%です。全国79.6%を2.0ポイント上回り、県内5市では桐生83.4%に次いで2番目です。2015年度の67.3%から10年で14.3ポイント上がりました。

無職世帯の収入のうち年金はどれくらいですか

前橋市の二人以上の無職世帯では、公的年金給付が月222,059円で、実収入278,275円の79.8%です。全国は69.5%です。勤め先収入は24,304円で、全国66,620円の36%にとどまります。

出典

  • 総務省「令和6年全国家計構造調査」家計収支(統計表ID 0004039797、0004039817)/e-Stat
  • 厚生労働省「国民年金保険料の市区町村別納付状況」各年度/厚生労働省
  • 総務省「令和4年就業構造基本調査」主な収入の種類(統計表ID 0004008427)/e-Stat
  • 総務省「社会・人口統計体系 都道府県データ」J福祉・社会保障(統計表ID 0000010110)

データダウンロード

本記事で使用したデータは、CSVでご自由にダウンロードいただけます。ライセンスはCC BY 4.0です。

Noデータ名出典ダウンロード
㊿無職世帯の収入内訳と国民年金の納付率
2012〜2025年
総務省「全国家計構造調査」「就業構造基本調査」/厚生労働省「国民年金保険料の市区町村別納付状況」CSVを保存

更新履歴

  • 2026年9月24日 冒頭の段落を追加
  • 2026年9月24日 Q&Aと内部リンク、表を追加
  • 2026年9月22日 公式窓口へのリンクを追加
  • 2026年9月11日 公開