前橋市の女性の労働力率は30〜34歳で78.55%、男性95.75%との差は17.20ポイント(2020年)。20〜24歳では差は1.56ポイントしかない。女性の非正規比率は49.8%で、群馬55.5%・全国53.2%より低い。年齢階級別の労働力率を男女別に表で示した。
賃金の記事で、東京との年収差が20〜24歳では年28.6万円しかなく、年齢とともに開くことを示した。入口では差がなく、その後で開く。
男女の差にも、同じ形があった。
前橋市の労働力率は、20〜24歳では男女差が1.56ポイントしかない。ところが30〜34歳では17.20ポイントまで開く。
女性のM字の谷は30〜34歳の78.55%。2000年の56.76%から20年で21.79ポイント上がった。
非正規比率は女性49.8%・男性20.1%。群馬55.5%・全国53.2%より低いが、男女差は29.7ポイント残る。
対象範囲
労働力率は総務省「令和2年国勢調査」就業状態等基本集計(統計表ID 0003450578)による。労働力率とは、15歳以上人口に占める労働力人口(就業者+完全失業者)の割合である。働いている人と、仕事を探している人の合計にあたる。
非正規比率は総務省「令和4年就業構造基本調査」(統計表ID 0004008452)による。この調査の市区町村別は全市町村ではなく、政令指定都市・県庁所在都市・人口30万以上の市に限られる。前橋市は県庁所在都市として収録されている。
非正規比率は「非正規の職員・従業員 ÷(正規+非正規)」として当サイトが算出した。役員と自営業主は含まない。
時系列は各年の国勢調査による。2015年・2010年・2000年の表には労働力率の項目がないため、労働力人口を総数で割って算出した。2005年は取得していない。
入口では差がない。開くのは30代
前橋市の労働力率を、男女別・年齢階級別に並べる。

20〜24歳では男性73.50%、女性71.94%。差は1.56ポイントしかない。15〜19歳では0.23ポイントで、ほぼ重なっている。
ところが30〜34歳になると、男性95.75%に対し女性78.55%。17.20ポイントの差である。10年で11倍に開いた。
その後も差は13ポイント前後で推移し、60〜64歳で23.71ポイントと再び開く。
前橋市の労働力率を、15〜64歳の年齢階級すべてで男女別に並べる(2020年)。
| 年齢階級 | 男性 | 女性 | 男女差(pt) |
|---|---|---|---|
| 15〜19歳 | 14.87% | 14.64% | 0.23 |
| 20〜24歳 | 73.50% | 71.94% | 1.56 |
| 25〜29歳 | 94.40% | 86.61% | 7.79 |
| 30〜34歳 | 95.75% | 78.55% | 17.20 |
| 35〜39歳 | 95.90% | 80.02% | 15.88 |
| 40〜44歳 | 96.33% | 82.28% | 14.05 |
| 45〜49歳 | 95.88% | 82.87% | 13.01 |
| 50〜54歳 | 94.95% | 81.92% | 13.03 |
| 55〜59歳 | 93.50% | 76.39% | 17.11 |
| 60〜64歳 | 86.66% | 62.95% | 23.71 |
労働力率は各年齢階級の人口に占める労働力人口(就業者+完全失業者)の割合。男女差は小数第2位に丸めた値どうしの差で、当サイトの算出値である。
M字の谷は、20年でほぼ埋まった
女性の労働力率が結婚・出産期に落ち込む形は、M字カーブと呼ばれる。前橋の谷は30〜34歳の78.55%で、ピークの25〜29歳86.61%から8.06ポイント下がる。
全国は谷が35〜39歳で78.08%、ピークからの落差は8.50ポイント。前橋のほうが落差はわずかに小さく、谷が5歳早い。

20年前は違った。2000年の谷は56.76%。21.79ポイント上がっている。
上がり方は一定ではない。2000年から2010年で10.37ポイント、2010年から2020年で11.42ポイント。後半のほうがやや速い。
県内5市の30〜34歳を比べると、桐生84.31%、伊勢崎80.08%、高崎79.00%、前橋78.55%、太田78.53%。前橋は5市中4位である。
働いている。ただし半分は非正規
労働力率が上がったことと、どう働いているかは別の話である。雇用の形態を見る。

前橋市の女性の非正規比率は49.8%。雇用者のほぼ半分が非正規である。男性は20.1%で、差は29.7ポイント。
ただし群馬県55.5%、全国53.2%と比べると、前橋の女性の非正規比率は低い。男性も20.1%で群馬22.9%・全国22.1%を下回る。
有業者数は女性74,200人、男性86,500人。女性は男性の85.8%にあたる。
この数字をどう読むか
ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。
賃金と同じ形をしている
賃金の記事で、東京との年収差が20〜24歳では年28.6万円しかなく、50〜54歳で月14.6万円まで開くことを示した。
男女の労働力率も同じ形である。20〜24歳では1.56ポイント、30〜34歳で17.20ポイント。入口では差がなく、その後で開く。
地域間の差も、男女の差も、同じ年代で開き始める。ただし2つが同じ原因によるものかは、この統計からは分からない。
谷が5歳早いことの意味
前橋の谷は30〜34歳、全国は35〜39歳。5歳早い。
説明としては、出産の年齢が全国より早い可能性が考えられる。子育ての記事で、前橋の合計特殊出生率1.41が全国1.33を上回ることを示した。
ただしこの統計に出産の年齢は含まれない。谷が早い理由は確かめられない。進学や就職の時期の違い、産業構成の違いなど、他の要因もありうる。
労働力率が上がっても、人数は増えていない
前橋市の女性の労働力人口は、2000年73,984人、2010年74,065人、2020年73,606人。20年でほぼ横ばいである。
M字の谷が21.79ポイント上がったのに、人数は増えていない。分母である女性人口そのものが減っているためと考えられる。
将来人口の記事で2050年に18%減という推計を、高齢化率の記事で15〜64歳が28.4%減ることを示した。働く人の割合が上がっても、働く人の数が増えるとは限らない。
非正規比率が低いことの読み方
前橋の女性の非正規比率49.8%は、群馬55.5%・全国53.2%より低い。
就業形態の記事で、群馬の労働時間が全国より長い理由の約4割がパート比率の低さにあることを示した(2025年平均)。群馬は非正規が少なく、その分だけ平均の労働時間が長く出る。
前橋はさらに非正規が少ない。求人の記事で金融53.8%・教育38.0%・公務30.3%が県内から前橋に集中していることを示したが、これらは正規雇用の比率が高い分野である。
ただし産業別の雇用形態はこの記事では扱っていない。因果は確かめられない。
このデータの限界
- 男女差、非正規比率、落差の値は当サイトが算出したものである。公表値ではない。
- 労働力率は2020年、非正規比率は2022年で年が異なる。
- 就業構造基本調査の市区町村別は全市町村ではない。政令指定都市・県庁所在都市・人口30万以上の市に限られ、県内では前橋市と高崎市のみが対象となる。
- 2015年・2010年・2000年の国勢調査には労働力率の項目がなく、労働力人口を総数で割って算出した。2005年は取得していない。
- 2000年の表には全国の集計がないため、その年の比較対象は群馬県で代替している。
- 労働力率には完全失業者が含まれる。就業している人の割合ではない。
- 非正規比率の分母は正規と非正規の合計で、役員と自営業主は含まない。
- 谷が全国より5歳早い理由は、この統計からは特定できない。出産年齢、進学・就職の時期、産業構成など複数の要因が考えられる。
- 管理職に占める女性の割合は、都道府県別の直接のデータがe-Statに見当たらないため扱っていない。
よくある誤解
「前橋の女性は働いていない」
30〜34歳の労働力率78.55%は全国79.11%とほぼ同じで、35〜39歳以降は全国を上回ります。谷にあたる年齢でも8割近くが働いているか、仕事を探しています。
「M字カーブはまだ深い」
前橋の谷は2000年56.76%から2020年78.55%へ、20年で21.79ポイント上がっています。ピークからの落差も8.06ポイントで、M字と呼べる形はほぼ解消しています。
「働く女性が増えている」
割合は上がりましたが、人数は増えていません。女性の労働力人口は2000年73,984人、2020年73,606人でほぼ横ばいです。分母である女性人口そのものが減っているためと考えられます。
Q&A
労働力率と就業率の違いは
労働力率は15歳以上人口に占める労働力人口(就業者+完全失業者)の割合、就業率は就業者だけの割合です。労働力率のほうが仕事を探している人を含むぶん高く出ます。
M字カーブとは何ですか
女性の年齢階級別の労働力率をグラフにしたとき、結婚・出産期にあたる30代で落ち込み、その後また上がる形がアルファベットのMに似ていることからこう呼ばれます。全国的に谷は浅くなっています。
管理職の女性比率は分かりますか
この記事では扱っていません。都道府県別の直接のデータがe-Statに見当たらないためです。国勢調査の職業小分類から算出できる可能性はありますが、今回は確認していません。
高崎市と比べるとどうですか
30〜34歳の労働力率は高崎79.00%で前橋78.55%をわずかに上回ります。県内5市では桐生84.31%が最も高く、前橋は4位です。
次の更新はいつですか
国勢調査は5年ごとで、令和7年(2025年)調査の就業関係の集計はまだ公表されていません。就業構造基本調査は5年ごとで、次回は令和9年(2027年)調査となります。
前橋市の女性の非正規の割合はどれくらいですか
2022年の前橋市の女性の非正規比率は49.8%で、雇用者のほぼ半分です。男性は20.1%で、差は29.7ポイントです。群馬県55.5%、全国53.2%と比べると、前橋の女性は低くなっています。
前橋のM字カーブの谷は何歳ですか
30〜34歳の78.55%が谷です。ピークの25〜29歳86.61%から8.06ポイント下がります。全国の谷は35〜39歳の78.08%で、前橋のほうが5歳早くなっています。2000年の谷は56.76%でした。子育てをしながらの仕事探しは、群馬労働局のハローワーク前橋マザーズコーナーで相談できます。
出典
- 総務省「令和2年国勢調査」就業状態等基本集計(統計表ID 0003450578)、各年の国勢調査/e-Stat
- 総務省「令和4年就業構造基本調査」(統計表ID 0004008452)/e-Stat
- 総務省「社会・人口統計体系 市区町村データ」F労働 廃置分合処理済(統計表ID 0000020206)
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| No | データ名 | 出典 | ダウンロード |
|---|---|---|---|
| ㊼ | 県内5市の男女別・年齢階級別労働力率と非正規比率 2000〜2022年 | 総務省「国勢調査」「就業構造基本調査」「社会・人口統計体系」 | CSVを保存 |
更新履歴
- 2026年9月24日 冒頭の段落を追加
- 2026年9月24日 Q&Aと内部リンク、表を追加
- 2026年9月10日 公開
