前橋市の小学生は42年で半分|学校は3校しか減っていない【2024年度】

将来人口の記事で、前橋の人口が2050年に18%減る推計を示した。子育ての記事では合計特殊出生率1.41で全国も群馬も上回っていることも見た。

では子どもの数は、実際にどれだけ減ったのか。45年分の数字がある。

小学校の児童数は半分になっていた。ただし学校の数はほとんど変わっていない。

前橋市の小学校児童数は1982年度の31,683人から2024年度15,795人へ、50.1%減。中学校生徒も49.8%減った。

ところが小学校数はピークの53校から50校へ、3校しか減っていない。

結果、1校当たり児童数は644.6人から315.9人へ。全国315.7人とほぼ同じ水準になった。

対象範囲

総務省「社会・人口統計体系 市区町村データ」E教育による。最新は2024年度で、1980年度から45年分が取れる。

この統計には2つの版がある。当時の市域で集計した「オリジナル」と、現在の市域に遡って補正した「廃置分合処理済」である。

前橋市は2004年に大胡町・宮城村・粕川村、2009年に富士見村を編入している。オリジナル版だと合併の年に学校数と児童数が跳ね上がり、児童が増えたように見える段差ができる。この記事では現在の市域に統一した廃置分合処理済版(統計表ID 0000020205)を使った。

県内他市も同じ版で揃えている。全国と群馬県は都道府県データ(統計表ID 0000010105)から取った。

1校当たり児童生徒数、教員1人当たり児童生徒数、減少率は当サイトが算出した。公表値ではない。1981年度の児童数は元データが欠測である。また市区町村レベルでは学級数が公表されていないため、1学級当たりの人数は算出できない。

児童も生徒も、42年で半分になった

前橋市の小学校児童数は、1982年度の31,683人がピークだった。2024年度は15,795人である。

前橋市の小学校児童数と中学校生徒数の推移。小学校は1982年度31,683人から2024年度15,795人へ、中学校は1987年度16,507人から8,281人へ減少
小学校児童数と中学校生徒数の推移(前橋市、1980〜2024年度)
小学校児童数(2024年度) 15,795人 1982年度から50.1%減
小学校の数 50校 ピークの53校から3校減
1校当たり児童数 315.9人 全国315.7人とほぼ同じ

42年で50.1%の減少である。ちょうど半分になった。

中学校も同じ形をしている。ピークは1987年度の16,507人で、2024年度は8,281人。49.8%減である。ピークが小学校より5年遅いのは、同じ世代が進学したためと読める。

減り方に注目すると、1980年代後半から1990年代にかけて急で、2000年以降はゆるやかになっている。団塊ジュニアが小学校を卒業していく時期と重なる。

学校は3校しか減っていない

児童が半分になれば、学校も半分になりそうなものである。実際には違った。

前橋市の小学校数と1校当たり児童数の推移。学校数はピーク53校から50校へ3校減、1校当たり児童数は644.6人から315.9人へ半減
小学校数と1校当たり児童数の推移(前橋市、1980〜2024年度)

小学校数は1980年度47校から増えて、2005年度から2014年度まで53校で横ばい。2015年度から減り始め、2024年度は50校である。ピークから3校、5.7%の減少にとどまる。

中学校も同様で、ピーク26校から23校へ11.5%減。

その結果、1校当たり児童数は1980年度644.6人から2024年度315.9人へ、51.0%減った。児童の減り方と、1校当たりの減り方がほぼ同じになる。学校をほとんど減らさなかったので、規模がそのまま縮んだ形である。

教員1人当たり児童数も1980年度27.1人から2024年度14.2人へ、47.6%減っている。

前橋の学校規模は、全国並みに落ち着いた

1校当たり315.9人という数字が大きいのか小さいのか、他と比べる。

県内5市の1校当たり児童生徒数。前橋小315.9・中360.0、高崎308.8・351.3、伊勢崎452.3・450.7、太田455.0・361.5、桐生227.4・207.2
1校当たり児童生徒数(県内5市、2024年度)

全国は小学校315.7人、中学校317.9人。前橋の小学校315.9人は、全国とほぼ同じである。高崎308.8人も近い。

県内では差が大きい。伊勢崎452.3人と太田455.0人は450人を超え、桐生は227.4人。群馬県全体は291.5人で、前橋は県平均より大きい学校を持っている。

中学校では前橋360.0人、伊勢崎450.7人、太田361.5人、高崎351.3人、桐生207.2人。全国317.9人を上回る市が多い。

この数字をどう読むか

ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。

「学校を減らさなかった」ことの意味

児童が半減しても学校を3校しか減らさなかった。この選択には両面がある。

通学距離が保たれる。地域に学校が残る。一方で、施設の維持費と教職員の配置は学校数に応じて必要になる。歳出の記事で、前橋の教育費の割合が2022年度は5市で最も低い8.9%、2024年度は11.6%で4番目であることを示した。校舎の建設時期による変動が大きく、単純に比較できない。

財政の記事で、前橋の将来負担比率55.5%が県内5市で最も高いことを示した。施設をどれだけ持つかは、財政の将来に直結する。ただしこの統計から、学校施設が将来負担にどれだけ寄与しているかは分からない。

公費とは別に、家庭が負担する分もある。
教育費の記事では、幼稚園から高校までの15年でかかる学習費がすべて公立なら617万円、すべて私立なら1,971万円で3.19倍の開きであることを示した。差が最も大きいのは小学校で、15年分のうち825万円がここで生まれる。

学校をどれだけ残すかは市の財政の話だが、どの学校に通うかは家庭の負担の話である。この2つは別の統計で、つながりを直接見ることはできない。

出生率が高くても、子どもの数は減る

子育ての記事で、前橋の合計特殊出生率1.41が全国1.33も群馬1.38も上回ることを示した。待機児童も0人で、保育の定員は1,412人分空いている。

それでも児童数は半分になった。出生率は「女性1人当たり何人生まれるか」であって、子どもの総数ではない。産む世代の人数が減れば、出生率が高くても生まれる数は減る。

人口社会増減の記事で、前橋が20〜24歳だけを失い続けていることを示した。その年代が抜けることは、次の世代の数に効いてくる。

県内の学校規模の差は、都市の形の差である

伊勢崎452.3人・太田455.0人と、桐生227.4人。同じ県内で2倍の開きがある。

伊勢崎と太田は人口が増えている時期が長く、市域も比較的まとまっている。桐生は山間部を含み、人口減少も進んでいる。介護の記事で桐生の要介護認定率21.59%が5市で最も高いことを示したが、高齢化の進み方も学校規模に表れている。

前橋は通勤先の記事で見たとおり周辺から人を受け入れる県庁所在地でありながら、学校規模は全国並みである。市域が広く、旧町村部を抱えていることが効いている可能性がある。ただしこの統計から地域内の分布は分からない。

このデータの限界

  • 1校当たり・教員1人当たりの値、減少率は当サイトが算出したものである。公表値ではない。
  • 市区町村レベルでは学級数が公表されていないため、1学級当たりの人数は算出できない。都道府県レベルでは可能で、2024年度は群馬県20.4人、全国21.7人である。
  • 1981年度の児童数は元データが欠測している。
  • この統計は市全体の数値で、学校ごとの規模や地域内の分布は分からない。小規模校と大規模校が混在していても平均には表れない。
  • 高等学校は学校数と生徒数のみで、教員数が公表されていない。大学は含まれない。
  • 公立と私立の区分がない。学校数・児童生徒数はいずれも合計である。
  • 廃置分合処理済版を使ったため、合併前の旧町村部の数値が現在の前橋市に含まれている。当時の市域での数値とは異なる。
  • 統廃合の個別の事情や、通学区域の見直しについてはこの統計から分からない。

よくある誤解

「前橋は出生率が高いから子どもが減っていない」

合計特殊出生率1.41は全国も群馬も上回りますが、小学校児童数は42年で50.1%減っています。出生率は女性1人当たりの数であり、子どもの総数とは別です。

「学校が減っているから教育がおろそかになっている」

減ったのはピークの53校から50校で3校です。児童が50.1%減ったのに対し、学校数は5.7%減にとどまります。教員1人当たり児童数も27.1人から14.2人へ改善しています。

「1校当たり315人は少なすぎる」

全国平均は315.7人で、前橋の315.9人とほぼ同じです。群馬県平均291.5人よりは大きい水準です。少ないのは桐生の227.4人で、多いのは伊勢崎452.3人・太田455.0人です。

Q&A

1学級当たりの人数は分かりますか

市区町村別には分かりません。この統計に学級数の項目がないためです。都道府県レベルでは算出でき、2024年度は群馬県20.4人、全国21.7人でした。群馬県教育委員会が公表している教育統計資料には市町村別の学級数があるため、稿を改めて扱えるか検討します。

どの学校が統廃合されたのですか

この統計では分かりません。学校数の増減しか記録されていないためです。群馬県教育委員会が公立幼小中の設置廃止の一覧を公表しているので、個別の経緯はそちらで確認できます。

公立と私立は分けられますか

この統計では分けられません。学校数・児童生徒数はいずれも設置者を問わない合計です。学校基本調査には設置者別の区分がありますが、市区町村別で取れるのは2015年度までです。

なぜ2つの版があるのですか

市町村合併があるためです。オリジナル版は当時の市域での数値、廃置分合処理済版は現在の市域に遡って補正した数値です。時系列で比較する場合は後者が適しています。この記事では後者を使いました。

次の更新はいつですか

年度次の統計です。2025年度分がこの統計に収録され次第、更新します。

出典

  • 総務省「社会・人口統計体系 市区町村データ」E教育 廃置分合処理済(統計表ID 0000020205)、都道府県データ E教育(統計表ID 0000010105)/e-Stat 地域統計
  • 群馬県教育委員会「教育統計資料」(市町村別の学級数の所在確認)/群馬県

データダウンロード

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㊵県内5市の学校数と児童生徒数
1980〜2024年度の45年分
総務省「社会・人口統計体系 市区町村データ」E教育 廃置分合処理済(統計表ID 0000020205)CSVを保存

更新履歴

  • 2026年9月7日 公開