前橋市の空き家率は15.2%。全国1,235市区町村のうち502位でした。
ただし中身を分けると、高崎市との関係が逆転します。
結論
前橋市の空き家率は15.2%。全国平均13.8%を上回るが、群馬県平均16.7%は下回る。
高崎市の13.9%より高い。ただし賃貸・売却用および二次的住宅を除く空き家に限ると、前橋5.3%、高崎7.1%で逆転する。
前橋の空き家は賃貸用が58.1%を占める。中身はアパートの空室だった。
対象範囲
総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)を使用しました。
調査期日は2023年10月1日、公表は2024年9月25日です。
空き家率は、総住宅数に占める空き家数の割合です。
市区町村別に結果が公表されるのは、市区および人口1万5千人以上の町村に限られます。群馬県内では18市町村が対象です。
空き家は4つに分かれます。賃貸用、売却用、二次的住宅(別荘など)、そしてそれ以外です。
本記事で「賃貸・売却用および二次的住宅を除く空き家」と呼ぶのは4つ目で、管理されないまま放置されやすい区分にあたります。
空き家率と全国順位

| 地域 | 総住宅数 | 空き家数 | 空き家率 | 除く空き家の率 |
|---|---|---|---|---|
| 前橋市 | 169,580 | 25,700 | 15.2% | 5.3% |
| 高崎市 | 186,260 | 25,850 | 13.9% | 7.1% |
| 伊勢崎市 | 102,150 | 13,950 | 13.7% | 5.7% |
| 太田市 | 108,290 | 15,070 | 13.9% | 5.1% |
| 桐生市 | 54,830 | 12,030 | 21.9% | 11.5% |
| 群馬県 | 967,400 | 161,300 | 16.7% | 7.6% |
| 全国 | 65,046,700 | 9,001,600 | 13.8% | 5.9% |
前橋市の空き家率15.2%は、全国1,235市区町村のうち502位でした。
群馬県内18市町村では11位です。
群馬県全体の16.7%は全国平均を大きく上回ります。
県内で最も高いのはみなかみ町の28.7%、最も低いのは吉岡町の9.2%でした。
主要市では桐生市の21.9%が突出しています。
空き家の中身
| 区分 | 前橋市 | 構成比 | 高崎市 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|
| 賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 | 8,940 | 34.8% | 13,210 | 51.1% |
| 賃貸用の空き家 | 14,940 | 58.1% | 11,590 | 44.8% |
| 売却用の空き家 | 740 | 2.9% | 530 | 2.1% |
| 二次的住宅 | 1,080 | 4.2% | 520 | 2.0% |
| 合計 | 25,700 | 100% | 25,850 | 100% |
空き家の総数は前橋25,700戸、高崎25,850戸でほぼ同じです。
しかし構成が異なります。
前橋は賃貸用が58.1%で最も多く、除く空き家は34.8%。
高崎は除く空き家が51.1%で最も多く、賃貸用は44.8%でした。
実数で見ると、除く空き家は高崎が前橋の1.48倍あります。
この区分の空き家率でも、全国順位は前橋772位、高崎564位で高崎が上位です。
腐朽・破損のある空き家は前橋4,510戸、高崎5,040戸。
このうち除く空き家かつ一戸建に限ると、前橋1,830戸、高崎3,220戸でした。
県内5市と群馬県・全国の空き家の内訳を並べる。
| 地域 | 賃貸用 | 売却用 | 二次的住宅 | その他(除く空き家) |
|---|---|---|---|---|
| 前橋市 | 14,940 | 740 | 1,080 | 8,940 |
| 高崎市 | 11,590 | 530 | 520 | 13,210 |
| 伊勢崎市 | 7,870 | 250 | 50 | 5,780 |
| 太田市 | 9,040 | 490 | 60 | 5,480 |
| 桐生市 | 5,380 | 220 | 120 | 6,300 |
| 群馬県 | 68,500 | 3,700 | 16,000 | 73,100 |
| 全国 | 4,435,800 | 326,200 | 383,500 | 3,856,000 |
単位は戸。「その他」は賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家。統計表の値は端数を丸めているため、4つの合計が空き家数と一致しない地域がある。
この数字をどう読むか
ここからは解釈です。
空き家率という一つの数字で比べると、前橋のほうが高崎より高い。
しかし空き家問題として語られるのは、多くの場合、管理されないまま残る住宅のことです。その区分では前橋のほうが少なくなります。
前橋の空き家の中身は、賃貸用が6割近くを占めます。
アパートの空室は、所有者が貸すために管理しているものです。放置とは性格が違います。
なぜ前橋に賃貸用の空き家が多いのか。
当サイトの事業所の記事で確認したとおり、前橋は1km²当たりの事業所数が高崎を上回り、集積の密度が高い市街地を持ちます。集合住宅の供給が多ければ、空室も増えます。
ただしこれは推測で、本記事のデータでは確かめられません。
群馬県全体の空き家率16.7%が全国平均を大きく上回る点も見ておく価値があります。
生活コストの記事で確認したとおり、群馬県の住居費指数は89.5で全国平均を下回りました(2025年)。住宅が余っていることと、住居費が安いことは無関係ではないはずです。
そして将来人口の記事で示したとおり、前橋の人口は2050年までに18%減ります。
住宅の数が変わらなければ、空き家率は上がります。いまの15.2%は出発点にすぎません。
住宅の側もその後の記事で扱いました。
持ち家の記事では、前橋の持ち家率68.6%が2008年から5.9ポイント上がっています。全国が0.3ポイント下がるなかで逆を向いていました。
新しく建つ住宅も持ち家に寄っています。建築物の記事では、新設住宅の持家が47.5%で全国30.0%の1.58倍、貸家は25.2%で全国40.0%の0.63倍でした。
持ち家が増え、貸家が建ちにくい市で、賃貸用の空き家が6割を占める。この関係は確かめられていません。
土地の値段は地価の記事で見ています。前橋の住宅地は1995年のピークから60.8%下がり、いまは43年前より30%安い水準です。
このデータの限界
- 住宅・土地統計調査は標本調査です。全数調査ではないため、数値には標本誤差が含まれます。公表値は10戸単位に丸められています。
- 結果が公表されるのは、市区および人口1万5千人以上の町村に限られます。群馬県内35市町村のうち、対象は18市町村です。
- 空き家の区分は調査時点の用途によります。賃貸用と分類されていても、実際に募集されているかどうかまでは分かりません。
- 調査期日は2023年10月1日、公表は2024年9月25日です。調査から公表まで間があります。
- 空き家率は、総住宅数に占める空き家数の割合です。世帯数や人口に対する割合ではありません。
- 空き家は賃貸用、売却用、二次的住宅、それ以外の4区分です。区分ごとの管理の状況までは分かりません。
- 住宅・土地統計調査は5年ごとの周期調査です。
よくある誤解
「空き家率が高い=放置された家が多い」
とは限りません。前橋の空き家は6割近くが賃貸用で、管理されている住宅です。
「空き家が増えている」
率と実数を区別する必要があります。全国の空き家率は2013年13.5%、2018年13.6%、2023年13.8%とほぼ横ばいですが、戸数は増え続けています。
「前橋の空き家率は全国より突出して高い」
15.2%は全国13.8%を上回りますが、中身は6割近くが賃貸用の空室です。
Q&A
次の調査はいつですか
住宅・土地統計調査は5年ごとです。次回は2028年に実施される予定です。
町丁別のデータはありますか
この調査では公表されていません。市区町村が最小単位です。
群馬県の空き家率が高いのはなぜですか
本記事のデータからは特定できません。
県内ではみなかみ町28.7%、中之条町23.0%など、観光地や山間部の町村が上位に並びます。二次的住宅の多さが影響している可能性はありますが、確認していません。
戸建ての空き家は、前橋市空き家バンクで売却・賃貸の物件情報が公開されています。空き家の改修や移住の支援は、前橋市の支援メニューのページで確認できます。
出典
- 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)第1-2-1表、第34-2表(2024年9月25日公表)
データダウンロード
本記事で使用したデータは、CSVでご自由にダウンロードいただけます。ライセンスはCC BY 4.0です。
| No | データ名 | 出典 | ダウンロード |
|---|---|---|---|
| ⑯ | 前橋市・県内主要市の空き家数と空き家率 (2023年) | 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」第1-2-1表 | CSVを保存 |
更新履歴
2026年9月22日 一覧表と公式ページへのリンクを追加
2026年9月22日 公式窓口へのリンクを追加
2026年9月21日 限界と誤解を整理
2026年8月26日 公開
