高齢化率の記事で、前橋の高齢化率が2050年に39.7%まで上がることを示した。
別の見方もある。市民をちょうど半分に分けると、境目は何歳か。
前橋市の年齢中位数は50.1歳。市民の半分が50歳以上である。
全国48.6歳より1.5歳高い。10年で4.4歳上がり、全国の3.6歳より速い。
ところが1,718市区町村のうち1,191が前橋より高い。自治体の数で見れば低いほうに入る。
対象範囲
総務省「国勢調査」による。社会・人口統計体系の市区町村データを通じて取得した。
年齢中位数は、その年齢より上の人と下の人がちょうど同数になる年齢である。平均年齢とは違う。
平均年齢は極端な値に引っ張られる。中位数は真ん中の人の年齢なので、その影響を受けにくい。
取れるのは2010年・2015年・2020年の3時点である。5年ごとの国勢調査に対応する。
扱えないもの
平均年齢は市区町村別でも都道府県別でも項目が存在しない。この統計では比較できない。
5歳階級別の人口も、市区町村別では連続した系列が取れない。0〜3歳、3〜5歳、6〜11歳といった不規則な区分しかない。
また高齢化率の記事の30.2%は国立社会保障・人口問題研究所の推計値である。この記事の国勢調査ベースとは出所が違うので、直接は並べられない。
市民の半分が50歳以上

2020年の前橋市の年齢中位数は50.1歳。市民の半分が50歳以上である。
2010年は45.7歳だった。10年で4.4歳上がっている。
5市では桐生54.6歳に次ぐ2位。高崎48.4歳、太田と伊勢崎はどちらも46.5歳である。
群馬県は49.7歳、全国は48.6歳。前橋は県も全国も上回る。
全国より高い。ただし自治体の中では低いほう

前橋50.1歳は全国48.6歳より1.5歳高い。
ところが市区町村ごとに並べると景色が変わる。値が取れた1,718市区町村のうち、1,191が前橋より高い。
前橋より低いのは526。全体の30.6%にとどまる。
市に限っても同じである。792市のうち441市が前橋より高い。
全国の値より高いのに、自治体の7割より低い。
なぜ逆転するのか
全国48.6歳は、日本の全人口を並べたときの真ん中である。人口で加重されている。
人口の多い都市部には若い層が集まる。その大きな塊が、全国の値を引き下げる。
一方、自治体の数では小規模な町村が多数を占める。最も高いのは南牧村の71.9歳、最も低いのは南風原町の40.1歳で、幅は31.8歳ある。
人口で数えるか、自治体の数で数えるかで、同じ50.1歳の意味が変わる。
上がり方も全国より速い

10年の上昇幅は前橋が+4.4歳で5市の最大である。
桐生と伊勢崎が+4.3歳、太田が+4.0歳、高崎が+3.9歳。群馬県は+3.9歳、全国は+3.6歳。
全国との差も広がっている。2010年の+0.7歳から、2020年には+1.5歳へ。
群馬県の全国順位は47都道府県中28位。2010年の31位から3つ上がった。
この数字をどう読むか
ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。
50歳という境目
市民の半分が50歳以上になった。これは市の意思決定にも関わる。
高齢者の就業の記事で、65〜69歳の労働力率が男性62.73%であることを示した。50代は現役世代である。
ただし高齢化率の記事では、15〜64歳が2050年までに28.4%減る推計だった。いま50歳の人は、2050年に74歳になっている。
上がり方が速い理由
前橋の上昇+4.4歳は、5市で最も速い。
人口の記事で、前橋が失っているのは20〜24歳だけであることを示した。日本人で486人の流出である。
若い層が抜ければ、中位数は上がる。同じ記事で、65歳以上は329人の転入超過だった。
若い人が出て、高齢の人が入る。この2つが重なれば、中位数は速く上がる。ただし転出入だけで説明できるかは、この統計からは確かめられない。
桐生との差
桐生54.6歳は前橋より4.5歳高い。5市で突出している。
2010年の時点で既に50.3歳だった。前橋が2020年に到達した水準に、10年前からいる。
介護の記事で桐生の要介護認定率21.59%が5市で最も高いこと、平均余命の記事で桐生の平均余命が男で5市の最短であることを示した。
桐生の数字は、前橋の10年後を示しているかもしれない。ただし同じ道を辿るとは限らない。
このデータの限界
- 上昇幅、全国との差、市区町村の順位はすべて当サイトが算出した。公表値ではない。
- 市区町村別で取れるのは2010年・2015年・2020年の3時点だけである。
- 平均年齢は市区町村別でも都道府県別でも項目が存在せず、比較できない。
- 5歳階級別の人口は市区町村別では連続した系列が取れない。年齢構成の全体像はこの統計では描けない。
- 市区町村の順位は、値が取れた1,718市区町村で集計した。前橋と同じ50.1歳の自治体が9つあるため、「前橋より高い1,191」と「前橋より低い526」の合計は1,717になる。
- 全国の値は人口で加重したものである。自治体の数で数えた分布とは性格が違う。
- 高齢化率の記事の30.2%は国立社会保障・人口問題研究所の推計値で、この記事の国勢調査ベースとは出所が異なる。国勢調査の数値で同じ計算をすると29.0%になる。
- 年齢中位数が上がる理由(出生、死亡、転出入)を分解することはこの統計ではできない。
よくある誤解
「年齢中位数は平均年齢のことだ」
違います。年齢中位数は、その年齢より上の人と下の人がちょうど同数になる年齢です。平均年齢は全員の年齢を足して人数で割った値で、極端な値に引っ張られます。
「前橋は全国より高齢だ」
全国48.6歳より1.5歳高いのは事実です。ただし1,718市区町村のうち1,191が前橋より高く、自治体の数で数えると前橋は低いほうに入ります。
「高齢化率と同じことを言っている」
別の指標です。高齢化率は65歳以上の割合、年齢中位数は真ん中の人の年齢です。高齢者が増えなくても若い層が減れば中位数は上がります。
Q&A
年齢中位数とは何ですか
住民を年齢順に並べたとき、ちょうど真ん中にくる人の年齢です。前橋の50.1歳は、市民の半分が50.1歳以上、半分が50.1歳未満であることを意味します。
平均年齢は分かりますか
この統計では分かりません。市区町村別でも都道府県別でも、平均年齢の項目が存在しません。
最新の数字はいつのものですか
2020年の国勢調査によるものです。国勢調査は5年ごとなので、次は2025年調査の結果になります。
なぜ全国より高いのに順位は低いのですか
全国の値は人口で加重されているためです。人口の多い都市部に若い層が集まっており、その塊が全国の値を引き下げます。一方、自治体の数では小規模で高齢の町村が多数を占めます。
出典
- 総務省「国勢調査」2010・2015・2020年/社会・人口統計体系 市区町村データ(統計表ID 0000020201)/e-Stat
- 総務省「社会・人口統計体系」都道府県データ(統計表ID 0000010101、群馬県の全国順位)
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| 79 | 県内5市の年齢中位数と年齢3区分 2010〜2020年 | 総務省「国勢調査」(社会・人口統計体系による) | CSVを保存 |
更新履歴
- 2026年9月18日 公開
