前橋市の65〜69歳の労働力率は男性62.73%、女性41.71%で、全国の63.48%・41.33%とほぼ同じ(2020年)。70〜74歳でも男性の44.00%が働いているか仕事を探している。65歳以上の雇用者の75.5%は非正規である。県内5市と群馬県・全国の労働力率を表で比べた。
女性の就業の記事で、男女の労働力率の差が20代前半では1.56ポイントしかなく、30代で17.20ポイントに開くことを示した。高齢化率の記事では2050年に39.7%になる見通しも見た。
65歳を過ぎた人は、どれだけ働いているのか。
前橋市の65〜69歳の労働力率は男性62.73%、女性41.71%。70〜74歳でも男性44.00%が働いているか、仕事を探している。
ただし雇用の形が変わる。65歳以上の非正規比率は男性69.7%。全年齢の20.1%から49.6ポイント跳ね上がる。
全年齢では29.7ポイントあった男女差が、65歳以上では11.8ポイントまで縮まる。
対象範囲
労働力率は総務省「令和2年国勢調査」就業状態等基本集計(統計表ID 0003450578)による。労働力率とは、各年齢階級の人口に占める労働力人口(就業者+完全失業者)の割合である。
雇用形態は総務省「令和4年就業構造基本調査」(統計表ID 0004008452)による。この調査の市区町村別は全市町村ではなく、県内では前橋市と高崎市のみが対象である。
非正規比率は「非正規の職員・従業員 ÷(正規+非正規)」として当サイトが算出した。役員と自営業主は含まない。自営業や農業を続けている人は、この比率の分母にも分子にも入らない。
時系列は各年の国勢調査による。2015年・2020年は公表の労働力率、2000年・2010年は労働力人口を総数で割って算出した。2005年は取得していない。
70代前半でも男性の44%が働いている
年齢階級別に見る。

65〜69歳は男性62.73%、女性41.71%。70〜74歳でも男性の44.00%が働いているか、仕事を探している。
全国は65〜69歳が男性63.48%・女性41.33%、70〜74歳が44.50%・26.92%。前橋はほぼ全国並みである。65歳以上全体では男性36.87%(全国37.46%)、女性19.95%(全国19.88%)で、差は1ポイント未満にとどまる。
男女差は年齢とともに縮まる。65〜69歳の21.02ポイントが、85歳以上では5.32ポイントになる。
県内5市と群馬県・全国の65〜74歳の労働力率を並べる(2020年)。
| 地域 | 65〜69歳 男性 | 65〜69歳 女性 | 70〜74歳 男性 | 70〜74歳 女性 |
|---|---|---|---|---|
| 前橋 | 62.73% | 41.71% | 44.00% | 26.82% |
| 高崎 | 61.33% | 40.52% | 41.65% | 26.16% |
| 桐生 | 64.04% | 47.44% | 46.60% | 29.83% |
| 伊勢崎 | 61.47% | 43.60% | 43.98% | 28.49% |
| 太田 | 61.28% | 41.23% | 42.18% | 27.57% |
| 群馬県 | 62.76% | 42.96% | 43.94% | 28.32% |
| 全国 | 63.48% | 41.33% | 44.50% | 26.92% |
労働力率は各年齢階級の人口に占める労働力人口(就業者+完全失業者)の割合。
男性は2010年が底だった
20年の推移を見る。

女性は一貫して上がっている。2000年24.78%から2020年41.71%へ、16.93ポイントの上昇である。
男性は違う。2000年54.07%から2010年50.73%へいったん下がり、そこから2020年62.73%へ12.00ポイント上がった。2010年が底である。
結果として男女差は縮まった。2000年の29.29ポイントが2020年には21.02ポイント。8.27ポイント縮まっている。
働いている。ただし4人に3人が非正規
どう働いているかを見る。

65歳以上の非正規比率は男性69.7%、女性81.5%。総数では75.5%で、雇用者の4人に3人が非正規である。
全年齢と比べると跳ね上がり方が違う。男性は20.1%から69.7%へ49.6ポイント、3.47倍。女性は49.8%から81.5%へ31.7ポイント、1.64倍である。
その結果、男女差は全年齢の29.7ポイントから11.8ポイントへ縮まる。17.9ポイントの縮小である。
群馬県は総数77.6%、全国は77.5%。前橋の75.5%は、どちらよりわずかに低い。
この数字をどう読むか
ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。
2010年の底は、制度の変化と重なる
65〜69歳男性の労働力率は2010年が底で、そこから12.00ポイント上がった。
この時期には高年齢者雇用安定法の改正があり、65歳までの雇用確保が段階的に義務づけられた。ただしこの統計から、制度が原因だと示すことはできない。
年金の支給開始年齢の引き上げも同じ時期に進んでいる。複数の要因が重なっており、どれがどれだけ効いたかは分からない。
「働く」の中身が変わっている
労働力率は上がった。ただし65歳以上の雇用者の75.5%は非正規である。
とくに男性の変化が大きい。20.1%から69.7%へ3.47倍。定年を境に、雇用の形が入れ替わっている。
退職金の記事で、退職給付制度がある企業が74.9%で、勤続年数によって額が2倍変わることを示した。年齢別の貯蓄の記事では、群馬の貯蓄が50代から60代で74%増えることも見た。
退職金を受け取り、貯蓄が増え、そして非正規で働き続ける。この3つが同じ年代に起きている。ただし個々の世帯でどうつながっているかは、これらの統計からは分からない。
男女差が縮まるのは、望ましい形とは限らない
非正規比率の男女差は、全年齢の29.7ポイントから65歳以上の11.8ポイントへ縮まる。
ただしこれは女性の比率が下がったからではない。男性が女性の水準に近づいた結果である。女性81.5%に対し男性69.7%で、どちらも高い。
女性の就業の記事で、労働力率の男女差が30代で17.20ポイントに開くことを示した。差が開く年代と、縮まる年代がある。ただし縮まり方の中身は同じではない。
高齢化と労働力の関係
高齢化率の記事で、2050年に39.7%になる推計を示した。65歳以上は7.3%しか増えず、15〜64歳が28.4%減ることによるものである。
65歳以上の労働力率が上がれば、支える側の減少をある程度は補える。実際、65〜69歳男性は20年で12.00ポイント上がった。
ただし上限がある。70〜74歳で44.00%、75〜79歳で25.99%と、年齢とともに下がる。健康状態という制約は、統計の外にある。
このデータの限界
- 非正規比率、男女差、増減の値は当サイトが算出したものである。公表値ではない。
- 労働力率は2020年、雇用形態は2022年で年が異なる。
- 就業構造基本調査の市区町村別は全市町村ではない。県内では前橋市と高崎市のみが対象となる。
- 非正規比率の分母は正規と非正規の合計で、役員と自営業主は含まない。自営業や農業を続けている人はこの比率に反映されない。
- 2000年・2010年の国勢調査には労働力率の項目がなく、労働力人口を総数で割って算出した。2005年は取得していない。
- 労働力率には完全失業者が含まれる。就業している人の割合ではない。
- 2010年が底である理由は、この統計からは特定できない。制度改正、年金、景気など複数の要因が考えられる。
- 働いている理由(生計のため、社会参加のためなど)は、この記事では扱っていない。
- 健康状態と就業の関係は、これらの統計には含まれない。
よくある誤解
「前橋の高齢者は働かない」
65〜69歳の労働力率は男性62.73%・女性41.71%で、全国の63.48%・41.33%とほぼ同じです。70〜74歳でも男性の44.00%が働いているか、仕事を探しています。
「高齢者の就業が増えたのは最近のこと」
女性は2000年から一貫して上がっています。男性は2010年に50.73%まで下がってから上昇に転じており、動きが違います。
「非正規が多いのは女性の問題」
65歳以上では男性69.7%・女性81.5%で、どちらも高い水準です。全年齢では男性20.1%なので、男性のほうが変化が大きく、3.47倍になっています。
Q&A
高齢者はどんな産業で働いていますか
前橋市の65歳以上の就業者24,792人のうち、卸売業・小売業が15.0%で最も多く、農業・林業13.3%、医療・福祉10.8%と続きます(令和2年国勢調査)。
働きたいが働いていない人はどれくらいですか
前橋市の65歳以上の無業者72,700人のうち、就業を希望しているのは4,800人(6.6%)です。実際に求職活動をしているのは1,400人で、希望者の29.2%にとどまります(令和4年就業構造基本調査)。暮らしや介護の相談は、前橋市の前橋市地域包括支援センター及びブランチ(窓口)のページで窓口を確認できます。
自営業の人は含まれますか
労働力率には含まれますが、非正規比率には含まれません。非正規比率の分母は正規と非正規の職員・従業員の合計で、役員と自営業主を除いているためです。
高崎市と比べるとどうですか
この記事では前橋市と全国・群馬県の比較を中心に扱いました。県内5市の年齢階級別労働力率はCSVに収録しています。
次の更新はいつですか
国勢調査は5年ごとで、令和7年(2025年)調査の就業関係の集計はまだ公表されていません。就業構造基本調査は5年ごとで、次回は令和9年(2027年)調査となります。
65歳以上で働いている人の割合はどれくらいですか
2020年の前橋市の65歳以上の労働力率は、男性36.87%、女性19.95%です。全国は男性37.46%、女性19.88%で、差は1ポイント未満です。
高齢者の非正規の割合はどれくらいですか
2022年の前橋市の65歳以上の雇用者のうち、非正規は75.5%です。男性69.7%、女性81.5%で、群馬県77.6%、全国77.5%よりわずかに低くなっています。
出典
- 総務省「令和2年国勢調査」就業状態等基本集計(統計表ID 0003450578)、産業別集計(統計表ID 0003450705)、各年の国勢調査/e-Stat
- 総務省「令和4年就業構造基本調査」(統計表ID 0004008452、0004008448)/e-Stat
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| No | データ名 | 出典 | ダウンロード |
|---|---|---|---|
| ㊽ | 県内5市の高齢者の労働力率と雇用形態 2000〜2022年 | 総務省「国勢調査」「就業構造基本調査」 | CSVを保存 |
更新履歴
- 2026年9月24日 冒頭の段落を追加
- 2026年9月24日 Q&Aと内部リンク、表を追加
- 2026年9月22日 公式窓口へのリンクを追加
- 2026年9月11日 公開
