家計収支の記事で、前橋市の消費支出が全国を月23,749円上回ることを示した。1人当たりでは全国の112.9%だった。物価は全国最低なのに、買っている量が多い。
買ったものは、いずれ捨てられる。ごみの量を見る。
群馬県の1人1日当たり排出量は全国を上回り、リサイクル率は全国を大きく下回っていた。
群馬県の1人1日当たりごみ排出量は930.1グラム。全国838.7グラムを91.4グラム上回る。
リサイクル率は群馬13.51%、全国19.33%。5.8ポイント低い。
前橋市は排出量874.6グラムで県内5市で最も少ない。リサイクル率16.54%は、太田19.15%に次ぐ5市2位である。
対象範囲
環境省「一般廃棄物処理実態調査」令和6年度(2024年度)による。2026年3月27日に公表された最新の調査である。時系列は総務省「社会・人口統計体系 市区町村データ」H居住(統計表ID 0000020108)を使った。こちらの最新は2023年度である。
群馬県内の35市町村すべてに数値がある。ごみ処理を一部事務組合で共同処理している自治体も、構成市町村ごとに計上されているため、市町村別に比較できる。
リサイクル率には2つの定義がある。この記事で使うRは、直接資源化量・中間処理後の再生利用量・集団回収量の合計を、ごみ処理量と集団回収量の合計で割った値である。
もう一つのR’は、分子から固形燃料化やセメント原料化、焼却灰の山元還元などを除いたもので、Rより厳しい基準になる。熱回収を再生利用に含めるかどうかの違いである。前橋はR16.54%に対しR’15.43%。高崎・伊勢崎・太田・桐生はRとR’が同値だった。
1人当たり処理経費と県内順位は当サイトが算出した。公表値ではない。
群馬はごみが多く、リサイクル率が低い
群馬県の1人1日当たりごみ排出量は930.1グラム。全国は838.7グラムなので、91.4グラム多い。年に換算すると1人当たり33キログラムの差になる。
リサイクル率は群馬13.51%、全国19.33%。5.8ポイント低い。全国の0.70倍にあたる。

散布図の右下、つまりごみが多くリサイクルが少ない領域に、群馬県と県内主要市の多くが位置している。全国は左上にいる。
県内5市では、太田がリサイクル率19.15%で全国並みだが排出量943.7グラムと多い。高崎10.06%、伊勢崎9.79%、桐生10.16%はいずれも1割台前半である。
前橋は県内で最も少ない。それでも全国より多い
前橋市の1人1日当たり排出量は874.6グラムである。

県内5市で最も少ない。高崎883.5、伊勢崎914.8、太田943.7、桐生1,010.8と続く。県内35市町村では少ないほうから12番目にあたる。
ただし全国838.7グラムと比べると35.9グラム多い。年に換算すると1人当たり13キログラムの差である。
前橋の内訳は生活系686.5グラム(うち家庭系565.1グラム)、事業系188.1グラム。生活系が全体の78.5%を占める。
リサイクル率16.54%は県内5市で2位(1位は太田19.15%)、35市町村では12位である。ただし全国19.33%には2.8ポイント届かない。
県内35市町村をすべて並べると、次のようになります。
| 順位(多い順) | 市町村 | 1人1日当たり排出量(g) |
|---|---|---|
| 1 | 草津町 | 2,179.6 |
| 2 | 片品村 | 1,456.9 |
| 3 | 嬬恋村 | 1,186.7 |
| 4 | 川場村 | 1,113.6 |
| 5 | 渋川市 | 1,097.6 |
| 6 | 長野原町 | 1,090.9 |
| 7 | 千代田町 | 1,070.2 |
| 8 | 藤岡市 | 1,055.5 |
| 9 | 中之条町 | 1,041.3 |
| 10 | 沼田市 | 1,013.3 |
| 11 | 桐生市 | 1,010.8 |
| 12 | みどり市 | 965.3 |
| 13 | 富岡市 | 962.0 |
| 14 | 玉村町 | 953.2 |
| 15 | 太田市 | 943.7 |
| 16 | 安中市 | 941.3 |
| 17 | 大泉町 | 936.8 |
| 18 | 館林市 | 916.3 |
| 19 | 伊勢崎市 | 914.8 |
| 20 | 東吾妻町 | 907.3 |
| 21 | 邑楽町 | 899.6 |
| 22 | 高崎市 | 883.5 |
| 23 | 吉岡町 | 878.0 |
| 24 | 前橋市 | 874.6 |
| 25 | みなかみ町 | 872.4 |
| 26 | 神流町 | 840.5 |
| 27 | 板倉町 | 808.0 |
| 28 | 上野村 | 802.8 |
| 29 | 高山村 | 776.9 |
| 30 | 昭和村 | 770.7 |
| 31 | 明和町 | 770.4 |
| 32 | 下仁田町 | 748.2 |
| 33 | 南牧村 | 747.7 |
| 34 | 榛東村 | 737.4 |
| 35 | 甘楽町 | 619.2 |
排出量はピークから23%減。リサイクル率は下がった
前橋の時系列を見る。ごみ総排出量は1999年度11.7万トン、2009年度に13.8万トンでピークを迎え、2023年度は10.6万トンになった。

ピークからは23.3%の減少である。1999年度と比べても9.0%減っている。2004年と2009年の合併で市域が広がっていることを考えると、実質的な減り方はこれより大きい。
リサイクル率は別の動きをしている。1999年度14.0%から徐々に上がり、環境省の年次データでは2017年度の21.37%が最も高い。以降は毎年下がり、2023年度は17.6%である。
4年で2.4ポイントの低下である。令和6年度(2024年度)の環境省調査では16.54%で、さらに下がっている。
1998〜2024年度の推移|前橋・群馬県・全国
環境省「一般廃棄物処理実態調査」で、1人1日当たり排出量とリサイクル率Rを1998年度から27年分並べた。前橋の1人1日当たり排出量は2006年度の1,196.6グラムが最も多く、2024年度は874.6グラム。リサイクル率は2017年度の21.37%が最も高く、2024年度は16.54%である。
| 年度 | 前橋(g) | 群馬県(g) | 全国(g) | 前橋R(%) | 群馬県R(%) | 全国R(%) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1998年度 | 1,088.9 | 1,061.6 | 1,118.1 | 15.01 | 14.02 | 12.10 |
| 1999年度 | 1,124.3 | 1,066.2 | 1,113.9 | 14.03 | 14.25 | 13.07 |
| 2000年度 | 1,151.8 | 1,092.4 | 1,132.0 | 14.41 | 14.77 | 14.33 |
| 2001年度 | 1,095.1 | 1,113.1 | 1,123.8 | 17.51 | 14.91 | 15.05 |
| 2002年度 | 1,067.5 | 1,117.8 | 1,110.7 | 18.77 | 15.05 | 15.92 |
| 2003年度 | 1,083.8 | 1,129.7 | 1,105.8 | 19.85 | 14.77 | 16.84 |
| 2004年度 | 1,018.6 | 1,091.5 | 1,086.1 | 14.66 | 13.96 | 17.59 |
| 2005年度 | 1,165.4 | 1,154.9 | 1,131.0 | 15.50 | 15.01 | 19.01 |
| 2006年度 | 1,196.6 | 1,177.3 | 1,115.4 | 15.10 | 15.10 | 19.60 |
| 2007年度 | 1,186.5 | 1,153.4 | 1,089.1 | 15.52 | 16.09 | 20.30 |
| 2008年度 | 1,182.2 | 1,128.5 | 1,033.5 | 14.82 | 15.67 | 20.34 |
| 2009年度 | 1,118.0 | 1,096.3 | 994.4 | 14.91 | 15.08 | 20.47 |
| 2010年度 | 1,086.5 | 1,077.8 | 976.2 | 15.11 | 14.82 | 20.75 |
| 2011年度 | 1,080.5 | 1,076.1 | 976.2 | 15.71 | 14.91 | 20.59 |
| 2012年度 | 1,062.2 | 1,059.3 | 963.5 | 16.55 | 15.25 | 20.47 |
| 2013年度 | 1,048.5 | 1,050.1 | 957.5 | 17.59 | 15.60 | 20.62 |
| 2014年度 | 1,044.1 | 1,051.0 | 947.2 | 17.96 | 15.65 | 20.59 |
| 2015年度 | 983.0 | 1,030.6 | 938.5 | 19.02 | 15.44 | 20.42 |
| 2016年度 | 949.9 | 1,005.1 | 924.6 | 19.66 | 15.71 | 20.32 |
| 2017年度 | 926.9 | 986.4 | 920.1 | 21.37 | 15.11 | 20.22 |
| 2018年度 | 914.4 | 986.2 | 918.6 | 20.67 | 15.17 | 19.94 |
| 2019年度 | 918.1 | 988.8 | 918.5 | 19.97 | 14.71 | 19.61 |
| 2020年度 | 924.3 | 990.2 | 900.8 | 19.03 | 14.35 | 19.95 |
| 2021年度 | 916.8 | 967.7 | 890.0 | 18.99 | 14.46 | 19.89 |
| 2022年度 | 915.0 | 965.7 | 879.8 | 18.42 | 13.91 | 19.56 |
| 2023年度 | 878.5 | 933.3 | 851.4 | 17.61 | 13.78 | 19.54 |
| 2024年度 | 874.6 | 930.1 | 838.7 | 16.54 | 13.51 | 19.33 |
1人1日当たり排出量は、2005年度以降は集団回収量を含む。2004年度までは集団回収量を含まず、自家処理量を含む。2004年度と2005年度の間は定義が違うため、そのまま比べられない。前橋市は2004年12月と2009年5月に合併しており、その分も含まれる。リサイクル率は環境省定義のRである。
この数字をどう読むか
ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。
消費が多ければ、ごみも多い
家計収支の記事で、前橋の消費支出が全国の107.9%、1人当たりでは112.9%であることを示した。今回の排出量は全国の104.3%である。
方向は一致している。買う量が多ければ、捨てる量も増える。生活コストの記事で見たとおり群馬の物価は全国最低で、同じ金額でより多く買える環境にある。
ただし因果は確かめられない。消費支出は世帯単位、ごみ排出量は住民1人当たりで、集計の単位が違う。事業系のごみも含まれる。
車社会は、ごみの出し方にも効く
交通事故の記事で、群馬の自動車保有台数が人口1人当たり0.97台であることを示した。通勤先の記事では通勤圏が県内で閉じていることも見た。
車があれば、まとめ買いができる。大容量の商品を買えば包装材も増える。買い物の様式が、ごみの量に影響している可能性はある。
ただしこれは推測である。この統計に品目別の内訳はなく、何が多いのかは分からない。
リサイクル率が下がったことのほうが重い
排出量は減っている。ピークから23.3%減で、方向としては良い。
問題はリサイクル率である。2017年度21.37%から毎年下がり、2023年度17.6%、2024年度16.54%になった。排出量が減っているのにリサイクル率も下がるということは、資源化される量が排出量以上に減っているということになる。
理由はこの統計からは特定できない。集団回収の減少、古紙の市況、分別区分の変更など、複数の要因が考えられる。全国のリサイクル率も近年は横ばいから微減の傾向にある。
前橋のRとR’の差1.11ポイントは、熱回収などを含めた分である。他の4市はRとR’が同値なので、前橋は固形燃料化やセメント原料化を行っており、それを除くと数字が下がる。県内で最も高いリサイクル率も、厳しい基準では15.43%になる。
処理経費は市によって大きく違う
1人当たりの廃棄物処理事業経費は、前橋11,057円、伊勢崎11,348円、桐生15,096円、太田8,111円。高崎は38,816円で突出している。
高崎の数字は新しい焼却施設の建設改良費107億円を含むためである。施設の更新時期にあたる自治体は、その年の経費が大きく膨らむ。歳出の記事で教育費について同じ論点を書いたが、ごみでも同じことが起きる。
単年の経費で自治体を比べることはできない。財政の記事で見たとおり、施設への投資は地方債となって将来負担比率に表れる。
このデータの限界
- 1人当たり処理経費、県内順位、年換算の値は当サイトが算出したものである。公表値ではない。
- 環境省調査の最新は2024年度、社会・人口統計体系の最新は2023年度である。図によって年度が異なる。
- リサイクル率には R と R’ の2つの定義がある。この記事は主にRを使い、必要に応じてR’を併記した。
- 処理経費には施設の建設改良費が含まれる。更新時期にあたる自治体は一時的に大きく膨らむため、単年で比較できない。
- この統計に品目別の内訳はない。何が多いのかは分からない。
- リサイクル率が下がった理由は特定できない。集団回収の減少、古紙市況、分別区分の変更など複数の要因が考えられる。
- 前橋市は2004年12月に大胡町・宮城村・粕川村、2009年5月に富士見村と合併している。時系列にはその分が含まれる。
- 消費支出とごみ排出量は集計の単位が異なる。世帯単位と住民1人当たりを直接つなげることはできない。
よくある誤解
「前橋はごみが多い」
県内5市では最も少なく、35市町村でも少ないほうから12番目です。ただし全国平均と比べると35.9グラム多くなります。比較の相手によって評価が変わります。
「リサイクル率が高い自治体ほど環境意識が高い」
定義に注意が必要です。リサイクル率Rには固形燃料化やセメント原料化などの熱回収が含まれます。これを除いたR’で見ると数字が下がる自治体があります。前橋はR16.54%に対しR’15.43%です。
「排出量が減っているから改善している」
排出量はピークから23.3%減っていますが、リサイクル率は2017年度の21.37%から毎年下がっています。2つの指標が同じ方向を向いていません。
Q&A
生活系と家庭系の違いは
生活系は家庭から出るごみと、集団回収された資源物などを含みます。家庭系はそのうち市町村が収集・処理したものです。前橋は生活系686.5グラム、うち家庭系565.1グラムでした。分け方と出し方は、前橋市の家庭ごみの分別・収集のページで確認できます。
最終処分量とは何ですか
埋立処分された量です。前橋市は2024年度で10,656トン。焼却や資源化を経て最後に残る分で、この量が多いほど処分場の負担が大きくなります。
一部事務組合で処理している自治体は分かるのですか
分かります。組合で共同処理していても、構成市町村ごとに数値が計上されています。群馬県内35市町村すべてに欠測はありませんでした。処理経費についても、組合への分担金として市町村の負担額に含まれます。
品目別の内訳は分かりますか
この統計では分かりません。何が多いのかを知るには、市が実施するごみ組成調査などの別資料が必要になります。
次の更新はいつですか
環境省の調査は毎年公表され、令和6年度分は2026年3月に出ました。次回は令和7年度分となり、2027年春ごろが見込まれます。
出典
- 環境省「一般廃棄物処理実態調査」令和6年度/環境省
- 総務省「社会・人口統計体系 市区町村データ」H居住(統計表ID 0000020108)、都道府県データ(統計表ID 0000010108)/e-Stat 地域統計
データダウンロード
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| No | データ名 | 出典 | ダウンロード |
|---|---|---|---|
| ㊴ | 群馬県35市町村のごみ排出量とリサイクル率 前橋市は1999〜2023年度の時系列 | 環境省「一般廃棄物処理実態調査」令和6年度/総務省「社会・人口統計体系」 | CSVを保存 |
| ㊴ | 県内5市・群馬県・全国のごみ排出量・リサイクル率・処理経費 1998〜2024年度 | 環境省「一般廃棄物処理実態調査」 | CSVを保存 |
更新履歴
- 2026年9月25日 リサイクル率の順位を訂正し、推移の節を追加
- 2026年9月22日 公式窓口へのリンクを追加
- 2026年9月21日 県内35市町村の一覧表を追加
- 2026年9月6日 公開
