前橋市の総合計画の作りは1本目、目標と実績は2本目、群馬県の総合計画は3本目で見た。介護保険にも3年ごとの計画があり、認定者の数やサービスの量を見込んで、保険料を決めている。では、その見込みは実際とどれだけ合っていたのか。市が毎年公表している計画値と実績値を、図と表でまとめた。
前橋市の「まえばしスマイルプラン〜老人福祉計画・第9期介護保険事業計画〜」(令和6〜8年度)は、認定者数やサービスの量を見込み、毎年度、実績と比べている。令和7年度(2025年度)の要介護等認定者数は推計18,901人に対し実績19,022人(対推計比100.6%)、介護給付費全体は計画352.5億円に対し実績347.6億円だった。市の自己評価では、中目標13項目のうち「A 順調に進んでいる」が9、「B 概ね順調に進んでいる」が3、「C 少し遅れている」が1だった。
第9期の計画は令和6〜8年度(2024〜2026年度)の3年間。令和7年度の認定者数は推計18,901人に対し実績19,022人で、市の資料は「概ね推計どおり」としている。
介護給付費全体は、計画が令和6年度343.2億円・令和7年度352.5億円、実績は339.7億円・347.6億円。サービス別では、計画を上回ったものも下回ったものもある。
市の自己評価では、令和7年度は中目標13項目のうちAが9・Bが3・Cが1。Cは「介護人材の確保・育成の充実」だった。
Q. 令和7年度の前橋市の要介護等認定者数は、介護保険事業計画の推計と比べてどうだった?
① 推計を大きく下回った ② ほぼ推計どおり ③ 推計を大きく上回った
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② ほぼ推計どおり。推計18,901人に対し実績19,022人で、対推計比は100.6%でした(9月末時点)。
スマイルプランの本編と分科会の資料、評価は市のまま
前橋市の「まえばしスマイルプラン〜老人福祉計画・第9期介護保険事業計画〜」(令和6年3月策定)の本編と、計画の進み具合を報告している前橋市社会福祉審議会 高齢者福祉専門分科会の資料による。令和6年度の実績は第3回(令和7年11月14日)の資料1-1別紙と資料1-2、令和7年度の実績は第5回(令和8年6月23日)の資料3と第6回(令和8年8月25日)の資料2を使った(いずれも2026年9月30日に取得)。
数字は資料の頁(PDFの頁)で確かめ、頁を添えた。計画書の文章は長く引用せず、要点を当サイトの言葉でまとめた。評価のA〜Dは市の資料の凡例の言葉どおりに示し、当サイトは評価をしていない。分科会の会議録(委員の発言)は使っていない。
まえばしスマイルプランの作り
まえばしスマイルプランは、老人福祉計画と介護保険事業計画を一つにまとめた、前橋市の高齢者施策の基本となる計画である。第9期の期間は令和6年度から令和8年度までの3年で、市は毎年度達成状況を点検し、高齢者福祉専門分科会に報告する(本編12頁)。計画は3年ごとに見直され、次の第10期は令和9年度からの計画になる。
計画は、認定者数・サービスの利用者数と給付費・介護給付費全体などを見込み、保険料の基準額(月6,450円、年77,400円)はこの見込みをもとに決める(本編111・129・131頁)。次の第10期(令和9年度〜)の施策体系は、2026年8月25日の分科会で示された。
保険料の基準額と所得段階(15段階)は、介護保険料の記事で県内の市や全国と比べている。
計画は5つの大目標(目標Ⅰ〜Ⅴ)を置いている。
- 目標Ⅰ 地域の連携強化と生活支援体制の構築
- 目標Ⅱ 介護予防・健康づくりの推進
- 目標Ⅲ 認知症高齢者支援の充実
- 目標Ⅳ サービスの充実と暮らしの基盤の整備
- 目標Ⅴ 安定した介護保険制度の運営
認定者数:推計と実績
計画は、団塊の世代が令和7年度にすべて75歳以上になることなどから、認定者数が増えていくと見込んでいた(本編111頁)。推計は令和6年度18,554人、令和7年度18,901人、令和8年度19,328人で、認定率は令和8年度に18.9%まで上がる見込みだった。
| 区分 | 令和6年度 推計 | 実績 | 対推計比 | 令和7年度 推計 | 実績 | 対推計比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 認定者数(人) | 18,554 | 18,513 | 99.8% | 18,901 | 19,022 | 100.6% |
| うち第1号被保険者(人) | 18,199 | 18,188 | 99.9% | 18,546 | 18,683 | 100.7% |
| 第1号被保険者数(人) | 99,768 | 99,029 | 99.3% | 100,140 | 98,931 | 98.8% |
| 認定率 | 18.2% | 18.4% | - | 18.5% | 18.9% | - |
資料2(令和8年8月25日)7頁。各年9月末時点。認定率は、第1号被保険者に占める第1号被保険者の認定者数の割合である(本編111頁)。
令和7年度は、認定者数が推計を上回り、対推計比は100.6%だった。市の資料は「0.6ポイントの差となっており概ね推計どおりであった」としている。一方、第1号被保険者数は推計100,140人に対し実績98,931人で、推計より少なかった。認定率は推計18.5%に対し実績18.9%である。

令和8年度の実績値(19,428人)は6月末時点で、年度の途中の値である。
要介護度別では、推計との差が大きいものもある
全体では推計に近くても、要介護度別に見ると差がある。令和7年度は、要支援2と要介護2が推計を上回り、要支援1と要介護4は下回った。
資料2 7頁(各年9月末時点)。前橋市の要介護認定率は、介護の記事で県内の市町村や全国と比べている(要介護度別の推計と実績は配布CSVに収録)。その記事の認定率18.49%は、厚生労働省「介護保険事業状況報告」の令和6年度の年報で、第1号被保険者98,878人のうち認定者18,278人の割合である。計画の資料の認定率(令和6年度18.4%)とは、時点と出典が違う。
介護給付費:計画と実績
計画は、令和6〜8年度の介護給付費全体(保険給付費と地域支援事業費の総額)を、令和6年度343.2億円、令和7年度352.5億円、令和8年度363.1億円と見込み、3年間の総額を約1,059億円としていた(本編129頁)。
| 年度 | 計画(本編) | 実績(資料2) |
|---|---|---|
| 令和6年度 | 343.2億円 | 339.7億円 |
| 令和7年度 | 352.5億円 | 347.6億円 |
| 第9期(3年間) | 約1,059億円(1,058.7億円) | 1,050.4億円(見込み) |
資料2 9頁は、令和7年度の介護給付費全体を347.6億円とし、令和6年度から約8億円増えたとしている。第8期(令和3〜5年度)は963.1億円だった。令和6・7年度とも、実績は計画の見込みを下回っている。
令和6年度:サービスの区分別
資料1-1別紙は、サービスを施設・居住系・在宅の3つに分けて令和6年度の給付費を計画と比べている。対計画比は施設サービス100.3%、居住系サービス93.3%、在宅サービス98.4%だった。
資料1-1別紙(令和7年11月14日)1頁。実績値は厚生労働省「介護保険事業状況報告」の月報による。
主なサービスの令和6・7年度
資料2は、令和7年度について主な8つのサービスの月平均利用者数と年間給付費を、計画と比べている。令和6年度の給付費の対計画比(資料1-1別紙)と並べた。
| サービス | R6 給付費 対計画比 | R7 月平均 利用者数 | 対計画比 | R7 年間 給付費 | 対計画比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 介護老人福祉施設 | 100.5% | 1,699人 | 99.0% | 56.7億円 | 100.6% |
| 介護老人保健施設 | 99.6% | 933人 | 95.2% | 36.0億円 | 97.8% |
| 特定施設入居者生活介護(介護予防を含む) | 89.0% | 670人 | 87.2% | 15.7億円 | 86.7% |
| 認知症対応型共同生活介護(介護予防を含む) | 97.8% | 497人 | 98.7% | 16.2億円 | 99.7% |
| 訪問介護 | 102.7% | 2,974人 | 97.7% | 22.8億円 | 103.7% |
| 訪問看護(介護予防を含む) | 101.0% | 2,667人 | 103.8% | 13.2億円 | 106.5% |
| 通所介護 | 95.7% | 4,635人 | 98.8% | 63.6億円 | 95.5% |
| 介護予防支援・居宅介護支援 | 101.0% | 10,909人 | 101.8% | 16.8億円 | 103.0% |
R6は令和6年度(資料1-1別紙)、R7は令和7年度(資料2 11〜18頁)。資料2は対計画比を「99.0ポイント」のように書いている。表では%で示した。

令和7年度に給付費が計画を上回ったのは、訪問看護(106.5%)、訪問介護(103.7%)、介護予防支援・居宅介護支援(103.0%)、介護老人福祉施設(100.6%)。下回った差が最も大きいのは特定施設入居者生活介護(86.7%)で、市の資料は令和6年度と令和7年度の両方で実績値が計画値を下回ったとしている。
令和6年度に計画値との差が大きかったのは、定期巡回・随時対応型訪問介護看護(対計画比144.8%)と夜間対応型訪問介護(130.4%)で、どちらも計画値そのものが小さい。最も低いのは看護小規模多機能型居宅介護(63.6%)だった(資料1-1別紙1頁)。計画値が0でない25のサービスの給付費と、サービス別の利用者数の計画値・実績値は、配布CSVにまとめた。
施設の整備:目標と実績
計画は、施設や居住系サービスの定員をどれだけ増やすかも目標にしている。資料3の22頁は、令和8年3月31日時点の取組状況を示している。
特別養護老人ホームは地域密着型の29人分を整備し、総数は目標どおり2,018人になった。介護老人保健施設から介護医療院への転換(老健−12・介護医療院+12)は、実績0で、介護老人保健施設の総数は1,005人のままである。この1,005人は、介護施設の記事の2023年の定員と同じ。その記事の特別養護老人ホームの定員1,804人(2023年)は総務省の統計による値で、この表の総数(地域密着型を含めて2,018人)とは時点と出典が違う。
資料3(令和8年6月23日)22頁。総数は令和8年3月31日時点。施設ごとの目標と実績は配布CSVにまとめた。
市の自己評価(A〜D)
市は、計画の5つの大目標の中に、目標値のある「中目標」を置き、毎年度、指標ごとの評価と中目標ごとの評価をしている。評価の方法は資料3の3頁に次のとおり書かれている。
指標の評価
| 評価(配点) | 一次評価(達成率の目安) |
|---|---|
| A 達成(4点) | 90%~100% |
| B 概ね達成(3点) | 70%~89% |
| C 一部達成(2点) | 40%~69% |
| D 未達成(1点) | 0%~39% |
一次評価に基づき、各事情を考慮して二次評価をする(資料3 3頁)。
中目標の評価
| 評価 | 平均点 |
|---|---|
| A 順調に進んでいる | 3.5~4.0 |
| B 概ね順調に進んでいる | 2.5~3.4 |
| C 少し遅れている | 1.5~2.4 |
| D 遅れている | 0.0~1.4 |
中目標は、指標の評価の平均点で評価する(資料3 3頁)。
令和6・7年度の中目標13項目
令和6年度は資料1-2(令和7年11月14日)、令和7年度は資料3(令和8年6月23日)4〜26頁。平均点と評価は市の資料の値で、中目標ごとの一覧は配布CSVにある。

令和7年度は、Aが9項目、Bが3項目、Cが1項目で、Dはなかった。令和6年度も同じA 9・B 3・C 1だが、中身は2項目ずつ入れ替わっている。
両年度ともCだったのは「介護人材の確保・育成の充実」で、平均点は2.0点から1.5点になった。
主な指標の目標と実績
指標は中目標ごとに複数あり、主なものの目標と実績は配布CSVにまとめた(資料3、令和8年6月23日)。相談対応実件数は、令和5年度の実績が8,149件で、総合計画の実績の記事で見た第3期推進計画の指標「総合相談実件数」(2023年8,149件)と同じ値である。
介護人材の2つの研修は、どちらも目標を下回った。入門的研修は目標55人に対し令和7年度28人(C)、スキルアップ研修は目標25人に対し6人(D)だった。
| 研修修了者数 | 令和5年度(第8期)実績 | 令和6年度 目標/実績(評価) | 令和7年度 目標/実績(評価) | 令和8年度 目標 |
|---|---|---|---|---|
| 介護に関する入門的研修 | 48人 | 55人/40人(B) | 55人/28人(C) | 60人 |
| 介護に関するスキルアップ研修 | 14人 | 25人/3人(D) | 25人/6人(D) | 25人 |
単位は人/年。資料3 PDF 21頁(印刷20頁)の表の値のまま。令和5年度は第8期の実績で、目標の欄は「-」。
対計画比の分母、全体と内訳のずれ、A〜Dの決め方
ここからは、対計画比とA〜Dの評価を読むときに取り違えやすい点を、計画の資料に沿ってまとめる。
対計画比の分母は、計画をつくったときの見込み
対計画比は、実績を計画値で割った値である。100%に近いほど見込みに近かったことを示すが、見込みより多いこと・少ないことが、それだけで良い・悪いを意味するわけではない。例えば定期巡回・随時対応型訪問介護看護の144.8%は、計画値(99,331千円)が小さく、少しの増加でも比が大きくなる。
全体の推計が合っても、内訳はずれることがある
令和7年度の認定者数は対推計比100.6%だったが、要支援2は112.6%、要支援1は95.5%だった。介護給付費全体は計画を下回ったが、訪問看護や訪問介護は計画を上回った。全体と内訳を分けて見る必要がある。
A〜Dは、指標ごとの目標に対する評価
中目標のA〜Dは、それぞれの指標の目標をどれだけ達成したかの平均で、目標の高さは指標ごとに違う。また、指標の評価は一次評価(達成率の目安)に事情を考えた二次評価を加えている。Aの数だけで、分野どうしを比べることはできない。前橋市の総合計画の◎○△(2本目)や、群馬県の総合計画のA〜D(3本目)とも、区分の決め方が違う。
月報と年報、推計の時点の違い、合わない平均点
- 資料1-1別紙の実績値は厚生労働省「介護保険事業状況報告」の年報による。ただし令和6年度の実績値は月報による(資料1-1別紙の注記)。
- 認定者数の推計は、本編では各年度10月1日時点、資料2の比較では各年9月末時点とされている。資料2の推計値は本編の推計と同じ数字である。
- 令和7年度のサービス別の計画値と実績値は、資料2が取り上げた8つのサービスの値だけを載せた。資料2の参考資料(サービスごとのグラフ)は使っていない。
- 自己評価の平均点と評価は市の値をそのまま載せた。指標の評価には二次評価が入るため、達成率の目安だけでは同じ評価にならないことがある。
- 中目標「介護予防の推進」の令和7年度の平均点は、本文では市の値(3.3)を載せた。当サイトで各項目から計算すると3.22で、市の値と一致しない。
- 計画は令和8年度まで。令和8年度の実績はまだ公表されていない。この記事は2026年9月30日時点の資料による。
推計より多い認定者と、CとDの違い
「認定者が推計より多いのは、計画が外れたということ」
令和7年度の認定者数は推計より多かったが、対推計比は100.6%で、市の資料は「概ね推計どおり」としている。第1号被保険者数(65歳以上)は推計より少なかった。
「Cは『遅れている』という市の結論」
凡例では、中目標のCは「少し遅れている」、Dは「遅れている」で、区別されている。令和7年度にCだった「介護人材の確保・育成の充実」は、平均点1.5点で、Cの範囲(1.5〜2.4点)の下限だった。Dの中目標はなかった。
サービスの見込み量の載る頁と、保険料とのつながり
計画のサービスの見込み量はどこで見られますか
計画の本編の第6章に、サービスごとの見込み量と給付費の見込みがあります。令和6〜8年度の計画値は、資料1-1別紙にも一覧で載っています。この記事の配布CSVにもまとめました。
保険料は計画とどう関係しますか
計画で見込んだ給付費をもとに、65歳以上の人の保険料の基準額が決まります。第9期の基準額は月6,450円(年77,400円)です(本編131・132頁)。詳しくは介護保険料の記事で比べています。
出典
- 前橋市「まえばしスマイルプラン〜老人福祉計画・第9期介護保険事業計画〜」本編(令和6年3月)(PDF)、計画のページ(2024年4月15日更新)(リンク)
- 前橋市社会福祉審議会 第3回高齢者福祉専門分科会(令和7年11月14日)資料1-1別紙「第9期計画期間における計画値と実績値の比較」(PDF)、資料1-2「目標への取組と評価」(PDF)、会議のページ
- 同 第5回高齢者福祉専門分科会(令和8年6月23日)資料3「第9期まえばしスマイルプランの取組状況について 目標への取組と評価」(PDF)、会議のページ
- 同 第6回高齢者福祉専門分科会(令和8年8月25日)資料2「第9期まえばしスマイルプランの分析・評価について 介護保険事業の状況」(PDF)、会議のページ
- いずれも2026年9月30日取得
データダウンロード
前橋市の介護保険事業計画の計画値と実績は、CSVで自由にダウンロードできます。ライセンスはCC BY 4.0です。
| No | データ名 | 出典 | ダウンロード |
|---|---|---|---|
| 129 | 前橋市の第9期介護保険事業計画の計画値と実績値(認定者数、サービス別の給付費・利用者数、施設整備)と自己評価(中目標・主な指標) | 前橋市「まえばしスマイルプラン」、社会福祉審議会 高齢者福祉専門分科会 資料 | CSVを保存 |
更新履歴
- 2026年10月4日 公開




