前橋市の昼間人口は、夜間人口を13,410人上回ります。
市外から通ってくる人が、市外へ通う人より多いためです。
結論
前橋市の昼夜間人口比率は104.0。高崎市の101.6を上回り、群馬県内32市町村で6位だった。
市外からの流入は前橋64,951人、高崎65,713人でほぼ同じ。差がつくのは流出で、前橋52,455人に対し高崎60,903人。
結果として純流入は前橋12,496人、高崎4,810人で、前橋が2.6倍になる。
対象範囲
総務省統計局「令和2年国勢調査」従業地・通学地による人口・就業状態等集計を使用しました。
調査期日は2020年10月1日です。
夜間人口は常住地による人口、昼間人口は従業地・通学地による人口です。
昼夜間人口比率は、昼間人口を夜間人口で割って100を掛けた値で、100を上回れば昼間人口のほうが多いことを示します。
本記事で「流入」と呼ぶのは他市区町村に常住し当該市で従業・通学する人、「流出」は当該市に常住し他市区町村で従業・通学する人です。
通勤だけでなく通学も含みます。買い物客や観光客は含みません。
昼夜間人口比率
| 地域 | 夜間人口 | 昼間人口 | 差 | 比率 |
|---|---|---|---|---|
| 前橋市 | 332,149 | 345,559 | +13,410 | 104.0 |
| 高崎市 | 372,973 | 378,922 | +5,949 | 101.6 |
| 伊勢崎市 | 211,850 | 206,747 | −5,103 | 97.6 |
| 太田市 | 223,014 | 240,298 | +17,284 | 107.8 |
| 群馬県 | 1,939,110 | 1,938,160 | −950 | 100.0 |
前橋市の比率104.0は、群馬県内32市町村のうち6位でした。
高崎市は101.6で9位です。
県内で最も高いのは千代田町の113.4、次いで長野原町108.5、草津町108.2でした。
主要市では太田市の107.8が最も高くなっています。
最も低いのは吉岡町の77.2、次いで榛東村78.9です。
流入と流出の内訳

| 項目 | 前橋市 | 高崎市 |
|---|---|---|
| 市外からの流入 | 64,951 | 65,713 |
| うち県内他市町村から | 60,561 | 56,959 |
| うち他県から | 4,390 | 8,754 |
| 市外への流出 | 52,455 | 60,903 |
| うち県内他市町村へ | 46,194 | 49,455 |
| うち他県へ | 5,347 | 10,309 |
| 純流入 | +12,496 | +4,810 |
| 自市内で従業・通学 | 137,051 | 157,905 |
流入は前橋64,951人、高崎65,713人。差は762人にとどまります。
一方、流出は前橋52,455人、高崎60,903人で、8,448人の差があります。
他県との往来では差がさらに開きます。
他県への流出は前橋5,347人に対し高崎10,309人、他県からの流入は前橋4,390人に対し高崎8,754人。いずれも高崎が前橋の約2倍です。
前橋の流入は93.2%が県内他市町村からでした。
高崎は86.7%です。市内のバスや鉄道の路線は、前橋市の前橋市内の公共交通と交通施策のご案内のページで確認できます。
県内の主な市町と群馬県の、流出と流入の内訳を並べる。
| 地域 | 流出(県内へ) | 流出(他県へ) | 流入(県内から) | 流入(他県から) |
|---|---|---|---|---|
| 前橋市 | 46,194 | 5,347 | 60,561 | 4,390 |
| 高崎市 | 49,455 | 10,309 | 56,959 | 8,754 |
| 伊勢崎市 | 35,653 | 6,341 | 31,210 | 5,681 |
| 太田市 | 24,294 | 10,817 | 35,446 | 16,949 |
| 桐生市 | 18,584 | 3,017 | 17,408 | 2,849 |
| 吉岡町 | 8,410 | 255 | 3,652 | 46 |
| 群馬県 | 321,528 | 63,047 | 321,528 | 62,097 |
単位は人。15歳以上の通勤・通学者。群馬県の県内の欄は、県内の市町村どうしの移動の合計である。
この数字をどう読むか
ここからは解釈です。
働く場所として人を集める力は、前橋と高崎でほとんど変わりません。
流入の差は762人で、率にすれば1%です。
差がつくのは出ていく側でした。高崎からは市外へ通う人が前橋より8,448人多い。
とくに他県への流出は2倍近くあります。新幹線と高速道路の結節点である高崎は、東京方面を含む広域の移動が容易です。その利便性は、外から人を呼ぶだけでなく、外へ出ていくことも容易にします。
この結果は、事業所の記事で残した問いにも関わります。
事業所数は高崎が前橋の1.1倍なのに、求人は1.4倍でした。ただし働く人を集める規模では両市に差がありません。求人の多さは、事業所の数でも人を集める力でもない何かから来ていることになります。
もう一つ、空き家の記事で示した前橋の賃貸用空き家の多さも、この文脈で読めます。
前橋には市外から6万人以上が通ってきます。そのうち一部が住む場所として前橋を選べば、賃貸住宅の需要になります。供給がそれを上回れば空室が増えます。ただし因果関係は本記事のデータでは確かめられません。
吉岡町の比率77.2も対照的です。
将来人口の記事で唯一人口が増える町として挙げた吉岡町は、住む人は増えても働く場所は市外にあります。前橋と高崎に挟まれた立地が、そのままベッドタウンの性格として現れています。
通う先については通勤先の記事で詳しく見ました。前橋に住む通勤者141,573人のうち市内で働くのが66.6%、県外へ通うのは2.9%です。東京へ通う人は1,234人・0.9%にとどまります。
通い方も扱っています。通勤と働き方の記事では、通勤30分未満が61.5%で全国50.4%を11.1ポイント上回る一方、テレワークの実施率は11.4%で全国18.9%の0.60倍でした。公共交通の記事では、30年で減ったのが乗合バスだけで、鉄道は5.7%から5.6%とほぼ動いていません。
全記事を横断した整理は5つの構造の記事にまとめました。
このデータの限界
- 2020年10月時点の調査です。新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が広がっていた時期にあたり、通常年とは異なる可能性があります。
- 通勤と通学が合算されています。学生の移動と就業者の移動を分けて見ることはできません。
- 国勢調査は5年ごとです。2025年調査の結果が公表されれば、より新しい数値で確認できます。
- 昼夜間人口比率は、昼間人口を夜間人口で割って100を掛けた値です。比率だけでは規模が分からないため、流入と流出の実数を併せて見る必要があります。
- 本記事の「流入」は他市区町村に常住し当該市で従業・通学する人、「流出」は当該市に常住し他市区町村で従業・通学する人です。買い物客や観光客は含みません。
- 調査期日は2020年10月1日の一時点です。年間の変動は分かりません。
よくある誤解
「昼夜間人口比率が高い=都市の中心」
とは限りません。県内で最も高いのは千代田町113.4で、工業団地への通勤が影響していると見られます。
「比率だけで集める力の大きさが分かる」
比率が100を超えることは、人を集めていることを示しますが、その規模までは表しません。比率だけでなく、流入と流出の実数を併せて見る必要があります。
「前橋は高崎に人を吸われている」
流入は高崎と同じ水準です。違うのは流出のほうです。
Q&A
どの市から通ってきているか分かりますか
同じ集計に市区町村間の流動表があります。
本記事では扱っていません。
コロナの影響はどの程度ですか
本記事のデータからは分かりません。
2015年調査との比較で傾向は見られますが、要因の特定はできません。
買い物客は含まれますか
含まれません。昼間人口に含まれるのは従業者と通学者です。
出典
- 総務省統計局「令和2年国勢調査」従業地・通学地による人口・就業状態等集計(2020年10月1日現在)
データダウンロード
本記事で使用したデータは、CSVでご自由にダウンロードいただけます。ライセンスはCC BY 4.0です。
| No | データ名 | 出典 | ダウンロード |
|---|---|---|---|
| ⑰ | 前橋市・県内主要市の昼夜間人口比率と通勤流動 (2020年) | 総務省統計局「令和2年国勢調査」従業地・通学地集計 | CSVを保存 |
更新履歴
2026年9月22日 一覧表と公式ページへのリンクを追加
2026年9月21日 限界と誤解を整理
2026年8月26日 公開
