歳入の記事で、前橋市の歳入が1,591億円であることを示した。そのうち市税は自前の収入である。
外から入る金もある。ふるさと納税は、どれだけ入っているのか。
前橋市が受け取ったふるさと納税は3.47億円(令和7年度)。
一方、市民が他自治体に寄附した額は27.87億円。8.0倍である。
1人当たりの受入額1,055円は、全国10,709円の10分の1にとどまる。
対象範囲
総務省「ふるさと納税に関する現況調査」による。各団体別の受入額と控除額が公表されている。
受入額は平成20年度から令和7年度までの18年度分。控除額は令和8年度課税の単年度分である。
年度の区切りが違う
受入額は会計年度で、4月から翌年3月まで。
控除額は前年1月から12月までの寄附に対して、翌年度に課税される。
期間の区切りが違うため、厳密に同じ期間の比較ではない。この記事では受入の令和7年度と、控除の令和8年度課税を並べている。
市の税収が減るのは一部
市民が寄附した27.87億円のうち、控除されるのは20.60億円である。
その内訳は市町村民税12.36億円と県民税の分。市の税収が減るのは市町村民税の12.36億円だけである。
この記事で収支を計算するときは、市町村民税の控除額だけを使う。
集めた額の8倍が出ていく

前橋市が受け取ったのは3.47億円。18,236件である。
市民が他自治体に寄附したのは27.87億円。25,834人が利用している。
市町村民税の控除額12.36億円を受入額から引くと、収支は−8.89億円になる。
歳入1,591億円に対して0.56%にあたる。
黒字は高崎と桐生だけ

5市で黒字なのは高崎+3.75億円と桐生+0.41億円。残る3市は赤字である。
伊勢崎−0.68億円、太田−1.63億円。前橋の−8.89億円が最も大きい。
高崎の受入は18.49億円で、前橋3.47億円の5.32倍である。
件数でも高崎86,058件に対し前橋18,236件。4.7倍の開きがある。
高崎は2年で6.6倍
高崎の受入額は令和5年度2.78億円だった。
令和6年度に9.79億円、令和7年度に18.49億円。2年で6.6倍になった。
同じ期間、前橋は3.25億円から3.47億円へ。差は15.0億円に広がった。
何が起きたのかは、この統計からは分からない。
1人当たりは全国の10分の1

人口1人当たりの受入額は前橋1,055円。5市で最も少ない。
高崎5,053円、桐生2,427円、太田2,208円、伊勢崎2,134円。前橋は高崎の5分の1である。
全国は10,709円、群馬県は7,869円。前橋は全国の0.10倍、県の0.13倍にとどまる。
一方、1人当たりの控除額は6,259円で高崎6,713円に次ぐ2位である。
寄附する人は多いが、集める額は少ない。
この数字をどう読むか
ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。
返礼品の問題か
ふるさと納税の受入額は返礼品に左右される。ただしこの統計に返礼品の内容は含まれない。
農業の記事で、前橋の農業産出額が群馬県の20.1%で県内1位であることを示した(2024年)。産品がないわけではない。
高崎が2年で6.6倍に伸びたことを考えると、集め方の違いが効いている可能性がある。ただし確かめられない。
出ていく側は所得と関係する
前橋の控除適用者は25,834人。1人当たりの控除額6,259円は5市で2番目である。
所得の記事で、前橋の1人当たり課税対象所得375万円が県内2位であることを示した。
ふるさと納税の控除には上限がある。所得が高いほど、寄附できる額も大きい。
所得の高い市ほど、流出も大きくなる構造がある。
歳入全体から見れば小さい
収支−8.89億円は、歳入1,591億円の0.56%にあたる。
財政の記事で、前橋の財政力指数が0.77であることを示した。財政を左右する規模ではない。
ただし高崎との差15.0億円は、単年度で見れば小さくない。
このデータの限界
- 収支、1人当たりの額、倍率はすべて当サイトが算出した。公表値ではない。
- 受入額は会計年度(4月〜翌3月)、控除額は前年1月〜12月の寄附に対する翌年度課税である。期間の区切りが違うため、厳密に同じ期間の比較ではない。
- 収支は受入額から市町村民税の控除額を引いた値である。県民税分の控除は市の収入に関係しないため含めていない。市民が寄附した27.87億円のうち控除されるのは20.60億円で、そのうち市町村民税分は12.36億円である。
- 控除額のデータは令和8年度課税の単年度分しか取得していない。流出側の時系列は扱えていない。
- 社会・人口統計体系の「寄附金」(D320117)は、ふるさと納税以外の寄附も含む。令和4年度の前橋は寄附金11.36億円に対しふるさと納税の受入額は2.85億円で、差の8.51億円が何かは統計から確認できない。
- 返礼品の内容、事業者の数、寄附の使い道はこの統計には含まれない。
- 1人当たりの額は住民基本台帳人口(2024年)を分母とした。
- なぜ高崎が伸びたか、なぜ前橋が伸びないかは、この統計からは分からない。
よくある誤解
「前橋は27.87億円損している」
市民が寄附した額が27.87億円で、そのうち控除されるのは20.60億円です。さらに市の税収が減るのは市町村民税分の12.36億円だけです。受入3.47億円を差し引いた収支は−8.89億円になります。
「ふるさと納税で財政が苦しい」
収支−8.89億円は歳入1,591億円の0.56%です。財政全体を左右する規模ではありません。ただし高崎との差15.0億円は単年度では小さくない額です。
「寄附金11.4億円はふるさと納税だ」
社会・人口統計体系の「寄附金」には企業や個人からの一般寄附も含まれます。令和4年度の前橋は寄附金11.36億円に対し、ふるさと納税の受入額は2.85億円でした。
Q&A
前橋の返礼品には何がありますか
この統計には含まれていません。返礼品の内容は前橋市の公式サイトでご確認ください。
なぜ高崎はこんなに伸びたのですか
この統計からは分かりません。令和5年度2.78億円から令和7年度18.49億円へ2年で6.6倍になっていますが、理由を示すデータはありません。
控除額と寄附金額はどう違うのですか
寄附金額は市民が実際に寄附した額、控除額はそのうち税金から差し引かれる額です。ふるさと納税には自己負担2,000円と控除の上限があるため、寄附額の全部が控除されるわけではありません。
次の更新はいつですか
現況調査は毎年度実施され、例年夏ごろに公表されます。
出典
- 総務省「ふるさと納税に関する現況調査」各団体別の受入額・受入件数、控除額・控除適用者数/総務省
- 総務省「住民基本台帳に基づく人口」2024年(1人当たりの分母)
- 総務省「社会・人口統計体系」市区町村データ(統計表ID 0000020204、寄附金D320117)/e-Stat
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| No | データ名 | 出典 | ダウンロード |
|---|---|---|---|
| 82 | 県内5市のふるさと納税 平成20〜令和7年度 | 総務省「ふるさと納税に関する現況調査」 | CSVを保存 |
更新履歴
- 2026年9月18日 公開
