群馬県の労働災害度数率は1.68で、全国2.14を下回り47都道府県で37位(2023年)。ところが労災保険の給付件数は労働者1,000人当たり72.7件で、全国65.0件より11.8%多い。47都道府県の度数率を表で示した。
労働時間の記事で、群馬の総実労働時間が月137.6時間で全国135.1時間より長いこと、出勤日数も17.7日で全国17.4日を上回ることを示した(2025年平均)。
長く働く場所で、事故はどうなっているのか。
群馬県の労働災害度数率は1.68。全国2.14を下回り、47都道府県で37位=災害が少ない側にある。
ところが労災保険の給付件数は、労働者1,000人当たり72.7件。全国65.0件より11.8%多い。
2つの数字が逆を向いている。理由は、調べている範囲が違うことにある。
対象範囲
度数率と強度率は総務省「社会・人口統計体系」F労働(統計表ID 0000010106)による。1975年から2023年までの49年分が取れる。
度数率は、延実労働時間100万時間当たりの死傷者数である。強度率は、延実労働時間1,000時間当たりの労働損失日数を示す。いずれも労働災害動向調査にもとづき、調査の対象は事業所規模100人以上に限られる。
労災保険は同じく「社会・人口統計体系」J福祉・社会保障(統計表ID 0000010110)による。適用事業場数、適用労働者数、給付件数、給付支給額の4項目で、こちらは全規模の事業所が対象である。
市区町村別の労働災害データは存在しない。この記事の数値はすべて群馬県のものである。
順位と1,000人当たりの件数は当サイトが算出した。公表値ではない。
度数率は49年で74%下がった
まず長期の推移を見る。

群馬県は1975年の6.56から2023年の1.68へ、74.4%下がった。全国も6.75から2.14へ68.3%減っている。
大きく下がったのは1975年から1985年である。10年で群馬6.56→1.90、全国6.75→2.52。その後は1〜2の範囲で推移している。
群馬が全国を上回ったのは、この6時点では2005年だけである(群馬2.01・全国1.95)。ほとんどの年で下回っている。
2023年の47都道府県では、群馬1.68は37位。高知3.70、宮城3.29、和歌山3.26が上位で、徳島0.97、三重1.23、鳥取1.28が下位である。
47都道府県をすべて並べると、次のようになります。
| 順位(多い順) | 都道府県 | 労働災害度数率 |
|---|---|---|
| 1 | 高知県 | 3.70 |
| 2 | 宮城県 | 3.29 |
| 3 | 和歌山県 | 3.26 |
| 4 | 北海道 | 3.24 |
| 5 | 佐賀県 | 3.23 |
| 6 | 香川県 | 3.03 |
| 7 | 千葉県 | 2.97 |
| 8 | 長崎県 | 2.85 |
| 9 | 鹿児島県 | 2.83 |
| 10 | 神奈川県 | 2.77 |
| 11 | 沖縄県 | 2.73 |
| 12 | 奈良県 | 2.69 |
| 13 | 山形県 | 2.68 |
| 14 | 福岡県 | 2.62 |
| 14 | 青森県 | 2.62 |
| 16 | 埼玉県 | 2.59 |
| 16 | 長野県 | 2.59 |
| 18 | 熊本県 | 2.55 |
| 19 | 京都府 | 2.53 |
| 20 | 島根県 | 2.48 |
| 21 | 大阪府 | 2.47 |
| 22 | 新潟県 | 2.41 |
| 23 | 岐阜県 | 2.21 |
| 24 | 石川県 | 2.03 |
| 25 | 岩手県 | 1.97 |
| 26 | 岡山県 | 1.91 |
| 27 | 愛媛県 | 1.90 |
| 28 | 福井県 | 1.88 |
| 29 | 静岡県 | 1.86 |
| 30 | 栃木県 | 1.84 |
| 30 | 茨城県 | 1.84 |
| 32 | 東京都 | 1.80 |
| 33 | 秋田県 | 1.79 |
| 34 | 宮崎県 | 1.74 |
| 35 | 兵庫県 | 1.73 |
| 36 | 福島県 | 1.71 |
| 37 | 群馬県 | 1.68 |
| 38 | 富山県 | 1.50 |
| 38 | 滋賀県 | 1.50 |
| 40 | 広島県 | 1.49 |
| 41 | 大分県 | 1.45 |
| 42 | 山口県 | 1.40 |
| 42 | 愛知県 | 1.40 |
| 44 | 山梨県 | 1.38 |
| 45 | 鳥取県 | 1.28 |
| 46 | 三重県 | 1.23 |
| 47 | 徳島県 | 0.97 |
2つの数字が、逆を向いている
労災保険の給付を見ると、話が変わる。

群馬県の労災保険の適用労働者は834,400人、給付件数は60,630件。1,000人当たり72.7件になる。
全国は62,020,967人に対し4,029,750件で、1,000人当たり65.0件。群馬は全国より11.8%多い。
給付率でも同じ方向が出る。群馬7.30%に対し全国6.5%で、47都道府県中30位である。
ただし1件当たりの支給額は小さい。群馬60,580円に対し全国62,365円。平均支給額の順位は32位で、低いほうに入る。
長く働いているのに、度数率は低い
労働時間と並べる。

全国を100とすると、群馬は総実労働時間101.9、出勤日数101.7(2025年平均)。どちらも全国を上回る。
ところが度数率は78.5。21.5ポイント下回る。
度数率は延実労働時間で割った値なので、労働時間が長ければ分母が大きくなり、率は下がる。ただし労働時間の差は1.9%で、度数率の差21.5%を説明するには足りない。
この数字をどう読むか
ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。
調べている範囲が違う
度数率は37位で災害が少ない側、給付件数は全国より11.8%多い。どちらも正しい数字である。
違いは調査の対象にある。度数率は事業所規模100人以上、労災保険は全規模。
大きい事業所では災害が少なく、小さい事業所を含めると多い、という読み方ができる。ただしこの2つの統計から、規模別の災害率を直接比べることはできない。
事業所の記事で、前橋の事業所数が高崎の1.1倍であることを示した。規模別の構成は扱っていない。
産業構成との関係
労働災害は産業によって起きやすさが違う。建設業、製造業、運輸業で多く、事務系の仕事では少ない。
産業構造の記事で、前橋の特化係数が農業1.273、教育1.220、公務1.178、医療・福祉1.175で高いことを示した。情報通信業は0.532で最も低い。
外国人の記事では、群馬の外国人就業者の56.8%が製造業だった。製造業は災害が起きやすい産業の一つである。
産業構成と災害の関係は、この統計からは確かめられない。都道府県別の産業別災害データが公表されていないためである。
1件当たりが小さいこと
給付件数は全国より多いが、1件当たりの支給額は60,580円で全国62,365円を下回る。順位は32位である。
読み方は2つある。軽い災害が多いか、賃金水準が低いかである。
賃金の記事で、群馬の年齢計の年収が494.5万円で東京678.0万円を183.5万円下回ることを示した(2025年)。労災保険の給付は賃金にもとづいて計算される。
賃金が低ければ、同じ災害でも支給額は小さくなる。ただしこの統計に、災害の重さの区分はない。
強度率は解釈が難しい
強度率は群馬0.10、全国0.09。順位は10位で、高いほうに入る。
ただし全国との差は0.01にすぎない。1位の香川1.08は突出しており、2位の福井0.25との差が大きい。
強度率は死亡災害が1件あるだけで大きく跳ねる指標である。単年の順位を比べることに、あまり意味はない。
群馬の強度率は1975年0.30から2023年0.10へ下がっている。全国は0.57から0.09である。
このデータの限界
- 順位、1,000人当たりの件数、指数は当サイトが算出したものである。公表値ではない。
- 市区町村別の労働災害データは存在しない。この記事の数値はすべて群馬県のものである。
- 度数率と強度率の調査対象は事業所規模100人以上である。小さい事業所は含まれない。
- 労災保険は全規模が対象で、度数率とは対象の範囲が異なる。2つを直接比べることはできない。
- 度数率と労災保険は2023年、労働時間は2025年平均で年次が異なる。
- 強度率は死亡災害1件で大きく変わる指標で、単年の順位比較には向かない。
- 都道府県別の産業別災害データは公表されていない。産業構成との関係は確かめられない。
- 死傷者数の実数と業種別の内訳は、厚生労働省と群馬労働局がExcelまたはPDFで公表しているが、この記事では扱っていない。
- 有給休暇の取得率は都道府県別が取れない。就労条件総合調査に地域の区分がないためである。
- 定期健康診断の受診率も都道府県別が取れない。e-Statで公表されているのは全国の有所見率のみである。
よくある誤解
「群馬は労働災害が少ない」
度数率ではそのとおりで、47都道府県中37位です。ただし労災保険の給付件数は労働者1,000人当たり72.7件で、全国65.0件より11.8%多くなっています。度数率の調査対象が事業所規模100人以上に限られるためです。
「長く働くほど事故が増える」
群馬の総実労働時間は全国の101.9、出勤日数は101.7ですが(2025年平均)、度数率は78.5です。少なくとも度数率の上では、そうなっていません。
「労働災害は減っていない」
度数率は群馬で49年に74.4%、全国で68.3%下がっています。ただし大きく下がったのは1975年から1985年で、その後は1〜2の範囲で推移しています。
Q&A
度数率とは何ですか
延実労働時間100万時間当たりの死傷者数です。労働時間で割ることで、働いている量の違いを調整しています。強度率は延実労働時間1,000時間当たりの労働損失日数で、災害の重さを示します。
前橋市の労働災害は分かりますか
分かりません。市区町村別の集計は、度数率も労災保険も存在しません。群馬労働局が管内の業種別・事故の型別の統計をPDFで公表していますが、監督署別の内訳はありません。
有給休暇の取得率は分かりますか
都道府県別では分かりません。就労条件総合調査に地域の区分がなく、産業別・企業規模別の全国値のみが公表されています。
どの産業で災害が多いのですか
この記事では扱っていません。都道府県別の産業別災害データが公表されていないためです。全国の業種別の内訳は厚生労働省の労働災害統計で確認できます。
次の更新はいつですか
社会・人口統計体系は毎年更新され、度数率・強度率と労災保険はいずれも2023年が最新です。厚生労働省の労働災害統計は毎年公表されます。
群馬県の労働災害は全国で何位ですか
2023年の度数率1.68は47都道府県で37位で、災害が少ない側に入ります。最も高いのは高知県の3.70、最も低いのは徳島県の0.97です。
群馬県の労災保険の給付は全国より多いですか
多くなっています。2023年の給付件数は60,630件で、労働者1,000人当たり72.7件です。全国65.0件より11.8%多い一方、1件当たりの平均支給額は60,580円で、全国62,365円を下回ります。
出典
- 総務省「社会・人口統計体系」F労働 都道府県データ(統計表ID 0000010106)、J福祉・社会保障(統計表ID 0000010110)、社会生活統計指標(統計表ID 0000010206)/e-Stat 地域統計
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査地方調査」2025年平均/群馬県
- 厚生労働省「労働災害統計」/職場のあんぜんサイト
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| No | データ名 | 出典 | ダウンロード |
|---|---|---|---|
| 60 | 47都道府県の労働災害度数率・強度率と労災保険 1975〜2023年(毎月勤労統計は2024・2025年) | 総務省「社会・人口統計体系」/厚生労働省「毎月勤労統計調査地方調査」 | CSVを保存 |
更新履歴
- 2026年9月24日 最新の統計に更新
- 2026年9月24日 冒頭の段落を追加
- 2026年9月24日 Q&Aと内部リンクを追加
- 2026年9月21日 47都道府県の一覧表を追加
- 2026年9月13日 公開
