前橋で救急車はどれだけ出動しているのか。前橋市消防局の年報から10年の推移を追い、全国や群馬県と人口当たりで比べた。
前橋市消防局の救急出動は2024年に20,456件。2015年の15,050件から10年で1.36倍になった。
人口1万人当たり621.5件で、全国の614.4件とほぼ同じ、群馬県平均の568.8件より1割多い。
出動の61.4%は急病で、交通事故は6.0%にすぎない。
対象範囲
前橋市消防局「令和7年度消防年報」による。救急出動件数は2015年から2024年の10年分、事故種別と搬送人員は2024年の値を使った。
全国と群馬県の値は総務省消防庁「令和7年版 救急・救助の現況」による。人口1万人当たりは、翌年1月1日の住民基本台帳人口で割って当サイトが算出した。
管内と市の違い
前橋市消防局は前橋市のほか、一部の隣接地域も受け持つ。年報の事故種別は管内合計(20,464件)で、前橋市分(20,456件)とは8件の差がある。
県内の他の市とは比べられない
消防庁の公表は都道府県別までで、消防本部別の件数は機械で読める形では公表されていない。そのため高崎市や太田市との比較はできなかった。
10年で1.36倍、2022年以降は2万件前後

救急出動は2015年の15,050件から増え続け、2019年に17,788件となった。2020年は15,699件に減ったが、2022年に18,935件、2023年に20,050件と大きく増え、2024年は20,456件である。
人口1万人当たりでは443.5件から621.5件へ。人口が減る中で出動が増えているため、1人当たりの伸びは件数の伸びより大きい。
| 年 | 出動件数 | 1万人当たり |
|---|---|---|
| 2015年 | 15,050 | 443.5 |
| 2016年 | 15,922 | 469.8 |
| 2017年 | 16,196 | 478.9 |
| 2018年 | 17,240 | 510.8 |
| 2019年 | 17,788 | 529.2 |
| 2020年 | 15,699 | 468.5 |
| 2021年 | 16,701 | 501.1 |
| 2022年 | 18,935 | 570.7 |
| 2023年 | 20,050 | 607.8 |
| 2024年 | 20,456 | 621.5 |
単位は件。1万人当たりは当サイトが算出。
出動の6割は急病

2024年の事故種別では、急病が12,572件で全体の61.4%を占める。一般負傷が2,750件(13.4%)、交通事故は1,224件(6.0%)である。
搬送人員は17,676人で、出動件数の86.4%にあたる。出動しても搬送に至らないケースが7件に1件ある。
| 種別 | 出動件数 | 搬送人員 |
|---|---|---|
| 急病 | 12,572 | 11,431 |
| その他 | 3,180 | 2,009 |
| 一般負傷 | 2,750 | 2,598 |
| 交通事故 | 1,224 | 1,098 |
| 運動競技 | 199 | 194 |
| 自損行為 | 190 | 131 |
| 労働災害 | 173 | 162 |
| 火災事故 | 129 | 17 |
| 加害 | 42 | 33 |
| 水難事故 | 5 | 3 |
| 合計 | 20,464 | 17,676 |
2024年、前橋市消防局管内。自然災害は0件。
火災は95件
同じ年報によると、2024年の火災は95件で、うち建物火災が49件、車両火災が13件だった。2023年の97件からほぼ横ばいである。
全国とほぼ同じ、県平均より1割多い

人口1万人当たりの出動件数は、前橋市621.5件、全国614.4件、群馬県568.8件である。前橋は全国とほぼ同じで、県平均の1.09倍にあたる。
この数字をどう読むか
ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。
急病の増加は高齢化と重なる
高齢化の記事で、前橋の高齢化率が2050年に39.7%になることを示した。救急出動の6割が急病であることは、高齢者の増加と無関係ではない。ただし、年報には年齢別の出動件数がなく、この記事からは確かめられない。
県庁所在地の集まり方
前橋の1万人当たりが県平均より多いのは、医療の記事で見たように病院が集まる県庁所在地で、周辺からの搬送や昼間人口の多さが影響する可能性がある。理由はこの統計からは分からない。
このデータの限界
- 1万人当たり・倍率・割合は当サイトが算出した。公表値ではない。
- 救急出動の県内他市との比較はできない(消防庁の公表は都道府県別まで)。
- 事故種別は消防局管内の合計で、前橋市分とは8件の差がある。
- 現場到着までの時間や病院収容までの時間は、年報に記載がなく扱っていない。
- 年齢別の出動件数は年報にない。
- 人口は翌年1月1日の住民基本台帳人口を使った。
- 2020年の減少は新型コロナウイルス感染症の流行と重なるが、要因の分析はしていない。
よくある誤解
「救急車が増えたのは交通事故が増えたから」
交通事故による出動は6.0%です。出動の6割は急病で、増えているのも主に急病です。
「前橋は救急車の出動が特に多い」
人口1万人当たりでは全国とほぼ同じです。群馬県平均より1割多いですが、県内の他の市とは比べられていません。
Q&A
救急車を呼ぶか迷ったときは
前橋市を含む群馬県では、救急安心センター(#7119)で看護師などに相談できます。詳しくは群馬県の公式ページで確認できます。
前橋市の消防年報はどこで見られますか
前橋市消防局のページで、毎年度の年報がPDFで公開されています。
次の更新はいつですか
消防年報は毎年度公表されます。2025年の値が出たら更新します。
出典
- 前橋市消防局「令和7年度消防年報」(救急・火災)
- 総務省消防庁「令和7年版 救急・救助の現況」Ⅰ救急編
- 総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」、「市町村別決算状況調」(住民基本台帳人口)
データダウンロード
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| No | データ名 | 出典 | ダウンロード |
|---|---|---|---|
| 99 | 前橋市消防局の救急出動件数(2015〜2024年)、事故種別・火災(2024年)、群馬県・全国の救急出動 | 前橋市消防局「消防年報」、総務省消防庁「救急・救助の現況」 | CSVを保存 |
更新履歴
- 2026年9月24日 公開
