子育ての記事で、前橋の合計特殊出生率1.41と待機児童0人を示した。女性の就業の記事では、M字カーブの谷が30〜34歳の78.55%だった。
ひとり親の世帯は、どれだけあるのか。
前橋市の母子世帯は1,731世帯、父子世帯は192世帯。
一般世帯に占める割合は母子1.22%・父子0.14%で、どちらも県内5市で最も低い。
母子は父子の9.0倍。この比率は5市で最も高い。
対象範囲
総務省「令和2年国勢調査」による。社会・人口統計体系の市区町村データを通じて取得した。
婚姻・離婚の記事で、前橋の離婚が2002年をピークに41.7%減っていることを示した(2024年)。ただし婚姻はそれ以上に減っている。
母子世帯の定義は狭い。未婚の20歳未満の子どもとだけ同居し、他に世帯員がいない一般世帯を指す。祖父母と同居している場合は含まれない。
そのためこの数字は、ひとり親で子を育てている人の全体ではない。実際にはより多いと考えられる。
割合の分母には一般世帯数を使った。母子世帯が一般世帯の内数として定義されているためである。
推移は扱わない
この記事では2020年の断面だけを扱う。2015年以前とつなげて論じない。
理由は後半の節で述べる。2020年の国勢調査で、前橋だけ家族類型に分類できない世帯が急増しているためである。
扱えないもの
児童扶養手当の受給者数、生活保護の被保護世帯数はいずれも都道府県別までしか公表されていない。ひとり親家庭等医療費は、どの統計表にも見当たらなかった。
そのため、ひとり親世帯の暮らしの状況はこの記事では扱えない。示せるのは世帯の数だけである。
前橋の割合は5市で最も低い

前橋市の母子世帯は1,731世帯で、一般世帯141,556の1.22%。
5市では伊勢崎1.57%、太田1.37%、高崎1.30%、桐生1.25%。前橋が最も低い。
群馬県1.32%を0.10ポイント下回るが、全国1.16%は0.06ポイント上回る。
父子世帯も同じ形になる。前橋0.14%は5市で最も低く、桐生0.19%、伊勢崎・太田0.18%が上にいる。
実数では前橋が最多
ただし世帯の数では違う。前橋1,731は高崎2,094に次ぐ2位で、伊勢崎1,349・太田1,265・桐生561を上回る。
一般世帯が前橋141,556、伊勢崎86,014で1.65倍の差があるためである。
実数で見るか、割合で見るかで順序が変わる。
ひとり親の9割は母子世帯

前橋の母子世帯1,731は、父子世帯192の9.0倍。
5市では高崎8.7倍、伊勢崎8.6倍、太田7.6倍、桐生6.7倍。前橋が最も高い。
全国は8.7倍、群馬県は7.8倍。前橋は全国よりも母子に偏っている。
ひとり親世帯1,923のうち、90.0%が母子世帯である。
推移を扱えない理由

前橋の母子世帯は、2015年の2,156から2020年の1,731へ425世帯、19.7%減っている。父子も27.0%減である。
この減り方は5市で最大だった。高崎−4.9%、伊勢崎−2.6%、太田−13.4%、桐生−24.8%。
全国も646,809世帯で14.3%減っている。群馬県は10.4%減。前橋固有の動きではない。
分類できない世帯が急増した
ただし前橋には、別の動きがある。
一般世帯数から家族類型の合計(親族のみ・非親族を含む・単独)を引くと、残差が出る。これは家族類型が不詳の世帯に相当するとみられる。
前橋の残差は2010年0.04%、2015年0.53%、2020年2.14%。
他の4市は2020年で0.19〜0.31%。群馬県0.59%、全国0.29%。前橋は他市の約7〜11倍である。
2015年から2020年で2,301世帯増えた。母子の減少425と父子の減少71を足した496世帯は、この範囲に収まる。
確かめられなかった
この残差が何なのかを、公表資料で確かめようとした。
総務省統計局の「令和2年国勢調査 調査の結果」と「利用上の注意について」「結果についてよくある質問」を確認したが、家族類型の不詳の増加についての記載は見つからなかった。
2020年国勢調査には「参考表:不詳補完結果」が公表されている。ただし対象は年齢・国籍・配偶関係、労働力状態・産業・職業、従業地・通学地、5年前の常住地の4系統だけである。
世帯の家族類型は不詳補完の対象に含まれていない。全国レベルでも補完値が存在しない。
そのため、19.7%減が実態なのか集計の影響なのかは判別できない。この記事で推移を扱わないのは、そのためである。
この数字をどう読むか
ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。
割合が低いことの読み方
前橋の母子世帯の割合1.22%は5市で最も低い。ただしこれを「ひとり親が少ない」と読むことはできない。
この統計の母子世帯は祖父母などと同居していない世帯に限られる。三世代で住んでいれば、この数には入らない。
住まいの記事で、前橋の持ち家が1住宅当たり124.97㎡で全国118.25㎡を上回ることを示した。持ち家の記事では持ち家率68.6%が全国60.9%を上回っている。
同居できる家があれば、統計上の母子世帯にはならない。ただしこの関係は確かめられていない。
9対1という比率
ひとり親世帯の90.0%が母子世帯。この偏りは全国8.7倍より大きい。
女性の就業の記事で、前橋の非正規比率が女性49.8%・男性20.1%で29.7ポイントの差があることを示した。
M字カーブの谷は30〜34歳の78.55%。男女差は20〜24歳の1.56ポイントから17.20ポイントに開く。
母子世帯が9割を占めるということは、働きながら子を育てる負担が、その9割に集中しているということでもある。ただし就業状況は世帯類型別には取れない。
数えられないものがある
この記事で示せたのは世帯の数だけである。
児童扶養手当の受給者数も、生活保護の被保護世帯数も、市区町村別では公表されていない。ひとり親家庭等医療費に至っては、統計そのものが見当たらない。
支援制度の記事で、前橋市の子ども医療費が高校生世代まで無料であることを示した。ただしそれが何世帯に届いているかは分からない。
支援の対象を数えられなければ、支援の効果も測れない。
このデータの限界
- 割合の差は、小数第2位まで丸めた表示値どうしの引き算である。未丸め値で計算すると群馬県との差は0.09ポイントになる。
- 割合と倍率は当サイトが算出した。公表値ではない。
- 母子世帯は未婚の20歳未満の子とだけ同居し、他に世帯員がいない一般世帯を指す。祖父母などと同居している場合は含まれない。ひとり親で子を育てている人の全体ではない。
- 2015年以前とつなげて論じていない。2020年国勢調査で前橋の家族類型の残差(不詳相当)が2.14%と他市の約7〜11倍に増えており、母子世帯の19.7%減が実態か集計の影響かを判別できないため。
- 残差は当サイトが算出したもので、公表されている「不詳」の数値ではない。総務省の公表資料に家族類型の不詳に関する記載は見つからなかった。
- 2020年国勢調査の不詳補完結果は、年齢・国籍・配偶関係、労働力状態・産業・職業、従業地・通学地、5年前の常住地の4系統のみである。世帯の家族類型は対象外で、補完値が存在しない。
- 児童扶養手当の受給者数、生活保護の被保護世帯数は都道府県別までしか公表されていない。ひとり親家庭等医療費は統計そのものが見当たらなかった。
- 世帯類型別の就業状況、収入、住居は、この統計では扱えない。
- 市町村合併の影響を調整していない。前橋市は2004年以降に旧勢多郡の町村と合併している。
よくある誤解
「前橋はひとり親世帯が少ない」
一般世帯に占める割合1.22%は5市で最も低いものの、実数1,731世帯は高崎に次ぐ2位です。また統計上の母子世帯は祖父母と同居していない世帯に限られるため、ひとり親で子を育てている人の全体ではありません。
「母子世帯は減っている」
2015→2020年で数字上は19.7%減っていますが、同じ期間に前橋だけ家族類型に分類できない世帯が2,301増えています。実態の減少か集計の影響かは判別できないため、この記事では推移を扱っていません。
「割合が低いから支援が足りている」
この統計からは判断できません。児童扶養手当の受給者数も生活保護の被保護世帯数も市区町村別では公表されておらず、支援の状況を示すデータがありません。
Q&A
母子世帯の定義を教えてください
国勢調査では、未婚の20歳未満の子どもとだけ同居し、他に世帯員がいない一般世帯を指します。祖父母と同居している場合や、20歳以上の子と暮らしている場合は含まれません。
児童扶養手当の受給者数は分かりますか
市区町村別では分かりません。都道府県別なら公表されており、群馬県は2023年で11,617人です。
ひとり親向けの支援制度を知りたい
当サイトでは窓口の案内は行っていません。前橋市の公式サイトでご確認ください。
なぜ推移を載せないのですか
2020年国勢調査で、前橋だけ家族類型に分類できない世帯が急増しているためです。母子世帯の減少がこの影響を受けている可能性を排除できず、総務省の公表資料でも確認できませんでした。
次の更新はいつですか
国勢調査は5年ごとです。次回は2025年調査の結果になります。
出典
- 総務省「令和2年国勢調査」/社会・人口統計体系 市区町村データ(統計表ID 0000020201)/e-Stat
- 総務省統計局「令和2年国勢調査 調査の結果」/統計局
- 総務省「社会・人口統計体系」都道府県データ(群馬県・全国の値、児童扶養手当受給者数)
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| No | データ名 | 出典 | ダウンロード |
|---|---|---|---|
| 74 | 県内5市の母子世帯・父子世帯 2000〜2020年 | 総務省「国勢調査」(社会・人口統計体系による) | CSVを保存 |
更新履歴
- 2026年9月17日 公開
