前橋市の貯蓄は1,781万円で県内最多|負債888万円も最多【2024年】

前橋市の1世帯当たり貯蓄現在高は1,781万円で、県内4市で最多、全国平均1,723万円も上回る。負債現在高888万円も4市で最多で、差し引いた純貯蓄は893万円と高崎市1,048万円に及ばない。4市と群馬県・全国の貯蓄・負債・純貯蓄・住宅・宅地を表で比べた。

今日公開した貯蓄・負債の記事と貯蓄の分布の記事で、どちらも同じことを書いた。この調査に市区町村別の集計はない、前橋市単独の数値は分からないと。

Q&Aには「15万人以上の市を対象とした表があるため、前橋市が含まれるか確認できる可能性があります」とも書いた。確認した。含まれていた。

前橋市の数値が取れる。そして県の数字とは違う姿が出てきた。

前橋市の1世帯当たり貯蓄現在高は1,781万円。県内4市で最多で、全国平均1,723万円も上回る。

ただし負債現在高888万円も4市で最多。貯蓄に対する比率は49.9%で、貯蓄の半分が負債にあたる。

差し引いた純貯蓄は893万円。高崎市1,048万円、太田市1,003万円に及ばない。

対象範囲

総務省統計局「令和6年全国家計構造調査」家計資産・負債に関する結果による。市別の数値は表21-0(経済圏・15万以上市)、群馬県は表24-0、全国は表4-1から取った。2024年10月・11月に実施された調査で、結果は2026年8月28日に公表された。

群馬県からは前橋市・高崎市・伊勢崎市・太田市の4市が収録されている。15万人以上の市が対象のため、他の市町村は含まれない。県内経済圏(中部・東部・西部・吾妻利根沼田)の集計もある。

対象は二人以上の世帯・全世帯。単身世帯は含まない。貯蓄現在高は金融資産残高を指す。

市別の表は資産・負債の種類が15区分で、都道府県別の42区分より粗い。貯蓄保有率・有価証券保有率・負債保有率は市レベルでは公表されていない。有価証券の内訳(株式・投資信託・債券)も市別にはない。純貯蓄は当サイトが算出した値である。

前橋の貯蓄は県内最多。全国平均も上回る

前橋市の1世帯当たり貯蓄現在高は1,781万円である(総務省統計局「令和6年全国家計構造調査」表21-0)。

県内4市では最も多い。高崎市1,747万円、太田市1,610万円、伊勢崎市1,009万円と続く。群馬県全体の1,542万円を239万円上回り、全国平均1,723万円も58万円上回る。

全国の15万人以上市161市のなかでは73位。前後には沼津市1,800万円、熊谷市1,790万円、金沢市1,782万円が並ぶ。最も多いのは武蔵野市3,322万円だった。

県の記事で「群馬の貯蓄は全国を10.5%下回る」と書いた。前橋市に絞ると、その関係は逆転する。

負債も県内最多。貯蓄の半分にあたる

負債のほうを見ると、話が変わる。前橋市の負債現在高は888万円で、これも県内4市で最多である。

県内4市と群馬県・全国の貯蓄現在高・負債現在高・純貯蓄の比較。前橋市は貯蓄17.8百万円・負債8.9百万円・純貯蓄8.9百万円
貯蓄・負債・純貯蓄の比較(二人以上の世帯、2024年)
貯蓄現在高 1,781万円 県内4市で最多。全国1,723万円
負債現在高 888万円 こちらも4市で最多。貯蓄の49.9%
純貯蓄 893万円 高崎1,048・太田1,003万円に及ばない

高崎市698万円、太田市607万円と比べると、前橋は190万円から281万円多い。全国平均672万円は217万円下回る。

貯蓄に対する負債の比率を出すと、前橋市は49.9%。貯蓄の半分が負債にあたる。高崎市40.0%、太田市37.7%、全国39.0%と比べて突出している。群馬県全体でも44.7%である。

負債888万円のうち、住宅・土地のためのものが709万円で79.8%を占める。借りている先は主に家である。

差し引くと順位が変わる。純貯蓄は前橋市893万円に対し、高崎市1,048万円、太田市1,003万円。貯蓄額では県内最多なのに、差し引きでは3位になる。

純資産の7割は住宅・宅地

市別の表には、都道府県別の表になかった項目がある。住宅・宅地である。

前橋市の住宅・宅地は1世帯当たり2,206万円。これに純金融資産893万円を加えた3,099万円が純資産総額になる。純資産の71.2%が住宅・宅地である。

純資産総額の内訳。前橋市は純金融資産8.9百万円と住宅・宅地22.1百万円で計31.0百万円。全国は35.9百万円
純資産総額の内訳(二人以上の世帯、2024年)

全国の住宅・宅地は2,543万円で、前橋より337万円多い。純資産総額も全国3,594万円に対して前橋3,099万円で、496万円下回る。

貯蓄では全国を上回っていた前橋が、純資産では下回る。差は住宅・宅地の評価額から生じている。

4市と群馬県・全国の1世帯当たりの貯蓄・負債・純貯蓄・住宅・宅地を並べる(二人以上の世帯、2024年)。

地域貯蓄(万円)負債(万円)純貯蓄(万円)住宅・宅地(万円)
前橋市1,7818888932,206
高崎市1,7476981,0482,089
太田市1,6106071,0031,835
伊勢崎市1,0098002091,742
群馬県1,5426908521,824
全国1,7236721,0522,543

千円単位の公表値を万円に直した(四捨五入)。純貯蓄は貯蓄から負債を引いた値である。

この数字をどう読むか

ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。

前橋は、県内で最も貯めていて最も借りている市である

貯蓄1,781万円も負債888万円も、県内4市で最多だった。この2つは矛盾しない。住宅ローンを組んで家を持ち、同時に金融資産も積んでいる世帯像である。

県の記事で、群馬の負債保有率が46.2%で全国1位だと示した。市レベルでは保有率が公表されていないので、前橋がその何割を占めるかは分からない。ただし負債の金額で見れば、前橋は県平均を288万円上回っている。

生活コストの記事で、群馬の物価が全国最低で住居は東京の1.42分の1であることを示した。家が買いやすい環境で、実際に買っている。そう読むのが素直である。

高崎との差が、また別の形で出た

貯蓄は前橋1,781万円、高崎1,747万円でほぼ同じ。差は34万円しかない。ところが負債は前橋888万円、高崎698万円で190万円違う。結果、純貯蓄では前橋893万円、高崎1,048万円と155万円の差がつく。

事業所数の記事で、前橋の民営事業所は高崎の1.1倍なのに求人は1.4倍だと示した。通勤先の記事では、高崎から前橋への通勤が3,003人の受け入れ超過だった。上場企業の記事でも、前橋7社に対し高崎4社である。

働く場としては前橋が集めている。それでも家計の純資産では高崎が上回る。この調査は居住地ベースなので、どこで働いているかとは別の話になる。

「持ち家の価値」をどう数えるかで、結論が変わる

金融資産だけで見れば、前橋の純貯蓄893万円は全国1,052万円の85%である。住宅・宅地を加えた純資産総額で見ると、3,099万円対3,594万円で86%になる。どちらで見ても全国を下回るが、理由は違う。

金融資産で下回るのは負債が多いから。純資産で下回るのは住宅・宅地の評価額が低いからである。前橋2,206万円に対し全国2,543万円。生活コストの記事で示した住居費の安さは、資産評価の側では低さとして表れる。

安く買えることと、資産として大きいことは別である。空き家の記事で、前橋の空き家率が15.2%であることを示した。住宅が資産としてどれだけ持つかは、地域の住宅市場の厚みによる。

このデータの限界

  • 市別の表は資産・負債の種類が15区分で、都道府県別の42区分より粗い。有価証券の内訳(株式・投資信託・債券)は市別には公表されていない。
  • 貯蓄保有率・有価証券保有率・負債保有率は市レベルでは公表されていない。県の記事で示した保有率は、前橋市の数値ではない。
  • 貯蓄現在高階級別の分布も市レベルでは公表されていない。前橋市の中央値や分布は分からない。
  • 純貯蓄、貯蓄に対する負債の比率、住宅・宅地の構成比は当サイトが算出した値である。公表値ではない。
  • 群馬県からは15万人以上の4市のみが収録されている。他の市町村の数値はない。
  • 平均値である。市レベルでは分布が取れないため、実感との差は確認できない。
  • 二人以上の世帯を対象としている。単身世帯を含めると数値は変わる。
  • 住宅・宅地の評価額は調査時点のものである。評価方法は調査の定義による。

よくある誤解

「群馬の貯蓄は全国より少ないのだから、前橋も少ない」

逆です。県全体では全国を10.5%下回りますが、前橋市は全国平均を58万円上回ります。県の数値は町村部を含む平均であり、県庁所在地の数値とは異なります。

「負債が多いのは家計が苦しいから」

前橋の負債888万円のうち79.8%は住宅・土地のためのものです。同時に貯蓄も県内最多で、住宅・宅地も2,206万円あります。借入と資産形成が並行して起きている姿です。

「前橋市の中央値も分かるはず」

分かりません。貯蓄現在高階級別の分布は都道府県までしか公表されていないため、市レベルでは中央値も分布も算出できません。貯蓄の分布の記事で示した中央値の推計は、群馬県の数値です。

Q&A

なぜ前橋・高崎・伊勢崎・太田の4市だけなのですか

この統計表が「15万人以上の市」を対象としているためです。群馬県内で人口15万人以上の市は、この4市です。他の市町村は県内経済圏という区分で集計されています。

伊勢崎市の数値が他の3市と大きく違います

貯蓄1,009万円に対し負債800万円で、純貯蓄は209万円です。貯蓄に対する負債の比率は79.3%になります。理由はこの調査からは特定できません。世帯主の年齢構成や住宅取得の時期など、複数の要因が考えられます。

住宅・宅地の評価額はどう決めているのですか

調査票で世帯に回答してもらった現住居および現住居以外の住宅・宅地の評価額です。詳細な算定方法は調査の定義によります。市場での売買価格と一致するとは限りません。

県内経済圏の数値も分かりますか

分かります。貯蓄現在高で見ると中部1,444万円、東部1,581万円、西部1,748万円、吾妻・利根沼田1,312万円です。この記事では4市の比較に絞りました。

次の更新はいつですか

全国家計構造調査は5年ごとです。次回は令和11年(2029年)調査となり、結果の公表は2031年ごろが見込まれます。調査の概要と結果は、総務省統計局の令和6年全国家計構造調査のページで確認できます。

前橋市の1世帯当たりの貯蓄はいくらですか

二人以上の世帯の貯蓄現在高は1,781万円で、県内4市で最も多くなっています。群馬県全体の1,542万円を239万円、全国平均1,723万円を58万円上回ります。全国の15万人以上の市161市のなかでは73位です。

前橋市の住宅ローンなどの負債はどれくらいですか

負債現在高は888万円で、県内4市で最多です。そのうち住宅・土地のための負債が709万円で、79.8%を占めます。貯蓄に対する負債の比率は49.9%です。

出典

  • 総務省統計局「令和6年全国家計構造調査」家計資産・負債に関する結果 表21-0(経済圏・15万以上市別)、表24-0(都道府県別)、表4-1(全国)/統計局

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㉛県内4市・県内経済圏の貯蓄・負債
(2024年)
総務省統計局「令和6年全国家計構造調査」家計資産・負債に関する結果 表21-0・表24-0・表4-1CSVを保存

更新履歴

  • 2026年9月24日 冒頭の段落を追加
  • 2026年9月24日 Q&Aと内部リンク、表を追加
  • 2026年9月3日 公開