前橋市の商店街の通行量は4年で1.8倍|休日15,110人【2025年】

前橋の商店街はシャッター街だ、と言われる。

その印象は、半分は正しく、半分は古い。前橋市が隔年で実施している商店街通行量調査を見ると、休日の通行量は令和3年を底に、4年で1.8倍まで戻っている。一方で、平成6年の水準と比べると桁が違う。

このページでは、前橋の中心商店街を構成する9つの通りを整理したうえで、通行量の推移を数字で見る。あわせて、各商店街の公式サイトへのリンクをまとめた。

休日の通行量(中心市街地12地点・8時間)は令和7年度に15,110人。令和3年度の8,517人から1.8倍に増えた。

平日の24時間調査も13,980人で、令和5年度から16%増。増加は休日だけではない。

ただし活性化区域9か所ベースでは、平成6年の72,071人が平成27年に12,942人。21年で82.0%減っている。

対象範囲

通行量は前橋市「前橋市商店街通行量調査報告書」による。この調査は平成6年度から隔年で実施されている。

令和3年度に調査方法が大きく変わっている。従来はカウンターによる10時から18時までの8時間調査だったが、令和3年度からは自動撮影カメラによる24時間調査になった。あわせて調査地点も、令和元年までの31地点から15地点(中心市街地12地点、JR前橋駅北口周辺3地点)に集約された。

そのため、令和3年度以降と、それ以前の数値は直接比較できない。この記事では、比較できる範囲を分けて示す。令和3年度以降は中心市街地12地点、平成6年と平成27年は活性化区域9か所での比較である。

商店街の構成は前橋市「前橋中心商店街協同組合(Qのまち)について」による。個別の店舗については、現地での確認を行っていないため掲載していない。

前橋の中心商店街は、9つの通りでできている

前橋の中心商店街は、9つの商店街組織で構成されている。これらが「前橋中心商店街協同組合」を組織しており、Qのまちと呼ばれる。

組合等の名称組合サイトでの通り名ページ
前橋中央通り商店街振興組合中央通り商店街紹介ページ/独自サイト
弁天通り商店街振興組合弁天通り商店街紹介ページ
オリオン通り商店街振興組合オリオン通り商店街紹介ページ
千代田通り振興会千代田通り商店街紹介ページ
竪町商交会竪町通り商店街紹介ページ
前橋銀座商交会銀座通り二丁目商店街紹介ページ
前橋銀座一丁目商店街振興組合銀座通り一丁目商店街組合サイト
立川町大通商店街振興組合立川町大通商店街組合サイト
馬場川通り親交会馬場川通り商店街組合サイト

出典:前橋市「前橋中心商店街協同組合(Qのまち)について」(組合等の名称)、前橋中心商店街協同組合「前橋まちなか情報覗き見マガジン」(通り名とページ)

組合の正式名称と、組合サイトで使われている通り名は一致しない。前橋銀座商交会が銀座通り二丁目商店街にあたる。なお前橋市の公式ページからのリンクは旧URLのままで、現在は自動で転送される。本記事では現行のURLを記載した。

協同組合は、この9商店街から各1社とスズラン前橋店を加えた10社で組織されている(前橋新聞)。

「Qのまち」の名は、地図の形から来ている

愛称の由来は2つある。通りが9つあること。そして地図で9つの通りをつなぐと、ローマ字の「Q」に見えないこともないことである(前橋新聞)。

実際に各商店街の代表地点を並べてみると、9つの通りが300メートル×420メートルの範囲に収まっていることが分かる。端から端まで歩いて5分ほどの距離である。

JR前橋駅からは約1キロ。近いのは中央前橋駅のほう

商店街の中心からJR前橋駅までは、直線で989メートル。分速80メートルで換算すると徒歩12分ほどになる。実際の歩行距離はこれより長い。

一方、上毛電気鉄道の中央前橋駅までは457メートルで、徒歩6分ほど。JR前橋駅より約530メートル近い。前橋市役所までは673メートルである。

前橋の中心商店街の位置図。9つの通りとJR前橋駅・中央前橋駅の位置関係。商店街の中心までJR前橋駅は989メートル、中央前橋駅は457メートル
中心商店街と主要駅の位置関係(代表地点、2026年9月時点)

北の端が弁天通り、南の端が馬場川通り。その北側には広瀬川が東西に流れている。中央通りは南北に走るアーケードで、この図では赤い線で示した。竪町通りは国道17号沿いにあり、図の範囲より西になる。

商店街から近いのは、本数の少ないほうの駅である。中央前橋駅は上毛電気鉄道の終点で、路線は前橋と桐生を結ぶ地方私鉄である。JR両毛線が乗り入れる前橋駅とは、輸送規模が異なる。

各通りには性格の違いがある。千代田通りは立川町通りと国道50号を結ぶ通りで、アーツ前橋、名画座映画館の前橋シネマハウス、こども図書館、コミュニティ放送局が並ぶ。竪町通りはかつて問屋街として栄え、路面電車が走っていた時代もある。弁天通りと立川町大通は、大蓮寺・妙安寺・熊野神社の門前町として発展した(前橋中心商店街協同組合、経済産業省)。

図書館は市内に18館ある。図書館の記事で、その数が県内最多であることを示した。

このうち中央通り商店街は全長約330メートルで、全蓋式のアーケードを持つ(前橋観光コンベンション協会「前橋まるごとガイド」)。北の弁天通りとつながっており、雨天でも歩ける区間が続く。

9つのうち「振興組合」を名乗るのが5つ、「商交会」「振興会」「親交会」といった任意団体が4つある。組織の形が異なると、補助制度の対象になるかどうかも変わってくる。

「Qのまち」という愛称は昭和61年に生まれた。前橋中心商店街協同組合は、前橋中心商店街協議会から発展して平成7年に結成されている(前橋商工会議所「商店街情報」)。

中央通りのアーケードは昭和37年、北関東で最初だった

中央通りは、江戸時代には厩橋城(前橋城)の城下町として商いが盛んな通りだった。かつては4つの町から成っている。生糸のまち前橋を象徴する、蚕の餌となる桑の苗木を商った桑町。堅町(現在の国道17号)に交差する横山町。川が流れていたことに由来し、熊野神社や妙安寺を有する立川町。行商人の荷担ぎ紐「連尺」と渡り鳥の雀「連雀」をかけて名づけられた連雀町である。

全長約330メートルの全蓋式アーケードが設置されたのは昭和37年。北関東では初めてだった。群馬名物の冬の北西風「赤城おろし」を遮り、夏には南風が入りやすくなるよう設計されている。平成14年には改修工事が行われ、耐衝撃性・耐熱性の向上と紫外線の遮断が加わった(前橋中央通り商店街「ABOUT」)。

中心商店街の外にも、46の商店街がある

Qのまちの9つは、前橋の商店街のすべてではない。中心商店街を除いた市内には、46商店街・約2,100事業所が加盟する「前橋周辺商店街連絡協議会」がある。昭和49年の結成で、県内最大級の商店街組織とされる(前橋商工会議所「商店街情報」)。

中心市街地の通行量は、前橋の商業全体の一部でしかない。この記事で扱う数字は、あくまで中心市街地の12地点で計測されたものである。

通行量は4年で1.8倍に戻った

中心市街地12地点における休日の通行量(10時から18時までの8時間合計)は、令和7年度の調査で15,110人だった(前橋市「前橋市商店街通行量調査報告書」令和7年度、調査日は令和7年5月25日)。

令和5年度の11,951人から26.4%増、令和3年度の8,517人からは1.8倍である。

中心市街地12地点の休日通行量。令和3年度8,517人、令和5年度11,951人、令和7年度15,110人
中心市街地12地点の休日通行量(10時〜18時の8時間合計)
休日の通行量 15,110人 令和7年度・中心市街地12地点
令和3年度比 1.8倍 8,517人 → 15,110人
平成6年→27年 −82.0% 活性化区域9か所ベース

令和3年度は新型コロナウイルスの影響下で実施された調査であり、外出が抑制されていた時期にあたる。そこからの回復という側面はある。ただし回復は休日に限らない。平日の24時間調査でも、令和5年度の12,051人から令和7年度は13,980人へ16%増えている。

長期で見ると、失った量の桁が違う

調査方法が変わる前の数値も見ておく。中心市街地活性化区域9か所における休日の通行量は、平成6年に72,071人だった。それが平成27年には12,942人になっている(前橋市「前橋市中心市街地活性化基本計画」平成29年3月、表6)。

中心市街地活性化区域9か所の休日通行量。平成6年72,071人が平成27年には12,942人に減少
中心市街地活性化区域9か所の休日通行量(10時〜18時の8時間合計)

21年で82.0%の減少である。図1とは集計地点が異なるため両者の数値を直接つなげることはできないが、桁がひとつ違う。

店舗数も減っている。中心市街地の小売業商店数は、平成6年の342店から平成14年には264店へ、77%まで減少した(前橋工科大学ほか「都市計画論文集」No.39-3、2004年)。

一方で、施設の立地は進んでいる。平成25年4月に旧イトーヨーカドー跡地へエキータが開店し、同年10月にアーツ前橋が開館した。平成27年5月には9つの国の官署が入居する前橋地方合同事務所が完成している(同活性化基本計画)。

お店の情報はどこで探せるか

当サイトは現地取材を行っていないため、個別の店舗情報は掲載していない。ただし、商店街自身が発信している一次情報がある。開業・閉業が反映されるのは当然そちらのほうが早い。前橋市が公式に案内しているものを整理しておく。

サイト内容
前橋まちなか情報覗き見マガジン(Qのまち)9商店街それぞれの紹介ページと店舗一覧。共通サービスの案内
前橋中央通り商店街(ROSE AVENUE)中央通りの店舗一覧、マップ、歴史
まえばし igooまちなかのイベント情報をカレンダー形式で掲載
前橋まちなか新聞まちなかの店主を取材した情報誌
前橋市まちづくり公社 まちづくり推進課まちなか活性化の取り組み、イベント施設の貸し出し
前橋商店街紹介チャンネル群馬大学附属小の児童が店主に取材したYouTube動画

出典:前橋市「まちなかの情報を紹介します!」(2024年3月5日更新)

9つの商店街のうち、独立した公式サイトを持つのは中央通りである。他の通りの情報は、Qのまちのサイトに集約されている。

この数字をどう読むか

ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。

底は打った。ただし戻った先は元の水準ではない

4年で1.8倍という数字だけを見れば、勢いがあるように見える。ただし絶対量で見ると、令和7年度の15,110人は平成6年の72,071人の5分の1程度にあたる。集計地点が違うので厳密な比較ではないが、戻ったと言えるのはコロナ前後の話であって、長期の減少が反転したわけではない。

比較できる時点が3回分しかないことも押さえておきたい。調査は隔年なので、次に判断できるのは令和9年度の結果が出てからになる。3点では傾向とは呼べない。

駅から歩いて来る場所には、もともとなっていない

JR前橋駅から989メートル、中央前橋駅から457メートル。この距離をどう見るか。

中央通りの由来をたどると、この商店街は駅前商店街として生まれていない。江戸時代の厩橋城の城下町であり、明治以降は生糸のまちの商業地だった。鉄道より前からあった場所である。駅から遠いのは結果であって、設計の失敗ではない。

問題は、近いほうの駅の輸送規模が小さいことにある。通勤先の記事で、前橋に通勤する人の多くが県内から来ていることを示した。労働時間の記事では、群馬の月間出勤日数が17.7日で全国の17.4日より多いことも見た。県内移動を前提とすれば、来街の手段は鉄道ではなく車になる。

つまり通行量を増やす打ち手は、駅からの導線ではなく駐車のしやすさや滞在時間のほうに寄る。ただし、この記事のデータからは来街手段を特定できない。通行量調査は人数を数えたものであり、どこから来たかは記録されていない。

通行量の回復と、まちの人口構造は別に動いている

人口社会増減の記事で、前橋が毎年転入超過でありながら20〜24歳だけを失い続けていることを示した。将来人口の記事では2050年に18%減という推計も見た。

通行量が増えても、人口が減る前提は変わらない。商店街を歩く人が増えたのは、住む人が増えたからではなく、来る理由ができたからだと考えるほうが自然である。ただしこの調査からは、誰がどこから来ているかは分からない。

前橋は集める側の都市である

通勤先の記事で、前橋が周辺自治体すべてから受け入れ超過になっていることを示した。高崎からは3,003人多く受け入れている。通勤流動の記事で見た昼夜間人口比率104.0も同じ構図である。

働きに来る人がいるということは、まちなかに昼間人口があるということでもある。平日24時間の通行量が増えていることは、この構造と整合している。休日のにぎわいだけでなく、平日の昼間をどう使うかという論点があることになる。

このデータの限界

  • 令和3年度に調査方法と地点が変更された。それ以前の数値と直接比較することはできない。
  • 比較できるのは令和3年度・令和5年度・令和7年度の3時点だけである。傾向を判断するには時点が少ない。
  • 令和3年度は新型コロナウイルスの影響下での調査であり、通常より低く出ている可能性が高い。そこを起点にした倍率は大きく出る。
  • 令和元年の休日調査時には中央通りアーケードなどで大規模イベントが開催されており、通常の休日より多く観測されている。
  • 調査は隔年の1日だけである。天候やイベントの有無で数値が動く。
  • 通行量は通った人の延べ数であり、来街者数ではない。同じ人が複数の地点を通れば重複して計上される。
  • 個別の店舗については現地確認を行っていないため掲載していない。空き店舗率の最新値も、市が公表していないため扱えていない。
  • 前橋商工会議所「商店街情報」は同会議所のサイト改修により消滅しており、この記事ではInternet Archiveの保存版(2023年9月21日時点)を出典としている。

よくある誤解

「前橋の商店街は誰も歩いていない」

休日8時間で15,110人、平日24時間で13,980人が計測されています。減ったのは事実ですが、ゼロではありません。そして直近4年は増えています。

「通行量が1.8倍になったから回復した」

起点の令和3年度はコロナ禍の調査です。回復の起点をどこに置くかで見え方が変わります。長期では、集計地点は違うものの平成6年の水準から桁がひとつ落ちたままです。

「商店街は9つもあるのだから広い」

9つあるのは商店街組織の数であって、面積ではありません。中央通り商店街の全長は約330メートルです。9つの通りは中心市街地に集まっており、歩いて回れる範囲にあります。

Q&A

なぜ個別の店舗が載っていないのですか

店舗情報は商店街自身が発信しており、そちらのほうが早く正確だからです。当サイトが他媒体から写した一覧を載せても、公開した時点で古くなっている可能性があります。上の「お店の情報はどこで探せるか」に、前橋市が公式に案内しているサイトをまとめました。個別の店舗については、そちらをご覧ください。将来的には、取材を行ったうえで別の記事として扱うことを検討しています。

空き店舗率は分かりますか

最新の数値は公表されていません。過去には研究論文で実態調査が行われており、平成15年10月時点の調査結果が公開されています。市が定期的に公表しているのは通行量調査で、空き店舗率は定点データになっていません。

Qのまちとは何ですか

前橋の中心商店街9団体で構成される「前橋中心商店街協同組合」の通称です。事務局は千代田町2丁目にあります。

高崎の商店街と比べてどうですか

このページでは比較していません。通行量調査は各市が独自の地点・時間帯・方法で実施しており、そのまま比べると誤った結論になります。比較するには調査設計をそろえる必要があります。

次の更新はいつですか

通行量調査は隔年で実施されています。次回は令和9年度の調査となり、報告書は令和10年初頭ごろの公表が見込まれます。

出典

  • 前橋市「前橋市商店街通行量調査報告書」令和7年度/前橋市
  • 前橋市「前橋市商店街通行量調査報告書」令和5年度・令和3年度
  • 前橋市「前橋市中心市街地活性化基本計画」平成29年3月 表6
  • 前橋市「前橋中心商店街協同組合(Qのまち)について」/前橋市
  • 公益社団法人日本都市計画学会「都市計画論文集」No.39-3(2004年10月)
  • 前橋市「まちなかの情報を紹介します!」2024年3月5日更新/前橋市
  • 前橋商工会議所「商店街情報」/前橋商工会議所(2023年9月21日時点の保存版。前橋商工会議所のサイト改修により現行サイトには該当ページがない)
  • 前橋中央通り商店街「ABOUT」/ROSE AVENUE
  • 前橋中心商店街協同組合「前橋まちなか情報覗き見マガジン」/m-machinozoki.com
  • 前橋新聞「夕方だ、マチナカへGO! 27日『風街夕やけマルシェ』」(Qのまちの由来、組合の構成)
  • 経済産業省「がんばろう!商店街キャンペーン」弁天通り商店街振興組合・立川町大通商店街振興組合

データダウンロード

本記事で使用したデータは、CSVでご自由にダウンロードいただけます。ライセンスはCC BY 4.0です。

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㉖前橋の商店街通行量の推移
(1994〜2025年)
前橋市「前橋市商店街通行量調査報告書」各年度/「前橋市中心市街地活性化基本計画」(平成29年3月)CSVを保存

更新履歴

  • 2026年9月2日 位置図にJR前橋駅・中央前橋駅を追加し、駅からの距離と立地の解釈を追記
  • 2026年9月2日 9つの通りの一覧に組合サイトへのリンクと位置図を追加。Qのまちの由来と各通りの特徴を追記
  • 2026年9月2日 各商店街の公式サイト、中央通りの歴史、前橋周辺商店街連絡協議会の情報を追加
  • 2026年9月2日 公開