前橋の製造品出荷額は5,759億円|人口の割に工業が薄い【2024年】

前橋市の製造品出荷額等は5,759億円(2024年)で県内5市の4番目。群馬県に占める割合5.56%は人口シェア17.25%の0.32倍にとどまる。5市と群馬県の出荷額・事業所数・従業者数を表で比べた。

設備投資の記事で、前橋の設備投資が売上比2.06%で5市最下位だったことを示した。

その設備は、何を生んでいるのか。

前橋市の製造品出荷額等は5,759億円(2024年)。県内5市で4番目である。

群馬県に占める割合は5.56%。人口シェア17.25%の0.32倍しかない。

太田は出荷額31.06%に対し人口11.69%で、2.66倍である。

対象範囲

経済産業省「工業統計調査」ほかによる。社会・人口統計体系の市区町村データを通じて取得した。

製造品出荷額等は1980年から2024年までの45年分が取れる。2023年までは社会・人口統計体系、2024年は経済構造実態調査2025年(製造業事業所調査 地域別統計表)から取った。2025年調査は、事業所の母集団を2024年経済センサス‐基礎調査の結果で入れ替えて集計している。同じ基準で組み直した2023年は5,836.6億円で、当初公表の5,779.2億円より57.4億円多い。2024年の5,759億円は新しい基準の値なので、2023年以前との比較には段差が含まれる。

事業所数は2000年から、従業者数は1980年から。どちらも2015年だけ欠測している。

調査が変わっている

もとの調査は工業統計調査から、経済センサス活動調査・経済構造実態調査へ変わっている。

統計表には注記がなく、45年を通して接続できるかどうかは判断できない。この記事では同じ系列として扱っているが、その前提には不確かさがある。

setsubi とは集計の単位が違う

設備投資の記事は経済センサスの企業等集計による。本社の所在地に全社分が計上される。

この記事は事業所ベースで、工場のある場所に計上される。

集計の単位が違うため、2つの数字を直接は並べられない。

扱えないもの

製造業の現金給与総額は、市区町村別の項目が存在しない。

産業中分類の内訳も取れない。何を作っているかは、この統計では分からない。

人口の割に工業が薄い

群馬県に占める製造品出荷額と人口の割合(2024年)。前橋は出荷額5.56%に対し人口17.25%、太田は出荷額31.06%に対し人口11.69%
群馬県に占める製造品出荷額と人口の割合(2024年)
出荷額のシェア 5.56% 5,759億円
人口のシェア 17.25% 329,120人
出荷額÷人口 0.32倍 太田は2.66倍

前橋の出荷額シェアは5.56%。人口シェア17.25%の0.32倍である。

高崎も出荷額9.40%に対し人口19.18%で0.49倍。前橋と高崎だけが逆転している。

太田は出荷額31.06%に対し人口11.69%。2.66倍である。伊勢崎も1.16倍で上回る。

県庁所在地と、工業都市の違いがここに出る。

1人当たりでも最下位

人口1人当たりの出荷額は前橋175万円。5市で最も少ない。

太田1,442万円、伊勢崎627万円、桐生268万円、高崎266万円。太田は前橋の8.2倍である。

全国は307万円。前橋はその0.57倍にとどまる。

5市と群馬県の製造業を並べる(出荷額等は2024年、事業所数と従業者数は2025年6月1日)。

地域製造品出荷額等(億円)事業所数従業者数(人)
前橋5,75953818,448
高崎9,72873827,931
伊勢崎13,30170727,517
太田32,15784848,994
桐生2,7104418,536
群馬県103,5185,505217,261

出荷額等は万円・百万円単位の公表値を億円に直した(四捨五入)。2025年調査は母集団が新しくなっており、同じ基準で組み直した2023年の前橋は5,836.6億円である。

ピークは1991年

前橋市の製造品出荷額等の推移。1980年4,570億円から1991年に7,620億円のピーク、2020年に4,849億円まで下がり2024年は5,759億円
前橋市の製造品出荷額等(1980〜2024年)

1980年は4,570億円。1991年に7,620億円まで上がった。

そこから下がり、2020年に4,849億円。ピークから36.4%減った時点である。

2024年は5,759億円。ピークからは24.4%減である。2023年の5,779億円とは基準が違うため、この差は増減として読まない。

1980年と比べれば1.26倍になっている。

働く人は4割減った

製造業の従業者数は1991年の30,859人がピーク。2025年6月には18,448人で40.2%減である。

各市のピークから見ると、桐生は62.1%減、高崎は26.1%減、伊勢崎は17.4%減。太田は2025年が最も多い。

ところが1人当たりの出荷額は上がっている。1980年1,639万円から2024年3,122万円へ、1.90倍。

人は減ったが、1人が生む額は増えた。

44年で太田は4.0倍、前橋は1.3倍

製造品出荷額等の指数。1980年を100として2024年は太田401・伊勢崎317・群馬272・全国180・高崎163・前橋126・桐生107
製造品出荷額等の推移(1980年=100)

1980年を100として、2024年の前橋は126。

太田401、伊勢崎317。群馬県272、全国180。

高崎163、桐生107。前橋は5市で4番目、全国も群馬も下回る。

太田と伊勢崎は2024年が過去最高である。

44年で、差が開いた。

製造業の付加価値は5市で4番目

同じ統計には、製造業が生み出した純付加価値額もある。前橋市は2020年に992億円だった。

同じ年の5市では、太田市が3,077億円で最も多い。

前橋は4番目である(当サイトが算出)。

製造業の純付加価値額を、取れる10年分並べる。

年前橋高崎伊勢崎太田桐生
20119331,4601,6192,400698
20151,2221,7581,9864,376663
20209921,9461,5703,077509

単位は億円(百万円単位の公表値を四捨五入)。出典は総務省「社会・人口統計体系」。

この数字をどう読むか

ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。

県庁所在地の構造

前橋は人口シェア17.25%に対し出荷額シェア5.56%。工業では県の中心ではない。

別の指標では逆になる。医療の記事で県内の医師の33.4%が前橋にいること、最終学歴の記事で大学卒の割合が全国水準にあることを示した。

医師は人口シェアの1.94倍、製造品出荷額は0.32倍。

集まっているものと、集まっていないものがはっきり分かれる。

投資と産出

設備投資の記事で、前橋の設備投資が売上比2.06%で5市最下位だったことを示した。

1事業所当たりの出荷額も10億7,000万円で、全国17億7,700万円の0.60倍である(2024年)。

従業者1人当たりでも3,122万円で全国5,014万円の0.62倍。規模も生産性も、全国を下回る。

ただし投資が少ないから産出が少ないのか、産出が少ないから投資も少ないのかは、この統計からは分からない。集計の単位も違う。

人が減っても額は戻った

従業者は1991年から40.2%減った。それでも出荷額はピークの75.6%の水準にある。

事業所数の記事で、前橋と高崎の民営事業所数の差が1.1倍にとどまることを示した。

製造業の事業所は538(2025年6月)。太田848、高崎738、伊勢崎707より少ない。

工場の数も、そこで働く人も減った。ただし1人当たりが上がったことで、額は保たれている。

外国人就業者の記事で、群馬の外国人就業者の56.8%が製造業で働いていることを示した。全体の23.2%に対し33.6ポイント高い。

このデータの限界

  • シェア、1事業所当たり、1人当たり、指数はすべて当サイトが算出した。公表値ではない。
  • もとの調査は工業統計調査から経済センサス活動調査・経済構造実態調査へ変わっている。統計表に注記がないため、45年を通して接続できるかは判断できない。
  • 2025年調査は、事業所の母集団を2024年経済センサス‐基礎調査の結果で入れ替えて集計している。同じ基準で組み直した2023年は5,836.6億円で、当初公表の5,779.2億円より57.4億円多い。2024年の5,759億円は新しい基準の値なので、2023年以前との比較には段差が含まれる。事業所数と従業者数(2025年6月1日)も新しい基準である。
  • 事業所数と従業者数は2015年が欠測している。そのため2015年の1事業所当たり・1人当たりは算出できない。
  • 製造業の現金給与総額は市区町村別の項目が存在しない。産業中分類の内訳も取れないため、何を作っているかは分からない。
  • 付加価値額は2011・2015・2020年の3時点しか取れない。2020年の前橋は992億円で県の6.67%である。
  • 設備投資の記事は経済センサスの企業等集計で、本社の所在地に全社分が計上される。この記事は事業所ベースで、集計の単位が違う。2つの数字を直接は並べられない。
  • 人口シェアは住民基本台帳人口(2024年、2025年1月1日現在)を分母とした。
  • 出荷額が少ない理由(産業構造、立地、企業規模など)をこの統計から分解することはできない。

よくある誤解

「前橋は工業都市だ」

製造品出荷額は群馬県の5.56%で、人口シェア17.25%の0.32倍です(2024年)。5市では4番目で、人口1人当たりでは最下位です。

「工業が衰退している」

1991年のピークから24.4%減っていますが、2020年の底からは回復しています。1980年と比べれば1.26倍です。従業者1人当たりの出荷額は1980年の1.90倍になっています。

「設備投資が少ないから出荷額も少ない」

この統計からは確かめられません。設備投資の数字は企業等集計(本社ベース)、出荷額は事業所ベースで、集計の単位が違います。因果の方向も分かりません。

Q&A

前橋では何を作っていますか

この統計では分かりません。産業中分類の内訳は市区町村別には公表されていません。

なぜ太田はこんなに多いのですか

この統計からは分かりません。太田の出荷額3兆2,157億円は群馬県の31.06%を占め、1980年比で4.0倍になっています(2024年)。

2015年のデータがないのはなぜですか

事業所数と従業者数が全地域で欠測しています。経済センサスの実施年にあたるためと考えられますが、統計表に注記がなく確認できていません。出荷額は2015年も取得できます。

次の更新はいつですか

経済構造実態調査は毎年実施されます。最新は2024年の値(2025年調査)です。

前橋市の製造業はどれくらいの規模ですか

2024年の製造品出荷額等は5,759億円で、県内5市の4番目です。群馬県に占める割合は5.56%で、人口シェア17.25%の0.32倍にとどまります。

前橋の製造業で働く人は減っていますか

減っています。1991年の30,859人がピークで、2025年6月は18,448人と40.2%減りました。ただし1人当たりの出荷額は1980年の1,639万円から2024年は3,122万円へ1.90倍になっています。

出典

  • 経済産業省「工業統計調査」「経済構造実態調査」ほか/社会・人口統計体系 市区町村データ(統計表ID 0000020203)/e-Stat
  • 経済産業省・総務省「2025年経済構造実態調査 製造業事業所調査」地域別統計表(2024年実績)/e-Stat
  • 総務省「社会・人口統計体系」都道府県データ(統計表ID 0000010103、群馬県と全国の値)
  • 総務省「住民基本台帳に基づく人口」2024年(人口シェアの分母)

データダウンロード

本記事で使用したデータは、CSVでご自由にダウンロードいただけます。ライセンスはCC BY 4.0です。

Noデータ名出典ダウンロード
83県内5市の製造品出荷額等
1980〜2024年
経済産業省「工業統計調査」ほか(2023年までは社会・人口統計体系、2024年は経済構造実態調査2025年による)CSVを保存

更新履歴

  • 2026年9月24日 最新の統計に更新
  • 2026年9月23日 「製造業の付加価値は5市で4番目」の節を追加
  • 2026年9月23日 冒頭の段落を追加
  • 2026年9月23日 Q&Aと内部リンク、表を追加
  • 2026年9月18日 公開