前橋の介護施設|老健が減ったのは5市で前橋だけ【2023年】

介護の記事で、前橋の要介護認定率18.49%が全国19.74%を下回ることを示した。ただし要介護4・5の重い人が23.8%を占め、全国20.4%を上回っていた。

受け入れる側の施設は、どうなっているのか。

特別養護老人ホームは30施設・定員1,804人。6年で89人増えた。

ところが介護老人保健施設は14施設から13へ。5市で減ったのは前橋だけである。

65歳以上1,000人当たりの定員で見ると、前橋は5市で4番目だった。

対象範囲

総務省「社会・人口統計体系」の市区町村データによる。もとの調査は厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」である。

市区町村別で取れるのは施設数と定員だけである。在所者数と従事者数は市区町村別の項目がなく、都道府県版でしか取れない。

そのため前橋市の利用率(在所者÷定員)は算出できない。この記事の利用率は群馬県と全国の値である。

年次の断層

2017年以前と2018年以降で、調査票が変わっている。前橋市の特養は2017年に24施設・定員1,435人だったが、2018年には29施設・1,715人になる。

これは1年で6施設増えたのではなく、集計の対象が変わったことによる。この記事では2018年以降のみを扱い、2017年以前とつなげていない。

扱えない施設

介護医療院と認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、市区町村別も都道府県別も項目が存在しない。

有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホームは2017年で公表が終わっている。参考として2017年の断面のみ示す。

人口10万人当たりの値は当サイトが算出した。定員は2023年、人口は2020年国勢調査で3年ずれる。

老健が減ったのは、5市で前橋だけ

介護老人保健施設の定員の推移。前橋市は1,034人から1,005人へ減少、高崎1,438人・太田660人・伊勢崎449人・桐生420人は変化なし
介護老人保健施設の定員(県内5市、2018〜2023年)
前橋の老健(2023年) 13施設 2018年は14施設だった
定員の減少 −29人 1,034人から1,005人へ
他の4市 0件 6年間まったく変化なし

介護老人保健施設は、前橋市で14施設から13施設へ減った。定員は1,034人から1,005人で29人減である。

他の4市は動いていない。高崎21施設1,438人、太田10施設660人、伊勢崎6施設449人、桐生6施設420人。6年間まったく同じである。

ただし前橋だけの動きではない。群馬県は100施設から97施設へ、全国も4,335施設から4,250施設へ2.0%減っている。

減る流れのなかで、県内5市では前橋が先に動いた形になる。

特養は増えている

市2018年2023年定員の増減
前橋市29施設 1,715人30施設 1,804人+89人(+5.2%)
高崎市27施設 1,541人30施設 1,796人+255人(+16.5%)
太田市17施設 1,058人19施設 1,143人+85人(+8.0%)
伊勢崎市16施設 970人16施設 1,008人+38人(+3.9%)
桐生市15施設 840人15施設 870人+30人(+3.6%)

特別養護老人ホームは5市すべてで増えた。前橋は1,715人から1,804人へ89人増。

介護保険の施設とは別に、サービス付き高齢者向け住宅がある。前橋は32棟1,052戸で、65歳以上1,000人当たりでは県内2位である。

ただし伸び率は高くない。前橋+5.2%に対し、群馬県+7.2%、全国+7.1%。高崎は+16.5%で255人増えている。

2023年時点で前橋30施設・高崎30施設と数は並んだ。定員も1,804人と1,796人でほぼ同じである。

人口当たりでは、前橋は4番目

65歳以上1,000人当たりの定員。桐生33.60・太田31.06・高崎30.79・前橋29.15・伊勢崎27.45で前橋は4番目
65歳以上1,000人当たりの定員(2023年)

65歳以上の人口で割ると、順序が変わる。

特養と老健を合わせた定員は、桐生33.60、太田31.06、高崎30.79、前橋29.15、伊勢崎27.45。前橋は5市で4番目である。

特養だけで見ると桐生22.66に対し前橋18.72で0.83倍。老健は高崎13.69が突出し、前橋10.43は3位だった。

実数では多いが、高齢者の数で割ると平均より下になる。

1施設は大きい

1施設当たりの定員は違う形を示す。

老健では前橋77.3人が5市で最も大きい。伊勢崎74.8、桐生70.0、高崎68.5、太田66.0と続く。太田の1.17倍である。

特養は差が小さい。伊勢崎63.0、太田60.2、前橋60.1、高崎59.9、桐生58.0。

特養はほぼ埋まっている

定員に対する在所者の割合。特養は群馬95.1%・全国94.5%、老健は群馬86.9%・全国87.7%で8.2ポイントの差
定員に対する在所者の割合(群馬県と全国、2018〜2023年)

市区町村別の在所者数は公表されていないため、ここから先は群馬県と全国の値である。

特養の利用率は群馬95.1%、全国94.5%。6年間ほぼ95%前後で推移している。

老健は群馬86.9%、全国87.7%。特養より8.2ポイント低い。

特養はほぼ埋まっており、老健には余りがある。

どこに施設があるか

数だけでは、どこにあるか分からない。市内の区分ごとに数える。

前橋市は介護保険の計画で市内を15の日常生活圏域に分けている。この区分ごとに施設を数えた。

この区分は別の記事でも使った。人口と地価の記事で、15圏域のうち人口が増えたのは3圏域だけであることを示した。

日常生活圏域別の特養と老健の施設数。元総社・総社・清里が7施設で最多、若宮城東中川・文京南部・宮城・粕川が1施設で最少。15圏域すべてに施設がある
日常生活圏域別の特養と老健の施設数(2026年)
施設がゼロの圏域 0か所 15圏域すべてに1施設以上
最も多い圏域 7施設 元総社・総社・清里
老健がない圏域 6か所 特養がない圏域はゼロ

15の圏域すべてに、1施設以上ある。空白の圏域はない。

最も多いのは元総社・総社・清里の7施設。特養3、老健4である。

次いで北部・中部、上川淵・下川淵、桂萱が4施設。最も少ないのは1施設で、若宮・城東・中川、文京・南部、宮城、粕川の4圏域である。

特養と老健で分布が違う

特養はすべての圏域にある。老健は6つの圏域にない。

老健がないのは若宮・城東・中川、文京・南部、大胡、宮城、粕川、富士見。大胡・宮城・粕川・富士見は、いずれも合併した旧町村の区域である。

両方がある圏域は9つ。残る6圏域は特養だけである。

老健は在宅復帰を目指す施設で、入所期間に区切りがある。特養より数が少なく、13施設しかない。

この集計の限界

この集計は、記事の前半で示した数と一致しない。

前半の特養30施設は社会・人口統計体系の2023年の値である。こちらの28施設は群馬県の一覧(令和8年5月1日)によるもので、県指定の広域型に限られる。

定員29人以下の地域密着型特養(市が指定する)は、県の一覧に含まれていない。時点も違う。

そのためこの節では定員を扱わない。老健の定員も、公表データの13施設中9件が0と記録されており使えない。

また富田町にある特養1施設は、町が2つの圏域に分割されているため、どちらに属するか判定できなかった。図には含めていない(28施設のうち27施設)。

圏域は第9期(令和6〜8年度)の区分である。計画期が変わると区分も変わりうる。

施設名は扱わない

当サイトは特定の施設や事業者を推奨しない。そのため個別の施設名は載せていない。

施設を探す場合は、厚生労働省の介護サービス情報公表システムで検索できる。市町村やサービス種別で絞り込める。

群馬県も特別養護老人ホームの一覧を公表している。

圏域と町名の対応は、前橋市の日常生活圏域のページで確認できる。

この数字をどう読むか

ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。

特養と老健は役割が違う

特養は生活の場で、原則として要介護3以上が対象。老健は在宅復帰を目指す施設で、入所期間に区切りがある。

利用率の差は、この性格の違いを反映している可能性がある。入退所が多ければ、常に空きが生じる。

ただしこの統計から、どちらの理由なのかは分からない。在所者数は年に1度の断面で、入退所の回数は記録されていない。

重度が多いこととの関係

介護の記事で、前橋の要介護4・5が23.8%で全国20.4%を上回ることを示した。認定者1人当たりの給付費も165万円で全国150万円の1.10倍だった。

重度の人が多ければ、施設の需要は高まる。ところが人口当たりの定員は5市で4番目である。

この2つが矛盾しているとは言えない。在宅でのサービス利用が多い可能性もある。同じ記事で、認定者のうち実際にサービスを使っている割合が79.8%で5市最高だったことも示した。

施設の定員と在宅サービスの利用は、別の統計である。

これから何が起きるか

高齢化率の記事で、前橋の65歳以上が2040年の110,844人を頂点に減りはじめることを示した。2050年でも2020年比7.3%増にとどまる。

施設の需要も、いずれ頭打ちになる。ただし要介護の割合が上がれば、人数が同じでも需要は増える。

同時に、支える側が減る。15〜64歳が28.4%減る。介護の担い手もこの層から出る。

定員があっても、働く人がいなければ受け入れられない。ただし従事者数は市区町村別では公表されておらず、この記事では確かめられない。

このデータの限界

  • 人口当たりの値と増減率は当サイトが算出した。公表値ではない。
  • 市区町村別で取れるのは施設数と定員だけである。在所者数と従事者数は市区町村別の項目がなく、前橋市の利用率は算出できない。
  • 2017年以前と2018年以降で調査票が変わっており、接続しない。前橋市の特養は2017年24施設・1,435人、2018年29施設・1,715人だが、これは実際に増えたのではなく集計の対象が変わったことによる。
  • 介護医療院と認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、市区町村別も都道府県別も項目が存在せず扱えない。
  • 有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホームは2017年で公表が終わっている。
  • 定員は2023年、人口は2020年国勢調査で3年ずれる。市区町村別の65歳以上人口は住民基本台帳では取れないため、国勢調査を使っている。
  • 介護の記事で使った認定者数(18,278人)は2024年度で、この記事の2023年とは1年ずれる。
  • 定員は受け入れられる人数であり、実際に何人が入所しているか、待っている人が何人いるかは分からない。特養の入所申込者数は都道府県別までしか公表されていない。
  • サービス付き高齢者向け住宅は、この記事では扱っていない。国土交通省が登録住宅の一覧を公表しており市区町村別の集計は可能である。

よくある誤解

「前橋は施設が多い」

実数では特養30施設・老健13施設で県内でも多いほうですが、65歳以上1,000人当たりの定員では29.15で5市中4番目です。桐生33.60、太田31.06、高崎30.79が上にいます。

「施設が減っているのは前橋だけ」

老健が減ったのは5市で前橋だけですが、群馬県も100→97施設、全国も4,335→4,250施設と減っています。特養のほうは5市すべてで増えました。

「空きがあるなら入れる」

特養の利用率は群馬95.1%・全国94.5%でほぼ埋まっています。老健は86.9%ですが、在宅復帰を目指す施設で入所期間に区切りがあり、性格が異なります。

Q&A

特養と老健は何が違うのですか

特別養護老人ホームは生活の場で、原則として要介護3以上が対象です。介護老人保健施設は在宅復帰を目指す施設で、入所期間に区切りがあります。この記事では、利用率の差(特養95.1%、老健86.9%)がこの違いを反映している可能性を示しました。

待機者は何人いますか

市区町村別では分かりません。特別養護老人ホームの入所申込者数は厚生労働省が公表していますが、都道府県別までです。

介護職員の数は分かりますか

市区町村別では分かりません。従事者数は都道府県版でのみ公表されています。

具体的な施設を探すには

当サイトでは扱っていません。厚生労働省の介護サービス情報公表システムで検索できます。

グループホームの数は

この統計では扱えません。認知症対応型共同生活介護は、社会・人口統計体系に市区町村別も都道府県別も項目が存在しません。

次の更新はいつですか

介護サービス施設・事業所調査は毎年実施され、社会・人口統計体系にも毎年反映されます。最新は2023年です。

出典

  • 総務省「社会・人口統計体系」市区町村データ(統計表ID 0000020209、0000020210)、都道府県データ(統計表ID 0000010109、0000010110)/e-Stat
  • もとの調査は厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」
  • 総務省「令和2年国勢調査」(65歳以上人口)

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70県内5市の介護施設の数と定員
2018〜2023年
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更新履歴

  • 2026年9月16日 公開