前橋の図書館は18館で県内最多|1人当たりの貸出は高崎とほぼ同じ【2024年度】

教育の記事で小中学校の児童生徒数が50%減ったこと、大学の記事で県内進学率が34.6%にとどまることを示した。学校の外にも、学ぶ場所はある。

前橋の図書館を数字で見る。

前橋市の図書館は18館で県内最多。桐生市2館の9倍である。

ところが1人当たりの貸出は4.93点で、高崎市4.99点とほぼ同じ。1館当たりでは高崎の29%にとどまる。

小さい図書館が、たくさんある。

対象範囲

図書館の数値は群馬県立図書館「群馬県の図書館 2025」公共図書館(統計編)による。令和6年度(2024年度)の調査である。

前橋市の18館は、本館・こども図書館・分館16の合計である。統計では分館がまとめて1行に計上されているため、館ごとの内訳は分からない。

貸出の単位は「点」で、図書と視聴覚資料を合わせた数である。本の冊数だけではない。

1人当たり・1館当たりの値は当サイトが算出した。人口は令和2年国勢調査を使っている。公表値ではない。

社会教育調査の市区町村別はe-Statのデータベースで2015年までしか取れず、それ以降はファイル提供のみである。蔵書数や貸出数の市区町村別は、そもそも社会教育調査では公表されていない。

小さい図書館が、たくさんある

まず数を見る。

県内5市の図書館数と1館が受け持つ人口。前橋市は18館で1館18,453人、高崎市は6館で62,162人
図書館数と1館が受け持つ人口(2024年度)
前橋市 18館 1館が18,453人を受け持つ
高崎市 6館 1館が62,162人
桐生市 2館 1館が53,222人

前橋市は18館。高崎市6館、太田市5館、伊勢崎市4館、桐生市2館である。人口は高崎のほうが4万人多いのに、館数は3倍の差がある。

1館が受け持つ人口で見ると、前橋市は18,453人。高崎市62,162人、桐生市53,222人、伊勢崎市52,962人、太田市44,603人。前橋だけが2万人を下回る。

この18館という数字は、2011年から統計に表れる。それ以前は2館だった。分館が計上の対象になった前橋市固有の変更で、他の4市では同じ時期に同様の変化は起きていない。

同じ量を、違う配り方で届けている

使われ方を見る。

年間の個人貸出。1人当たりは前橋4.93点・高崎4.99点でほぼ同じだが、1館当たりは前橋9.1万点・高崎31.0万点
1人当たりと1館当たりの年間貸出(2024年度)

1人当たりの貸出は前橋4.93点、高崎4.99点。ほぼ同じである。伊勢崎4.40点、太田3.47点、桐生2.58点と続く。

蔵書も1人当たり2.99〜3.51冊で、5市に大きな差はない。前橋2.99冊は最も少ないが、最多の桐生3.51冊との差は0.5冊ほどにとどまる。

ところが1館当たりで見ると変わる。前橋9.1万点に対し高崎31.0万点。前橋は高崎の29%である。

来館者も同じ形になる。1人当たりでは前橋1.38人で5市最少、伊勢崎・太田の2.56人の54%。1館当たりでは前橋25,423人、高崎121,140人で21%にあたる。

登録が多い市ほど、1人当たりの貸出は少ない

登録者から見る。

登録率と登録者1人当たりの貸出。高崎は登録率33.0%で15.14点、桐生は69.2%で3.73点、前橋は51.1%で9.63点
登録率と登録者1人当たりの貸出(2024年度)

人口に占める登録者の割合は、桐生69.2%、太田52.4%、前橋51.1%、伊勢崎48.3%、高崎33.0%。

登録者1人当たりの貸出は逆の順になる。高崎15.14点、前橋9.63点、伊勢崎9.12点、太田6.62点、桐生3.73点。

登録が多い市ほど、1人当たりの貸出は少ない。登録だけして使っていない人が含まれているためと考えられる。

統計には「有効登録者数」という別の項目もあるが、桐生6.9%から太田29.7%まで4倍以上の開きがあり、市によって計上の基準が揃っていない。前橋市は4年とも未報告である。この記事では使わない。

18館はどこにあるか

数字だけでは、どこに何があるか分からない。18館の位置と情報をまとめる。

前橋市立図書館18館の位置。本館とこども図書館が中心部にあり、分館16館が市内全域に散らばる。東部の大胡・宮城・粕川は旧町村部
前橋市立図書館18館の位置(2026年9月時点)

本館と前橋こども図書館は中心部にある。残る16の分館が、市内全域に散らばっている。

東の端は粕川分館(東経139.21)、西の端は清里分館(139.01)。直線で約18キロ離れている。

南北では下川淵分館(北緯36.33)から富士見分館(36.46)まで約13キロ。

合併した旧町村の区域にも、それぞれ分館がある。大胡・宮城・粕川・富士見の4館がこれにあたる。

休館日が2つに分かれている

訪れる前に確認したいのが休館日である。

月曜休館が10館、木曜休館が7館。前橋こども図書館だけが毎月第4水曜である。

休館日館
月曜
10館
本館、上川淵、下川淵、桂萱、元総社、総社、南橘、大胡、富士見、総合教育プラザ
木曜
7館
芳賀、東、清里、永明、城南、宮城、粕川
第4水曜
1館
前橋こども図書館

月曜が祝日のときは開館し、直後の平日が休館日になる。木曜休館の館も同じ扱いである。

木曜休館の7館と前橋こども図書館は、6月と12月の第1月曜も休館する。

年末年始は全館が12月29日から1月4日まで休み。このほか蔵書整理のための特別整理期間がある。

18館の一覧

各館の名称をクリックすると、前橋市の公式ページが開く。

館名住所開館時間休館日
本館 大手町二丁目12番9号 平日 9:00〜19:00
土日祝 10:00〜17:00
月曜
前橋こども図書館 本町二丁目12番1号
ミヤケン元気21 2階
10:00〜18:00 第4水曜
上川淵分館 後閑町35番地 平日 10:00〜18:00
土日祝 10:00〜17:00
月曜
下川淵分館 鶴光路町701番地 平日 10:00〜18:00
土日祝 10:00〜17:00
月曜
芳賀分館 鳥取町817番地 平日 10:00〜18:00
土日祝 10:00〜17:00
木曜
桂萱分館 上泉町141番地3 平日 10:00〜18:00
土日祝 10:00〜17:00
月曜
東分館 箱田町543番地1 平日 10:00〜18:00
土日祝 10:00〜17:00
木曜
元総社分館 元総社町三丁目1番地1 平日 10:00〜18:00
土日祝 10:00〜17:00
月曜
総社分館 総社町総社1583番地2 平日 10:00〜18:00
土日祝 10:00〜17:00
月曜
南橘分館 日輪寺町158番地 平日 10:00〜18:00
土日祝 10:00〜17:00
月曜
清里分館 青梨子町339番地1 平日 10:00〜18:00
土日祝 10:00〜17:00
木曜
永明分館 上大島町930番地1 平日 10:00〜18:00
土日祝 10:00〜17:00
木曜
城南分館 二之宮町1320番地1 平日 10:00〜18:00
土日祝 10:00〜17:00
木曜
大胡分館 大胡町15番地1 平日 10:00〜18:00
土日祝 10:00〜17:00
月曜
宮城分館 鼻毛石町1507番地4 平日 10:00〜18:00
土日祝 10:00〜17:00
木曜
粕川分館 粕川町西田面194番地4 平日 10:00〜18:00
土日祝 10:00〜17:00
木曜
富士見分館 富士見町田島240番地 平日 10:00〜18:00
土日祝 10:00〜17:00
月曜
総合教育プラザ分館 岩神町三丁目1番1号 平日 10:00〜18:00
土日祝 10:00〜17:00
月曜

開館時間は分館16館が共通である。平日は18時まで、土日祝は17時まで。

本館だけが平日9時から19時までと長い。前橋こども図書館は10時から18時までで、曜日による違いがない。

この情報は2026年9月時点のものである。最新の状況は各館の公式ページでご確認いただきたい。

この数字をどう読むか

ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。

配置の思想が違う

1人当たりの貸出は前橋4.93点、高崎4.99点でほぼ同じ。届いている量は変わらない。

違うのは届け方である。前橋は18館に分散し、高崎は6館に集約している。前橋は近さ、高崎は規模。

学校別の記事で、市立小48校のうち旧町村部11校の減り方が旧市域の2.6倍であることを示した。車と交通費の記事では通勤・通学の76.4%が自家用車だった。

車で行くなら、近さの価値は下がる。ただしこの統計に利用者の移動手段は含まれない。確かめられない。

来館者が少ないことの読み方

1人当たりの来館者は前橋1.38人で5市最少。貸出はほぼ同じなのに、来館は少ない。

1回の来館でまとめて借りている、と読める。貸出÷来館者は前橋3.58点、高崎2.56点、伊勢崎1.72点、太田1.35点である。

別の読み方もできる。分館は小さく、席や設備が限られる。読書や学習の場として滞在する使われ方が少なければ、来館者は伸びない。

ただし館ごとの面積や座席数は、この統計では分館がまとめて計上されているため分からない。どちらの読み方が正しいかは確かめられない。

文化施設の記事で、6施設の入館者が2024年度に683,469人で、2018年度の73.1%にとどまることを示した。

4年で1割以上減った

貸出は4年間(令和3年度→令和6年度)で前橋14.2%減、太田14.4%減、桐生12.6%減、高崎10.9%減。県計は6.7%減である。

ただし伊勢崎市だけが23.4%増えている。4市が1割以上減るなかでの増加で、原因はこのデータからは特定できない。

令和3年度は新型コロナウイルスの影響が残る時期である。防災の記事で、前橋市の歳出が2020年度に35.2%跳ねたことを示した。起点の年に特殊な事情があると、増減の解釈は難しくなる。

美術鑑賞の記事で、群馬県で過去1年に美術鑑賞をした人が8.7%で、全国11.4%を下回る36位であることを示した。

資料費は1人当たり199円

令和6年度の資料費は前橋66,028千円。1人当たり199円である。

太田282円、桐生231円、高崎219円、伊勢崎198円。前橋は5市中4位で、伊勢崎とほぼ同じ水準にある。

歳出の記事で、前橋市の教育費が歳出に占める割合は2024年度に11.6%で県内5市の4番目であることを示した(2022年度は8.9%で最低)。最も高い太田市は14.6%である。資料費の順序も、これと整合している。

このデータの限界

  • 1人当たり・1館当たりの値、登録率、増減率は当サイトが算出したものである。公表値ではない。
  • 貸出の単位は「点」で、図書と視聴覚資料を合わせた数である。本の冊数だけではない。
  • 前橋市の分館16館は統計上まとめて1行に計上されているため、館ごとの利用状況は分からない。館の面積や座席数も分からない。
  • 「有効登録者数」は市によって計上の基準が揃っていない(桐生6.9%〜太田29.7%)。前橋市は未報告である。この記事では使っていない。
  • 桐生市の来館者数は4年とも「-」で計上されていない。入館カウンタの有無などが考えられる。
  • 人口は令和2年国勢調査を使った。各年の「奉仕人口」を分母にすると値が変わる。
  • 伊勢崎市だけ貸出が23.4%増えている理由は、このデータからは特定できない。
  • 職員数はこの統計編には含まれず、別のファイルが必要である。
  • 社会教育調査の市区町村別はe-Statのデータベースで2015年までしか取れない。蔵書数や貸出数の市区町村別は社会教育調査では公表されていない。
  • 公民館、博物館、体育館などの社会教育施設は、この記事では扱っていない。

よくある誤解

「前橋は図書館が少ない」

18館で県内最多です。高崎市6館、太田市5館、伊勢崎市4館、桐生市2館。1館が受け持つ人口も18,453人で最少です。

「図書館が多いほど本が読まれる」

1人当たりの貸出は前橋4.93点、高崎4.99点でほぼ同じです。館数は3倍違いますが、届いている量は変わりません。

「登録者が多い=よく使われている」

逆の関係が出ています。登録率が最も高い桐生69.2%では登録者1人当たり3.73点、最も低い高崎33.0%では15.14点です。登録だけして使っていない人が含まれていると考えられます。

Q&A

前橋市の図書館はどこにありますか

本館、こども図書館のほか、市内に16の分館があります。所在地と開館時間は前橋市立図書館でご確認ください。

「点」とは何ですか

図書と視聴覚資料(CD、DVDなど)を合わせて数えた単位です。本の冊数だけを取り出した数値は、この統計では市町村別に公表されていません。

公民館の数は分かりますか

社会・人口統計体系で取れます。前橋市は2021年度で21館です。1995年度の12館から増えていますが、2011年度以降は横ばいです。この記事では扱っていません。

他の市町村のデータもありますか

群馬県立図書館が県内すべての公共図書館の統計を公表しています。この記事では県内5市を扱いました。原典は群馬県立図書館でご確認ください。

次の更新はいつですか

「群馬県の図書館」は毎年公表されます。社会教育調査は3年ごとで、最新は令和6年度調査です。

出典

  • 群馬県立図書館「群馬県の図書館 2025」公共図書館(統計編)、および2022〜2024年版/群馬県立図書館
  • 総務省「令和2年国勢調査」、「社会・人口統計体系」G文化・スポーツ(統計表ID 0000020107、0000010107)/e-Stat

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58県内5市の図書館の蔵書・貸出・登録者と施設数
1995〜2024年度
群馬県立図書館「群馬県の図書館」/総務省「社会・人口統計体系」CSVを保存

更新履歴

  • 2026年9月23日 関連する記事への内部リンクを追加
  • 2026年9月13日 公開