前橋市の20〜24歳の非正規比率は29.3%で、全国40.4%を11.1ポイント下回る(2022年)。25〜29歳も17.6%で全国20.5%より低い。それでも20〜24歳は486人の転出超過である。年齢階級別の非正規比率を、前橋市と全国で表に並べた。
人口の記事で、前橋が失っているのは20〜24歳だけだと示した。賃金の記事では、その年代の東京との年収差が28.6万円(月2.4万円)しかないことも見た。
待遇が理由なら、数字に出るはずである。
20〜24歳の非正規比率は前橋29.3%。全国40.4%を11.1ポイント下回る。
25〜29歳も17.6%で全国20.5%より低い。正規雇用の入口は、全国より広い。
それでも20〜24歳だけが486人の転出超過である。待遇では説明がつかない。
対象範囲
雇用形態は総務省「令和4年就業構造基本調査」(統計表ID 0004008452)による。非正規比率は「非正規の職員・従業員 ÷(正規+非正規)」として当サイトが算出した。役員と自営業主は含まない。
この調査の市区町村別は全市町村ではなく、県内では前橋市と高崎市のみが対象である。
労働力率、完全失業率、産業別・職業別の構成は総務省「令和2年国勢調査」による。統計表IDは0003450578、0003450705、0003450693を使った。完全失業率は「完全失業者 ÷ 労働力人口」として当サイトが算出した。
年次が揃っていない。雇用形態と転職は2022年、労働力率と産業・職業は2020年、転出超過は2025年である。
高卒・大卒の県内就職率は、この記事では扱わない。群馬労働局の新規学卒者の職業紹介状況は公表ページを特定できなかった。学校基本調査には都道府県別の就職者数があるが、県内就職の別は取れない。
正規雇用の入口は、全国より広い
年齢階級別に非正規比率を見る。

20〜24歳は前橋29.3%、全国40.4%。11.1ポイント低い。全国の0.73倍にあたる。
25〜29歳も前橋17.6%、全国20.5%で2.9ポイント低い。20代を通して、前橋のほうが正規で働いている割合が高い。
15〜19歳は前橋81.2%、全国80.2%でほぼ同じ。この年代は学生のアルバイトを多く含むため、他の年代とは性格が違う。
30〜34歳は前橋22.9%、全国22.8%でほぼ同じになる。20代の差は、30代で消える。
年齢階級別の非正規比率を、前橋市と全国で並べる(2022年)。
| 年齢 | 前橋市 | 全国 | 差(ポイント) |
|---|---|---|---|
| 15〜19歳 | 81.2% | 80.2% | +1.0 |
| 20〜24歳 | 29.3% | 40.4% | −11.1 |
| 25〜29歳 | 17.6% | 20.5% | −2.9 |
| 30〜34歳 | 22.9% | 22.8% | +0.1 |
| 全年齢 | 34.6% | 36.9% | −2.3 |
非正規比率は「非正規の職員・従業員 ÷ 会社などの役員を除く雇用者」として当サイトが算出した。差は前橋市から全国を引いた値である。
待遇の差は小さい。それでも出ていく
20〜24歳について、3つの数字を並べる。

非正規比率は全国より11.1ポイント低い。年収の差は東京と28.6万円(月2.4万円)しかない。
それでも20〜24歳は486人の転出超過である。6年間、一度もプラスになっていない。
完全失業率は20〜24歳が6.35%で、全国5.92%を0.43ポイント上回る。ただし他の年代では前橋が下回っており、この年代だけの現象である。
転職率は15〜24歳で前橋6.4%、全国9.4%。3.0ポイント低い。動きが少ない。
若者に多いのは技術と現場
どんな仕事に就いているか。

15〜29歳で多いのは専門的・技術的職業21.3%、生産工程17.0%、事務16.5%。全年齢と比べると、生産工程が3.2ポイント、サービス職業が3.3ポイント多い。
逆に事務は16.5%で、全年齢20.1%より3.6ポイント少ない。上位5職業のうち、事務だけが全年齢を下回る。
産業別では宿泊業・飲食サービス業が8.3%で、全年齢4.6%の1.8倍。製造業17.1%、卸売業・小売業17.6%も全年齢より多い。
15〜29歳の就業者は22,315人。全年齢157,266人の14.2%にあたる。
この数字をどう読むか
ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。
出ていく理由は、待遇ではない
非正規比率は全国より11.1ポイント低い。年収の差も28.6万円にとどまる。それでも20〜24歳だけが出ていく。
大学の記事で、群馬の高校生の県内進学率が34.6%にとどまることを示した。県外に出た5,802人の73.7%が首都圏に向かっている。
進学の時点で、すでに出ている。20〜24歳の転出超過は、就職で出ていく人だけの数字ではない。進学で出た人が、そのまま戻らなかった分を含んでいる。
ただしこの2つを同じ人として追跡することはできない。統計が別だからである。
仕事の種類が偏っている
若年層に多いのは生産工程、サービス職業、販売。産業構造の記事で示したとおり、情報通信業の特化係数は0.532で全国の半分である。
正規で働ける場はある。ただし職種の選択肢は限られる。
事務が全年齢より3.6ポイント少ないのも読み方が難しい。若者が事務職に就きにくいのか、それとも年齢とともに事務に移るのか。この統計では区別できない。
動きが少ないこと
転職率は15〜24歳で前橋6.4%、全国9.4%。3.0ポイント低い。
正規雇用が多いことと整合する。非正規のほうが転職は多くなる。
ただし別の読み方もできる。選べる先が少なければ、転職も起きにくい。
就業希望者のうち実際に求職している人の割合は、15〜24歳で前橋74.2%、全国54.1%。20.1ポイント高い。探している人は探している。ただし前橋の該当者は少数なので、この数字は振れが大きい。
30代で差が消える
非正規比率は20〜24歳で11.1ポイント、25〜29歳で2.9ポイントの差があるが、30〜34歳では0.1ポイントになる。
東京との比較の記事では逆の形だった。年収差は20〜24歳の28.6万円から年齢とともに開き、50〜54歳で270.7万円になる。
雇用の形は30代でそろい、賃金の差はそこから開く。同じ年代で、2つの指標が逆の動きをしている。
このデータの限界
- 非正規比率、完全失業率、転職率、構成比は当サイトが算出したものである。公表値ではない。
- 年次が揃っていない。雇用形態と転職は2022年、労働力率と産業・職業は2020年、転出超過は2025年である。
- 就業構造基本調査の市区町村別は全市町村ではなく、県内では前橋市と高崎市のみが対象である。
- 就業構造基本調査の値は100人単位に丸めた公表値のため、内訳の合計が総数と一致しないことがある。前橋市の該当者が少ない項目は振れが大きい。
- 15〜19歳の非正規比率81.2%は学生のアルバイトを多く含む。他の年代とは性格が異なる。
- 転職率と就業希望者の割合は15〜24歳・25〜34歳の10歳階級でしか取れない。5歳階級では公表されていない。
- 高卒・大卒の県内就職率は扱っていない。群馬労働局の新規学卒者の職業紹介状況は公表ページを特定できなかった。
- 進学で出た人と就職で出た人を区別することはできない。統計が別である。
- 事務職が若年層で少ない理由は、この統計からは特定できない。
よくある誤解
「地方は非正規が多い」
20〜24歳では前橋29.3%に対し全国40.4%で、前橋のほうが11.1ポイント低くなっています。25〜29歳も17.6%対20.5%で前橋が低いです。
「若者が出ていくのは待遇が悪いから」
非正規比率は全国より低く、東京との年収差も20代前半では28.6万円にとどまります。待遇の数字からは説明がつきません。進学の時点で県外に出ている影響が考えられます。
「若者は転職を繰り返す」
15〜24歳の転職率は前橋6.4%で、全国9.4%より3.0ポイント低くなっています。正規雇用が多いことと関係している可能性がありますが、選べる先が少ないという読み方もできます。
Q&A
高卒の県内就職率は分かりますか
この記事では扱っていません。群馬労働局の新規学卒者の職業紹介状況は公表ページを特定できませんでした。学校基本調査には都道府県別の就職者数がありますが、県内就職の別は取れません。
完全失業率とは何ですか
労働力人口に占める完全失業者の割合です。完全失業者は、仕事がなく、仕事を探していて、すぐに就ける人を指します。この記事の数値は当サイトが算出しました。仕事探しの相談窓口は、群馬労働局のハローワーク前橋のページで確認できます。
15〜19歳の非正規比率が高いのはなぜですか
この年代の多くは高校生・大学生で、アルバイトが中心になるためです。全国も80.2%で同じ水準です。他の年代とは性格が違うため、比較には注意が必要です。
高崎市と比べるとどうですか
この記事では前橋市と全国・群馬県の比較を中心に扱いました。就業構造基本調査で市区町村別が取れるのは県内では前橋市と高崎市のみです。データはCSVに収録しています。
次の更新はいつですか
就業構造基本調査は5年ごとで、次回は令和9年(2027年)です。国勢調査も5年ごとで、令和7年調査の就業関係の集計はまだ公表されていません。
前橋市の若者の非正規雇用の割合はどれくらいですか
2022年の非正規比率は、20〜24歳で29.3%、25〜29歳で17.6%です。全国はそれぞれ40.4%と20.5%で、前橋のほうが低くなっています。30〜34歳は前橋22.9%、全国22.8%でほぼ同じです。
前橋市の若者はどんな仕事に就いていますか
15〜29歳で多いのは、専門的・技術的職業21.3%、生産工程17.0%、事務16.5%です。産業別では宿泊業・飲食サービス業が8.3%で、全年齢4.6%の1.8倍にあたります。
出典
- 総務省「令和4年就業構造基本調査」(統計表ID 0004008452、0004008546、0004008499)/e-Stat
- 総務省「令和2年国勢調査」就業状態等基本集計(統計表ID 0003450578、0003450705、0003450693)/e-Stat
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者 都道府県別第1表、総務省「住民基本台帳人口移動報告」2025年
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| No | データ名 | 出典 | ダウンロード |
|---|---|---|---|
| 55 | 県内5市の若年層の労働力率・雇用形態・産業・職業 2020〜2022年 | 総務省「国勢調査」「就業構造基本調査」 | CSVを保存 |
更新履歴
- 2026年9月24日 2025年の値に更新
- 2026年9月24日 冒頭の段落を追加
- 2026年9月24日 Q&Aと内部リンク、表を追加
- 2026年9月22日 公式窓口へのリンクを追加
- 2026年9月11日 公開
