前橋市は、公民館や図書館、文化財、文化施設にどれだけのお金をかけているのか。市の決算から「社会教育費」を取り出し、県内の他の市と比べた。
前橋市の社会教育費は2024年度に18.6億円、市民1人当たり5,665円だった。
県内の主要5市で最も少なく、1位の桐生市(11,968円)の半分以下である。
2012年度から2024年度までの13年のうち、12年で5市の最下位にとどまっている。
対象範囲
総務省「市町村別決算状況調」の目的別歳出内訳による。2002年度から2024年度までの23年分を取得した。
社会教育費は教育費の一部で、公民館、図書館、博物館・美術館、文化財保護、青少年教育などの経費が入る。体育施設の経費は別の項目(保健体育費)になる。
比べたのは前橋・高崎・伊勢崎・太田・桐生の5市である。1人当たりは、同じ調べの住民基本台帳人口で割って当サイトが算出した。
合併と人口の基準日
前橋は2004年と2009年に合併しており、それより前の年度は合併前の市域の値である。
人口の基準日は、2012年度までが年度末(3月31日)、2013年度以降が翌年1月1日で、途中で変わっている。
1人当たりは5市で最も少ない

2024年度の1人当たり社会教育費は、桐生市が11,968円で最も多い。伊勢崎市10,836円、高崎市9,374円、太田市8,907円と続く。
前橋市は5,665円で5市の最下位である。桐生市の0.47倍にあたる。
歳出総額に占める割合でも、伊勢崎市2.46%、桐生市2.12%、太田市2.05%、高崎市1.94%に対し、前橋市は1.21%で最も低い。
| 市 | 1人当たり(円) | 歳出に占める割合 |
|---|---|---|
| 桐生市 | 11,968 | 2.12% |
| 伊勢崎市 | 10,836 | 2.46% |
| 高崎市 | 9,374 | 1.94% |
| 太田市 | 8,907 | 2.05% |
| 前橋市 | 5,665 | 1.21% |
2012年度以降、ほぼ一貫して最下位

前橋市の1人当たり社会教育費は、2002年度に7,861円で、5市の中では高崎市・伊勢崎市と同じくらいだった。
2007年度には14,760円まで上がり、この年は5市で最も多かった。総額は47.1億円で、23年間で最も多い。
その後は下がり、2012年度に4,792円となった。2012年度から2024年度までの13年のうち、12年で5市の最下位である(2016年度だけは伊勢崎市が最下位)。
2007年度に何に使われたのかは、この調べからは分からない。社会教育費は1つの金額でしか公表されておらず、建設工事の分を分けて見ることができないためである。
歳出に占める割合は2.08%から1.21%へ

歳出総額に占める割合は、2002年度の2.08%から、2024年度は1.21%になった。最も低かったのは2020年度の1.01%である。
2020年度は歳出総額が前年度の1.35倍に膨らんだため、割合が小さく出ている。
5市の23年分を並べる
2002年度から2024年度までの1人当たり社会教育費を、5市すべて並べる。太字はその年度に5市で最も少なかった市である。
| 年度 | 前橋 | 高崎 | 伊勢崎 | 太田 | 桐生 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2002(H14) | 7,861 | 7,489 | 7,552 | 11,014 | 11,277 |
| 2003(H15) | 8,356 | 8,173 | 8,932 | 10,507 | 11,795 |
| 2004(H16) | 7,034 | 7,076 | 8,038 | 13,906 | 10,753 |
| 2005(H17) | 7,716 | 8,183 | 5,993 | 11,391 | 10,715 |
| 2006(H18) | 9,107 | 8,604 | 6,761 | 12,053 | 10,912 |
| 2007(H19) | 14,760 | 8,652 | 6,391 | 12,825 | 10,482 |
| 2008(H20) | 6,508 | 11,940 | 5,843 | 15,914 | 9,437 |
| 2009(H21) | 6,052 | 10,057 | 6,005 | 12,987 | 9,313 |
| 2010(H22) | 6,584 | 16,914 | 6,417 | 10,384 | 8,949 |
| 2011(H23) | 8,713 | 13,454 | 6,372 | 11,916 | 8,230 |
| 2012(H24) | 4,792 | 8,587 | 5,621 | 10,671 | 8,594 |
| 2013(H25) | 5,631 | 7,569 | 6,122 | 10,373 | 7,948 |
| 2014(H26) | 6,928 | 7,809 | 7,309 | 10,330 | 8,373 |
| 2015(H27) | 5,714 | 7,612 | 6,201 | 10,565 | 8,494 |
| 2016(H28) | 7,154 | 8,449 | 6,771 | 8,551 | 8,452 |
| 2017(H29) | 5,603 | 10,485 | 7,970 | 7,712 | 8,742 |
| 2018(H30) | 5,146 | 9,916 | 8,429 | 8,602 | 9,693 |
| 2019(R元) | 5,612 | 9,841 | 6,592 | 7,878 | 9,444 |
| 2020(R2) | 5,647 | 8,862 | 5,948 | 7,995 | 12,304 |
| 2021(R3) | 5,706 | 8,934 | 5,820 | 7,476 | 9,395 |
| 2022(R4) | 5,769 | 8,930 | 6,396 | 7,785 | 10,055 |
| 2023(R5) | 4,743 | 8,869 | 6,625 | 9,069 | 12,018 |
| 2024(R6) | 5,665 | 9,374 | 10,836 | 8,907 | 11,968 |
単位は円。合併前の年度は合併前の市域の値である。
教育費に占める社会教育費は17.6%から10.4%へ
社会教育費を教育費で割ると、前橋市は2002年度の17.6%から2024年度は10.4%になった(当サイトが算出)。
5市の2024年度を比べると、最も高いのは伊勢崎市18.5%、最も低いのは前橋市10.4%である。
前橋の割合が最も高かったのは2007年度の25.9%である。
教育費に占める社会教育費の割合を、5市の23年分すべて並べる。
| 年度 | 前橋 | 高崎 | 伊勢崎 | 太田 | 桐生 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2002 | 17.6% | 15.4% | 17.0% | 20.7% | 18.9% |
| 2003 | 19.5% | 16.1% | 21.1% | 26.8% | 19.6% |
| 2004 | 17.7% | 14.8% | 18.7% | 34.7% | 23.7% |
| 2005 | 17.9% | 14.6% | 16.0% | 29.2% | 23.1% |
| 2006 | 19.1% | 18.4% | 18.0% | 29.9% | 21.6% |
| 2007 | 25.9% | 17.6% | 14.6% | 31.6% | 19.4% |
| 2008 | 15.8% | 19.0% | 13.6% | 32.5% | 18.1% |
| 2009 | 14.9% | 17.0% | 14.4% | 22.8% | 17.8% |
| 2010 | 16.7% | 27.7% | 16.7% | 20.0% | 17.5% |
| 2011 | 18.3% | 26.2% | 15.2% | 24.6% | 15.5% |
| 2012 | 12.1% | 19.6% | 11.6% | 23.5% | 17.6% |
| 2013 | 13.1% | 15.7% | 14.5% | 20.4% | 17.9% |
| 2014 | 13.6% | 13.4% | 13.4% | 23.1% | 17.2% |
| 2015 | 11.9% | 14.5% | 13.7% | 25.2% | 20.4% |
| 2016 | 11.7% | 11.7% | 16.2% | 18.7% | 19.6% |
| 2017 | 10.1% | 20.6% | 16.0% | 15.5% | 20.0% |
| 2018 | 11.4% | 20.3% | 14.6% | 18.7% | 19.3% |
| 2019 | 13.8% | 19.1% | 15.7% | 15.5% | 14.9% |
| 2020 | 12.3% | 17.2% | 13.7% | 11.5% | 13.5% |
| 2021 | 13.1% | 17.4% | 14.6% | 13.6% | 17.7% |
| 2022 | 13.9% | 18.2% | 15.2% | 11.0% | 19.1% |
| 2023 | 10.5% | 17.3% | 14.1% | 13.4% | 19.5% |
| 2024 | 10.4% | 17.6% | 18.5% | 14.0% | 17.6% |
単位は%。社会教育費÷教育費で、当サイトが算出した。出典は総務省「市町村別決算状況調」。
この数字をどう読むか
ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。
施設の数とお金の額は一致しない
図書館の記事で、前橋の図書館が18館で県内最多であることを示した。施設の数では多いのに、社会教育費の1人当たりは5市で最も少ない。
人口の多い市ほど、同じ施設を多くの人で使うので1人当たりの経費は下がりやすい。ただし、それだけで桐生市との2倍以上の差を説明できるかは、この数字からは言えない。
建物の更新が控えている
公共施設の記事では、前橋の公共施設の更新に年67.9億円が足りないことを示した。
公民館や文化施設も、その更新の対象に含まれる。今の社会教育費の水準で建物の更新が追いつくかは、別に確かめる必要がある。
このデータの限界
- 1人当たり・割合・倍率は当サイトが算出した。公表値ではない。
- 社会教育費は1つの金額で公表されており、建設工事の分・人件費・運営費を分けられない。年によって大きく動く理由は分からない。
- 合併前の年度は合併前の市域の値である(前橋は2004年と2009年に合併)。
- 人口の基準日が2012年度までと2013年度以降で違う。
- 体育施設の経費は保健体育費に入るため、ここには含まれない。
- 市によって、施設の運営を指定管理者に任せているか、外郭団体に委ねているかで、経費の計上のされ方が違う可能性がある。
- 5市以外の県内の町村とは比べていない。
よくある誤解
「前橋は文化にお金をかけていない」
社会教育費の1人当たりは5市で最も少ないですが、社会教育費には体育施設の経費が入らず、施設の運営の仕方によっても計上が変わります。文化への支出全体を表す数字ではありません。
「2007年度から大きく減らした」
2007年度は14,760円と突出していて、前後の年は6,000〜9,000円台です。建設工事など一時的な支出だった可能性がありますが、この調べでは確かめられません。
Q&A
社会教育費には何が入っていますか
公民館、図書館、博物館・美術館、文化財保護、青少年教育などの経費です。体育施設は保健体育費に入ります。
前橋市の予算の中身は見られますか
前橋市は毎年、当初予算の資料で主な事業の金額を公表しています。決算の細かい内訳は、この記事で使った調べからは分かりません。決算の内訳は、前橋市の決算(令和6年度)のページで確認できます。
次の更新はいつですか
市町村別決算状況調は毎年公表されます。2025年度の決算が公表されたら更新します。
前橋市は図書館や公民館にいくら使っていますか
2024年度の社会教育費は18.6億円で、市民1人当たり5,665円です。県内の主要5市で最も少なくなっています。
出典
- 総務省「市町村別決算状況調」2002〜2024年度(目的別歳出内訳・概況)
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| No | データ名 | 出典 | ダウンロード |
|---|---|---|---|
| 93 | 県内5市の社会教育費・教育費・歳出総額・人口 2002〜2024年度 | 総務省「市町村別決算状況調」 | CSVを保存 |
更新履歴
- 2026年9月23日 「教育費に占める社会教育費は17.6%から10.4%へ」の節を追加
- 2026年9月23日 Q&Aと内部リンクを追加
- 2026年9月22日 公開
