中学校の記事で、前橋市立中学校の生徒が7,368人であることを示した。高校生は何人か。
9,022人だった。中学生より741人多い。どちらも3学年なので、直接比べられる。
群馬県の公立高校は全県一区で、学区制がない。前橋の高校には他市からも通える。ただし、集めているのは前橋だけではなかった。
前橋市の高校生9,022人は、市内の中学生8,281人の1.09倍。
桐生市は2.30倍で、市内の中学生2,279人に対し高校生5,245人。前橋より集めている。
高校生はピークの1990年度16,636人から45.8%減。学校は14校から12校になった。
対象範囲
総務省「社会・人口統計体系 市区町村データ」E教育による。合併の影響を除くため廃置分合処理済版(統計表ID 0000020205)を使った。1980年度から2024年度まで45年分が取れる。
市区町村レベルで取れるのは学校数と生徒数の2項目だけである。設置者別(国公私立)、課程別(全日制・定時制・通信制)、学科別、教員数、学級数はいずれも市区町村では公表されていない。学校別のデータもない。
そのため学科別と進路のデータは群馬県全体の数値を使った。都道府県データ(統計表ID 0000010105)と、群馬県学校基本統計 確報による。
群馬県の公立高校は全県一区である。群馬県立高等学校管理に関する規則第3条3項に「学校の通学区域は、全県一区とする」と定められている。市立前橋高校も通学区域は群馬県全域である。
比率、減少率は当サイトが算出した。公表値ではない。1981〜1983年度は元データが欠測している。
高校生を最も集めているのは桐生
市内の中学生数と高校生数を比べる。どちらも3学年なので、比率がそのまま通学の流入出を示す。

桐生市は中学生2,279人に対し高校生5,245人で2.30倍。市内の中学生の2倍以上が高校に通っている。
高崎市1.18倍、前橋市1.09倍と続く。逆に太田市0.86倍、伊勢崎市0.63倍は送り出す側である。
群馬県全体では0.95倍、全国は0.93倍。県全体でも中学生より高校生が少ない。県外への進学や中退などが影響していると考えられる。
前橋の1.09倍は、県内では3番目である。県庁所在地でありながら、突出して集めているわけではない。
高校生はピークから45.8%減
前橋市の高校生数は1980年度12,741人から増えて、1990年度に16,636人でピークを迎えた。2024年度は9,022人である。

34年で45.8%減った。小学校児童は1982年度から2024年度で50.1%減、中学校生徒は1987年度から49.8%減なので、高校の減り方は小中よりやや小さい。
学校数は14校から12校へ。2010年度に2校減っている。小学校が3校しか減っていないのと比べると、高校のほうが再編が進んでいる。
1校当たりの生徒数は1990年度1,188人から2024年度752人へ。36.7%減である。
大学進学率は一度全国に追いつき、また離された
高校卒業後の進路は市区町村別に取れないため、群馬県全体で見る。

群馬県の大学進学率は1975年度14.0%から2023年度53.9%へ、39.9ポイント上がった。就職率は47.8%から17.1%へ30.7ポイント下がっている。
全国との差に注目したい。1975年度は進学率で7.5ポイント下回っていたが、2005年度には0.6ポイント差まで縮まった。ところが2023年度は4.4ポイント差に開いている。
就職率も同じ形である。2005年度は全国を0.6ポイント下回っていたが、2023年度は3.1ポイント上回る。一度は全国並みになり、その後また分かれた。
学科別では、群馬県の高校生44,090人のうち普通科が29,750人で67.5%。商業9.4%、工業9.2%、総合6.7%、農業4.3%と続く。普通科の割合は2009年度64.9%から2.6ポイント上がった。
12校はどこにあるか
学校数だけでは、どこにあるか分からない。位置と一覧をまとめる。

12校のうち9校が県立である。市立は市立前橋高校の1校、私立は共愛学園と前橋育英の2校。
分布は中心部から南部に寄っている。東西は約12キロ、南北は約8キロの範囲にある。
西の端にあるのが前橋西(清野町)。最も外れた位置にある。
中学校とは分布が違う
中学校の記事で示したとおり、市立中学校は21校ある。旧町村部にも大胡・宮城・粕川・富士見の4校がある。
高校には、その形がない。旧町村部に高校はなく、12校すべてが旧前橋市域にある。
中学校は市が設置し、通学区域がある。高校は県立が中心で、群馬県は全県一区である。
だから高校は、市域に均等に置く必要がない。
県立が9校あること
前橋の高校生9,022人は市内の中学生8,281人の1.09倍だった。桐生2.30倍、高崎1.18倍が上にいる。
集める力は学校の数だけで決まらない。ただし県立9校という数は、県内でも多いほうである。
学科は分かれている。普通科のほかに、勢多農林・前橋工業・前橋商業の専門学科、前橋東の総合学科がある。前橋清陵はフレックス制と通信制を置く。
学科の幅が、市外からの通学を支えている可能性がある。ただしこの統計から、どこから通っているかは分からない。
12校の一覧
| 校名 | 設置者 | 住所 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 前橋 | 県立 | 下沖町321-1 | |
| 前橋南 | 県立 | 亀里町1 | |
| 前橋西 | 県立 | 清野町180 | 市の西端 |
| 前橋女子 | 県立 | 紅雲町2-19-1 | |
| 前橋東 | 県立 | 江木町800 | |
| 勢多農林 | 県立 | 日吉町2-25-1 | 専門学科 |
| 前橋工業 | 県立 | 石関町137-1 | 専門学科 |
| 前橋商業 | 県立 | 南町4-35-1 | 専門学科 |
| 前橋清陵 | 県立 | 文京町2-20-3 | フレックス・通信制 |
| 市立前橋 | 市立 | 上細井町2211-3 | |
| 共愛学園 | 私立 | 小屋原町1115-3 | |
| 前橋育英 | 私立 | 朝日が丘町13 |
リンクを張ったのは市立前橋高校の1校だけである。県立9校は群馬県に学校別のページがなく、私立2校も市や県のページに個別の紹介がない。
当サイトは特定の学校を推奨しないため、各校のサイトへ直接リンクすることは避けている。
県立高校の情報は、群馬県教育委員会の入学者選抜のページで確認できる。私立は群馬県の私立学校名簿に掲載されている。
この一覧は2026年時点のものである。
この数字をどう読むか
ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。
集める機能は、県庁所在地だけのものではない
これまでの記事で、前橋が周辺から集める姿を見てきた。昼夜間人口比率104.0、県の医師の33.4%、地銀2行の本店。
高校は違った。前橋1.09倍に対し、桐生2.30倍。桐生には市内の中学生の2倍以上が通っている。
桐生は人口が減っている市である。介護の記事で要介護認定率21.59%が5市で最も高いこと、医療の記事で平均余命が男35位で最下位であることを示した。その市が、高校生を最も集めている。
ただし理由はこの統計からは分からない。桐生高校・桐生女子高校の統合や、みどり市など周辺自治体からの通学など、複数の要因が考えられる。市町村間の通学流動を示すデータは、県にも国にも見当たらなかった。
高校は、小中より再編が進んでいる
小学校の記事で、児童が50.1%減っても学校は3校(5.7%)しか減らないことを示した。中学校の記事では学級が3.6%増えていた。
高校は生徒45.8%減に対して学校が2校(14.3%)減っている。減り方の比率で見ると、小中より再編が進んでいる。
説明はつく。小中学校は市が設置し、通学距離が制約になる。高校は主に県が設置し、全県一区で通学範囲が広い。統廃合の制約が違う。
進学率の差が再び開いたことの意味
群馬の大学進学率は2005年度に全国と0.6ポイント差まで縮まり、2023年度に4.4ポイント差へ開いた。
人口社会増減の記事で、前橋が失っているのは20〜24歳だけであることを示した。通勤先の記事では東京へ通う人が1,234人・0.9%しかいないことも見た。大学進学は、この年代が動く主な理由の1つである。
ただし進学率が上がれば流出が増えるとは限らない。県内に進学するか県外へ出るかは、この統計からは分からない。進学先の所在地別データは市区町村どころか都道府県でも取りにくい。
就職率が全国より3.1ポイント高いことも、求人の記事で見た製造業の求人構造と関係している可能性がある。ただしこれも確かめられない。
進学先については、その後大学の記事で扱った。群馬の高校を卒業して大学に入った8,867人のうち県内に進んだのは34.6%で、全国43.8%を9.2ポイント下回る。県外に出た5,802人の73.7%が首都圏に向かい、県外から来る学生を差し引いても1,903人の流出超過だった。
費用の面は教育費の記事で見ている。大学4年間は国立2,425,200円・私立4,929,504円で2.03倍の差があり、下宿すると自宅通学より年541,600円多くかかる。差の70.1%は住居光熱費である。県内に大学が少ないことは、家庭の負担にも効いてくる。
このデータの限界
- 市区町村レベルで取れるのは学校数と生徒数の2項目だけである。設置者別・課程別・学科別・教員数・学級数はいずれも公表されていない。
- 学校別のデータは県にも国にも存在しない。小中学校とは異なり、前橋市教育委員会も公表していない。
- 市町村間の通学流動を示すデータは見当たらなかった。学校基本調査の通学状況別在学者数は県間の流動のみで、県内の市町村間は集計されていない。
- 学科別と進路のデータは群馬県全体の数値である。前橋市単独では取れない。
- 比率、減少率は当サイトが算出した値である。公表値ではない。
- 1981〜1983年度は元データが欠測している。
- 中学生と高校生の比率は、県外への進学や中退の影響も含む。純粋な市町村間の流動ではない。
- 進学率は大学(学部)への進学者の割合である。短期大学や専修学校は含まない。
よくある誤解
「県庁所在地だから前橋に高校生が集まる」
前橋は1.09倍で県内3番目です。最も集めているのは桐生市の2.30倍で、高崎市1.18倍も前橋を上回ります。県庁所在地であることと、高校生を集めることは別です。
「群馬は進学率が低い」
2023年度の大学進学率は53.9%で、全国58.3%を4.4ポイント下回ります。ただし1975年度は7.5ポイント差、2005年度は0.6ポイント差でした。差は縮まった時期と開いた時期があります。
「高校が統廃合されていない」
前橋市内の高校は14校から12校に減っています。生徒45.8%減に対し学校14.3%減で、小学校(児童50.1%減・学校5.7%減)より再編が進んでいます。
Q&A
前橋市内の高校は何校ありますか
2024年度で12校です。県立は前橋・前橋南・前橋西・前橋女子・前橋東・勢多農林・前橋工業・前橋商業など、市立は前橋市立前橋高校、ほかに私立があります。学校別の生徒数は公表されていません。
群馬の公立高校に学区はありますか
ありません。群馬県立高等学校管理に関する規則第3条3項で「全県一区」と定められています。平成19年1月1日施行です。市立前橋高校も通学区域は群馬県全域です。
どの市からどの市に通っているか分かりますか
分かりません。学校基本調査には都道府県間の通学状況がありますが、県内の市町村間の流動は集計されていません。この記事の比率は、中学生数と高校生数から間接的に推し量ったものです。
前橋市の進学率は分かりますか
分かりません。進路のデータは都道府県単位までです。この記事の数値はすべて群馬県全体のものです。
次の更新はいつですか
年度次の統計です。2025年度分が収録され次第、更新します。群馬県の学校基本統計は毎年公表されます。
出典
- 総務省「社会・人口統計体系 市区町村データ」E教育 廃置分合処理済(統計表ID 0000020205)、都道府県データ(統計表ID 0000010105)/e-Stat 地域統計
- 群馬県「学校基本統計 確報」令和7年度(学科別生徒数)/群馬県統計情報提供システム
- 群馬県「群馬県立高等学校管理に関する規則」第3条3項(全県一区の根拠)
- 群馬県「令和7年度 群馬県立学校の定員」(市内の県立高校の確認)/群馬県
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| ㊺ | 県内5市の高校の学校数と生徒数(1980〜2024年度) 群馬県と全国の進路データ、群馬県の学科別生徒数 | 総務省「社会・人口統計体系」E教育/群馬県「学校基本統計 確報」 | CSVを保存 |
更新履歴
- 2026年9月8日 公開
