前橋の観光入込客数は県内1位|ただし宿泊率6.5%は県計の半分【2024年】

商店街の記事で、中心市街地の休日通行量が4年で1.8倍になったことを示した。事業所の記事では、新設率が全国より2.4ポイント低いことも見た。

人は、外から来ているのか。

2024年の観光入込客数は1,056万人で県内35市町村の1位。

ところが人口で割ると1人当たり31.8回で、桐生37.5回に及ばない。

そして宿泊した人は6.5%。県計12.5%の半分で、1人当たりの消費額も県計の6割にとどまる。

対象範囲

群馬県「観光入込客統計調査」による。県の統計情報提供システムで、市町村別の入込客数が2009年度から2024年まで公表されている。

2009〜2011年度は年度、2012年以降は暦年である。基準が途中で変わっている。

さらに2023年に、県全体の調査地点が421か所から458か所へ増えた。前橋市の入込客数はこの年に59.6%増えており、県計の増加率20.8%の約3倍にあたる。実態の回復か、地点が加わったことによるものかは、公表資料からは判別できない。

この記事では、2022年以前と2023年以降をつなげて論じない。

日帰り・宿泊の別と観光消費額は、市町村別の公表が2017年で終わっている。それ以降の数値はない。

1人当たりの値と割合は当サイトが算出した。人口は2020年国勢調査を使っている。

2023年に段差がある

まず推移を見る。ただし、そのまま読むことはできない。

前橋市の観光入込客数の推移。2009年度549.7万人から2019年739.9万人、2020年371.1万人に半減後、2023年999.9万人・2024年1,056.7万人
観光入込客数の推移(前橋市、2009〜2024年)
2019年(コロナ前) 740万人 2009年度549万人から1.35倍
2020年 371万人 2019年の50.2%まで半減
2023年の増加率 +59.6% 調査地点が増えた年

2009年度の549.7万人から2019年の739.9万人まで、緩やかに増えていた。

2020年は371.1万人。2019年の50.2%まで半減した。2022年は626.7万人で、2019年の84.7%まで戻っている。

ところが2023年は999.9万人。前年から59.6%増である。

同じ年、県全体の調査地点は421か所から458か所へ増えた。県計の増加率は20.8%で、前橋はその約3倍である。35市町村の中央値は11.5%で、前橋は3位の外れ値にあたる。

月別に見ると、1月+12.7%、2月+25.7%に対し、3月以降は+58〜96%で推移している。3月を境に段差がある。

2023年3月にはマスク着用の緩和、5月には5類への移行があった。実態の回復とも読めるし、地点が加わったともとれる。公表資料に前橋市の地点別の内訳はなく、判別できない。

人が多いから、数も多い

2024年の断面で、県内を比べる。

2024年の観光入込客数は前橋1,056万人で県内1位だが、1人当たりでは草津649.7回・桐生37.5回・前橋31.8回で3位
観光入込客数と1人当たりの回数(2024年)

実数では前橋1,056.7万人が県内35市町村の1位。高崎691.6万人、桐生399.3万人と続く。

16年のうち1位が11回、2位が5回。2017〜2020年は高崎が上だった。

ところが人口で割ると順位が変わる。草津町649.7回、桐生市37.5回、前橋市31.8回。前橋は3位である。

草津町の人口は5,730人。人口の650倍の人が訪れている。高崎18.5回、太田13.0回、伊勢崎11.9回。

県内35市町村をすべて並べると、次のようになります。

順位市町村観光入込客数(万人)
1前橋市1,056.7
2高崎市691.6
3桐生市399.3
4草津町393.0
5渋川市354.9
6川場村345.7
7藤岡市301.2
8太田市290.7
9みなかみ町266.8
10伊勢崎市252.9
11沼田市242.8
12富岡市228.4
13みどり市186.2
14長野原町164.0
15片品村162.9
16嬬恋村152.2
17館林市144.9
18甘楽町132.3
19安中市97.8
20下仁田町79.0
21昭和村74.4
22中之条町74.2
23玉村町68.3
24東吾妻町55.4
25高山村52.1
26吉岡町46.6
27上野村30.9
28邑楽町17.8
29板倉町17.3
30榛東村16.0
31大泉町12.2
32神流町11.8
33千代田町6.7
34南牧村6.3
35明和町1.7

泊まらないし、使わない

中身を見る。市町村別のデータは2017年が最後である。

2017年の宿泊率は草津68.3%・群馬県計12.5%・高崎9.4%・前橋6.5%、1人当たり観光消費額は11,645円・2,938円・2,566円・1,804円
宿泊率と1人当たり観光消費額(2017年)

2017年に前橋を訪れた650.3万人のうち、宿泊したのは42.2万人。6.5%である。

群馬県計は12.5%、高崎市9.4%、草津町68.3%。前橋は県計の半分にとどまる。

1人当たりの観光消費額も低い。前橋1,804円に対し、県計2,938円、高崎2,566円、草津11,645円。前橋は県計の61%である。

宿泊業・飲食サービス業の事業所は2016年1,734から2021年1,485へ14.4%減った。全国14.0%減、群馬県14.9%減とほぼ同じである。従業者は12,123人から10,402人になった。

前橋は5月と10月に多く、月ごとの波が小さい

群馬県の調査は市町村別・月別の入込客数も推計している。2024年の前橋は5月の1,166千人が最も多く、10月1,125千人、7月1,001千人と続く。最も少ない2月(529千人)でも最多の月の45%あり、月ごとの波は小さい。

他の市は1つの月に集中する。高崎は8月(1,440千人)が2番目の月の1.5倍、桐生も8月(787千人)が突出する。伊勢崎は1月、太田は11月が最多だった。

月前橋高崎伊勢崎太田桐生
1月746987366316218
2月529293117144211
3月751420192174270
4月968514246236326
5月1,166488185214364
6月827411118147250
7月1,00139668300203
8月9581,440340376787
9月906408320174264
10月1,125520185198317
11月968707258456562
12月621333133173223

2024年、単位は千人。出典:群馬県「群馬県観光客数・消費額調査(推計)結果」市町村別月別観光入込客数推計表。

行事別(前橋まつり・七夕まつりなど)の入込客数は、県の統計システムでは公表されていない。

この数字をどう読むか

ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。

実数の1位が意味すること

1,056万人という数字は、県内で最も多い。ただし人口も33万人で、県内2位である。

1人当たりでは31.8回で、桐生37.5回を下回る。桐生の人口は10.6万人で、前橋の32%である。

通勤流動の記事で、前橋の昼夜間人口比率104.0を示した。人が集まる場所では、観光の数字も大きく出る。

ただし観光入込客数は、市外から来た人だけを数えているわけではない。統計の定義上、市内の人が観光地点を訪れた場合も含まれる。

指定文化財の記事で、前橋にある国・県指定の文化財が60件で県内12市の2位、人口10万人当たりでは18.06件で8位であることを示した。

日帰りであること

宿泊率6.5%は、県計の半分。訪れた人の15人に1人しか泊まっていない。

公共交通の記事で、前橋の通勤・通学の76.4%が自家用車であることを示した。車と交通費の記事では、群馬の1世帯当たり自家用乗用車が1.558台で全国4位だった。

車で来て、車で帰る。日帰りで済む距離に住む人が多ければ、宿泊は増えない。

ただし来訪者がどこから来たかは、2017年の県内外別のデータ以降は公表されていない。確かめられない。

使う額が少ないこと

1人当たり1,804円は県計の61%。高崎2,566円との差は762円である。

宿泊しなければ、宿泊費も夕食代もかからない。宿泊率の低さと消費額の低さは、同じことの表と裏である。

商店街の記事で、中心市街地の休日通行量が令和3年8,517人から7年15,110人へ増えたことを示した。ただし活性化区域では平成6年から平成27年で82%減っていた。

人が通っても、お金が落ちるとは限らない。この2つは別の数字である。

数字が跳ねたときに確かめること

2023年の59.6%増は、記事にするうえで扱いが難しい数字だった。

同じ形を商店街の記事でも扱った。中心市街地の通行量は令和3年度から調査方法が変わり、それ以前とは比較できない。

数字が大きく動いたときは、実態が動いたのか、数え方が変わったのかを確かめる必要がある。

今回は判別できなかった。だからこの記事では、2022年以前と2023年以降をつなげて論じていない。

前橋の観光施設と競技場

統計では地点ごとの内訳が分からないため、この記事で扱った数字がどの場所のものかは特定できない。参考として、前橋市内の主な施設と公式サイトを挙げておく。

当サイトは現地取材をしていないため、施設の評価や感想は書かない。営業時間や料金は変わるので、各公式サイトでご確認いただきたい。

施設はどこにあるか

名前だけでは位置が分からない。地図に置く。

前橋の主な観光施設と競技場の位置。赤城山が北に離れ、臨江閣・るなぱあく・グリーンドーム前橋の3施設は中心部に約500m以内で集まる
前橋の主な観光施設と競技場の位置(2026年9月時点)

南北に長い。赤城山から前橋総合運動公園まで約16キロある。

一方で中心部は密集している。臨江閣・るなぱあく・日本トーター グリーンドーム前橋の3施設は、約500メートル以内にある。

臨江閣とグリーンドーム前橋の距離は約130メートル。臨江閣とるなぱあくは約220メートルである。

敷島公園には県立敷島公園・正田醤油スタジアム群馬・上毛新聞敷島球場の3施設がある。住所が同じなので、地図では1点にまとめている。

施設の一覧

名称をクリックすると公式サイトが開く。

施設住所区分備考
赤城山富士見町赤城山1-14観光大洞地区
群馬県立敷島公園敷島町66番地観光ばら園を含む
るなぱあく大手町3-16-3観光前橋市中央児童遊園
臨江閣大手町三丁目15番観光国指定重要文化財
道の駅まえばし赤城田口町36番地観光
前橋フィールドミュージアム—観光市域全体が対象
正田醤油スタジアム群馬敷島町66番地競技場県営陸上競技場
上毛新聞敷島球場敷島町66番地競技場県立敷島公園野球場
ヤマト市民体育館前橋上佐鳥町460番地7競技場前橋市民体育館
前橋総合運動公園荒口町437-2競技場
日本トーター グリーンドーム前橋岩神町1丁目2-1競技場

前橋フィールドミュージアムだけは地図に置いていない。市域全体を対象とする事業で、1点で示すのが適切でないためである。

赤城山は県の観光統計における調査地点が「赤城山(大洞地区)」なので、同地区にある赤城山総合観光案内所を代表地点とした。

この一覧は2026年9月時点のものである。開館時間や休業日は各施設の公式サイトでご確認いただきたい。

市全体の観光情報は前橋観光コンベンション協会にまとまっている。

市内のスポーツ施設は前橋市のスポーツ施設一覧で確認できる。

2015年度の社会教育調査では、前橋市の社会体育施設は105、民間体育施設は27だった。民間の27は県内5市で最も多い(高崎23、桐生12、太田11、伊勢崎4)。ただしこの調査の市区町村別は2015年度が最後である。

習い事の教室の記事で、前橋の教養・技能教授業が255事業所で、人口10万人当たりでは県内5市の1位であることを示した。

プロスポーツ

チーム名カテゴリ本拠地公式サイト
ザスパ群馬J3リーグ正田醤油スタジアム群馬
(前橋市)
ザスパ群馬
群馬クレインサンダーズB.LEAGUE PREMIER
※2026-27シーズンから
オープンハウスアリーナ太田
(太田市)
群馬クレインサンダーズ
群馬ダイヤモンドペガサスルートインBCリーグ高崎市城南野球場
(高崎市)
群馬ダイヤモンドペガサス

前橋市を本拠地とするプロチームはザスパ群馬である。群馬クレインサンダーズは太田市、群馬ダイヤモンドペガサスは高崎市が本拠地で、県内のプロチームが前橋に集まっているわけではない。

上毛新聞敷島球場ではプロ野球の公式戦が開催されることがあるが、これは主催球団の地方開催であって本拠地ではない。

なお、これらの施設への来場者が観光入込客数にどう反映されているかは、地点別の内訳が公表されていないため確かめられない。

このデータの限界

  • 1人当たりの値、割合、増減率は当サイトが算出したものである。公表値ではない。
  • 2023年に県全体の調査地点が421か所から458か所へ増えた。前橋市の59.6%増が実態か地点追加かは、公表資料からは判別できない。2022年以前と2023年以降をつなげて論じることはできない。
  • 2009〜2011年度は年度、2012年以降は暦年で、基準が途中で変わっている。
  • 市町村別の日帰り・宿泊の別と観光消費額は、2017年で公表が終わっている。
  • 観光入込客数は延べ人数で、同じ人が複数の地点を訪れれば複数回数えられる。市内の人が観光地点を訪れた場合も含まれる。
  • 1人当たりの値は、市区町村別の2024年人口が公表されていないため2020年国勢調査の人口で割っている。
  • 宿泊業・飲食サービス業の事業所数は、宿泊業と飲食業の合算である。宿泊業だけの数値は、社会・人口統計体系では取れない。
  • 延べ宿泊者数と外国人宿泊者数は、観光庁の宿泊旅行統計調査で都道府県別までしか取れない。
  • 前橋市が独自に公表する観光統計は、この記事では確認できなかった。
  • スポーツ施設の数は2015年度が最新である。それ以降の市区町村別は公表されていない。

よくある誤解

「前橋は観光地ではない」

2024年の観光入込客数1,056万人は県内35市町村で1位です。ただし人口で割った1人当たりでは31.8回で、桐生37.5回、草津町649.7回を下回ります。

「コロナから完全に回復した」

2024年の数字は2019年の1.43倍ですが、2023年に調査地点が増えているため単純には比較できません。2022年時点では2019年の84.7%でした。

「観光客が増えれば経済も潤う」

前橋の宿泊率は6.5%で県計12.5%の半分、1人当たり消費額1,804円は県計2,938円の61%です(いずれも2017年)。訪れる人の数と、落ちるお金は別の数字です。

Q&A

観光入込客数とは何ですか

観光地点を訪れた人の延べ数です。同じ人が複数の地点を訪れれば複数回数えられます。市外から来た人だけでなく、市内の人が観光地点を訪れた場合も含まれます。

なぜ2023年に増えたのですか

判別できません。同じ年に県全体の調査地点が421か所から458か所へ増えており、実態の回復か地点追加かを区別する情報が公表資料にありません。前橋市の増加率59.6%は県計20.8%の約3倍です。

前橋の観光地はどこですか

県の調査地点一覧に記載があるのは赤城山(大洞地区)です。市内の観光地点別の入込客数は、この統計では公表されていません。観光情報は前橋観光コンベンション協会でご確認ください。

外国人観光客の数は分かりますか

市町村別では分かりません。観光庁の宿泊旅行統計調査で都道府県別の延べ宿泊者数が公表されています。2025年の全国の外国人延べ宿泊者数は1億7,787万人泊です。

次の更新はいつですか

群馬県の観光入込客統計調査は毎年公表され、最新は2024年です。市町村別の日帰り・宿泊の別と観光消費額は2017年で公表が終わっています。

出典

  • 群馬県「観光入込客統計調査」2009〜2024年/群馬県統計情報提供システム
  • 総務省「社会・人口統計体系」C経済基盤 市区町村データ(統計表ID 0000020103)、社会教育調査(統計表ID 0003349095)/e-Stat
  • 観光庁「宿泊旅行統計調査」/観光庁

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68群馬県35市町村の観光入込客数と宿泊・消費額
2009〜2024年
群馬県「観光入込客統計調査」/総務省「社会・人口統計体系」「社会教育調査」CSVを保存

更新履歴

  • 2026年9月23日 月別の入込客数の節を追加
  • 2026年9月23日 関連する記事への内部リンクを追加
  • 2026年9月21日 県内35市町村の一覧表を追加、高崎・桐生の入込客数の表記を修正
  • 2026年9月14日 公開