医療の記事で、前橋の医師数が全国の1.78倍であることを示した。ただし病床は1.11倍、診療所は1.22倍で全国並みだった。
「突出しているのは医師だけ」と書いたが、他の職種では確かめていなかった。
薬剤師は人口10万人当たり292.0人で全国の1.10倍。歯科医師は84.5人で1.01倍だった(2024年)。
医師の1.78倍とは0.68の開きがある。
3つの職種で見ても、突出しているのは医師だけだった。
対象範囲
厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計」による。2022年までは社会・人口統計体系の市区町村データを通じて、2024年は令和6年の市区町村別の表から取得した。2022年の値を同じ種類の表から取り直し、社会・人口統計体系の値と一致することを確かめている。
市区町村別で取れるのは医師・歯科医師・薬剤師の3職種だけである。看護師・准看護師・保健師・助産師は項目が存在しない。
年次は医師と歯科医師が1984年から2024年まで2年おきの21時点。薬剤師だけは2000年からの13時点で、1984〜1998年が取れない。
人口10万人当たりの値は当サイトが算出した。分母は住民基本台帳人口である。
薬局は扱えない
薬剤師の数は取れるが、薬局の数は市区町村別では公表されていない。
衛生行政報告例の薬局数は都道府県別まで。薬局は薬機法の許可施設で、医療施設調査の対象外である。
突出しているのは医師だけ

前橋の薬剤師は人口10万人当たり292.0人。全国264.7人の1.10倍である。
歯科医師は84.5人で、全国83.4人の1.01倍。2022年は79.9人で全国83.9人を下回っていたが(0.95倍)、2024年はわずかに上回った。
医師の1.78倍と比べると、薬剤師との差は0.68、歯科医師との差は0.77である。
病床1.11倍、診療所1.22倍と並べると、薬剤師と歯科医師は施設と同じ水準に収まる。
薬剤師も1位だが、差は小さい

5市で並べると、医師と薬剤師は前橋が1位である。
ただし差の大きさが違う。医師は高崎250.8人の1.98倍。薬剤師は高崎246.2人の1.19倍にとどまる。
歯科医師は2位。上にいるのは桐生99.8人だけである。2022年は桐生・高崎に次ぐ3位だったが、前橋84.5人が高崎83.9人を上回った。
桐生の歯科医師は全国83.4人の1.20倍で、5市で唯一全国を大きく上回る。前橋と高崎は全国をわずかに上回る程度である。
職種によって、市の順位が入れ替わる。
県内の医師の3人に1人が前橋

群馬県の医師4,910人のうち、1,638人が前橋にいる。33.4%である。
薬剤師は4,173人のうち961人で23.0%。歯科医師は1,356人のうち278人で20.5%。
前橋の人口シェアは17.2%。医師はその1.94倍、薬剤師は1.34倍、歯科医師は1.19倍である。
どの職種も人口シェアを上回るが、医師だけが約2倍に達している。
この数字をどう読むか
ここから先は解釈である。事実は上に書いたとおりで、以下はこの数字を前橋の他のデータと重ねたときに何が言えるかという話になる。
医師と他の職種で働く場所が違う
薬剤師は薬局にも病院にも勤める。歯科医師の多くは歯科診療所で働く。
どちらも人が住んでいる場所に分散して配置される性格がある。
医師は違う。大きな病院に集まる。医療の記事で示したとおり、前橋には群馬大学医学部附属病院があり、県全体から患者が来る。
この違いが、1.78倍と1.10倍の差になっている可能性がある。ただしこの統計から、勤務先の内訳は分からない。
桐生の歯科医師
桐生の歯科医師99.8人は、5市で唯一全国を大きく上回る。
小児科・産婦人科の記事で、桐生の小児科が人口10万人当たり25.39か所で前橋17.02を上回ることを示した。
桐生は人口が減っている。介護の記事では要介護認定率21.59%が5市で最も高かった。
分母が縮めば、人口当たりの数は上がる。施設や人が増えたとは限らない。
医師が多いことの意味
平均余命の記事で、医師が1.78倍いても平均余命は全国とほぼ同じであることを示した。男で0.14年長いだけである。
薬剤師も歯科医師も全国並みとなると、前橋の医療の「厚み」は医師の数に偏っていることになる。
その医師は県全体を診ている。市民1人当たりの医療が厚いこととは、同じではない。
このデータの限界
- 人口10万人当たりの値と倍率は当サイトが算出した。公表値ではない。
- 市区町村別で取れるのは医師・歯科医師・薬剤師の3職種だけである。看護師・准看護師・保健師・助産師は項目が存在せず、都道府県別でしか取れない。
- 薬剤師の市区町村別データは2000年からで、医師・歯科医師の1984年からとは期間が違う。
- 医師・歯科医師・薬剤師は2024年、病床と診療所は2023年度で年次が異なる。
- 従事者数はその市で働く人の数であり、その市の人が診てもらう人の数ではない。前橋には群馬大学医学部附属病院があり、県全体から患者が来る。
- 勤務先の内訳(病院・診療所・薬局など)は市区町村別では取れない。
- 薬局の数は市区町村別では公表されていない。薬局は薬機法の許可施設で、医療施設調査の対象外である。
- 分母は住民基本台帳人口を使った。国勢調査人口を使うと値がわずかに変わる。
- 全国の値は分母の取り方によって病床1.11〜1.12倍、診療所1.22〜1.23倍と揺れる。この記事では医療の記事と同じ1.11倍・1.22倍を使った。
よくある誤解
「前橋は医療従事者が多い」
医師は全国の1.78倍ですが、薬剤師は1.10倍、歯科医師は1.01倍です(2024年)。歯科医師は全国をわずかに上回るだけで、ほぼ全国並みです。多いのは医師であって、医療従事者全体ではありません。
「医師が多いから医療が充実している」
医師数は前橋で働く医師の数で、前橋市民が診てもらう医師の数ではありません。群馬大学医学部附属病院があり、県全体から患者が来ます。平均余命も全国とほぼ同じです。
「薬剤師が多いから薬局も多い」
薬局の数は市区町村別では公表されていません。薬剤師は薬局だけでなく病院にも勤めるため、人数から薬局の数を推し量ることはできません。
Q&A
看護師の数は分かりますか
市区町村別では分かりません。社会・人口統計体系の市区町村データに看護師・准看護師・保健師・助産師の項目が存在しないためです。都道府県別なら取得できます。
薬局の数を知りたい
市区町村別の公表はありません。個別の薬局は厚生労働省の医療情報ネット(ナビイ)の薬局検索で検索できます。
歯科医師は全国より少ないのですか
2024年は少なくありません。前橋84.5人に対し全国83.4人で、1.01倍とわずかに上回りました。2022年は79.9人で全国83.9人を下回っていました。前橋の歯科医師は265人から278人に増えています。増えた理由はこの統計からは分かりません。5市のなかでは桐生99.8人が最も多くなっています。
次の更新はいつですか
医師・歯科医師・薬剤師統計は2年ごとに実施されます。最新は2024年で、次回は2026年のものになります。
出典
- 厚生労働省「令和6年医師・歯科医師・薬剤師統計」医師 第22表・歯科医師 第22表・薬剤師 第14表(主たる従業地による二次医療圏、市区町村)/e-Stat
- 厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計」2022年まで/社会・人口統計体系 市区町村データ(統計表ID 0000020209)/e-Stat
- 厚生労働省「医療施設調査」2023年度(病床数・診療所数)
- 総務省「住民基本台帳に基づく人口」2024年(分母)
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| No | データ名 | 出典 | ダウンロード |
|---|---|---|---|
| 78 | 県内5市の医師・歯科医師・薬剤師 1984〜2024年 | 厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計」(2022年までは社会・人口統計体系、2024年は令和6年の市区町村別の表による) | CSVを保存 |
更新履歴
- 2026年9月24日 2024年の医師・歯科医師・薬剤師統計に更新
- 2026年9月17日 公開
